買取させて頂きましたのは、1995年式・キャンディアンタレスレッドのバンディット250V。
バンディット250Vは、可変バルブシステムが付いているVCエンジンを搭載した上位グレードで、同型式(GJ77A=1995~1997年モデル)のべベーシックグレードであるバンディット250よりも約4万円高い設定で販売されていました。
(参考記事:
バンディット250シリーズで一番高く売れる型式・グレードは?)
お電話では「長らく動かしていないのでエンジン掛からない」ということをお聞きしていましたが、査定現場での第一印象は「動くんじゃないのかな?」と思いわせるように赤の外装が綺麗に映えていました。
査定していくにしたがって、色濃い劣化が各所に見られた他、要修理のオイル漏れなど減点対し鵜が散見されましたが、査定金額にはどのような影響を与えたのか?
以下査定内容のトピックスをご紹介いたします。
比較的綺麗な外装、傷や劣化の目立つ金属部分
バンディットの特徴である視覚に訴える鋼管フレーム、外装のタンク・テールカウル・フロントフェンダーは色褪せが少なく、長らく放置されていたようには見えません。
ぱっと見の印象を左右する外装の状態は比較的良好で査定の評価点も良い点数となりました。
対して金属やメッキ部分には放置されていたことを物語る劣化が刻まれています。
インナーチューブの、アンダーブラケット、ブレーキディスク、ブレーキキャリパー、ラジエター、クランクケース、エンジン本体、キャブレター、エキパイなどはやや色濃い錆や腐食で覆われています。
またマフラー全面には広範囲の転倒傷が刻まれていて、買取価値を損ねていました
不動エンジンと下部からのオイル漏れ
第一印象で始動するのでは?と思えたエンジンですが、バッテリーが上がっています。持参したブースターを繋いでみますがやはり始動はしませんでした。
タンク内の様子を拝見するとガソリンは劣化していて異臭を放っています。タンクの内側にも錆が浮いていますので、キャブ詰まりの原因となる錆は落として防腐加工を施す必要がありそうです。
キャブレター周辺では気化した劣化したガソリンが白い粉を吹いています。キャブレター内でガソリンが詰まって、エンジンにガソリンが供給されない状態となってエンジンが始動しないようです。
実働化に向けては、4つのキャブレターの分解洗浄、バッテリーとプラグ交換、タンク内の錆取りと防腐加工は最低限必要でしょうか。
バイクの修理としては最低でも5万円以上の工賃+部品代がかかる工程ですが、修理での儲けを必要としない弊社パッションの整備工場では実費で2.5万円程度でしょうか。その分がマイナス査定となりました。
念不動エンジンということで状態を確認できませんので、故障などを示す兆候がないかエンジン周りを入念にチェックさせて頂いたところ、エンジンオイルが空になっています。
エンジンの底部に穴が開いています。 「久しぶりに乗ろうと思ってカバーを取ったら、凄まじい量のシミが路面に広がっていて。。動いたんで最寄りのバイク屋に持っていったら、この位置に穴が開いているオイル漏れを直すとなると10万円はくだらない ということだったんで。直そうかどうか迷っているうちに直す気力もなくなってそのまま。」とはオーナー様のお言葉。
エンジンの構造的に最も到達しにくい位置にある穴のため、修理はエンジンをおろして分解して内側から修理する必要があります。
買取業者の転売先である業者間オークション市場において、実働車が13万円程度で取引されているバンディット250V。車両の価値的に10万円以上のコストをかけてエンジンを修理するとコスト割れになってしまうため、 商業的にはエンジンには買取価値はなく欠品扱いの査定評価となってしまいました。
総合評価と査定額
4年放置の不動車としては綺麗な外装を保持していたバンディット250V。
第一印象から不動車としては高額査定を予感させましたが、金属やメッキ部分の色濃い劣化、マフラー全体の転倒傷、重度な故障で欠品扱いの判定となったエンジンが影響して不動車としては相場平均を若干下回る 4万円の査定額での買取となりました
【2019年1月追記】の買取相場情報
上記内容は2011年7月時点時点の買取事例です。
2011年7月時点の相場情報に基づいて算出された査定金額です。
はたして買取した2011年から7年が経過した2019年時点では、バンディット250Vの買取相場はどう変化しているのでしょうか?
2011年と2019年の相場を比較して、2019年であれば、いくらの査定額となっているか?
因みに、バンディット250V(1995~1997年モデル)はVCエンジンを搭載した上位グレードです。上位グレードだけあってベーシックグレードよりも買取相場も高くなているのでしょうか?
(参考記事:
バンディット250シリーズで一番高く売れるグレードは?)
買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引データを使用して、2019年のバンディット250Vの買取相場をご案内差し上げます。
業者間オークション市場での取引額とは、買取業者の転売額であり、また販売業者の仕入れ値です。つまり国内の中古バイクの相場は市場の取引額がベースとなっています。
【2011年 vs 2019年】GJ77A型 バンディット250V実働車の取引相場 |
【相場の変遷】 |
2011年 |
2019年 |
平均落札額 |
13.1万円 |
9.9万円 |
最高額 |
26.0万円 |
17.2万円 |
最低額 |
6.0万円 |
5.6万円 |
取引台数 |
59台 |
35台 |
【2011年 vs 2019年】事故車・不動車 |
平均落札額 |
8.6万円 |
5.8万円 |
最高額 |
14.1万円 |
8.7万円 |
最低額 |
2.9万円 |
0.6万円 |
取引台数 |
31台 |
22台 |
(2011年7月と2019年月1時点で、買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
買取相場は緩やかに下落基調
2011年から2019年の7年間でGJ77A型バンディット250Vの取引相場は下落傾向にあります。
業者間市場の取引額とは、日本のバイク販売業者の仕入れ値であり、買取業者の転売金額で、すなわち中古バイクの相場の基礎指標なのですが、その平均取引額を比較してみると、 2011年の13.1万円に対して、2019年は9.9万円。過去7年間で約25%下落しています。年率で換算すると3%程度の下落です。
最高取引額も26.0万円から17.2万円に下落し、極上車のバンディット250でも20万円での取引になかなかとうたつしずらい相場となっています。
中古市場での人気も旺盛ではなく今後は相場が下げ止まることはあっても値上がりは期待できないバンディット250Vの相場。
ご売却は早めのタイミングが正解といえるでしょう。
GJ77A型の買取相場の詳細
2019年時点での取引相場をより詳しく見るために、
買取価格を決定する最も重要な要素である『状態』
買取業界では、総合的な車両の状態を評価する点数があり、GJ77A型バンディット250Vの場合は下記のような点数で状態を示すことができます。
- ▼状態を表す評価点の目安|バンディット250V
- 評価点5 極上車
- 評価点4 年式並み以上に綺麗で状態が良い
- 評価点3 年式並み以下で若干の難有
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
それでは、踏まえまして状態によって買取相場に差はあるのか?買取相場の前提指標である業者間オークション市場の取引データを見てみましょう。
バンディット250V|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
15万円以上 |
1台 |
1台 |
0台 |
10~14万円台 |
13台 |
2台 |
0台 |
5~9万円台 |
3台 |
15台 |
16台 |
~4万円台 |
0台 |
0台 |
6台 |
(2019年1月時点で、買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを過去1年間遡った数字)
実働車の買取相場は状態によって3~15万円
2019年時点で直近1年間を遡ると、35台の実働車が取引されたのバンディット250V。
全44台の評価点の構成を見ると、4点の良好車が17台、3点の年式並みが18台とほぼ半分に分かれています。
評価点4の良好車は10万円台以上に取引が集中しているのに対して、評価点3の年式並みの車両は5~9万円台に取引が集中していることが分かります。
状態によってバンディット250Vは取引価格が分かれる傾向にあります。状態が良ければ10万円以上で、年式並みであれば5~9万円台で取引される可能性が非常に高いと言えます。
市場での取引額は、買取り業者の転売金額であるため、そこから儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差し引いた評価点別の査定現場での買取額は下記のようになります。
- ▼正味の買取額|バンディット250V実働車
- 良好車:8~15万円
- 年式並:3~7万円
不動車の買取相場は状態によって~6万円
評価点1(事故車や不動車・故障車)のバンディット250Vは。2019年時点で直近1年間を遡ると22台が取引されました。
取引の最高額は8.7万円、最低額は0.6万円、5.8万円が平均となっています。
2万円台以上で取引されている車両の多くは不動車で、実働と仮定した場合の車両価値から実働化に要するコストを差し引いた金額で取引されています。
車体が綺麗で実働化コストが安価であれば高い金額に、車体の劣化が強く実働化コストも高いと判定されれば低い取引額となっています。
1万円台以下で取引されているバンディット250Vはフロントが潰れている事故車が2台取引されています。一見して分かるような事故車になると市場での取引額が数千円~1万円程度ですので 業者の儲けと経費を考慮すると買取でお値段をつけることは困難な相場といえます。
- ▼正味の買取額|バンディット250V事故車・不動車
- ポテンシャルの高い不動車:~6万円
- ポテンシャルの低い不動車:~4万円
- 一見して分かる事故車:~0円
バンディット250V
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 59台
- 平均価格: 131,576円
- 最高価格: 260,000円
- 最低価格: 60,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 31台
- 平均価格: 86,154円
- 最高価格: 141,000円
- 最低価格: 29,000円
(2011年7月19日時点の相場情報)
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。