「カウルが無くエンジンもかからないNSR250Rを売りたいんですが」と買取査定のご依頼を頂戴して拝見させて頂いたのは通称ハチハチの1988年式 MC18型。 5年程屋外に放置されていたため車両全体に疲労感が色濃く滲む不動車となっていました。 更に転倒によって両センターカウル・アッパーカウルは消失、メーター破損、カウル割れなどの外傷も車両の価値を大きく損ねていましたが、実働化できるベース車両としてポテンシャルを見抜き8.8万円の査定価格で買取させて頂きました事例です。
NSR250Rの売却を考えているオーナー様必見!
過去2年間で1.6倍に、過去4年間で1.9倍に値上がりしていますMC18型NSR250Rは売り時なのか?
劣化によって車両価値が損なわれる不動車や事故車に関してはの答えはYESです。
対して保管状況の良い実働車については、値上がりペースを考えると暫くお手元に置いて様子を見るのが正解と言えるでしょう。
以下、買取事例と相場情報を詳しくご案内しております。
80年代に登場した初代NSRことMC16型NSR250Rに続き、先代以上の優れた走行性能で当時のストリートライダーたちを夢中にさせたMC18型NSR250R。
今回のオーナー様もそうした元・峠小僧(当時ライダーの間で一般的だった呼称)だったそうで、若い頃は明けても暮れても走り込んでいたそうです。
今回買取査定のご依頼を頂いた1988年式のMC18、前オーナーであるご友人が、転倒によって損壊したカウル類を取り外して、社外キットでのノンカウル仕様にされたとのこと。
他府県への就職で地元を離れるご友人から譲り受けたそうですが、社会人としての忙しい日々を過ごす中、カウルを購入してレプリカを再現する意気込みも薄れ、次第にエンジンに火を入れることすら減ってしまったそうです。
ネイキッド化された経緯や前オーナーから譲渡されて放置されていくまでの経過など、色々なお話をオーナー様からお聞きかせ頂きながらの査定をさせて頂きましたNSR250R。
野晒しで放置されていたため、エンジンはかからず、車両全体に劣化や傷みが目立ち、外装カウルをはじめとする純正パーツの欠品等によって車両の買取価値を損ねていたMC18型NSR250R、果たして査定ではどう評価されるのでしょうか?
以下、今回拝見させていただいた1988年式 MC18型の車両詳細となります。
足回り
長期放置による劣化で前後のタイヤはひび割れが発生していて、前後タイヤは要交換判定。ハンドルは転倒の衝撃によって歪みあり。
後輪のタイヤは固着気味で回りづらく、滑らかにNSR250Rを押し引きして動かす事ができません。
前後のサスペンションもヘタリが感じられ、見た目と合わせて機能的にも疲労感が滲んでいます。
チェーンやスプロケなどは錆びに覆われていますが、前後ホイール・ブレーキ周りは丁寧な磨きとケアでリカバーで切るポテンシャルを備えています。
アウターチューブの両サイド貼られているステッカーを剥しても良いですかとオーナー様にお尋ねすると「転倒傷を隠すため」だそうで、剥して確認させて頂きましたところガリ傷が数本走っていました。
足回りについては放置による傷みが濃く見られましたMC18型ですがが、入念な磨きとケアで十分回復可能なためまずまずの買取価値を計上することがきました。
外装
右の太もも下あたりに古めの転倒キズ、エンジンに路面との接触を示すガリ傷あり。 「前の持ち主だった友達が派手な転倒をしたことがあって。目立つ傷は殆どがその時のだと思う。」とお話ししてくださったオーナー様。
カウルが欠品になっていることについては「当時の転倒でカウルが砕け散ってね。直したかったんだろうけど修理見積もりが驚くほど高かったらしくて、それでやむなくノンカウル仕様になっちゃってね。」と教えてくれたオーナー様。
社外キットによってネイキッド化されていますが、レーサーレプリカの魅力の多くを面積的にも体現しているセンターカウルの欠品は、残念ながら大きく買取価値を損ねています。
ガソリンタンクは、リム部分の塗装ハゲ、シート側面の大きな凹みと塗装ハゲ、全体に細かい傷が目立ち、内部に錆びが目立ち状態としては良くありません。
ヘタリや破れのあるシート。シートカウルの大きなキズ・割れと、残っている純正の外装品も状態は良品とは言えず、買取価値はあるものの外装の査定評価を大きく損ねることに。
エンジン周り
長期放置によるタンク内のガソリン腐り、キャブ詰まりでエンジンの始動性は確認できませんでしたが、キックを踏み込んだ際の圧縮は十分あり。
エンジン回りの見た目はサビ・腐食が目立ちますが、ボルトが錆びで固着するほどではなく、オーナー様のお話やキックの圧縮状態からもキャブやタンク周りのオーバーホールと入念な整備で実働化が見込めそうです。
キャブ2発のオーバーホール、タンク内の錆び除去と防腐加工、バッテリー&プラグ交換は最低限。始動までは修理としては5万円程度のコストは掛かりそうですが、そこは買取販売店であり自社整備工房を持つ弊社の強み!安価に修復することが出来ます。
実働化ベースの不動エンジンとして買取価値はありますが、修復にかかるコスト、実働後のエンジン状態が不透明であること、見た目の腐食が激しいこと等が割り引かれ高い評価を付けるには至りませんでした。
フレーム回り
外装を失った際のの転倒事故は、骨格に影響を及ぼすほどの衝撃は受けていなかったようで、メインフレームの歪みや皺寄り等、骨格にその剛性を損なうような痕跡は確認できませんでした。
ただし、長期放置による細かいキズ・腐食といったものは各部に発生しており、総合的には年式相応といったところです。
アルミ製フレームであるため、スチールフレームほどのキツいサビこそありませんが、年式を考えるとそれなりのケアが必要なことは確かです。
それでも十分にMC18型のフレームとして充分に買取価値はあります。2018年現在、MC18型の書類付フレームは単体でネットオークションなどでも1万円台で流通しています。
電装/保安部品
放置期間中に弟さんがバッテリーを取り外して持ち帰ってしまったそうで、買取査定当日はバッテリーが欠品状態。
この状態では電装・保安部品の動作確認はできなかったものの、配線類をチェックしてみるとまだまだしっかりした強度状態を維持しており、動作見込みは十分ありと判断させて頂きました。
ヘッドライト・前方ウインカーは社外品のものですが、シビエ製の高品質なものが装着されており、耐久性に関しての不安はなさそうです。
おそらくデイトナから発売されていたカウルレスキットを使用したものだと思われましたが、劣化状況的にそこまでのプラス材料とはなりませんでした。
電装保安部分では高価な部品となるメーターは転倒で大きく破損しその価値を失っていました。マフラーは転倒傷や錆びが目立ち価値はあるものの大きな額とはならない状態。
電装保安部品に付いては多きな価値を見込むことはできませんでした。
その他/カスタムなど
通称「ハチハチ」と呼ばれる1988年製NSR250Rは、リミッターカットのみで最高出力60psにまで達します。査定させて頂いたハチハチはリミッターカットはされておらずその点はプラス評価。
転倒事故によって止む無くネイキッド化されていたMC18型。とはいっても、センターカウルの欠品は大きく査定額の減額につながってしまいました。
不動車としての総合評価と買取価格
- ▼評価できたポイント
- 部品取りではなくレストアベース車となる
- キックには十分圧縮があり実働化が見込めるエンジン
- フレームには目立つ損傷が無い
- ▼買取価値を損ねていた点
- 欠品となっている両センターカウルとアッパーカウル、ウィンカー
- ある程度の修復コストが見込まれる不動エンジン
- タンクやカウルの割れや凹み・色褪せ塗装ハゲ
- 全損扱いのメーター、マフラーの目立つ凹みや転倒傷
- 車両全体に漂う疲労感
上記のように評価できる点と、減額された点がありました。
中でも基礎となったポイントはは焼き付きといったトラブルがつきものの2ストマシンで実働化できるレストアベース車であること。
状態によって評価は大きく変わってきますが、MC18型NSR250Rは出力規制前の過激なスペックを誇るマシンであり、見るものが見れば良いお値段をつけられる希少車のひとつ。
難点も多かったのですが、車両価値からの引き算を終えた後でも十分な価値が残り、査定金額として8.5万円を提示いたしました。
「もう少し何とかならない?」とのオーナー様のお言葉もあり、上司に相談することに。
当社を何度もご利用して頂いているお客様のご紹介ということもあり、何とか3千円を上乗せして8万8千円でお客様にご判断を仰ぐことに。
お客様のご感想と買取後記
「実は8万5千円と聞いて、『お~ラッキー』って思ったんだけど、質屋のTVを見ていて、何があっても交渉して値上げしてもらおうと決めていたので。言うだけ言ってみました」とはオーナー様。
当社は最初からお客様の立場でぎりぎりの価格を提示しますので、殆ど交渉が出来ないのですが、何度も当社でバイクを売り買いして頂いているお得意様のご紹介という事情を加味して3,000円の気持ち上乗せして買取させて頂きました。
「譲渡された当初はNSR250Rの純正カウルを取り付ける意気込みもあったんだけど、予想してた以上に仕事が忙しくて、次第に乗ることもなくなり、久しぶりに手を入れようとしたらエンジンかからなくなり、いつか直そうと月日が流れて。。 このままでは価値が無くなってしまうし。自分ではもう直す気力も時間もないので。売れるなら今のうちにの売ろうと。それが8万8千円なら大満足でしょ。」とはオーナー様のお言葉です。
NSR250R 査定相場の比較
NSR250Rシリーズの2代目にあたり、レーサーレプリカブームの立役者の一人となったMC18型NSR250R。
簡単に最高出力60psが引き出せる1988年製の通称・ハチハチを筆頭に、今なお評価の高い1台となっております。
すでに2ストロークエンジンが生産終了となり、このMC18型NSR250Rも中古での取引価格が年々高くなっているモデルです。
以下、買取業者の値付けの指標となっている、業者間市場の取引データを使用して、買取相場をご案内いたします。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|NSR250R MC18
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み・やや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
MC18型|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
35~39万円 |
1台 |
1台 |
0台 |
30~34万円 |
1台 |
1台 |
0台 |
25~29万円 |
1台 |
2台 |
0台 |
20~24万円 |
6台 |
5台 |
台 |
15~19万円 |
9台 |
12台 |
4台 |
10~14万円 |
0台 |
10台 |
12台 |
5~9万円 |
0台 |
2台 |
7台 |
0~4万円 |
0台 |
0台 |
1台 |
総落札台数 |
18台 |
3台 |
24台 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車の平均査定額は15万台半ば
過去1年間で、51台のMC18型NSR250Rの実働車が、業者間市場で取引されています。
平均取引価格は18.6万円で、実に6割に当たる31台が10万円台で取引されています。
買取業者の買取金額は、市場での取引価格から運送費や出品手数料などの経費と自社の儲けを差引く必要があるので10万円台半ばが平均的な買取額であることが相場から読み取れます。
状態が良ければ20万円台を超えて30万円台の査定額が付く可能性もあり、10万円台半ばを基点に状態によって上下する相場となっています。
ただし、6割の車両は10万円台の査定額に落ち着くこと、今後もMC18型の値上がり傾向が続く可能性もあることは留意したいところです。
事故車の平均査定額は数万円、不動車は10万円台も
実働状態にない事故車や不動車を表す評価点1の車両は、過去1年間に24台が取引されています。
パーツ取りとなるような事故車は2台で4.9万円と6.4万円で取引されています。そのことからパーツ取りとなる事故車になると、いくら人気のMC18型とはいえ、その買取価値は数万円未満といえます。
その他の不動車は、マイナスとなる欠品や損傷や劣化の度合いによって取引額が上下しています。 センターカウルとアッパーカウルのない車両の最高額は7.7万円。セセンターカウルのない車両の最高額は12.3万円。
実働化へのコストと、実働化後の見込み価値によって、不動車は4~10万円台前半での査定価格に収れんされる相場となっています。
MC18型の査定相場の推移 2014~2018年
2014年~2018年までMC18型の相場はどのように推移しているのかを示したのが以下表になります。
モデルチェンジ別の年式モデルと型式 |
年度 |
平均価格 |
最高価格 |
取引台数 |
2014年 |
9.9万円 |
18.0万円 |
29台 |
2015年 |
10.8万円 |
26.0万円 |
20台 |
2016年 |
13.5万円 |
29.6万円 |
35台 |
2017年 |
37.8万円 |
16.1万円 |
42台 |
2018年 |
39.8万円 |
18.7万円 |
51台 |
(2014年~2018年の各年度でそれぞれの年度でとある月を起点にして、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)<
MC18型は過去4年で約2倍に値上がり
一目瞭然で、MC18型のNSR250Rが右肩上がりの相場であることが分かります。
過去2年間で1.6倍に、過去4年間で1.9倍値上がりしています。
実はNSR250R全般がこの傾向にあるのですが、中でもNC28型全般と、NC21型のSEならびにSPの価格の伸びは顕著で新車価格を上回り正にプレミアム化しています。
今回は、MC18型の不動車の買取事例という事でMC18型に特化して相場情報をご案内していますが、次回MC28型やMC21型の買取事例をご案内する際に、MC16~MC28型まで全型式の相場推移をご案内したいと考えております。
相場が右肩上がりのNSR250Rは今が売り時なのか?
以上のように、値上がり傾向が顕著なNSR250R。今売るべきなのか?
不動車や事故車に関しては補完状況に拠って答えはYESです。
その理由は、事故車は不動車は元々の取引金額が低いため値上がり幅が限定的であり、実働車程の値上がり率を見せていない点。そして、屋外放置などで車両価値が劣化していく点にあります。
放置による車両価値の劣化の方が、相場の値上がりより深刻となりそうな事故車や不動車は今が売り時と言えるでしょう。
対して保管状況の良い実働車については、今の値上がりペースを考えると暫くお手元に置いて様子を見るのが正解と言えるでしょう。
NSR250Rの査定は信頼できる業者に
旧車・希少車に関する見識が浅い買取業者の場合、NSR250Rは査定評価が非常に難しい車種のひとつで、中には業者オークションの相場から逆算した過剰な安全マージンを取ろうと、安値で買い叩くというケースもしばしば。
弊社パッションでは、そうした業者間取引における現在の相場事情も正直にオーナー様へお伝えし、クリーンな買い取りを旨としております。
また、非常に多くのバイクを見てきたベテラン査定スタッフにより、不動車であっても車両状態を的確に見抜き、オーナー様へ最大限に還元することが可能です。
買取だけではなく!年間2000台以上販売している買取販売店だから、店頭仕入価格での買取も可能!実働車は他の買取専門店では真似のできない価格で買取していることも!
実働車や極道者はモチロンのこと、や長期放置や事故で不動車ののNSR250Rもお気軽に弊社パッションまでご相談ください。
NSR250R MC18豆知識
「ニュー・スプリンター・レヴォリューション」の頭文字をとって命名され、大舞台で華々しい活躍をしたワークスレーサー・NSR。
こちらはのちのGPマシンに影響を与えるほどのセンセーショナルなマシンでしたが、そのワークスマシンを再現したレプリカモデルとして、1986年にホンダ・NSR250Rとして市販化。
約半分の250ccという排気量に加え、自主規制によって出力上限が設けられた仕様ではあったものの、圧倒的な速さで発売開始から大ヒットを記録。
このヒットによって2ストレーサーレプリカの販売市場トップに躍り出たホンダは、一気にバイク業界の名手としてシェアを拡大しました。
NSR250Rは1999年を持って生産終了を迎えたものの、シリーズを通して未だに高く評価されております。
NSR250R 【1988~1989年モデルのMC18型】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 51台
- 平均価格: 186,667円
- 最高価格: 398,000円
- 最低価格: 60,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 24台
- 平均価格: 97,306円
- 最高価格: 110,917円
- 最低価格: 49,000円
相場情報:2018年1月12日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。