買取査定させて頂いたのは2014年式の最終モデルのグラストラッカー
購入してから日は浅いのですが、半年ほど動かしていないという事でバッテリーが上がっています。
平均的な買取相場は10万円程度のNJ4DA型ですが、いったいいくらの査定額となるのでしょうか?
早速査定していきましょう。
2014年式の最終型
お電話ではバッテリー上りとお伺いしていたのですが、査定現場に到着して目にしたグラストラッカーの第一印象は綺麗な車体です。
ご用意して頂いた軽自動車届出済証を拝見すると、フレーム番号はNJ4DA-103。最終型の2017年モデルです。
綺麗に見えるのも当然。新車で購入してから1年強の高年式車両です。
「怖い思いをしてから乗っていなくて」と暫く動かしていない理由を教えてくれたオーナー様。
先ずはエンジンの状態を見てみましょう。
バッテリー上りですが、良好な機能を確認
発売初期の2000年モデルはキックスターターが付いていたグラストラッカー。廉価仕様の2001年式以降はキックスターターが取り外されセル始動のみとなっています。
メインキーをONの位置に回すと電源が点きます。バッテリーは生きているようです。続いてセルボタンを押してみますが、電圧不足なのか弱くセルが回るだけでプラグからの初爆は確認できません。
持参したブースターに繋いでみると、力強いセル音に続いて初爆を確認。半年ぶりにエンジンに火が入りあっけなく始動しました。
久しぶりに回転したエンジンですが、放置期間も短くガソリンの劣化もなく、アイドリングもすこぶる安定、ガス弁の開閉に伴って回転数が上下するエンジンも快調。
オーナー様の許可を頂いて実走行。ギアチェンジも引っ掛かりが無く滑らか、エンジンの回転も違和感なくスムーズ、白煙吹きや異音もなく良好なエンジン機能を確認。
ブレーキ制動や、前後サスペンションの伸び沈みも問題なしでした。
それもそのはず、ノーマルメーター表示の走行距離は僅か551キロ。購入して1年強で低走行であることを考えると、機能的な劣化は少ないことが自然です。機能的な買取価値は非常に高いレベルを保持しています。
良好な機能面に対して、乗車前に気になったのが各所の錆び。以下で詳しく見ていきましょう。
2014年式としては劣化が多め
グラストラッカーが保管されていたのは、屋根付の駐輪場であありますが、風雨を凌ぐには至っていない環境での保管。
下はコンクリートで固めらていますが、周辺の砂埃が舞う環境で保管環境は良好とは言えません。
そのような保管環境で6か月間放置されていた事が、錆びや腐食の劣化としてあらわれ、車両の買取価値を下げていました。
フロントフォークの目立つ点錆び。
買取価値の減額となりましたが、丁寧で根気のいる研磨作業で綺麗に蘇るでしょう。
スポークの目立つ錆び
こちらは手の入りにくい個所ですので時間を要する研磨作業が必要です。目その分査定で減額となりましたが、磨きで綺麗に蘇るでしょう。
ヘッドライトリムの傷錆び
傷埋めと塗装でケアしますが、小さな目立たない個所の傷なので簡易補修でのケアとなりそう。
タンクの軽い色褪せやホースバンドの錆び
消耗の汎用品なので要交換、弊社整備工場に束で沢山あります。買取価値の減額は殆どありません。
ペダル回りの塗装ハゲ
塗りのケアで目立たなくします。軽いマイナス査定です。
社外テールランプの取り付け不良
タイヤのラインと、テールカウルのラインがズレて見えるのは、テールランプカバーの取り付けステーが歪んでいる為。
「駐輪場から出す時に引っ掛けて、テールランプが割れたんでバイク屋で交換してもらった」とはオーナー様のお言葉。
出し入れの際に割れたテールランプを社外品に交換されたそうで、その際にステーが歪んだのだと思われます。
ステーは、弊社整備工場に多数ありますので、査定での減額には至りませんでした。
ブレーキキャリパーの錆び
他にもマフラー排気口、リアショック、スイングアーム、チェーンケース等にやや目立つ錆びが散見されます。
いずでも磨き作業で蘇る初期の錆びですが、研磨作業分買取で減額されました。
総合評価と買取価格
査定現場での総合評価点は5点だったグラストラッカー。
バッテリーは上がっていたものの、エンジンをはじめとした機能面は良好でした。
対して、野晒しで半年放置されていたためメッキや金属部分に劣化が目立ちマイナスとなりました。
後述にありますが、平均的な買取相場が10万円程度ろなっているNJ4DA型のグラストラッカー。相場的には10万円台半ばの買取額が妥当なのですが。
いずれの劣化も初期の段階が中心で、弊社整備工場にてリカバー可能と判断。
リカバー後の車両の評価点は6点になるポテンシャルを高く評価して18万円の査定額で買取させて頂きました。
お客様のご感想と買取後記
「高速走行中に横風に押されて、気付いたら隣のレーンを走ってました。トラックでも走っ並走していたらと思うと足が竦みました。それ以来、足が遠のいて」と暫くエンジンに火を入れていない理由を教えてくださったオーナー様。
「すり抜けしやすい通勤用にと思って細身で安いグラストラッカーを選んで。ネットで最安値だった24.8万円(乗り出しで30万円)で買ったのが1年ちょっと前です。」
「それが18万円なら、ほとんど僕は損していない感じ。パッションさん大丈夫?」と査定金額にご快諾頂いたオーナー様。
遅ればせながら、買取から1か月後に弊社販売店で新車に近い状態の車両として並び、すぐに新しいオーナー様が見つかりましたことをご報告させて頂きます。
グラストラッカー 買取相場
2000年に発売され2017年に生産終了するまで17年に渡って製造販売されたロングセラーのグラストラッカー。
期間中に3回のマイナーチェンジがあり、1回目と2回目では販売価格の変更があり、2回目と3回目ではフレーム型式の変更もありました。
期間中の最も安い車両本体価格は36.6万円(税込メーカー希望小売価格)。
生産終了から1年が経過した2018年時点では、税込本体価格で24万円台から新車を探す事ができます。
そんなグラストラッカーの中古車はいくらで売れるのか?
日本の中古相場を決定している業者間オークション市場のデータを使用して、モデル変更に伴う型式別の買取相場と、状態別の買取相場をご案内差し上げます。
先ずは、状態別の型式別の相場から。
型式別の 買取相場
モデルチェンジ別の本体価格と型式|グラストラッカー |
年式 |
新車価格 |
フレーム番号 |
2000年 |
40.3万円 |
NJ47A-10~ |
2001年 |
35.6万円 |
NJ47A-13~ |
2004年 |
35.6万円 |
NJ4BA |
2008年 |
41.9万円 |
NJ4DA |
(価格はメーカー希望の税込本体価格)
型式別の相場|グラストラッカー |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高落札額 |
取引台数 |
2000年 NJ47A-10~ |
3.7万円 |
11万円 |
25台 |
2001年~ NJ47A-13~ |
4.4万円 |
10.2万円 |
29台 |
2004年~ NJ4BA |
5.5万円 |
14.6万円 |
57台 |
2008年~ NJ4DA |
11.5万円 |
24.2万円 |
26台 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去12ヶ月間遡った数字。)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
上記表の取引数を見ると、2001年のマイナーチェンジによる低価格化がヒットの要因ではなく、値下げ前の2000年モデルで既にグラストラッカーのヒットが決定づけられていた事が分かります。
2000年以降のモデルは値下げによる効果も限定的にみえますが、2004年のマイナーチェンジで持ち直しますが、2008年のマイナーチェンジでの値上がり後は販売数はじり貧となり、排ガス規制の影響もあって生産終了となった経緯が分かります。
2000年モデルに比べて、機能の削減やパーツの共有化で販売価格を5万円程抑えた2001年モデルですが、業者間市場では高年式の廉価版の方が気持ち高く取引され値ますが、価格差は殆どありません。
さて、主題であるグラストラッカーの型式別の買取相場ですが、
2004年モデル以降のNJ4BAが少し高く、2008年モデル以降のNJ4DAが頭1~2つ高い取引価格となっていることが分かります。
業者間市場での取引価格とは、販売業者の仕入れ価格であり、買取業者の売却価格でもあります。
市場での取引価格から、買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差引いた額が、査定現場での実際の買取相場で下記のようになります。
販売業者の場合は、仕入れ値の約2倍が店頭車両価格となりますが、買取業者の場合は儲けと経費で3万円程度を引いた額が競争的な買取価格となっています。
型式別の買取相場|グラストラッカー実働車 |
相場/ 年式モデル |
平均買取額 |
上限買取額 |
NJ47A |
1~2万円 |
8~9万円 |
NJ4BA |
2~3万円 |
10万円台 |
NJ4DA |
10万円 |
20万円台 |
上記のように、HJ47AとNJ4BAは類似の買取相場となっていて、実働車の平均的な買取相場は数万円。状態が良くても10万円程度が買取上限となっています。
対して、NJ4DAは1段高く、平均買取相場が10万円程度、状態が良ければ査定額で20万円台も狙える買取相場となっています。
以下では、より詳しく型式の状態別の相場をご案内しています。
NJ4DAの買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|グラストラッカー
- 評価点6 極上車
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み・やや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
NJ4DA|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5以上 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
20万円台 |
4台 |
0台 |
0台 |
0台 |
15~19万円 |
3台 |
1台 |
0台 |
0台 |
10~14万円 |
1台 |
3台 |
0台 |
0台 |
5~9万円 |
1台 |
10台 |
0台 |
1台 |
0~4万円 |
0台 |
1台 |
2台 |
1台 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去6ヶ月間遡った数字。)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
年式並みは5万円程度、良好車は10万円台後半の買取相場
NJ4DA型のグラストラッカーは、過去6か月間に26台が取引されています。
最低額は2.8万円、最高額は24.2万円と幅広い金額で取引されていますが、評価点別に見ると取引が集中している価格帯があることが見て取れます。
評価点5以上の車両は、10万円台後半~20万円台前半に取引が集中しているのに対して、評価点4の車両は5~9万円台に、評価点3の車両は0~4万円台に集中しています。
トピックとしては評価点で7点が付いた新車に近い超極上車が23.8万円で取引されていますので、買取上限額のベンチマークとなりそうです。
上述した公式、『市場での取引額-業者の儲けと経費=買取相場』で評価点別の買取相場を算出すると下記の様になります。 状態による買取価格差が大きいことがNJ4DA型グラストラッカーの特徴と言えます。
- ▼NJ4DA|評価点別の買取相場
- 評価点5 15~20万円
- 評価点4 4~10万円
- 評価点3 数万円
NJ47AとNJ4BAの買取相場
NJ47AとNJ4BA|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5以上 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
10万円台 |
2台 |
6台 |
0台 |
0台 |
5~9万円 |
2台 |
25台 |
0台 |
0台 |
0~4万円 |
台 |
38台 |
30台 |
46台 |
NJ47AとNJ4BAのグラストラッカーは1万円~12.4万円のレンジでの取引となっていて、その内の7割弱の車両は1~4万円台での取引となっています。
『市場での取引額-業者の儲けと経費=買取相場』の公式を当てはめると、年式並みの状態ですと数万円、状態が悪いと数千円まで下がってしまいますが、状態が良ければ10万円台まで伸びる余地のある買取相場となっています。
事故車や不動車を表す評価点1の車両に着目すると、過去6か月間に46台の取引があり。1,000円~4.8万円のレンジで取引されていて、平均取引額は2.4万円となっています。
大きな損傷のある事故車ですと、相場的にはお値段は付かず、修理によって実働化する不動車ですと、実働化コストと車両のポテンシャルに応じて~数万円の買取相場となっています。
グラストラッカー【2000~2014年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 137台
- 平均価格: 61,372円
- 最高価格: 242,000円
- 最低価格: 10,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 48台
- 平均価格: 23,833円
- 最高価格: 48,000円
- 最低価格: 1,000円
相場情報:2018年2月8日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。