今回売却査定のご依頼を頂戴して買取したドゥカティSS1000DSは2003年モデルでハーフフェアリング仕様のレッド。
バッテリーが上がっていて査定当初はエンジンが始動せず、各所に錆や腐食が目立ち、外装には転倒を示す割れや傷が多かったやや難点が多かった車両です。
各所の劣化や損傷は買取価格にどのような影響を与えたのか?
査定内容の詳細をご案内させていただきます。
エンジン
L型2気筒の空冷エンジンですが、セルボタンを押しても反応がありません。しばらく動かしていなかったようでバッテリーが完全に上がっています。
錆びや腐食が多く浮いている空冷フィンの状態を見る限り、キャブレター車だとキャブ洗浄をしないとエンジンの始動は厳しそうでしたが、そこはFI車!ブースターを繋ぐことでエンジンは始動しました。
始動当初こそ久しぶりの回転でアイドリングが安定しませんでしたが、均していくと軽い白煙は吹くもののアイドリングは安定していきました。
機能的にはまずまず年式並みのエンジンといった評価ができました。
ただし、腰下のやや広範囲のオイル漏れ痕、全体的に目立つ錆や腐食の劣化などがマイナス査定となり、エンジン周辺の相対的な評価は年式並みよりも若干劣る評価となりました。
外装
ハーフフェアリング仕様のSS1000DSですが、肝心の左側ハーフフェアリング(センターカウル)に2か所大きなクラック(割れ)が入っています。
その他にも、要張替え判定となったシートカバーの破れ、アッパーカウルの目立つ削れ傷、タンクの長い多数の線傷に遠目から目立つピンポン玉大の表層剥離、など転倒傷や外傷が外装の価値鳥価値を損ねていました。
外装全体の艶感は2006年モデルとしては年式並みだっただけに外装の多数ある損傷が惜しまれる査定内容となりました。
足回り
やや使い込まれたタイヤにレースやサーキット走行の兆候を示す痕跡がないのは良い印です。
ただBrembo製のキャリパーのボルトは取り外しが難しいほど錆び錆びの状態になっています。ホイール、ディスクと非常に疲労感が色濃く、再販に当たっては1日がかりの徹底的な磨きが必要な劣化度合いとなっています。
ハールカウルの内側にあるフロントフォークはオイル漏れもなく劣化も少なくまずまずの状態でしたが、チェーン・スプロケ・スイングアーム・オーリンズ製リアショックとも使用感や劣化は色濃く同様に買取価値を損ねていました。
電装・保安部品
バッテリーは要交換の状態ですが、弊社販売店に多数のバッテリー在庫がありバッテリー上がりについては弊社では殆どマイナス査定とはなりません。
配線類は汚れは目立ちますが加工などはされておらずノーマルのままでその点は高評価です。
保安部品については、主役のメーターに使用感が色濃く内側のパネルに変色が見られます。
マフラー・ミラーカバー・ウィンカーレンズといったパーツにも転倒傷が散見され、査定の評価は伸び悩みました。
フレーム回り
ここまでの査定で外装や保安部品に外傷が目立ったSS1000DS。
基幹要素であるメインフレームに影響が及んでないか丁寧に査定していきます。ハンドルの切れ角に左右差はなく良い兆候でしたが、ハンドルストッパーは曲がっています。ハンドル経由で大きな衝撃が加わっかことを物語っています。
メインのフレームは入念に触診して確かめましたが修正痕や衝撃を吸収した痕跡はありませんでした。錆びや塗装剥離が散見される点がマイナス査定となりましたが肝心の機能面では良い評価点となりました。
細かいところですが、ステー・スタンド・ステップ・ペダルといったフレーム周辺部品と接合部にやや強い劣化があった点も細かいところですが減点となりました。
総合評価と買取価格
エンジンこそブースターを繋ぐことで始動いたしましたが、以上のように派手な転倒傷が多く、錆びや腐食といった劣化が色濃く、総合的な評価点は3.5点と平均を下回る評価となりました。
下段の相場情報で詳しくご案内しておりますが、相場的には10万円程度となるところでしたが、 走行距離が少ない点フレーム剛性やエンジン機能は良い点など基幹的なポテンシャルを評価させていただき13万円の査定価格で買取させていただきました。
お客様のご感想と買取後記
「1年近く雨ざらしで動かしていないからまさかエンジンがかかると思わなかった」とはお客様のお言葉です。
実は13万円で買取させて頂きましたSS1000DSですが、弊社整備工場で2日がかりの磨きと修理によって、業者間市場に出品したところ18万円での売却となりました。
夏相場としてもう少し取引額が伸びると想定していたのですが、販売店の競り手が少なく取引額は伸びず終いで。。
2日がかりの整備と磨きが発生しているため収支としてはトントンの結果となってしましました。
以上、買取事例をご案内させていただきました。
下段からは、SS1000DSを売る際の相場情報を詳しくご紹介させていただきます。
DUCATI SS1000DSはいくらで売れるのか?適正相場
ドゥカティ最後のSS(スパースポーツ)と呼ばれて久しかったSS1000DSですが、2017年に11年の時を超えて新しいスーパースポーツが発売されました。
その影響によって過去のスパースポーツに脚光が当たって買取相場は高くなったのか?それとも型落ち感が強まり低くなったのか?
2018年では生産終了から実に12年以上の時が経過しているSS1000DSはいったい幾らで売れるのでしょうか?
買取業者の査定価格の指標であり、販売業者の仕入れ値であり、つまり日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、以下の切り口でSS1000DSの適切な買取相場をご案内差し上げます。
過去5年間の相場の推移
【過去5年間】取引相場の推移|ドゥカティSS1000DS |
相場の推移 |
平均取引額 |
最高額 |
最低額 |
取引台数 |
2014年 |
30.1万円 |
47.8万円 |
18.0万円 |
17台 |
2015年 |
27.9万円 |
41.1万円 |
15.7万円 |
19台 |
2016年 |
25.8万円 |
40.2万円 |
9.6万円 |
17台 |
2017年 |
22.5万円 |
36.2万円 |
16.6万円 |
16台 |
2018年 |
20.5万円 |
35.8万円 |
12.8万円 |
16台 |
(2014年から2018年まで各年の6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
上記グラフは、過去5年間のドゥカティSS1000DSの業者間市場での取引金額の推移を示した表です。
日本の中古車の9割超が売買されている業者間市場の取引額は、販売店の仕入れ額であり、買取業者の売却額となっています。
ですので、市場での取引額に販売業者の儲けを経費を乗せた額が中古SS1000DSの車両販売価格に。買取業者の経費と儲けを差し引いた額が買取額となります。
つまり、買取相場の前提指標となっているわけですが、過去5年間を通じてSS1000DSの相場は少しづつ着実に値下がりしています。
2017年に後継モデルのスパースポーツ/Sが発売されたことで型落ち感が強まり、今後も上昇の気配はなく緩やかに下落していくことが予想されます。
ご売却をご検討されているオーナー様にとっては、高値で売れるタイミングは早い方がよいでしょう。
ただし、焦って相場の落ちる冬場に売却するよりは、相場が上昇する夏に売却するるのが最善です。
続いて2018年時点での相場情報をより詳しく見てまいりましょう。
- ▼状態を表す評価点の目安|SS1000DS
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み・やや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
SS1000DS|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 1 |
30~34万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
25~29万円 |
1台 |
0台 |
0台 |
20~24万円 |
1台 |
4台 |
0台 |
15~19万円 |
0台 |
5台 |
0台 |
10~14万円 |
0台 |
4台 |
0台 |
5~9万円 |
0台 |
0台 |
2台 |
(2018年6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車の買取ボリュームゾーンは10万円台
直近1年間で16台の実働車が取引されたSS1000DS。
取引の最高額は35.8万円、最低額は12.8万円、平均は20.4万円となっています。 評価点別に見ると、2003~2006年モデルとしては非常に状態が良いことを示す5点の車両は2台しか取引がなく、他の14台は4点の車両となっています。
評価点5の2台は、28.2万円と21万円と平均を上回る金額で取引されており、評価点で5点が付けば20万円以上での取引となることが読み取れます。
全体で見ると、全16台のうち、87%に相当する14台は、12.8~21万円というコンパクトなレンジで取引されています。
このことは、8割強のSS1000DSは業者間市場で12.8~21万円のレンジで取引されることを示唆しています。
上段でも申し上げましたが、上記の金額はいずれも業者間市場での取引金額であり、査定現場での買取額は、業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差引いた額となります。
10万円台が取引の中心となっている大型バイクの場合は、業者の儲けと経費の合計が3万円程度であれば、適正でお客様によって競争力の高い査定額といえます。
SS1000DSのオーナー様にとっては驚きの金額かと思われますが、相場ーデータから買取額のボリュームゾーンは10万円台であることが分かります。
赤 vs 黄 vs グレー 高く売れる色は?
赤・黄色・グレーの3色のカラーバリエーションが設定されていたSS1000DS。
取引された全16台のカラーの内訳は、赤が14台、黄色が1台、グレーが1台となっています。
圧倒的に赤が人気で流通量が多いのですが、グレーは21万円、黄色は18万円で取引されています。
簿数が少なくデータとしては薄弱という前提ですが、状態と取引金額の相関関係からカラーバリエーションによる相場差はなさそうです。
圧倒的な人気を誇った赤ですが、売る際は黄色もグレーも色によって相場的には買取額は変わらないようです。
ハーフカウル vs フルカウル
2003~2006年モデルまでの生産期間に大きな仕様変更はなかったSS1000DSですが、
スタイルはハーフカウル(フェアリング)138.6万円と、フルカウル(フェアリング)142.8万円の2種類が設定されていました。
メーカー希望小売価格で4万円ほどの差があった外装スタイリングの差異ですが、現行の相場ではどうでしょうか?
結果は下記表のようになりました。
ハーフフェアリングの取引数が3台と少なく傾向としては弱いですが、ハーフフェアリングもフルフェアリングも外装のスタイリングの差によって買取相場は殆ど変わらない結果となっています。
ハーフカウルVSフルカウル|相場比較 |
|
平均落札額 |
評最高額 |
取引台数 |
ハーフカウル |
19.4万円 |
35.8万円 |
13台 |
フルカウル |
19.1万円 |
20.8万円 |
3台 |
事故車の買取相場は数万円
事故車や故障車など実働状態にないことを示す、評価点1の車両の取引について見てみましょう。
直近1年間で2台の事故車が取引されています。
7.8万円で取引されたのは、センターカウル欠品でヘッドライトやメーターに配線類が大破している事故車。
5.1万円で取引されたのは、右センターカウルが大破し、タンクのテニスボール大の凹みがありフロントフォークが歪んでいる事故車。
となっています。
上記のことからフォーク歪みなど全損までは行かない事故車であれば数万円の査定額で買取ができる相場となっています。
年式モデル別の買取相場
2003~2006年モデルまでの生産期間に大きな仕様変更はなかったSS1000DSですが、 フルカウル/ハーフカウル、シート形状、フレームカラーなど様々なバリエーションが存在しているようです。 年式による形状の違いは把握できないのですが、2005年モデルからフレームが赤塗装に変わったようです。 最後に年式モデル別の買取相場をご紹介いたします。
年式モデル別の買取相場|ドゥカティSS1000DS |
落札価格/ 年式 |
平均落札額 |
評最高額 |
取引台数 |
2003 |
20.6万円 |
35.8万円 |
13台 |
2005 |
19.6万円 |
20.8万円 |
2台 |
2006 |
20.0万円 |
20.0万円 |
1台 |
(2018年6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
全体の取引数が16台と少ないうえに、最終の2006年モデルは1台、その前年の2005年モデルは2台と、傾向地としては非常に弱いのですが、 2005~2006年モデルの3台の状態と取引金額を検証すると、最終の2006年モデルだから高くなるという現象はなく2003年モデルと同じような価格で取引されています。
SS1000DSは年式モデルによって買取相場に差がない車種といっていいでしょう。
以上、SS1000DSの買取相場を様々な切り口でご紹介させていただきました。
かつての名車であったSS1000DSがこんなに安く?!とショックを受けられたオーナー様も多いかと存じます。
ドゥカティシリーズで旧車として相場が高騰しているのは1970年代以前の一部車両です。
現行モデルの進化サイクルが早く、200万円を軽く超える続々と投入されているDUCATIにあって、1990~2000年代の車両は総じて値下がり傾向が続いています。
弊社パッションではDUCATIの買取に非常に強い買取店と、DUCATIをも販売する販売店も保有しています。
豊富な見識と実績で余すところなく車両価値を査定価格に反映することはもちろん、弊社販売店での仕入れとなる場合には、買取専門店では赤字必死の査定額で買取することが可能です。
スーパースポーツシリーズSS1000DSの査定はパッションにお任せくださいませ!
SS1000DS【2003~2006年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 16台
- 平均価格: 205,176円
- 最高価格: 358,000円
- 最低価格: 128,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 2台
- 平均価格: 64,500円
- 最高価格: 78,000円
- 最低価格: 51,000円
相場情報:2018年6月10日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。