「新車で購入してここまで大事に乗り続けてきたのですが、こんな形で買取査定してもらうことになったのは残念です。」と語られたオーナー様の愛車はカワサキ・ZRX1200R。
走行距離は59,073kmとかなりの走り込みですが、車両全体としては綺麗に乗られていたことが伺えます。 今回の事故は信号停車中に後方からダイレクトに衝突されたようで、オーナー様は衝突時の衝撃で投げ出され、比較的被害が少なかったことは不幸中の幸いでした。
一見リア以外は綺麗に見えますが、フレームが損傷している全損事故車です。
以下、今回拝見させていただいたZRX1200Rの車両詳細となります。
足回り
車体前部の足回りに関しては、手入れが行き届いており年式平均よりも良い状態をキープ。 その一方、車体後部は事故時の衝撃でブレーキを引き摺る症状あり。ディスクローターやスイングアームまで歪みが生じることはありませんでしたが、事故車両ということから査定評価対象はフロント回りのみとさせていただきました。
外装
生産終了からそれなりの歳月を経たモデルですが、カラーリングの色褪せ・サビ等もなく、一部カウルに大きな損傷がありますが、その他は十分再利用が可能なレベル。
しかし事故時の衝撃でテールカウルを始め、社外マフラーのサイレンサーが大きく折れ曲がり、ガソリンタンクにも事故転倒時のものと思わしき凹みが確認できました。 また、シフトペダルも事故の際に曲がってしまった様子で、こちらも足回り同様に車体前部を査定評価対象とさせていただきました。
エンジン周り
エンジンガードを装着されていたことにより、エンジン機能を損なうような外傷は見られませんでしたが、クランクケースに削れている傷やクランクケース付近からと思われるオイル漏れが発生しています。
また事故時の衝撃で電装系回路に不具合が出てしまったようで、セルが回らない状態に。
この状態では如何とも評価し難く、残念ながら不動車判定とさせていただきました。それでも大事に整備されてこられたため、外観だけでも再利用できる可能性は十分ありと判断。 完全な不動車よりも若干評価高めという形で評価をさせていただくことに。
フレーム回り
赤信号で完全停車している状態で後方から突っ込まれたということで、車体後方はシートレールの曲がりを始め、メインフレームへのダメージが確認できました。
衝突箇所のへこみ、そこから広がった衝撃の抜け先で歪みが生じ、テールカウルを装着しようとしても、そのままでは無理だと判断。この状態では安全性の面からも再商品化は難しい、という判定に。
電装/保安部品
イグニッションをONにしてみたところ、ホーン・ウインカー・ヘッドライトは点灯。しかし、衝突時のショックでセル関連パーツに何らかの影響があったのか、セルは回りませんでした。 また、後部ウインカーもテールごと損壊しているため全交換判定に。
その他
一般的に事故車両の場合、買取できないというケースも多々ありますが、今回のようなケースが十分買取対応が可能です。純正リアサスペンションやフロント回りなど、再利用できる箇所はかなり多岐にわたり、 パーツ単位でも査定が可能な状態であった事が買取価格につながりました。
総合評価と買取価格
以上が今回のZRX1200Rの査定チェックポイントですが、拝見させて頂いた車両は事故により損傷を除けばオーナー様のかけてこられた愛情が伺える綺麗な状態す。
万全の状態であれば高額買取が期待できるものでした。事故に遭われてしまったことは誠に残念です。
今回のZRX1200Rの査定評価は、フレームが歪んでいる全損車両の為、フレームから降ろして再利用できそうなパーツ価値となりました。 メンテナンスや修復が必要ながら計上できた主なパーツは
- 電装系の損傷で始動の確認できない走行6万km近いエンジン(事故によるものと思われる削れ傷、オイル漏れあり)
- 純正リアサスペンションやフロント回り
- ハンドルやメーター周り
- タンクなどの外装(カウルには目立つ破損有)
フレークから降ろした上記などの(要修復パーツも含めた)部品価値の総計として6.5万円の査定価格で買取させて頂きました。
お客様のご感想と買取後記
「もう年式も年式だし、正直言って買い取りは無理だろうな、と半分諦めていましたが、評価してもらえて少しだけ救われました」とはオーナー様の談。 こちらのZRX1200Rは、DAEG登場直前にメーカー認定中古車として購入され、今まで大事に乗り続けてこられたマシンだったそうです。カウルレスキットを組み込み、Z1000J風のスタイリングやマフラーのチョイスなど、 カワサキ好きにはたまらない実に渋いチョイス。以前は信州一周ツーリングなども共に楽しんでおられたとのことで、今回の買取金額を頭金の一部とし、ZRX1200Rの最終モデル購入資金にしたいと語って頂けました。 弊社としても微力ながらお力になれて幸いでした。
事故による損傷がなければ40万円程度の査定価格に|ZRX1200R買取相場
今回買取りさせて頂いた事故車のZRX1200R
事故による影響がなければ、2001年式で走行6万km近いライトカスタム車はどのような査定金額になっていたのか?
ZRX1200Rの状態別の買取相場をご案内させて頂きます。
2000~2008年頃の車両の評価点の目安
- 評価点5:綺麗で状態の良い車両
- 評価点4:年式並みの車両
- 評価点3:若干の難のある車両
- 評価点2:難のある車両
- 評価点1:事故車や不動車
2001年より生産を開始し、2008年の「自動車排出ガス規制」によって国内生産・輸出を終了したZRX1200R。
翌年に発売を開始したZRX1200DAEGの人気は好調でしたが、こちらの方も中古バイクとしての人気は高く、直近12ヶ月間の落札平均価格は48.2万円。
国内仕様車が最高出力100psとなっているのに対し、輸出仕様車は122psとスペックに大きな違いがあるものの、国内仕様車は各個体の程度がよいモデルが多いこともあり、 年式・走行距離による価格差は殆どないような感じに見えますが、実はそれなりの事情があります。
実働車|ZRX1200Rシリーズの査定相場比較 |
車両評価/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
100万円以上 |
0台 |
3台 |
2台 |
80~99万円 |
0台 |
1台 |
3台 |
70~79万円 |
0台 |
8台 |
1台 |
60~69万円 |
8台 |
4台 |
2台 |
50~59万円 |
9台 |
9台 |
0台 |
40~49万円 |
8台 |
26台 |
1台 |
30~39万円 |
5台 |
44台 |
1台 |
~29万円 |
0台 |
6台 |
6台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
直近12ヶ月内の最高落札価格は140万円を超え、平均価格を大きく上げた要因となっておりますが、こちらの走行距離は3万km強、評価点は3点となっております。 その一方で評価点5の車両では69.7万円で落札されたものが最高値。 こうした逆転現象が発生しているのは、カスタム車両の高評価に理由があります。
一昨年のZRX1200DAEGが生産終了となったことを受け、こちらのZRX1200Rもその優秀なスペックなどが再評価された結果、程度のよい個体は高額買取が狙える車種のひとつとなりました。
また、オーナーがO/Hなどの徹底したメンテナンスを実施した状態のよい国内仕様車が多いことも理由のひとつです。
ZRX1200Rの80万円以上での落札車両は、いずれも綺麗な状態かつカスタム車両となっており、ノーマルパーツの欠品やメーター交換によるマイナスがついたことによる評価であり、これが逆転現象のからくりとなっております。
こうした点を踏まえて考察すると、ZRX1200Rの場合は完全フルノーマル車だけが評価されるわけではなく、日頃しっかりと手を入れて整備してこられた車両であれば、 カスタム車両であっても十分に高額買取が狙えるということが見えてきます。
フルカスタム車を除いて見てみると、評価点5の取引価格の中心は40~50万円台、評価点4のボリュームゾーンは30~40万円台、評価点3は10~20万円台であることが読み取れます。 従って、ライトカスタムやノーマル車の最も多い買取価格帯は上記から数万円(業者の儲けと諸経費)を差し引いた額であることが見えてきます。) 今回のケースでは後部全損状態の事故車ということで、パーツ取り車として買い取りさせて頂くことになったのが残念でしたが、実動状態であれば走行距離は多いものの 評価点は5と4の中間程度でしたので、40万円付近の買取価格となっていたでしょう。
中古バイク買取業者の中には、車種毎の特徴や相場傾向を理解できていないスタッフが査定に来ることも多々あり、そうした査定時はフルノーマル車でなければ一律で年式。
走行距離だけで買取金額を決定するというケースすらありますが、弊社パッションは違います。
このような日々変動する中古バイク市場の情報をリアルタイムに査定へと反映させ、なおかつバイクに関する造詣の深い熟練のエキスパートが査定スタッフとしてお伺いし、 あなたが大切にしてこられたカワサキ・ZRX1200Rをどこよりも高く買い取らせて頂く自信がございます。
ZRX1200Rオーナー様、まずはお気軽に弊社までご連絡ください。
ZRX1200R豆知識
カワサキ栄光のチャンピオンマシン・Z1000Jを彷彿とさせるボディを与えられ、1996年から販売を開始したカワサキ水冷リッターネイキッドの第二世代にあたるZRX1200R。 基本的な構造は先代ZRX1100から継承しており、フレームやスイングアームを改良したことで車体剛性を強化。エンジン排気量は1,164ccにまで拡大され、低速トルク豊かなマシンとして高い支持率を獲得しました。 2008年自動車排出ガス規制の影響を受け生産終了となり、翌年のZRXシリーズ最終作となったZRX1200DAEGにバトンを受け渡してカワサキネイキッドのフラッグシップとしての大任を果たしました。
ZRX1200R【2001~2008年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 148台
- 平均価格: 482,412円
- 最高価格: 1,416,000円
- 最低価格: 192,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 12台
- 平均価格: 175,417円
- 最高価格: 289,000円
- 最低価格: 65,000円
相場情報:2017年12月7日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。