「エンジンかからなくなってから10年くらい動かしていないR1-Zを売りたいが買取で値段は付くのか?」と埼玉県川越市にお住いの佐々木様(仮名)より、買取査定のご依頼を受けました。
佐々木様が長年乗っていたR1-Zだそうですが、エンジントラブルのため走行不能となり、ご自宅の軒下で長い間置きっ放しになっていたそうです。
不動車ではありますが、バイクとしての価値をしっかりと見極めて買取価格を提示していきたいと思います。
1991年モデルということなので、いわゆるR1-Zの2型になります。
全体の印象は遠め見ても暫く動かしていない放置バイク特有の寂寥感とでも表現したくなる風化が感じられます。
佐々木様のお話によると、「突然エンジンがかからなくなった」そうで、トラブルの原因は不明、見積もりを取ったところ部品を交換する必要があるということで修理代が高く諦めるしかなかったといいます。
軒下で保管しているといっても風や横殴りの雨はしのげない環境で放置されていたため、全体に色褪せや劣化が感じられ、ところどころに激しいサビが浮いています。
エンジンは腐食が見られ、大量のオイル漏れ痕が見られます。エンジンヘッドのオイル漏れ痕は長期放置で固まりつつありますが、クラッチペダル付近は今も湿ったおいるが大量に付着しています。
タンク内部のガソリンは腐食していて、タンク内の錆びは強烈です。機関回りの劣化状態や腐食しているガソリンが流れているキャブの状態などから 、持参したブースターを使用するまでもなくエンジンがかからない状態であることがわかります。
キャブレターからガソリン漏れは見られないものの、サビがひどくネジも固着しています。ボルトがなめってしまうか崩れてしまう可能性もありパーツの取り外しにかなり苦労しそうです。 買取価格にはマイナスに作用します。
純正のチャンバーと2本出しサイレンサーです。R1-Zのチャンバーは低い位置に取り付けられているため、段差などでこすってしまったり、凹ませてしまうことがあります。 サビや塗装はげ等見られ、チャンバーの排気口周辺には大量のカーボン煤が付着しているなど状態は良くありませんが交換部品として入念な手入れを施して再利用が可能と思われます。 修復費用を勘案したうえでパーツ価値として査定に計上できます。
フレームは塗装ハゲが目立ちフレームを接合するボルト類も錆びで固着しています。ドライブチェーンの錆びやスイングアームの腐食も目立ちます。
ここまでの劣化を綺麗に落とすのはとても大変な作業で車種の相場を考えると現実的な選択肢としては浮上してきません。 ブレーキディスクは思いのほか劣化していません。ブレーキホースやキャリパーもパーツとして使えそうです。
フロントフォークはシールからオイルが漏れだしてフロントフェンダーまで固着しています。このパーツは衝突などにより破損しやすい部分です。
このフロントフォークに曲りや歪みなどはありませんので、大量のオイル漏れのあるフロントフォークは入念な修理が必要ですが再利用できる可能性はあります。ですが計上できる査定価値はそれなりです。
左側のキャリパーまでフロントフォークオイルが垂れ流れています、かなり重症のオイル漏れです。もちろんサスペション効果はまったくありません。
内部の錆びが激しいタンクには表面にも塗装ハゲがあります。 ハンドルまわりはすべて純正部品で構成されています。右リアのウィンカーは根元から折れていますがカスタムされることが多いミラーやウィンカーも当時のまま。 単価の低い部品ではありますが自社販売店のR-1Z要ストック用パーツとして価値を計上できます。
ひとつひとつを査定致しました。R1-Zは1990年から2007年頃まで発売されたロングランモデルで、今も多くの車両が市場に出回っています。実同車があれば、それを修理するためのパーツも必要です。 不動車としての価値もそこに見出されます。
内部の部品交換が必要なエンジン状況から、エンジンを修理して更に車両全体をレストアして保証付き販売まで持っていく費用は、R1-Zの中古車の販売価格より高くつきそうです。
したがってパーツ取りでの買取となりそうですが、一定の需要のある絶版車は、事故車や不動車であっても業者間市場である程度の値段で取引されています。
当社販売店での部品取りの価値と、業者オークションへの売却した場合の想定売却金額を勘案して買取価格をお見積りいたしました。
結果。査定を終了して、佐々木様に59,000円の買取価格を提示させていただくと、「こんなガレージに眠っていたゴミが、そんな金額で買取してくれるんですか」と驚かれました。
90年代に製造された2ストロークの絶版車としては2007年頃まで発売されていたため流通数の多いR1-Zは状態の良い実働車両が減少傾向にあり、不動車や事故車はそれらを修理するための大切なパーツ取りとして需要がある事、 劣化は激しいものの使用できるパーツが何点か見当たったことにより、この査定額となったことをご説明いたしました。
「売却を希望したけど、実際には売れるとは思っていなかった。処分代がかかっらず無料で引き取って廃車手続きもしてくれたら御の字と思っていた」と実は無料での引取りを最低ラインにしていた事を打ち明けてくださいました。
中古市場では、希少性が高い2ストロークバイクは大人気です。ホンダを代表するNSR、スズキを代表するRG-Vγ、ヤマハを代表するTZRなどの往年のレーサーレプリカは軒並み高騰しています。
その中においてR1-Zはネイキッド型であり中古相場が高騰しているレプリカに比べると価格が手ごろです。そうした人気に吊られ今後はR1-Zの相場も上がっていく可能性は大いにあります。
ここ2~3年は業者間市場での取引価格は10万円台後半の平均価格で推移していますが。事実、ここ10年で2ストブームに乗って取引相場は倍増しています。今後さらに上がっていく可能性も否定できません。
今回は故障してから10年放置されていた不動車の査定価格は5.9万円でした。今後相場が上がってくれば不動車といえども車体のポテンシャルに応じて更に高価買取出来る可能性が高まります。 買取はぜひバイクパッションにお任せください。
年式モデル別のR1Zの買取相場の比較
1990~1998年頃まで製造されていたR1-Zは以下のようなモデルに分類されます。 年式モデルのよって買取相場に差はあるのか?見てみましょう。
実働車|年式モデル別のR1Zの買取相場の比較 |
モデル/ 落札価格帯 |
1990~ |
1991~ |
1992~ |
平均落札額 |
17.5万円 |
18.6万円 |
22.2万円 |
総落札台数 |
49台 |
25台 |
58台 |
80万円台 |
0台 |
0台 |
1台 |
70万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
60万円台 |
0台 |
0台 |
1台 |
50万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
40万円台 |
0台 |
0台 |
2台 |
35~39万円 |
1台 |
0台 |
2台 |
30~34万円 |
1台 |
2台 |
1台 |
25~29万円 |
6台 |
4台 |
9台 |
20~24万円 |
7台 |
3台 |
10台 |
15~19万円 |
13台 |
9台 |
15台 |
10~14万円 |
18台 |
5台 |
14台 |
5~9万円 |
3台 |
1台 |
3台 |
事故・不動車|年式モデル別のR1Zの買取相場の比較 |
モデル/ 落札価格帯 |
1990~ |
1991~ |
1992~ |
平均落札額 |
9.2万円 |
9.5万円 |
14.3万円 |
総落札台数 |
20台 |
12台 |
3台 |
15~19万円 |
0台 |
0台 |
2台 |
10~14万円 |
7台 |
5台 |
0台 |
5~9万円 |
12台 |
7台 |
1台 |
0~4万円 |
1台 |
0台 |
0台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去12か月間間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
1型、2型、3型と1年違いの発売で相場に大きな差はないと思われがちですが、実際は最終の3型が最も高い相場を形成しています。
60万円台と80万円台で落札されている個体は、当時の新車価格を上回るプレミアム価格がついていますが、状態は走行距離1,000km未完の極上車です。極上車であれば80万円程度まで査定価格が伸びる余地があるということです。
ただし最も落札されている価格帯は、実働車では1型や2型では10万円台、3型では20万円台~20万円台前半が中心ゾーンとなっています。そこから状態が良ければ30万円台まで。状態に難があれば1桁万円台までといったレンジです。
翻って、R1-Zの事故車や実働車が取引される蚤の市の取引価格は、9万円台が平均となっています。
上記は業者間オークションでの落札価格ですので、そこで売却する買取業者が提示する実際の査定金額は、そこから業者の儲けや経費(運搬や出品手数料や人件費など)を差引いて、5万円付近を中心に修復難易度に応じて 値段が上下していく買取相場となっています。
上記表を見て頂ければ、ご自身の愛車のR1-Zの状態に応じて事故車でも不動車でも実働車でも極上車でも、どの辺りの査定金額が付きそうか一目瞭然で把握して頂けると存じます。
R1-Z【1990~1993年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 132台
- 平均価格: 197,576円
- 最高価格: 828,000円
- 最低価格: 60,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 36台
- 平均価格: 97,306円
- 最高価格: 194,000円
- 最低価格: 47,000円
相場情報:2017年12月3日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。