1988年から99年まで、全世界累計で7万台以上の販売数となったミドルクラスオフロードの名車・アフリカツイン。
残念ながら、世界規模の排出ガス規制強化の煽りを受けて生産が耐えていましたが、2016年に「CRF1000L」として華麗に復活。
かつてのアフリカツインの名をサブネームとして与えられた、新生アフリカツイン「ホンダ・CRF1000L」の魅力に迫ります!
(乗車モデル 2016年式)
今回復活を果たしたCRF1000Lは、シート高870mmとかなり高めのシート設定。
165cmの私では、片足爪先立ちが精一杯ですが、程よい広さのシートによって無理な疲労感はなし。
今回はアドベンチャーモデルとして登場したためか、シートが肉厚で柔らかめに作られており、工具不要で20mm下げたローポジションにサス調節可能。
長時間のラリー走行を可能とするだけあり、乗り手の疲労を軽減する工夫が施されています。
242kgの車体重量のため、エンジン停止時の押し引きはやや重め。
男性でも小柄な方には少々辛く感じますが、走行時の取り回しは一転してかなり軽快。
フロントサスの剛性がしっかりしている点と、フロント21インチのタイヤサイズによるものですが、イメージ通りのラインにしっかり入っていける安心感があります。
1,000ccという大排気量化したことにより、低速から高速までのパワフルさは非常に爽快。
今回の車両はDCTモデルですが、滑らかで良く回る印象で不満を感じさせません。
排気量の余裕でアイドリング発進できるほどトルクもあり、ゼロスタート時の加速力も十分。
最高速度を追求するモデルではありませんが、高速道路では大型スクリーンの恩恵で100kmクルージングも快適に楽しめ、守備範囲の広さが印象的でした。
大排気量アドベンチャーらしく、腰高な重心位置を活かしての倒し込みはかなりエキサイティングで、ビッグサイズのタイヤとトルクの太さで安定感は高めです。
これは初代アフリカツインから受け継がれたものと言え、パワーライドの楽しさは満点。
その反面、タイトなコーナーではややテクニックが必要で、半クラを上手に使ったコントロールが必要です。
直列2気筒エンジンであるため、マスバランスが良くよほどの事がない限りはマシン自体が乗り手をサポートしてくれる優しさもありますが、乗りこなすには一定以上の技術が求められます。
新生アフリカツインはダブルディスク&ABS搭載で制動性能は文句なしのレベル。
トラコンによる電子制御も見事なもので、スロットルの開閉と合わせることで微妙なレベルのコントロールも十分可能。
ただし、ABSだからと慢心していると、思わぬハードさで乗り手に逆らう一面もあります。
総じてコントロール性に不満はないものの、好みによってブレーキパッドを変えた方が無難かも知れません。
リアのみですがABSをオフにすることも可能なので、状況次第で使い分ける意識付けをすると良いでしょう。
Vツインエンジンのような不等間隔ではなく、直列2気筒エンジンらしい安定したサウンド。力強さを感じさせる芯の太さがありますが、純正マフラーはやや物足りなさを感じるかも知れません。
その分静粛性は高めで、アイドリング発進可能な低速トルクの特性を把握しきれば、深夜の住宅街でも十分走行可能。
5,000回転を超えてからは一気に音量が上がるので、住宅地でのスロットルの開閉はそれなりの配慮が必要です。
2016年の国内オフロードバイクの大本命とされていただけに、各カスタムメーカーから豊富にパーツが販売されています。
メーカーであるホンダからもオプションパーツが豊富に販売されているため、初代アフリカツイン同様、自分好みのツアラーに仕上げることも難しくありません。
リリース時期の関係で純正パーツの供給の心配はなく、小規模ショップでは入荷待ちを余儀なくされる点さえ除けば、補修パーツに困ることもまずないでしょう。
販売開始からようやく1年を迎えたCRF1000Lは、ホンダ車らしく壊れにくくタフな作りのオフロードマシンです。
ただし、DCT仕様車はクラッチの引き摺りによる不具合の恐れがあり、操作に不慣れなうちに高回転を多用すると故障の原因になる可能性があります。
その場合はDCT一式を交換する羽目になりますので、定期的なメンテナンスと慣れるまでは慎重な操作が求められます。
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