買取させて頂きましたのは、2000年モデルのバンディット1200S。
バンディット1200シリーズの発売初年モデルで、当時のメーカー希望小売価格はスタンダードのネイキッドタイプであるBandit1200が81.9万円だったのに対して、ハーフカウルを装着した上位グレードのBandit1200Sは約3万円高い84.8万円でした。
2006年の油冷ファイナルが最終となって生産終了してから7年が経過し、2013年現在では平均買取額は約29万円となっているバンディット1200S。
査定させて頂きましたバンディット1200Sは2000年モデルとしては綺麗な状態を維持していたため平均相場以上の買取額となりましたが、外装の傷や要修理のエンジンが減点となり上位の買取額には至りませんでした。
はたして、要修理のエンジンオイル漏れや、外装の目立つ削れ傷などは査定額にどのような影響を与えたのか?
以下に査定内容のトピックをご紹介させて頂きます。
エンジン周り
バンディット・シリーズの中で唯一、油冷エンジンを搭載した1200cc。まずは4スト油冷4気筒のエンジンから査定していきます。
ブラック塗装が施されたシリンダーブロックは錆びや腐食も少なく2000年式としては綺麗です。対してキャブレターの腐食やラジエーターの錆などは年式並みといえるでしょう。
外観でマイナス査定となったのはジェネレーターカバーの細かい削れ傷と、エンジンヘッドカバーからのオイル漏れです。
オイル漏れについてはやや量が多いのでガスケットやマウントラバーの交換が必要にとなりそうです。
その場合、部品代+工賃で2万円前後がマイナス査定となってきそうです。
続いて機能面をチェックしていきます。セルで一発始動、始動性は良いようです。アイドリングで若干高回転に偏る傾向がありキャブレターの調整で改善する必要がありそうです。
加速・減速は滑らかで、ギアチェンジも問題ありません。機能的には良好でしたが、 要修理のオイル漏れ、要キャブレター調整、ジェネレーターカバーの削れなど影響して総合的には4点プラスの査定評価点となりました。
ハンドル/足回り
足回りは、フロントのブレーキディスクやキャリパー・ホイールにやや濃いめの使用感が見て取れます。前後サスペンションの機能には問題がありませんがインナーチューブには広範囲に磨き傷がついています。
使用感や傷が出やすいハンドルやステム周りですが、2000年式としては綺麗な状態を維持しています。丁寧に扱われていたことを示唆していて好印象を抱かせる状態です。
リア回りは、ホイールにやや使用感が感じられるものの、使用感が出やすいチェーンやリアショックも比較的綺麗な他、傷がつきやすいスイングアームにも目立つ傷はありません。
査定の評価点はフロント周りが4点プラス、リア回りが5点マイナスとなりました。
電装保安部品
電装・保安部品の基幹部品であるメーターとマフラーから見ていきましょう。
メーターグラスに若干曇り、メーターパネルに色褪せはありますが、先ず先ず綺麗な状態です。エキパイは年式並みの錆や焼けが散見されますがマフラーは2000年式としては綺麗な状態を維持しています。
細かいところでウィンカーレンズや、ヘッドライトレンズにやや目立つ傷がありますが、総合的には年式並み以上の評価点が付きました。
外装/フレーム
バンディット1200Sの特徴であるハーフカウルに親指大ほどの削れがあります。
タンク・テールカウル・ハーフカウル・フロントフェンダーと銀色の塗装は艶を保持しており状態が良かっただけに、遠目にも目立つ削れ傷が細かく買取価値を損ねていたのが残念です。
ただしノーマルシートの状態にも代表されるように2000年モデルとしては非常に良い状態を維持しており、外装の削れ傷が足を引っ張り査定評価点は4点プラスとなりましたが、 ポテンシャルは高く評価点以上の買取価値を弊社パッションでは見出しました。
外装の傷は、出し入れの差異に付いたそうで、転倒歴はないとのこと。ここまで拝見させて頂いて車体に転倒を示すような外傷は見れrませんでしたが、修復歴もないかも含めてダブルクレドールのメインフレームを 入念に拝見させて頂きました。
結果、修復歴や衝撃を吸収した痕跡、多走行車に時々見られるような足回りのねじねなどもなく、 接合周辺部のステップやスタンドなど劣化が現れやすい箇所も含めて綺麗な状態を維持していることが分かりました。
カスタム箇所
フルノーマル車両
総合評価と買取額
2000年モデルとしては年式並みよりも綺麗な見た目を保持していたバンディット1200S。
艶のあるシルバーの外装やフレームが高価買取を予感させましたが、ハーフカウルの目立つ転倒傷、要修理のエンジンヘッドからのオイル漏れ、要調整のキャブレターなどが主な減点対象となり、 平均買取相場は大きく上回りましたが、上位には届かない36.5万円の査定額での買取となりました。
【2019年1月追記】の買取相場情報
上記内容は2013年10月時点時点の買取事例です。
2013年10月時点の相場情報に基づいて算出された査定金額です。
2006年には型式変更(GV77A⇒GV79A)を伴うフルモデルチェンジが実施されましたが、2006年の油冷ファイナルが最終となり生産終了となったバンディット1200シリーズ。
(参考記事:
バンディット1200|型式とグレード別の買取相場)
はたして生産終了から13年が経過した2019年時点の買取相場はどうなっているのか?
2013年と2019年の相場を比較して、2019年であれば、いくらの査定額となっているか?
買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引データを使用して、2019年のバンディット1200Sの買取相場をご案内差し上げます。
業者間オークション市場での取引額とは、買取業者の転売額であり、また販売業者の仕入れ値です。つまり国内の中古バイクの相場は市場の取引額がベースとなっています。
【2013年 vs 2019年】バンディット1250F実働車の取引相場 |
【相場の変遷】 |
2013年 |
2019年 |
平均落札額 |
30.7万円 |
17.9万円 |
最高額 |
51.4万円 |
39.0万円 |
最低額 |
16.2万円 |
7.6万円 |
取引台数 |
66台 |
85台 |
【2013年 vs 2019年】事故車・不動車 |
平均落札額 |
8.6万円 |
6.8万円 |
最高額 |
18.4万円 |
14.4万円 |
最低額 |
0.3万円 |
6.9万円 |
取引台数 |
7台 |
9台 |
※2000~2006年の全年式のバンディット1250F。GV77A型とGV79A型と油冷ファイナルのABSを含んだ数字。
(2013年10月と2019年月1時点で、買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
買取相場は4割ダウン
2013年から2019年の6年間でバンディット1200Sの取引相場は激変いたしました。
業者間市場の取引額とは、日本のバイク販売業者の仕入れ値であり、買取業者の転売金額で、すなわち中古バイクの相場の基礎指標なのですが、その平均取引額を比較してみると、 2013年の30.7万円に対して、2019年は17.9万円。実に5年間で約4割も下落しています。
最高取引額も51.4万円から39.0万円に下落し取引額の上限も下がっています。
昭和ネイキッドや2ストレプリカのように絶版車でも相場がねあ上がりしている一部の絶版車とは異なり、系統的に下げ止まることはあっても値上がりは期待できないバンディット1200Sの相場。 売却は早めのタイミングが正解といえるでしょう。
GV77A型の買取相場の詳細
このページで紹介しているバンディット1200Sは2000年モデルのGV77A型です。
2006年のフルモデルチェンジで型式変更があり、型式変更の前後では買取相場が若干異なります。
以下からは、買取事例と同型であるGV77A型に特化した内容でご案内させて頂きます。
(参考記事:
バンディット1200|型式とグレード別の買取相場)
それでは、2019年時点での取引相場をより詳しく見るために、
買取価格を決定する最も重要な要素である『状態』
買取業界では、総合的な車両の状態を評価する点数があり、バンディット1200Sの場合は下記のような点数で状態を示すことができます。
- ▼状態を表す評価点の目安|バンディット1200S
- 評価点5 良好車
- 評価点4 年式並み
- 評価点3 難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
それでは、踏まえまして状態によって買取相場に差はあるのか?買取相場の前提指標である業者間オークション市場の取引データを見てみましょう。
【GV77A型】バンディット1200S|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
30~34万円 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
25~29万円 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
20~24万円 |
0台 |
3台 |
0台 |
0台 |
15~19万円 |
1台 |
21台 |
0台 |
0台 |
10~14万円 |
0台 |
19台 |
1台 |
0台 |
5~9万円 |
0台 |
3台 |
2台 |
3台 |
~4万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
2台 |
(2019年1月時点で、買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを過去1年間遡った数字)
2019年時点で直近1年間を遡ると、52台の実働車が取引された【GV77A型=2000~2005年モデル】のバンディット1200S。
全54台の評価点の構成を見ると、5点が1台、4点が50台、3点が3台、とほぼ全てが年式並みの個体で占められています。
また8割弱に当たる40台は10万円台で取引されています。このことはバンディット1200Sは8割弱の確率で市場で10万円台で取引されることを示唆しています。
2014年に買取いたしました、このページの事例にバンディット1200Sは、2019年の相場情報に照らすと、状態も上位に位置するため20万円弱での取引が予想されます。
市場での取引額は、買取り業者の転売金額であるため、そこから儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差し引いて17万円が、2019年時点で想定される査定額といえるでしょう。
バンディット1200S(GV77A/GV79A)
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 66台
- 平均価格: 307,548円
- 最高価格: 514,000円
- 最低価格: 162,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 7台
- 平均価格: 86,714円
- 最高価格: 184,000円
- 最低価格: 3,000円
相場情報:2013年10月16日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。