空冷ネイキッドの草分け的一台! カワサキ ZEPHYR(ゼファー)400 80年代のレーサーレプリカブーム最盛期、各メーカーがスペックを競い続けた状況に一石を投じたのが、オーソドックスなスタイリングの「カワサキ ZEPHYR(ゼファー)400」です。
1989年の初登場時、400ccクラスの出力上限59psに対し、43psと控えめなスペックでありながら、飾り気のないシンプルなスタイルとZ2を彷彿とさせるデザインで注目に。
スペック狂騒時代に嫌気が差していたユーザーから絶大な支持を受け、後の空冷400ccネイキッドブームの火付け役となりました。
今回は空冷ネイキッド人気を先取りした「カワサキ ゼファー400」の走りの魅力をご紹介させて頂きます!
ゼファー400の最高出力は46ps/11,000rpm、最大トルク30Nm(3.1kgf・m)/10,500rpmです。
車体重量198kgという重さのため、スペック上はやや非力な印象を受けますが、実際に走らせてみると瞬時に基本性能の高さを実感することができます。
ゼファー400に搭載されている高回転型のエンジンは非常によく回り、スロットルを開けると快音とともに適度なパワーと加速力を生み出し、重めの車体を過不足なく前へ前へと進めてくれます。
街乗りでは低中回転域でも程よい粘りがあり、高速では自動車にひけをとらないだけの加速力で流れをリードすることができます。
これは4ストマルチと排気量の余裕とも言えますが、770mmと低めのシート高のお陰で取り回しも容易で、まさにネイキッドバイクのお手本とも言える作りです。
その重さからコーナリングは苦手と思われがちですが、素直に重心を預ければスッと倒れ込む素直さがあり、初心者でも安心してスポーツライディングが楽しめる一台です。
非常に多くの魅力を持った「カワサキ ゼファー400」ですが、バイクを存分に楽しむために必要なものは全て備えており、この基本性能の高さこそが最大の魅力と言えます。
ゴツゴツとした質感の空冷エンジンと、よく回るエンジンの吹け上がりのよさは、現行の4ストツインエンジンとは全く別物の魅力にあふれています。
エンジン自体の骨太ビジュアルも捨てがたい魅力のひとつですが、ノーマルマフラーでも心地よい響きがあり、高回転域でのキレの良さはライダーなら思わずうっとり。
現在の400ccバイクは軒並み水冷エンジン化していますが、夏場の熱さえ除けば性能差も何のその。
4輪のフェラーリのような官能さこそありませんが、男ならば誰もが胸を躍らせるようなゴツゴツした音質は、ゼファー400ならではの魅力のひとつです。
純正マフラーも音質がよく、ノーマルでも楽しめるのはこの時代のバイク特有の魅力と言ってよいでしょう。
名車として名高い「カワサキ Z1&Z2」のスタイリングを受け継いだゼファー400は、無駄なものを削ぎ落とした「ネイキッド(英語で裸の意)」という言葉を体現した骨っぽさを持ったバイクです。
車体サイズは全長2,100mm×全幅755mm×全高1,100mmと標準的な大きさですが、流れるようなフォルムと有機的なメカニカル感が男くささを演出し、その骨太な魅力をさらに高めています。
現在のストリートファイター系と比べ、空力効果などの面では劣りますが、バイク本来のワイルドなオーラが漂い、独特の味わい深さとなっています。
カワサキの歴代空冷エンジン車の魅力が再現されており、一時期の角Z系から再び丸みを帯びた流麗なスタイリングに戻り、かすかに女性っぽさを感じさせる点が男くささをより引き立たせています。
現行モデルと比べ、マスバランスなど工学的な要素では引けを取ったとしても、バイク乗りの心に眠る冒険心をくすぐってくれるワイルドさがゼファー400の魅力のひとつです。
現在ではすでに旧車のカテゴリに属するゼファー400ですが、今でもカスタムパーツが豊富に流通しているのはカスタムする上で非常に魅力的な材料のひとつです。
KERKERやVANCE&HINESといった海外メーカーや、ヨシムラ・モリワキといった国内大御所メーカーを始め、ゼファー400のパーツを扱っていないメーカーはほぼありません。
それだけにカスタム手法も星の数ほどあり、自分好みのカスタムが気軽に楽しめる敷居の低さもゼファー400の大きな魅力となっています。
定番カスタムはZ2仕様で、直管タイプのショート管、Z2ミラー&テールなどで低予算でもドレスアップでき、その気になればハイカムやFCRキャブなど、フルカスタムまで可能なのがマニア心をくすぐります。
ノーマルで乗ってもよし、心ゆくまでカスタムしても良しで、旧車カテゴリの中でも非常にカスタムしやすい点がゼファー400の魅力となっています。
万人が乗れて万人が楽しめるオーソドックスな作りが際立ったゼファー400。
すでに生産を終えて久しくなりますが、その輝きは今でも全く色褪せることなく、私たちライダーにバイク本来の楽しさを教えてくれます。
街乗りからツーリング、スポーツ走行まで幅広くこなすことができ、乗り手のファッションにまで柔軟な対応力を持ったオールドスタイル。
それこそが、ゼファー400を愛するファンが感じ取っている大きな魅力なのではないでしょうか。
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