ロングセラーモデル「ゴールドウイング」。そのルーツとなるのが1975年から79年にかけて製造販売されたGL1000。
GL1000が登場する以前のホンダの状況を振り返ると、69年に発売した【CB750four】が世界的ヒットを記録したものの、後発のカワサキ【Z1】はDOHCでしかも900cc。苦境に立ったCBの代りに、再び世界に通用するフラッグシップバイクが必要でした。
そこでホンダが目指したのが、新しいジャンルのグランドツアラーです。なお当時の日本では750cc自主規制があったため、GL1000は輸出専用機です。
まずエンジンは、バイクとしては珍しい水冷式4スト水平対向OHC4気筒999ccで、7,500回転で80馬力を発生しました。カム駆動は静かなベルトドライブ方式、後輪シャフトドライブなどが採用されました。75年の初期型はスポークホイールですが、79年にコムスターホイールに変更されています。78年にはフロントがダブルディスクに変更されました。
最も斬新なのはガソリンタンクで、本体はシート下にあります。タンクに見えるのはダミーで、左右にカバーを開くと中は小物入れとなっており、その下にはさらにエアクリーナーボックスとキャブレターがあります。
大柄な車体、シリンダーの位置が低い水平対向エンジン、ガソリンタンクをシート下にしたことで、GL1000は低重心でどっしりとした操縦性を示しました。それはちょうど、CB750fourの代りに開発した目標＝アメリカ大陸横断などの快適な長距離クルージングに最適でした。そのため評価は徐々に上がり、やがてサイドケースやカウル等の車外パーツも増え、アメリカ国内での認知度は高まっていきました。
17.9km/リットルと燃費がよかったこと、BMWやハーレー等と比較して性能の割に安かったことも高評価の一因でした。
そしてGL1000はアメリカ市場の強い要請を受け、この後進化していくことになります。
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解説記事更新日：2022年05月20日

1975年に発売されたホンダ GL1000 ゴールドウィング。
アメリカ市場向けに全く新しいツーリングモデルの開発を命じられた当時の開発陣が出した答えがバイク用としては世界的に見ても珍しい水冷水平対向4気筒999ccエンジンの搭載だった。最高出力は80ps/7500rpmで、タンク部はダミーになっており中央には小物入れ、左右にはエアクリーナーボックスとキャブレターが配された。ホンモノの燃料タンクはシート下に設置されて低重心化にも寄与している。
カラーバリエーションにはキャンディアンタレスレッド、キャンディブルーグリーンの2色を設定。
当時日本国内では2輪の排気量上限規制によって750ccまでしか正規販売できなかったので日本仕様は存在せず、販売は海外のみ。当時の社長である本田宗一郎氏のプッシュもあり750ccの国内仕様の発案もされていたものの実現には至らなかった。
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解説記事更新日：2022年05月20日

カラーチェンジを受けて発売された1976年モデルのGL1000 GoldWing。
カラーバリエーションにはサーフイエロー、キャンディアンタレスレッドの2色を設定。メーターの配色も変更された。
また、初期モデル（1975〜’77年モデル）まではダミータンクに取り付け式のキックペダルが搭載されており、セルフスターターで始動できない場合には別体式のキックペダルを取り付けることでキックスタートが可能となっていた。
同年にはアメリカの建国200周年を記念したスペシャルモデルも登場。専用シートに専用エンブレムを採用、シュラウドカバーにはクロームメッキ加工を施してあり、リムはゴールドカラーとなっていた。
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解説記事更新日：2022年05月20日

マイナーモデルチェンジを受けて発売された1977年モデルのGL1000 GoldWing。
先代モデルからハンドル位置が上昇、そして前年登場したスペシャルエディションのGL1000LTDからシートを共有、エキゾーストパイプにはクロームメッキ加工が施され、メーターパネルはブラックに変更された。
カラーバリエーションにはキャンディアトランティスレッド、キャンディシリウスブルー、ブラックの3色を設定。
今でこそゴールドウィングといえば皇宮警察にも採用されるハイエンドモデルとなったが、この1977年当時のGL1000は4気筒の水平対向エンジンを採用した色モノながらエンジンを除けば外観はジャパニーズネイキッドそのもの。当時ネイキッドと言えばカワサキはZ1全盛期だったこともあり販売台数は好調とは言えなかったようだ。
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解説記事更新日：2022年05月20日

マイナーモデルチェンジを受けて発売された1978年モデルのGL1000 GoldWing。
リアサスペンションには新たに2段階減衰力調整機能付きを採用、また、キャブレター径はφ32mmから1mm小径化され、低、中回転域でのトルク増加が図られた。
外観ではダミータンク、サイドカバー、マフラーなどが新形状となり、小物入れのフタは前ヒンジから後ろヒンジに変更、リアウインカーhsフェンダーより上に移動、タンク上には水温燃料、電圧のの3連メーターを搭載した。
カラーバリエーションにはリミテッドマルーン、グランディアブルー、ブラックの3色を設定。
国内向け仕様がなかったことから中古車市場でもタマ数は少なく、水平対向エンジンながらGL1100の買取相場は旧いゴールドウィングの位置づけではなくプレミアムが付く昭和ネイキッド寄りの相場となっている。
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解説記事更新日：2022年05月20日

マイナーモデルチェンジを受けて発売された1979年モデルのGL1000 GoldWing。
外観の変更ではダミータンクカバー上部に合皮のプロテクターを搭載。また、ウインカー、テールランプは1978年に同ホンダから併売されていたCBX1000と共用となり、加えてブレーキとクラッチレバーはブラック塗装に変更となった。
GL1000としてはこの1979年モデルを最終型として‘生産を終了。翌1980年からは大排気量モデルであるGL1100が登場している。
GLシリーズの最大の特徴である水平対向エンジンが圧倒的な存在感を放つボディはカスタムベースとしても人気が高い。その幅はカフェレーサースタイルやボバースタイル、トラッカースタイルなど多岐にわたり、海外では度々有名なビルダーにカスタムを施され注目を浴びるなど、販売終了から年数を経ても多くのユーザーから愛され続けている。
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解説記事更新日：2022年05月20日