「直そうと思ってそのまま長く放置してあるYZF-R1を買い取ってほしい」と無料出張査定のご依頼を頂戴しました。
査定現場に到着して遠くから目にしたR1の第一印象は「長期放置車特有の廃れた感じはない」でした。
しかしながら触って状態を確かめていくに従って機能的な傷みが際立っていく1台でした。
現行の6代目と比較すると、3世代前の仕様である3代目(2002~2003年モデル)に位置するYZF-R1。
型落ち感が強く、実働車の平均的な買取相場が40万円強となっている中、マイナス査定が目立った不動車の買取額は幾らとなったのか?以下に査定内容のトピックスをご紹介させて頂きます。
始動しないエンジン
「ある日エンジンがかからなくなって・・・1週間前までは特に不具合はなかったので、電気系と目星をつけて、バッテリー・セルモーター・スターターリレーと見ていったのですが・・・ ジェネレーターカバーも空けて素人仕事で色々やってみたのですが全然わからなくて。。。途中で取り外した部品やジェネレーターカバーも無くなって。。」 と放置に至ったきっかけを教えてくださったオーナー様。
念のためにブースターを繋いでエンジン始動を試みますが通電がなくエンジンは始動しない状態。
電装系の部品も欠品で、原因究明には時間と労力がかかりそうです。実働化にかかる修復コストが掛かりそうな分買取価値を損ねていました。
2002年のフルモデルチェンジでそれまでのキャブレターからインジェクション化されているYZF-R1。
キャブ詰まりの心配はありませんが、タンク内の錆は激しく買取後には錆取りと防腐加工が必要な状態で買取価値を損ねていました。
通電がなくエンジン状態は確認できませんでしたが、腰下から軽いオイル漏れがある他、溝の薄いサーキット仕様のタイヤの側面にゴムの削れカスが付着している点をオーナー様にお伺いすると 「サーキットで遊んでいました」とのご回答。電装系が回復した後のエンジンの状態もポテンシャルとして年式並みもしくは未満の査定評価とならざるを得ませんでした。
抜けているフロントフォーク、傷劣化の散見される外装
遠目には目立って廃れた様子は感じなかったYZF-R1ですが、近くで見ると往年の色艶は失われています。
アンダーカウルには広範囲に細かい傷が刻まれている他、外装全体に色褪せと細かい傷が見られます。
2002年モデルと10年前のR1ではありますが、見た目の評価は年式並み未満の査定評価点となりました。
その他目立った減点項目としては、フロントフォークの抜けが挙げられます。
82cmの高さのシートに跨って前後サスペンションの減衰をチェックしたところフロントフォークがスカッと沈み込んでしまいます。
オイルが抜けているようで要オーバーホール判定。
総合評価と買取額
以上が不動車として主に減点となった査定内容です。
欠品部品もあり修復コストが読めない電装系の故障。
サーキット仕様による酷使、要オーバーホールのフロントフォーク、色褪せや傷が目立つ外装全般など不動車としても状態が悪かった1台。
3代目(2002~2003年モデル)R1の実働車の平均的な買取相場が40万円強となっていることから相場的には10万円台前半の査定額が業界水準となるところ。
しかしながら修理・整備を非常に安価に行える自社整備工場の存在をフル活用することで、相場を上回る16.5万円の査定額で買取させて頂きました。
【2019年3月追記】の買取相場情報
上記内容は2012年6月時点時点の買取事例です。
2012年6月時点の相場情報に基づいて算出された査定金額です。
2019年時点でYZF-R1の最新仕様は2015年のフルモデルチェンジで誕生した7代目となっています。 3代目(2002~2003年モデル)R1は既に4世代前の仕様となっていて、型落ち感が強まるに従って相場は下落傾向にあります。 (参考記事:
相場の推移【2013年 ⇒ 2019年】3代目YZF-R1)
フルモデルチェンジなどの仕様変更に伴って旧型仕様となったモデルの買取相場が下落するのは人気現行モデルの宿命ともいえます。 (参考記事:
【初代~7代目】年式モデル別の買取相場を徹底比較!)
2012年時点では実働車の平均的な買取額が40万円強であった3代目(2002~2003年モデル)YZF-R1。2019年時点ではどれくらい変化しているのでしょうか? 買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引データを使用して、3代目(2002~2003年モデル)YZF-R1の買取相場をご案内差し上げます。
業者間オークション市場での取引額とは、買取業者の転売額であり、また販売業者の仕入れ値です。つまり国内の中古バイクの相場は市場の取引額がベースとなっています。
買取価格を決定する最も重要な要素である『状態』
買取業界では、総合的な車両の状態を評価する点数があり、10年前の5代目YZF-R1の場合は下記のような点数で状態を示すことができます。
- ▼状態を表す評価点の目安|3代目 YZF-R1
- 評価点5 極上車
- 評価点4 年式並み
- 評価点3 難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
それでは、踏まえまして状態によって買取相場に差はあるのか?
3代目 YZF-R1|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
60万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
50万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
0台 |
40万円台 |
1台 |
0台 |
0台 |
0台 |
30万円台 |
1台 |
10台 |
0台 |
0台 |
20万円台 |
2台 |
15台 |
3台 |
0台 |
10万円台 |
0台 |
1台 |
1台 |
5台 |
(2018年3月時点で、買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
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フルカスタム車は60万円超もノーマルの買取上限は40万円弱
上記は、買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引金額をまとめた表です。
3代目(2002~2003年モデル)YZF-R1に区切って評価点別の取引価格帯を比較しています。
過去1年間で取引された3代目(2002~2003年モデル)の実働車は34台。評価点の内訳は5点=極上車が4台、4点=良好車が26台、3点=難有車が4台となっています。良好車が圧倒的に多いことが分かります。
先ず上記表で気になるのが、ダントツの高値である61.4万円で落札された評価点4の個体でしょう。
なぜ?その答えは高価な社外品にあります。純正品欠品という扱いで評価点こそ4点となっていますが、YZF-R1本体の価値に、多数の高価な社外品がプラスアルファとして計上された結果61.4万円で取引されています。
事実、第2位の取引金額であるR1は評価点5の低走行距離の車両でほぼノーマル状態です。このことからノーマルに近い3代目YZF-R1の取引上限額は40万円強であることが分かります。
評価点5の個体が下位の20万円台で2台取引されている点にも注目したいと思います。いつもお世話になっております。ずれの個体も評価点は高いものの走行距離が4万キロ台と5万キロ台と多走行である点が伸び悩みの理由となっています。
難有車両である評価点3の個体は10~20万円台で取引されているのに対して、大多数を占める評価点4の個体は20~30万円台に取引が集中しています。
事実、全体の平均取引額も29.2万円となっています。年式並み以上の良好車は買取業者の転売先である業者間市場で20~30万円台で鳥非k氏荒れるとみて間違いはないでしょう。
さて、上記はいずれも買取業者の転売金額である業者間市場での取引金額で、査定現場での買取額とは若干異なります。
買取業者の転売金額から、業者の経費(出品手数料や運送費など)と儲けを差し引いた額となり、正味の査定額は以下のようになります。
- ▼買取額のボリュームゾーン|国内仕様YZF-R1
- 極上車:~40万円/走行距離の影響も大
- 良好車:17~35万円
- 年式並:15~22万円台
事故車や不動車の上限買取額は10万円台
最上段の買取事例と同じ、不動車や事故車に目を転じてみると、2019年3月時点からの過去1年間で3代目(2002~2003年モデル)YZF-R1は5台の取引がありました。
取引の最高金額は17.1万円、最低額は10.6万円、平均取引額は13.6万円と、狭いレンジでの取引となっています。
最上位の17.1万円で取引されたのはエンジン故障の不動車で、実働化後の価値から実働化コストを差し引いた金額が概ね取引金額となります。
10万円台前半で取引されているのはフロントフォーク曲がりの事故車。最下位の10.6万円で取引されているのはフレーム損傷の全損事故車となっています。
踏まえて、査定現場での買取額はどのようになるのでしょうか? 上記はいずれも買取業者の転売金額である業者間市場での取引金額で、査定現場での買取額とは若干異なります。
買取業者の転売金額から、業者の経費(出品手数料や運送費など)と儲けを差し引いた額となり、正味の査定額は以下のようになります。
- ▼買取額のボリュームゾーン|国内仕様YZF-R1事故車・不動車
- 不動車:~10万円台
- 半損事故車:6~12万円
- 全損事故車:~8万円台
YZF-R1
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 26台
- 平均価格: 443,269円
- 最高価格: 744,000円
- 最低価格: 199,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 12台
- 平均価格: 394,333円
- 最高価格: 430,000円
- 最低価格: 254,000円
\相場情報:2012年6月12日時点
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上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。