カワサキの旧車としては若干マイナーな車種ながら、年を追うごとにじんわりと評価を上げているカワサキ・Z250FT。
査定させて頂いた車両は、ほとんどの純正パーツが欠品状態ながら、オーナー様の工夫で丁寧に組み上げられており、旧車會仕様車としてバランスよく仕上げられておりました。
実は暴走族を連想させるような旧車會仕様のカスタム改造車は、中古車情報誌や情報サイトへの掲載が禁止されている為、販売しずらい側面がございます。
今回買取させて頂いたZ250FTはライト仕様という内容で旧車會仕様による買取価値の小幅に留まりました。
パーツはノーブランド品がほとんどでしたが、エンジン状態・美観などを最大限に評価させて頂き、相場平均以上の価格で買い取りさせて頂くことができました。
以下、今回拝見させていただいたカワサキ・Z250FTの車両詳細となります。
足回り
古い車種ながら社外品のメッシュブレーキホースなどでしっかりブレーキ周りを整備しており、安全性能にも配慮されていたカワサキ・Z250FT。
当時のオリジナル度が価値を高める旧車にあって、こうしたメッシュホース装着はカスタムの定番手法のひとつですが、経年劣化による耐久性やブレーキの効き具合が不安な旧車の場合、基本的にはマイナス評価とはなりません。
Fフォーク・フェンダーもメッキの美しさを保つため、よく磨かれておりましたが、所々にサビや磨き傷あり。
フェンダーはニキビのようにポツポツと兆候が出始め、日頃の磨きで変色が抑えられているといった具合です。
ホイールもオールペンで綺麗に見せ、社外品のハンドルやリアショックも新し目で劣化は少なく、良く手入れされていることが見た目から伝わってくるZ250FTの足回り。
残念だったのはは、カスタムのためにサスペンションが伸ばしきった調整がされており、ヘタリが確認できたのは足回りとしてはやや大きなマイナスポイントに
外装
Z400FX風のオールペンにより、外観状態はなかなか綺麗な部類だと言えます。
メーカー塗装のオリジナルデザインを失っている点は買取価値を損じるのが普通ですが、定番スタイルの1つであるZ400FXテイストで纏められており綺麗な仕上がりであるため買取価値への影響はプラスマイナスイーブンとなりました。
ガソリンタンクサイドのエンブレムや、サイド・テールにアンコ抜きシート、社外ウインカーといったものが装着され、純正パーツの大半が欠品状態でした。
完全オリジナルが最も価値のある旧車にあって、純正品の欠品はマイナス査定となりますが、一定の相場で流通しているZ250FT定番のカスタムスタイルで纏められている為大きなマイナス査定には至りません。
オールペンや新しい社外品で盛ってもありますが、生産終了からそれなりの月日が経っている旧車であること、実走行に支障がないよう一通りの整備が行なわれている点から見てみると、決して状態は悪くはありません。
カスタムは丁寧に組み上げられた感があり、各パーツも丁寧に手入れされていて綺麗に見える印象は良い査定評価に繋がりました。
エンジン周り
生産終了からかなりの月日を重ねたカワサキ・Z250FTですが、エンジンの外観は入念なサビ落としとケアで美観が維持されており、なかなか良い状態だと言えます。
ただし、中古で購入した時点で走行距離は4万キロメートルを超えており、低速での若干のひかっかり、アイドリング時に3千回転くらいまで上がっていく傾向が確認できました。
機能的にやや大きなマイナス査定となったのはやや濃いめの白煙を加速時に吹き上げる点でした。
純正のキャブは保有が無く、CRキャブが装着されておりました。始動性優先のセッティングでアイドリングに難はあり、同調などセッティングを調整する必要がありそうです。
見た目はエンジン細部の手が届きにくい箇所にはサビ・腐食が発生していますが年式を考えると綺麗に維持されています。
エンジンの評価はオイル下がりを疑わせる濃いめの白煙吹きや多めの走行距離もあり、年式並み若しくは若干の難あり3点の査定評価となりました。
フレーム回り
それなりのオーナー歴を持つ車両であるため、現オーナー様以前の来歴は不明ですが、事故や派手な転倒と関係がありそうな大きなダメージ・歪みはありませんでした。
不フレーム接合部やネック部分に衝撃を吸収した皺なども認められずフレームへの深刻なダメージはなく剛性は良い状態にあると判断。
ただし、サビによる腐食・塗装剥離は各所に発生しており、旧車としてそれなりのリペアを要する状態だと言えます。
とはいえ、エンジンまで全て下ろしてメンテが必要なほどではなく、年式並みの査定評価となりました。
電装/保安部品
社外ライト・ウインカー・テールライトなどへ換装され、電装周りも大幅に手が入れられていたカワサキ・Z250FT。
プラグコードに至るまで交換されており、オリジナルのものとはかなり様子が違っておりますが、動作状況などに問題はなく、それなりに良い状態だと言えます。
こうした旧車會仕様車・族車の場合、電装・保安部品に不備不安を抱えていることも多いのですが、お客様のZ250FTも配線加工が施されており、使用されていない配線がシート下に多く見受けられました。
始動性に問題はないため査定価格への影響は殆どありませんでしたが、電装系に問題が生じた際は一苦労しそうな加工となっていました。
社外マフラーには錆びが目立ち、メーター周りに使用感が見受けられましたが、エキパイ部からの排気漏れ等もなく、整備不良と思わしき箇所はありませんでした。
その他
その他、Z2ミラー・メーカー不明マフラー・他車種のサスペンション・ヘッドライト・テールライト・絞りハンドル・シート・サイドカバー・チェーンカバー・スプロケ・バックステップなど、カスタム箇所は非常に多数。
そのほとんどがノーブランド品であったため、パーツとしての価値は低く、純正品の欠品を補えない評価となります。
当時のオリジナル度が価値に直結する旧車にあって、Z250FTは上位排気量で形が似ている人気の旧車(Z400FX)を真似たカスタムが施されている車体の割合が非常に多く、カスタム内容によって相場が読める車種です。
Z250FTという車種の特性で純正品の多くの欠品による買取価値の減額は最小限となりました。
総合評価と買取価格
以上が今回のカワサキ・Z250FTの査定チェックポイントですが、純正パーツの大半が欠品状態となっており、一般的な中古バイクとしての評価は難しいものがありました。
しかし、カスタム車が非常に多いZ250FTという車種の特性に、旧車會テイストは控えめのカスタム内容がマッチしました。
そのため販売が困難になる側面を持つ旧車會仕様によるマイナス査定は最小限に。ユーザー受けしやすいカスタム内容と見た目の綺麗さを評価させて頂きました。
残念だったのややは多走行でエンジン機能の評価が今一つだった点。それらを総合的に評価させて頂いて、相場平均を上回る30万円の査定価格で買取させて頂きました。
一般的に旧車會仕様車・族車は安く買い叩かれるといったイメージを持たれがちですが、それは中古バイク情報誌や情報サイトでの広告宣伝が出来ないことが大きく影響しています。
またユーザー受けしないコテコテの旧車會仕様は買い手を選び売りにくいのも事実です。
しかし今回のようなライト仕様であれば、パーツの付け替えで、広告宣伝も可能になり、ユーザー受けもより高まり、より売りやすくなります。
自社に多数あるストックパーツを活用しての車両価値を見極められるのは、旧車の買取と販売に強い当社だからこそ。
弊社パッションでは経験豊富な査定スタッフにより、愛車の状態・価値を正確に見抜き、オーナー様へ最大限の利益還元をさせて頂くことをモットーとしております。
自社販売店の自社工場による整備技術の高さに自信がある弊社パッションならではの高額買取が実現できた好例だと言えます。
お客様のご感想と買取後記
相場情報をお客様にお見せしながら、相場平均を上回る競争価格である点をご理解いただいて
「中古車でも30万円台から売られているのをチェックしていたので、30万円の買取なら大満足です!」と二つ返事で買い取りへのご同意を頂け、即決成約へ至ったカワサキ・Z250FT。
メッキパーツが多い旧車ならではの維持にもかなり配慮されていたとのことで、弊社としてもその点をできる限り高く評価させて頂きました。
5年前にほぼ現在のカスタム内容で購入されたそうです。「当時の購入価格は支払総額で35万円以下だったはず」とはオーナー様のお言葉。
ほとんど買った値段で売却できたことが旧車ブームを物語っています。
車両価格では30万円前後だったと推測できます。5年前と比べて、その価値が右肩上がりの昭和ネイキッド系の旧車。
新車価格の何倍もする100万円を超える中古車が多数出現している旧車ブームの中では250ccは比較的地味な存在ですが、相場が上がり続けているのは事実です。
代表的な250ccの昭和ネイキッドの旧車と言えば、RZ250、CB250Tホーク、KH250、RD250、GSX250Eあたりでしょうか。もちろん今回買取りしたZ250FTも含まれます。
以下に250ccの旧車の買取事例をご案内していますが、右肩上がりの相場環境で過去の買取価格が色あせて見えてしまいます。
関連する買取事例
Z250FT 査定相場の比較
Z250FTのオーナー様が気になるZ250FTの売却相場を『状態を表す査定評価点』と『年式モデル』別の切り口でご案内いたします。
流通台数はさほど多くはありませんが、先ずは直近12ヶ月内におけるカワサキ・Z250FTの取引額の分布図をご案内差し上げます。
- ▼状態を表す評価点の目安|Z250FT
- 評価点4 状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み または若干の難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
Z250FT|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
40万円台 |
1台 |
0台 |
0台 |
30万円台 |
1台 |
6台 |
0台 |
20万円台 |
2台 |
6台 |
0台 |
10万円台 |
0台 |
3台 |
5台 |
0~9万円 |
0台 |
0台 |
1台 |
総落札台数 |
4台 |
15台 |
6台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
最高取引額をつけたのは、当時物のパーツを装着した評価点4の車両で、41.8万円での落札に。
最低取引額はフロントフェンダーなどメッキパーツのサビ・腐食が目立った評価点3のもので、こちらは15.8万円での落札となっております。
取引が集中している価格帯は20~30万円台。評価点3~4の車両の平均取引額は28.2万円。
査定現場で提示される実際に買取額は、上記の取引額から買取業者の経費(運送費や出品手数料)と儲けを差し引いた額で、25万円程度をベースに相対に応じて上下するイメージに合致すれば相場的には適正価格と言えるでしょう。
続けて、不動車・事故車を表す評価点1の車両の取引に目を移すと
こちらは20万円超えの車両こそありませんが、平均取引価格13.4万円と安定した高値が付いた結果となりました。
最高値をつけたのはエンジン・電装修理を要する車両の16.1万円で、著しくサビ・腐食・キズが目立った車両の9.9万円が最低となりました。
価格差は比較的少ないのは、全ての車種が部品取り用途ではなくレストアベース車であったことが影響しています。レストアの修復コストに応じた取引額となっています。
買取価格としては、部品取り用途になる事故車では数万円。レストア難易度の高い不動車で5万円程度~。キャブ周りの修復で実働化するポテンシャルの高い車両は20万円台も充分狙えます。
- ▼年式モデルの変遷|Z250FT
- 1979年 Z250A1 フレーム番号KZ250A-000~
- 1979年 Z250A2 フレーム番号KZ250A-012~
- 1981年 Z250A3 フレーム番号KZ250A-029~
- 1982年 Z250A4 フレーム番号KZ250A-038~
- 1980年 Z250B フレーム番号KZ250B-海外仕様
Z250FT 実働車|モデル別の査定相場比較 |
モデル/ 落札価格帯 |
A2 |
A3 |
A4 |
40万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
30万円台 |
2台 |
3台 |
2台 |
20万円台 |
3台 |
2台 |
3台 |
10万円台 |
2台 |
1台 |
0台 |
総落札台数 |
7台 |
6台 |
4台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
取引台数が19台と母数が少ないため、最初期のZ250A1と輸出モデルのZ250Bの取引はなく、A3が若干高いように見えますが傾向値としては薄弱といえるでしょう。
期中のモデルで大きな変更点はないこと、年式モデルが車体から推察できるオリジナル度の高いZ250FTの取引は少ないことの2点からも年式モデルによる買取相場の差異は殆ど見当たりません。
Z250FT豆知識
1979年に発売されたZ400FXと同時に発売され、2気筒エンジンながら軽量な車体と吹け上がりの良さで人気を博したのがカワサキ・Z250FT。
Z1000やZ-FXシリーズの「角Z」のフォルムを持った車種のひとつであり、生産期間は4年と比較的短命であったものの、旧車ブームの影響によって再評価。
現在では車検不要の250ccならではの利点を活かし、思い切ったカスタムが施されることも多く、旧車會仕様車のベース車両としても注目されております。
Z250FT【1979~1982年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 83台
- 平均価格: 114,470円
- 最高価格: 260,000円
- 最低価格: 54,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 36台
- 平均価格: 75,778円
- 最高価格: 112,000円
- 最低価格: 31,000円
相場情報:2017年12月30日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。