買取させて頂きましたのは2009年モデルの海外仕様YZF-R1の事故車です。
1998年の発売以来、5回目となるフモデルチェンジとなった2009年モデルは2011年現在で最新仕様の6代目に位置するモデル。
買取相場が最も高い最新仕様の5代目ですが、査定させて頂きましたYZF-R1はバイクの原型を留めていないスクラップ状態の事故車・・・
はたしてどのような査定額となったのか?以下に査定内容のトピックスをご紹介させて頂きます。
事故による損傷
最新仕様で新車価格が156.4万円だった2009年モデル海外仕様のYZF-R1。
事故によって新車当時の面影はなくなってしまいました。
倒立式フロントフォークはアウターチューブの部分で切断されて、前輪を含むインナーチューブ以下が車体から分離しています。
インナーチューブは折れ曲がりフロントフォークはその価値を失っています。
前方からの衝撃をタイヤ/ホイールを経由して受けたラジエーターや4本のエキパイは多くく変形し、大きく歪曲しているフロントホイールと共に事故による衝撃の凄まじさを物語っています。
外装類では、スーパースポーツの象徴である両サイドのセンターカウル・アンダーカウルが欠品、テールカウル・アッパーカウル・フロントフェンダーは損傷が激しく、 フュエルタンクには何か所もの大きな凹みがあり買取価値を損ねています。
車体後部の損傷も凄まじく、2本出しのマフラーは損壊して欠品に。更にフロントフォークが折れて車体が前傾姿勢となっていることを割り引いても、タンデムシートが上方に反っていることが分かります。
このことは、2009年モデルから導入されたマグネシウム製リアフレームが変形していることを意味しています。
ここまで、全損扱いとなっているパーツは、リアフレーム・フロントフォーク・ハンドル・エキパイ・マフラー・ラジエーター・センターカウル・アンダーカウル・テールカウル・前輪・アンダーブラケットなど。
半損扱いとなっているのは、フュエルタンク・アッパーカウル・フロントフェンダー・前輪のブレーキ類など。
多くの基幹部品が損壊して買取活を消失していることが分かります。
最も気になるのは、2009年モデルで刷新されたアルミ製デルタボックスのメインフレームの状態。
車種判定の最優先はフレーム番号であり、YZF-R1の存在証明でもあるメインフレームが再利用できる状態であるかは事故車の買取価値を大きく左右します。
見たとこを触ったところ頑丈なメインフレームに歪みや変形はないようです。ただしネック周りの接合部に衝撃を吸収した証拠である皺が寄っています。
プロが見れば一発で剛性を損なっている事故車として判別できる状態です。再利用は可能ながらその買取価値は大きく損なわれている状態といえるでしょう。
全損事故車としての買取額
以上が事故車の損傷状況ですが、修理して実働化できる状態にする費用は、同年式の中古車を購入するよりも高額になるのは明らかで実働化コストの観点からは全損事故車の判定に。
フロントフォークは折れ、リアフレームは捻じれ再利用不可能の状態。メインフレームにも皺寄りがあり買取価値を損ねています。
全損部品はリアフレーム・フロントフォーク・ハンドル・エキパイ・マフラー・ラジエーター・センターカウル・アンダーカウル・テールカウル・前輪・アンダーブラケットなど。
半損部品はフュエルタンク・アッパーカウル・フロントフェンダー・前輪のブレーキ類など。
奇跡的にエンジンは始動する状態であった点は事故車としてはプラス査定になりましたが、 もはやオートバイとしての原型を失っているYZF-R1。買取相場に知見の無い方々にはスクラップの鉄屑にしか見えないかもしれません。
しかしながらパーツ取りの経験のある方々はご存知かと思いますが、パーツ単位で価値を見出すこともできる状態でもあります。
新車価格が150万円を超える最新仕様のスーパースポーツであるYZF-R1。
海外仕様でフルパワー182馬力を誇るマシンの特性上、事故車の割合が多いのもYZF-R1の特徴です。
事故車には大別すると、経済的に修理して直せる車両と、直すより中古や新車を買ったほうが安い部品取り用途となる車両の2通りになります。
修理して直せる事故車のYZF-R1も多いことから、部品取り用途のR1も価値が存在ます。
今回査定させて頂きました全損事故車は2009年モデルの最新仕様ということで実働車であれば70~90万円台、中には100万円台の査定額が付くことも決して珍しくありません。
パーツ単体での価値も高くパーツ単位での見積もりを積み上げた結果、全損事故車でありながら27万円の査定額で買取させて頂きました。
仕様変更のサイクルが早いYZF-R1のような高額の現行車種は、事故車であっても驚くような高額査定となることが珍しくありません。
特に最新仕様であるとその傾向は顕著です。
事故車の買取査定は、パーツ単位まで余すことなく査定価格を積み上げることのできる弊社バイクパッションにお任せください。
弊社販売店でのパーツ仕入れ需要がある点も高額査定の理由の1つとなっています!
【2019年2月追記】の買取相場情報
上記内容は2011年5月時点時点の買取事例です。
2011年5月時点の相場情報に基づいて算出された査定金額です。
買取時点では最新の仕様であった6代目(2009~2014年モデル)海外仕様ですが、2019年時点では2015年に実施された過去最大級のフルモデルチェンジによって1世代前の仕様となってしまいました。
R1史上6回目のフルモデルチェンジとなった2009年モデルでは、シャシー面では、新設計のアルミ製デルタボックスフレーム、マグネシウム製リアフレーム、左右独立の減衰力機構採用フロントフォークが採用、
エンジン機構には新設計のクロスプレーン型クランクシャフト・大径36mmのクランクジャーナルが採用、
デザイン面では、新設計の燃料タンク、リアタイヤの形状変更、マフラーのショート化などが実施、
その他、3モードマップ切り替え機能、スリッパークラッチ、2WAY 調整機能付」ショックアブソーバー、Hi/Lo切り替えプロジェクターヘッドライトの採用などエンジンからフレームやデザインに至るまで全面新設計が行われました。
最高出力こそ、5代目(2007~2008年モデル)に比べて2馬力アップの182馬力ですが、新車価格は約18万円値上がりして156.4万円となりました。
しかしながら、
熾烈な世界のモータースポーツ競争に伍す2015年のフルモデルチェンジでは新車価格が一気に65万円ほど値上がりして237.6万円となったように別次元の仕様に進化しているYZF-R1。
フルモデルチェンジの前後で買取相場が大きく変動しているYZF-R1
(参考記事:
【初代~7代目】年式モデル別の買取相場を徹底比較!)
はたして6代目(2009~2014年モデル)R1の買取相場はどのように変動してきたのでしょうか?
買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引データを使用して、6代目(2009~2014年モデル)R1の買取相場の変遷をご案内差し上げます。
業者間オークション市場での取引額とは、買取業者の転売額であり、また販売業者の仕入れ値です。つまり国内の中古バイクの相場は市場の取引額がベースとなっています。
【2015年 ⇒ 2019年】海外6代目YZF-R1の取引相場 |
【相場の変遷】 |
平均落札額 |
最高額 |
最低額 |
取引台数 |
2015年 |
85.1万円 |
129.2万円 |
73.0万円 |
60台 |
2017年 |
84.0万円 |
115.4万円 |
52.4万円 |
68台 |
2019年 |
81.0万円 |
129.2万円 |
42.4万円 |
60台 |
【事故車・不動車】5代目YZF-R1 |
2015年 |
42.5万円 |
77.8万円 |
10.7万円 |
22台 |
2017年 |
48.4万円 |
80.9万円 |
26.6万円 |
20台 |
2019年 |
46.6万円 |
56.0万円 |
27.6万円 |
20台 |
(2015年・2017年・2019年の各2月時点から1年間。買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
型落ちとなった後も堅調な相場推移
上記は、買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引金額の推移をまとめた表です。
6代目(2009~2014年モデル)YZF-R1に区切って相場情報の推移を比較しています
6代目R1実働車の平均取引額の推移を見ると、2015年が85.1万円、2017年が84.0万円、2019年が81.0万円となっています。
フルモデルチェンジ前後で型落ちとなったモデルの買取相場が下がる傾向にあると申し上げましたが、6代目R1に限ってはその影響はほとんど見られません。 7代目現行YZF-R1が登場してから早4年、2019年2月時点で過去1年間を遡ると既に33台の7代目R1の取引があり、中古市場で7代目の存在感が十分にあるにもかかわらず6代目の相場の下落が軽微である点は6代目R1のオーナー様にとっては朗報でしょう。
ただし、5代目(2007~2008年モデル)R1の相場は7代目の誕生によって大きく下落していることから、6代目YZF-R1の売却をご検討されているオーナー様にとっては、相場の下落が軽微な今のうちが、高額査定の秘訣といえるでしょう。
(参考記事:
【初代~7代目】年式モデル別の買取相場を徹底比較!)
上段の買取事例でご紹介させて頂きましたのは2009年モデルの事故車ですので、事故車や不動車など実働状態にない6代目R1の相場についても見てみましょう。
6代目R1事故・不動車の平均取引額の推移を見ると、2015年が42.5万円、2017年が48.4万円、2019年が46.6万円となっています。
事故車や故障車は取引の母数が少なく、年度によって取引される事故車の損壊状況に個体差がある点を割り引いても、相場の変動が殆どないことが見て取れます。
事故車や不動車は、実働車の相場に連動するため順当な結果といえますが、型落ちとなって4年が経過した2019年時点でも6代目R1は事故車や故障車であっても十分に高額と査定が期待できる相場環境となっています。
YZF-R1
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近3ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 66台
- 平均価格: 539,424円
- 最高価格: 1,068,000円
- 最低価格: 200,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近3ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 15台
- 平均価格: 307,000円
- 最高価格: 711,000円
- 最低価格: 125,000円
相場情報:2011年5月13日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。