1980年代初めから国内オートバイメーカー間で熾烈な人気争いが繰り広げられていたゼロハンスポーツカテゴリーにカワサキが投入したのが、「AS50」シリーズだ。デビュー当初はライバルモデルよりも軽量な車体にクラストップとなる0.62kg-mの最大トルクに7.2馬力というスペックで存在感を放っていた。
しかし後の最高速度を60km/hとするメーカー自主規制に対応する際のスペックダウンでは、ライバルよりも見劣りするスペックに。この「AR50-Ⅱ」で人気争いは不利な状況に追い込まれるも、翌年の1984年9月に状況を打開すべく発売されたのが、本モデル「AR50S」だ。
パワートレインは、従来通り空冷2ストローク単気筒ピストンリードバルブの49ccエンジンのAR050AE型を搭載。圧縮比は7.2から8.0へ戻され、最高出力は、9,000回転で7.2馬力と初代「AR50」と同スペックになった。先代モデルの「AR50-Ⅱ」が4.6馬力だったので乗り比べた際のパワーアップ感はハッキリ体感できた。
最大トルクに関しても6,500回転0.5kg-mから8,000回転0.62kg-mへと改善した。ライバルモデルとして台頭していた、ホンダ「MBX50」は5.6馬力だったので圧倒的に「AR50S」が有利。水冷エンジン搭載のヤマハ「RZ50」はパワーとトルク特性は同スペックだが乾燥重量は本モデルが2kg軽いということでパワーウエイトレシオは「AR50S」が勝る。
シリーズ初代「AR50」世代のポジション関係に戻ったわけだ。
ちなみに「AR50S」は最高速度の自主規制に対応するため、スピードリミッターを取り付けていた。トランスミッションも5速から6速リターンへ変更されている。
「AR50S」のデビューモデルは、「ライムグリーン」、「サンビームレッド」、「エボニー」の3カラー展開で価格は173,000円だった。
その後は、スペックの変更は無かったがカラーチェンジと価格変更を実施ながら1988年末に最終モデルを展開し生産終了となった。

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解説記事更新日：2021年10月06日

先代モデルのAR50-Ⅱからフルモデルチェンジチェンジを受けて発売されたAR50Sの初期モデル。
エンジンには空冷2ストローク単気筒ピストンリードバルブを搭載。最高出力は7.2PS/9,000rpmを発揮した。
先代のAR50-Ⅱが短命に終わった要因として最高出力の低さ(4.6PS)がネックであったことから最高出力を向上、また先代では5段だったミッションはARシリーズの始祖であるAR50時代と同様の6段ミッションを改めて採用している。
カラーバリエーションにはライムグリーン、サンビームレッドの2色を設定。グラフィックは同社のGPz1100と同様のデザインが施された。
新車販売価格は17.3万円。
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解説記事更新日：2021年10月17日

カラーチェンジを受けて発売されたAR50S C4。
カラーバリエーションはライムグリーン、エボニーの2色を設定。
新車販売価格先代モデルから3千円値上がりした17.6万円だった。
ライバル車には50ccのCBXとも呼ばれたMBX50のカウル付きモデルであるMBX50Fが挙げられる。1985年モデルに最高出力は7.2PS/8,500rpm、乾燥重量は82kgで2台のパワーウェイトレシオを比較するとMBX50Fが11.38kg/PS、AR50Sは10.2kg/PSで加速性能においてはAR50Sが優っていたと言えるだろう。
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解説記事更新日：2021年10月17日

カラーチェンジを受けて発売されたAR50S C5。
カラーバリエーションはポーラホワイト、エボニーの2色を設定。
新車販売価格先代モデルから3千円値上がりした17.9万円だった。
ライバル車にはゼロハンスポーツの火付け役となったRG50のカウル付きモデルであるRG50γが挙げられる。1989年モデルの最高出力は7.2PS/7.200rpm、装備重量は83kgで2台のパワーウェイトレシオは奇しくも同数値の11.52kg/PS。しかしパワーバンドではAR50Sが8,000-9,000rpmなのに対しRG50γは7,000-7,200rpmと50ccながら少々ピーキーで乗る相手を選んだと言えるだろう。
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解説記事更新日：2021年10月17日

カラーチェンジを受けた発売されたAR50S C7。
カラーバリエーションにはポーラホワイトを設定。シートはブラック→レッドに、ホイールはゴールド→ホワイトに変更されている。
新車販売価格は17.9万円だった。
ライバル車にはヤマハのゼロハンスポーツであるRZ50が挙げられる。1989年モデルの最高出力は7.2PS/9,000rpm、乾燥重量は76kgで2台のパワーウェイトレシオを比較するとRZ50は10.55kg/PS、AR50Sは10.27kg/PSとなり、最高出力は両者ともに規制値いっぱいの7.2PSだったが、若干ながら軽量だったAR50Sが数値上の加速性能では優っていた。
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解説記事更新日：2021年10月17日

仕様変更はなく発売された1990年モデルのAR50S。
カラーバリエーションには引き続きポーラーホワイトを設定。
新車販売価格は17.9万円だった。
AR50Sはこのモデルを最終型として生産を終了。ARの名を冠した後継モデルは登場せず、それは同時に1981年に始まったAR50シリーズの終焉を意味した。しかしAR50Sのために開発されたパワフルなエンジンは同社のモタードモデルでありロングセラーとなるKS(KSR)シリーズの始祖であるKS-1へと受け継がれていく。
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解説記事更新日：2021年10月17日