■10年間乗り込まれてきた2005年式W650。 走行距離5万km越えの査定価格は…?
無料出張査定にお伺いいたしましたのは調布市。野島様お住まいの賃貸マンション前で停車し、事前のお約束通り携帯電話にコールさせて頂くと、すぐにエントランスに野島様のお姿が。
野島様はショートカットが似合う30代前半の女性で、大型二輪免許持ちのベテランライダー。
何でも15年近く交際されているアメリカ人の男性と婚約し、近々渡米されるとの事で愛車W650の売却を決意したとの事。
お祝いの言葉を述べるとともに、査定スタッフとしても気合が入ります。
こういった新しい門出を踏み出す一歩として、弊社パッションにご依頼くださるのは査定スタッフ冥利に尽きる嬉しい事です。
そして、マンション下の半地下駐車場にて野島様の愛車W650とご対面です。
さすがに新車購入時から10年以上の年季が入った車両で、各所に錆や傷がありますがパッと見なかなか良い部類です。
ほぼフルノーマルに近い形で、ブレーキホースのみ社外品に交換。
走行距離は51,436kmで、エキゾーストパイプなどに軽い腐食が確認できます。
スポークホイールの構造上、錆が出やすいのはネオクラシックの宿命でもあります。
程度としては十分リペア可能な範囲と言えます。
ブレーキマスターシリンダーや、スイッチ類に年季を感じさせる箇所が見受けられます。
さすがに販売から10年以上になると、こうした劣化はどうしても避けられません。
タンクパッドは2年前にカワサキの正規店で張り替えを行ったとの事で、しっかりとした質感が感じられました。
タンクには数箇所ひっかいたような傷が見えます。
キャブレター仕様のW650は、後継モデルのW800よりも錆が出やすい箇所は多めです。
キャブの各部に錆が浮き、一度オーバーホールする必要も。
さすがにこれだけの年数経過だと、シートの劣化は避けられないところ。
ちょっと大きめの破れと、金具の腐食が多く見られます。
タイヤに関しては交換からあまり乗っていなかったのでしょう。
比較的残りもあり、山は十分に残っています。
これなら交換不要のレベルと言えます。
スイングアームやリアサスのジョイント部にも軽度の錆が見えますが、これもリペア可能なレベルです。
エンジンの始動は問題なかったのですが、クランクシャフトのトラブルらしき異音が聞き取れ、エンジンは要分解整備。
走行距離も多めのため、この点はマイナス評価とせざるを得ません。
かなり走行距離が多く、購入から10年以上の月日が経過していることもあり、チェック箇所はかなり多めとなりました。
約30分間全ての箇所をチェックさせて頂き、野島様所有の2005年式カワサキ W650の最終査定金額は、290,000円となりました。
弊社による査定ランクは、10段階評価の「4」です。
オークションでドタキャンされた経験のあるW650。査定価格に納得で即決成約!
最終査定価格を野島様にお伝えしたところ、「これなら満足です!」と笑顔で応対。
すぐに書類を自室からお持ち頂き、その場にて売買契約成立となりました。
なんでも車検が4ヶ月残っている実動車として、国内のオークションサイトに出品したはいいものの、落札後にドタキャンされてしまったそうです。
その際の価格は出品者側で輸送負担条件の31万円だったそうですが、落札者の方は北海道。
輸送費やオークション手数料、その他諸々の費用を考慮すれば弊社の査定価格の方がお得になるとお話して頂けました。
これはオークションサイトではよくある話で、一時の感情で気が大きくなって張り込んだはいいものの、落札後に我に返るというケース。
野島様にとって一種の災難でしたが、「廃車手続きなどの安心感を考えると、パッションさんにお願いできてよかったです」と嬉しいお言葉も頂きました。
今回のW650は、かなり走行距離も多くエンジンの異音など、多くのマイナスポイントがあるのも事実ですが、各所の錆・傷の大きさが小さめだったのは評価ポイント。
表面だけのケアで済む箇所も多く、まだリペアしやすいレベルであったのが幸いでした。
エンジンの方が大きな問題でしたが、始動性は十分に確認できる上、現行のW800とは異なりキャブ仕様のW650も一定のニーズが見込める点でマイナス査定をカバー。
車検の残りがある点とタイヤが新しめであるのを考慮し、総合的な評価で価格を決定させて頂きました。
W800の相場
販売開始からネオクラシックジャンルでのフラッグシップとして不動の人気を誇るカワサキ W800。
数年前、トライアンフ社の再建の際にはカワサキが技術協力を行ったバーチカルエンジンの完成度は高く、美しさとタフさを備えた見事な作品となっています。
気品を感じさせるジェントルな佇まいと、トルクフルで乗りやすい走行性能に、大型車としては非常に珍しいほどの足つき性の良さもあり、これからもネオクラシックの第一線で通用するマシンです。
それだけに熱心な固定ファンを獲得しており、弊社でも大いに注目して力を入れております。
W650豆知識
●1966年、カワサキが吸収合併した目黒製作所(メグロ)のベストセラーであった1k(通称スタミナ)を元に開発された650W-1。
当時、日本国内最大排気量を誇り、独特の形状のバーチカルエンジンとエンジン音で多くの二輪ファンを虜にしました。
その後のマッハシリーズやZシリーズにも大きな影響を与えたモデルとして名が高く、カワサキのバイク史上を語る上で欠かせない存在の一つです。
この往年の名車を再現し、1998年にネオクラシックとして生まれたのがW650・通称ダブロクです。
国内のバイクとしては唯一無二のバーチカルツインエンジンを搭載し、W1の美しく優雅なフォルムを高いレベルで再現したW650は、大きな話題と人気を呼びました。
販売開始当時は、ヤマハ SRシリーズが大きなシェアを占めていましたが、その気品ある佇まいとOHVからSOHCへ進化したエンジンの生み出すパワーでゆとりある走りを実現。
最大出力50psというパワーは、非常に安定した走行性能を保証し、独特のベベルギアシャフトをOHVのプッシュロッド風にした造形で支持されました。
随所にクロームメッキ仕上げのパーツが惜しみなくおごられ、鏡のように風景を映し込む質感の高さもW650の人気を底上げ。
性能よりもレトロ感とデザインありきのジャンル、と捉えられていたネオクラシックというジャンルにおいて、抜群の基本性能と所有感を満足させてくれるオーラを持ったマシンとして高く評価されました。
「バイクに乗る楽しさ」と、「所有する喜び」というバイクにおいて重要なポイントを抑えた心憎いまで作りは、W650が特別なバイクであることの証でもあります。
W650【1999~2008年モデル】
初登場から既に20年近くの歳月が流れ、現在では生産終了となったカワサキ W650。
現行モデルとしてW800が登場し、乗り換えが進んでいる傾向にあります。
しかし、オリジナルのW1に近いスペックで完成度の高いモデルであることは間違いなく、現在の中古車市場でも人気のある車種の一つです。
こうした市場評価を弊社でも敏感にチェックしており、W650の買取査定には他社よりも多くのプラス評価をつけるケースが多めとなっています。
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 37台
- 平均価格: 266,000円
- 最高価格: 502,000円
- 最低価格: 156,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 5台
- 平均価格: 180,400円
- 最高価格: 202,000円
- 最低価格: 164,000円
相場情報:2016年8月時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。