査定させていただきましたのは、BMWでは非常に珍しいクルーザータイプのBMW R1200C。
オーナー様は希少な車両を多数保有されており、今回はマーニ社製のバイクと合せて2台の査定に呼んでいただきました。
黒い外装につやがあり第一印象は綺麗に見えました1998年式のR1200C。
さっそく詳しく査定していきましょう。
足回り
アメリカンクルーザーらしいワイドなシート高74cmのローシートに跨ってハンドルの切れ角や前後サスペンションの状態から査定していきます。
左右のハンドルの切れ角に大きな誤差はなく、ハンドル曲がりや、バーエンドにレバー先端などに傷はありません。ハンドルストッパーにも損傷はなく大きな衝撃を受けるような転倒はなかったようです。
荷重・抜重して前後サスペンションの動作を確認しますが質感は良く機能的には良好です。
全体的には綺麗で状態が良く高い査定評価となった足回りですが、
スプロケへのデフオイル漏れ、前後ブレーキディスク減り、スイングアームの傷錆び、ハンドルバーやフロントフォークのの細かい多数の磨き傷、前後ホイールの細かい錆などが細かな減点として買取価値を少しですが損ねていました。
グリップの劣化に比べると高価な要素パーツの状態は良く足回りの評価は5点(フロント)と4点(リア)が付きました。
外装
第一印象で艶がありきれいに映ったR1200C。細かく見てみるとどうでしょうか?
まずは傷が出やすいタンクから査定していきます。給油口を開けて内側をライトを照らしてチェックしますが錆などは浮いていません。
外側にも凹みや目立つような傷はありません。細かい磨き傷が多数見られますが、艶もあり状態は良好と言えるでしょう。
同様に前後フェンダーやサイドカバーにも磨き傷がるほか、社外スクリーンにやや目立つ傷がありますが、社外スクリーンは取り外ししても買取価値に際は出ないためマイナスとはなりませんでした。
外装についても高い査定評価点をお付けすることができました。
エンジン
エンジンの機能を確認すべくセルを押しますが、セルは回りますが弱くエンジンが始動しません。何度か試しますが始動しません。
ブースターを繋いでエンジン始動を確認。アイドリングは安定し、加速減速ともたつきもなくエンジンからの異音もありません。機能は良好です。
ただし、ヘッドカバー付近とエンジン下部にオイル漏れがあり減点に。エンジンについては査定評価は4点に。
フレーム回り/電装系
外装に目立った損傷がなかったR1200Cですが、念のためにフレームに損傷がないか査定していきます。
接合部やネック部分にも衝撃を吸収した痕跡ななく、細かい傷や錆が所々に見られましたが高い剛性を保持していることが確認できました。
フレームに接合しているステップやスタンド回りに錆がありますが、全体としては綺麗でフレームの評価点は高い点数となりました。
電装系は、バッテリーが弱いようです。充電で回復できれば問題はありませんが、古い車体なので寿命かもしれません。
とはいっても、弊社販売店に多数のバッテリー在庫がございますので、仮に要交換であったとしても弊社パッションでは数千円程度の細かいマイナス査定に留まります。
保安部品については、劣化が出やすいメーター周りが綺麗で丁寧にメンテナンスされていた様子が伺えます。
対してマフラーやエキパイにはやや錆びや傷が目立ち、灯火類のカバーにも小傷が散見されました。
カスタムなど
カスタム個所は、リアショックとスクリーンが社外品。純正アクセサリーとしてパニアケースが装備されたライトカスタム車となっています。
小傷が散見されるものの先ず先ずのパニアケースは価値も高く、純粋なプラス査定となりました。
対して、個人色の強いステッカー貼付は、剥離コストや剥離した場合の色褪せの差なども考慮して若干のマイナスとなりました。
リアショックについては無名のメーカー品でこちらも若干買取価値を損ねていました。
総合評価と買取価格
細かい減点は散見されましたが総合的には1997-2004年モデルのR1200Cとしては良好な状態でした。
特に外装のポテンシャルが高く、純正アクセサリーのプラス査定を高く評価させて頂きました。
下段で詳細ご案内していますが、年々下落しているR1200Cの平均的な買取相場は2018年現在では26万円まで下がっています。
R1200Cは相場が読みづらい車種の代表格で、良好な個体を平均額で買取しても赤字になるケースがある程値付けが難しい車種です。
弊社パッションでは、弊社販売店での再販も視野に入れつつ、独自の読み筋で車種の状態とプラス項目を最大限評価いたしました。
マーニ社製のバイクと2台査定という点も考慮させていただき、2台合計で75万円。1台当たり37.5万円の査定額をお付けして買取させていただきました。
1997年に発売が開始されたクルーザータイプのBMW R1200C。当時のメーカー希望小売価格は194万円(税込)。
最終モデルとなった2004年モデルで装備の一部とカラーリング変更が実施されましたが、メーカー希望小売価格は据え置きの194万円(税込)。
販売期間中に仕様変更がなかったR1200Cは年式による相場差もなく、車両状態が買取価格に直結する車種といえるでしょう。
中古販売店では60万円台が厚い販売価格帯となっているR1200Cはいったいいくらで売れるのでしょうか?
買取業者の査定価格の指標であり、販売業者の仕入れ値であり、つまり日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、R1200Cの適切な買取相場をご案内差し上げます。
まずは状態別の買取相場を、
最後に、インディペンデントやCL、モントークといった派生モデルの買取相場についてもご案内差し上げます。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|BMW R1200C
- 評価点5 極上車(状態が良く綺麗)
- 評価点4 良好車(年式並み・やや状態が良く綺麗)
- 評価点3 難有車(年式並み未満で難有り)
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
中古BMW R1200C|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
45~49万円 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
40~44万円 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
35~39万円 |
0台 |
2台 |
0台 |
0台 |
30~34万円 |
1台 |
7台 |
1台 |
0台 |
25~29万円 |
0台 |
3台 |
0台 |
0台 |
20~24万円 |
0台 |
3台 |
2台 |
0台 |
15~19万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
10~14万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
(2018年5月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車の平均買取相場は26万円強
直近1年間で21台の実働車が取引されたR1200C。
ネット上で簡単に見つけられる店頭での販売台数から推測すると、より多くの台数が市場で取引されていることがわかります。
市場での買い手はブティック的な専業店が多く、広告を出さずに販売している可能性がありそうです。
店頭では派生モデルのインディペンデントやモントークにR1200CLなどの派生モデルを含めて60万円台で多くの車両が売られているR1200Cシリーズですが、販売業者の仕入れ値は上記表の金額です。
販売業者にとってのR1200Cの平均仕入れ値は34万円(平均取引額の30.6万円に消費税+落札手数料を加算した額)となっています。
仕入れ値34万円に対して、販売価格60万円台とは粗利が多すぎるんじゃない?と思われるかもしれませんが、球数の少ない型落ちの外車の販売価格は2倍程度となることが多くあります。
(R1200Cシリーズの中古相場は年々下落していますので、以前に少し高値で仕入れた車両である可能性もありそうです)
売れにくい、整備コストが高い、故障することを前提とした対応などがその理由ですが、長期間在庫として抱えることが最大の理由となっています。
販売店の仕入れとしての話で脱線してしまいましたが、話を買取価格の本筋に戻すと、
市場での平均取引額が30.6万円のR1200C。適正な平均買取価格は26.6万円程度となります。
販売店の場合は仕入れ値の倍の値段で花火しているケースが多いようですが、買取の場合は半値にはなりません。 大型バイクの場合は、市場での取引価格から、買取業者の経費(出品手数料や運送費など)と儲けとして4万円程度差し引いた額が競争勅のある適正な買取相場となります。
状態別に買取相場をご案内したかったのですが、取引された全21台のうち8割に当たる17台が、評価点4の車両である点。
最高評価点の5点を付けた個体が注意の落札額で取引されている点。
上記を踏まえると、評価点別の買取相場として、お伝えできる傾向は多くありません。
強いて傾向を挙げるとすれば、評価点3の難あり車両となると20万円台前半で取引される確率が高く連動して買取額は10万円台後半となりそうなことくらいでしょうか。
当初、年式モデルによる相場差がないR1200Cは状態と買取額が直結すると申しあげましたが、実際にはそう簡単ではありませんでした。
評価点に応じた階層的な買取相場は存在せず、業者泣かせともいえる相場の読みにくい車種であることがわかります。
年式・カラー・状態・走行距離と凡そ取引価格を決定する要素が殆ど同一の個体が、38.6万円と21.4万円で取引されていたりと、買取業者の目利きが要求される車種ともいえます。
このような車種は、一覧データだけで査定価格を決定することは出来ず、減点となっている項目のリカバーの可能性や修復費用までつぶさに見ていく必要があります。
数字からは見えない個別の減点を1台ごとに見比べていくと、やはり傾向があることが分かります。
R1200Cについては外装のポテンシャルが重要であり、減点は多くても表層的なリカバー可能な減点の方がよろ高く評価される傾向にあります。
まさに業者の目利きが試される相場といえます。
不動車でも10万円程度の買取額に
事故車や不動車を意味する評価点1のR1200Cは直近1年間で2台が取引されました。
取引された2台を見ると
シートや外装の一部が欠品していて疲労感のやや強い不動車が16.3万円。
タンクが大きくへこみハンドルとフロントフォークが歪曲している事故車が12.9万円。
で取引されています。
取引台数が少なく傾向としては弱いですが、フロントフォーク歪みの事故車であれば8万円程度。錆びや劣化の目立つ長期放置の不動車は10万円強の買取価格となりそうです。
実働車の平均的な買取相場を考えると、事故車や不動車でもよい値段が付くのがR1200Cの特徴であると言えます。
派生モデル別の買取相場
BMWモトラッド初のクルーザーとなったR1200Cは以下3つの派生モデルが存在します。
2000年に、外装が変更されツーとかならーに特徴があるR1200Cインディペンデント
2002年に、パニアケースなど多数のオプションやアクセサリーパーツを装備したR1200CL
2003年に、最終形となる大きなサイドカバーに特徴があるR1200Cモントークが販売されましたが、すべてのモデルが2004年で生産終了となっています。
モデルチェンジ別の年式モデルと型式 |
|
年式 |
型式 |
新車価格 |
R1200C |
1997- |
0329J 0405J 0424J |
194万円 |
インディペンデント |
2000- |
0442J |
199万円 |
R1200CL |
2002- |
0405J |
247万円 |
モントーク |
2003- |
0309J |
208万円 |
(新車価格は税込みのメーカー希望小売価格で千円単位を切捨)
4車種が存在するR1200Cシリーズで最も高く売れる車種はどれか?
買取相場の前提指標である取引相場を比較したのが下記表です。
派生モデル別の取引相場|R1200Cシリーズ実働車 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
R1200C |
30.6万円 |
48.2万円 |
21台 |
インディペンデント |
40.2万円 |
55.2万円 |
3台 |
R1200CL |
36.8万円 |
46.0万円 |
12台 |
モントーク |
31.7万円 |
38.2万円 |
4台 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
インディペンデントの価格が高いのは3台のうちの1台が超極上車で平均価格を押し上げている点。
インディペンデントとモントークは取引台数が少なく傾向が弱い点。の2点を差し引くと、概ねほぼ同じ相場価格で取引されています。
R1200CLが5万円ほど高いのは純正アクセサリーパーツが上乗せされているためと見ることができます。
エンジンとフレームも含め主要パーツは共通仕様であるので、想像できた結果ではありますが、カラーリングやグラフィックパターンによる買取価格への影響も殆どないと言っていいでしょう。
市場での取引価格から4万円程度を差し引いた査定現場での平均的な買取相場は、モントークやR1200CLはR1200Cと同様に20万円台半ば強。インディペンデントについては30万円強となりそうです。
R1200C買取相場の推移
ここ2年で平均買取相場が10万円ほど下落しているR1200C
業者間市場での平均取引額の推移を見ると
- 2016年の平均取引額は40.5万円
- 2017年の平均取引額は36.5万円
- 2018年の平均取引額は30.6万円
となっています。
BMW Motorrad唯一ともいえる希少なクルーザーモデルですが、希少価値によって相場が高騰する気配はなく、今後も緩やかに相場は下落していくことが予想されます。
新車価格と比べるとずいぶん低い買取相場となっていますが、15年落ちのBMWとしては一般的な相場とも言えます。
売却をご検討中のオーナー様にはR1200Cは今が売り時といえるでしょう。
BMW R1200C
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 21台
- 平均価格: 306,381円
- 最高価格: 482,000円
- 最低価格: 200,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 2台
- 平均価格: 146,000円
- 最高価格: 163,000円
- 最低価格: 129,000円
相場情報:2018年5月22日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。