「アパートに放置されている持ち主も車種も不明のスクーターを回収してほしい」と処分回収のご連絡を頂きました。
「数カ月前に突然、正体不明の廃品のようなバイクが置かれていて。処分する張り紙しておいたんですが、持ち主も現れず、誰かが捨てていったようなんですが」
とお電話でご説明くださったのはアパートの管理会社の方です。
お電話頂いた当日の午後に査定のお約束を頂戴して、現場で拝見いたしました車両は、一見してスクラップと分かるオートバイ。
写真でもパット見て、おわかりいただけるよう、エンジンや後輪はなく押して動かすことができない状態。
車両状態を要約すると、フレーム+前輪。オートバイというよりはパーツの塊であります。
エンジンのない小型スクーターとはいえ、嵩があり数十キロの重量はあるので台車をかまして動かす必要がありそうです。
特定できない車種名
先ずは、車種を特定するべく、フレーム番号を探しますが、フレームを隈なく探してもフレーム番号が刻印されていません。
念のためフロントフォークもチェックしてみますが、フレーム番号はありません。
見た目は全くのスクラップであっても、車種によっては査定価格が付いて処分回収ではなく買取となるケースがございます。
車種を特定しないことには、車両の基礎的な価値が分からず、適正な査定価格を下しにくいので。ここは何としても車種を特定する必要がございます。
失念していました。フレーム番号が刻印されていない車種といえば・・・。
BWS100はエンジン番号が車台番号を兼ね、エンジン番号をフレーム番号扱いとして登録されている車両もあり、フレーム番号はありません。
BWS100の線で残存パーツを識別していくと・・・
ウィンカー一体型のブレーキランの形状、ステップボードのデザインはBW'S100で。アパートに放置されている車両はBW'S100で間違いないと思われます。
ただしフェンダーやフロントフォークや前輪の形状はBW'S100とは異なり、フロントフォークから下は他車種のものを流用していると思われます。
BW'S100と思われるが、市場的には車種不明扱い
放置車両の買取や引き取りにおきましては、盗難車ではないことが大前提となりますので、車体番号から盗難車両照会をして盗難車でないことを何よりも先に確認する必要があります。
ですが、回収処分を依頼されているBWS100はエンジンが欠品しているため車両の固有情報がありません。
盗難車両であるかの照会も、廃車手続きも、再登録も、車両の固有情報を示す材料が何もない、ただのパーツです。
BWS100ではあると認識できますが、それを証明する材料は皆無で、市場価値としては、車種不明のオートバイの部品という位置づけになります。
車種不明のパーツ価値と処分回収費用
オートバイに残っている主だった部品を列記すると、
・書類や固有情報のないフレーム、
・車種不明の前輪周辺、
・メーカー不明の社外シート、
・BW'S100のステップボード
となります。
いずれも良品が数千円程度で流通しているパーツです。
下段で相場情報をご案内していますが、完品の実働車の買取相場が数万円であるBW'S100。
エンジンが始動しない不動車となると、完品でも数千円からの買取相場となっています。
そのような前提を踏まえると、フレーム+前輪関係のBW'S100のパーツに商業的な買取価値がないことは明白です。
せめて、流通価値が若干高いフレームが綺麗であれば無料に近い格安での引き取りができた可能性はありますが。
目視でも歪んでいる状態のフレームに商品価値を見出すことはできませんでした。
弊社で回収しても、貿易業者など転売先への売却値は千円程度となる見込みです。
運送費や手間賃を考えると処分費用を頂戴しての回収にならざるを得ません。
結果、引き取り処分回収費用を頂戴して引き取りさせて頂きました。
お客様のご感想と処分回収後記
車両の固有情報がなく、持ち主を辿ることが不可能な状態の放置車両でしたが、サインを頂かないことには引き取り回収をすることができません。 今回は所有者様に代わって、処分回収をご依頼いただきました管理会社のご担当者様にサインを頂戴いたしました。
「住民の方の苦情も多いんですけど。勝手に処分するわけにもいかなくて。私有地で警察も動いてくれないし。手順を踏んで2カ月張り紙して。」
「本部に連絡したら、他の管路物件でお宅のお世話になったことがあるとかで。名刺をFAXで送ってもらって。」
「こんなに簡単に終わるんなら、もっと早くお願いしとけば。」と弊社にご依頼くださいまして経緯を教えてくださったご担当者様。
管理会社様経由ではリピートのご依頼だったのですね。ご依頼とご対応を誠にありがとうございました。
今回も放置車両の引き取りとしては、格安の処分料金にて、ご連絡を頂戴した当日に引き取りさせて頂くことができました。
実働車だといくらで売れるのか?適正相場
今回処分費用を頂戴して引き取りさせて頂きましたBW'S100ですが、実働車であればどのような査定金額になるのでしょうか?
買取業者の査定価格の指標であり、販売業者の仕入れ値であり、つまり日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、BW'S100の適切な買取相場をご案内差し上げます。
状態別の買取相場
2002年モデルが台湾ヤマハで製造されていたBW'S100。 状態別の市場での取引金額を纏めたのが下記表になります。
- ▼状態を表す評価点の目安|BW'S100
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み・やや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
BW'S100|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
7万円台 |
1台 |
0台 |
0台 |
6万円台 |
2台 |
1台 |
0台 |
5万円台 |
4台 |
3台 |
1台 |
4万円台 |
7台 |
6台 |
5台 |
3万円台 |
4台 |
8台 |
8台 |
2万円台 |
1台 |
1台 |
8台 |
1万円台 |
0台 |
1台 |
8台 |
千円台 |
0台 |
1台 |
1台 |
(2018年5月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)<
実働車のボリュームゾーンは1~4万円台
直近1年間に40台の実働車が取引されたBW'S100。
取引された全40台の評価点は3か4のいずれか。15年以上前の100ccとしては一般的な傾向です。
取引金額も04~7.2万円と比較的コンパクトで、全体の7割に相当する32台は3~5万円台で取引されていています。
3~5万円台がBW'S100が市場で鳥非k氏荒れる金額のボリュームゾーンであることが分かります。
市場で3~5万円台で取引されるということは、査定現場での買取額は幾らになるのでしょうか?
買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差し引くと、1~4万円台が買取金額のボリュームゾーンといえます。
不動車でも完品であれば買取対象
事故車や不動車など実働状態にない車両を表す評価点1のBW'S100は、直近1年間で31台が取引されています。 金額は0.9~5万円と実働車よりもさらにコンパクトで、全体の9割超は1~4万円台で、取引されています。 市場で1~4万円台で取引されるということは、査定現場での買取額は幾らになるのでしょうか?
買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差し引くと、0~3万円台が買取金額のボリュームゾーンといえます。
因みに取引された全31台のBW'S100全ては欠品のない完品の状態です。
このことはBW'S100は不動車であっても完品であれば、査定金額が付いて買取対象となることを意味します。
ではなぜ?今回引き取りさせて頂いたBW'S100は処分費用が必要だったのか?
今回引き取りさせて頂きましたBW'S100は、市場においては車種不明のパーツ扱いとなり、BW'S100での取引対象となりません。
仮にBW'S100と証明できる状態であったとしても、欠品パーツの方が多く、完成車両ではなくパーツ扱いでの出品となります。
その場合の取引値はよくて1,000円。運送費や出品手数料を差し引くと赤字になります。パーツにばらして出品すると取引回数が多い分だけ出品手数料が多くなり赤字が膨らみます。
今回、回収させていただきましたBW'S100を業者間市場に出品して売却する場合は、実質的には損切の処分代行の出品となります。
フレームが使える状態であれば、無料引き取りも視野に入る余地はあったのですが、フレームに歪みもあり、それゆえに処分費用を頂戴しての回収となりました。
BW'S100
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 40台
- 平均価格: 41,450円
- 最高価格: 72,000円
- 最低価格: 4,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 31台
- 平均価格: 27,032円
- 最高価格: 50,000円
- 最低価格: 9,000円
相場情報:2017年5月18日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。