20年ほど前に依頼主様の敷地の隣にマンションが建つことになりました。
その敷地は依頼主様の駐車場代わりに使用されており、今回のCB250もそこに野晒しで置いてあったそうです。
マンションの建設が始まった際、作業員の手によって現在の場所へ移動してもらったとのことですが、工事が終わってみると、最狭部の通路幅は30センチぐらいになってしまったそうです。
通路の狭い部分は痩せている人が何とか出入りできる幅しかありません。当然バイクは細かく分解しないと30cmの通路を通過できません。
それ故に、搬出する部品が全て30cm未満になるようにスタッフ2人がかりで作業に当たりバイクを解体してパーツ単位で運び出す必要に迫られたという訳です。
当社は年間に5000台近いバイクを買取したり処分引取り回収していますが、このような事例ははじめてで何とも特異なケースでございました。
車両の状態も、両側から建物によって換気が遮断され湿度の高い環境で約20年放置され、腐食が進んだ末期状態で発見されることとなりました。
以下、今回拝見させていただいたホンダ・CB250の車両詳細となります。
※写真は弊社整備工場にて分解したパーツを再度組み上げた後に撮影した車体となります。
分解しないと搬出できない状態って??
20年ほど前に依頼主様の敷地の隣にマンションが建つことになりました。
その敷地は依頼主様の駐車場代わりに使用されており、今回のCB250もそこに野晒しで置いてあったそうです。
マンションの建設が始まった際、作業員の手によって現在の場所へ移動してもらったとのことですが、工事が終わってみると、最狭部の通路幅は30センチぐらいになってしまったそうです。
通路の狭い部分は痩せている人が何とか出入りできる幅しかありません。当然バイクは細かく分解しないと30cmの通路を通過できません。
それ故に、搬出する部品が全て30cm未満になるようにスタッフ2人がかりで作業に当たりバイクを解体してパーツ単位で運び出す必要に迫られたという訳です。
当社は年間に5000台近いバイクを買取したり処分引取り回収していますが、このような事例ははじめてで何とも特異なケースでございました。
車両の状態も、両側から建物によって換気が遮断され湿度の高い環境で約20年放置され、腐食が進んだ末期状態で発見されることとなりました。
以下、今回拝見させていただいたホンダ・CB250の車両詳細となります。
※写真は弊社整備工場にて分解したパーツを再度組み上げた後に撮影した車体となります。
足回り
20年以上放置されて多湿にやられてスポークホイールが原型を留めないほどに朽ち果てておりました。
ここまで錆びて崩れているホイールは処分費用を頂戴して回収するスクラップ車両の中でも相当な部類です。鉄としても素材価値すらありません。
できる範囲でハンドルを押し下げ、ダンパー圧をチェックしてみたところ、動きはほとんどなし。
ちょうど自転車のような全く手応えのない状態であり、再利用化は絶望的なほどに傷んでおりました。
当然ながらリアショック・ディスクローターもサビ・腐食にやられ切ってしまい、足回りに関しては車両価値ゼロという結果に。
外装
こちらも多湿によるサビ・腐食に覆われ、生き残っている箇所が皆無と思えるほど劣化が進んでおりました。
また、マンションの建設が始まった際、搬入資材が当たってできたと思われるエクボがタンク右全面にあり、その他数箇所資材によるものと思われる当てキズがありました。
金属製サイドカバーもサビによって全面が茶色く覆われ、外装に関しても再商品化は絶望的な状態でした。
エンジン周り
耐熱処理などが施されている仕様上、外装ほど茶色くはなっていないものの随所に重度のサビと腐食が発生。
キャブレターからはドス黒く濁った液体が滴り落ち、O/Hしても再利用できるかどうか怪しい状態。
このサビ・腐食はエキパイ・キックレバーなどの箇所にも及び、エンジンについても再生できる見込みは低いと判断させていただきました。
作業途中でキックレバーを押し込んでみたところ、キックの圧縮はなく内部で問題を抱えているようです。機会なので時間とコストを掛ければ再生自体はおそらく可能ですが、 商売としては採算が合わず商品価値としては計上できず、こちらも評価はつけられませんでした。
フレーム回り
余談ですが、分解時作業時にフレームとエンジンの隙間からはサビと土砂を養土として生えてきた雑草が顔をのぞかせていました。
重度のサビによって表面がボロボロになってしまい、フレームの表面はチョコフレークのようにボロボロと剥離しておりました。
一部箇所では本来の2/3程度の細さまで削げ落ち、強度的な不安あり。
「ドリームCBシリーズ」の一員として、それなりの車両価値を持つCB250ですが、このような状態ではレストア用フレームとしての再商品化も難しく、事故全損と同等の評価をすることに。
更に廃車証も紛失している状況ですので、書類もなしでフレーム価値は0.スクラップフレームとして処分対象に。
こちらも外装同様に蔓草がしつこく絡みつき、分解作業の上でも難箇所となっておりました。
電装/保安部品
経年によるサビ・腐食は電装・保安部品にも影響を及ぼしており、各種ケーブル類は所々に敗れが発生。
そこから覗くケーブルはサビに侵され、電装系も価値を見出すことは難しい状態になっておりました。
当然ながらバッテリーも完全に死んでおり、保安部品の作動状況も確認できず。
ウインカー・前後ライトもサビによるネジ折れ等で取り付け位置が歪み、電装系の状態から判断してすでに全滅している可能性大という判定になってしまいました。
その他
長期放置によって発生した大きなシート破れから内部のスポンジ素材が剥き出し状態になっており、風雨と多湿にさらされ、完全に風化しきっていました。
拝見時にはこの風化したシート材による黄緑色の粉が車体全体に飛散し、この環境の劣悪さを何よりも雄弁に物語っておりました。
ホンダ純正オプションと思われるリアキャリア等が装着されておりましたが、こちらもやはりサビ・腐食にやられ、一部には完全に穴が空いている始末。
さすがにこの状態では単なる鉄屑扱いにしかならず、パーツ価値として計上できる内容も皆無でした。
有償での処分回収となったCB250スクラップ車の総合評価
以上が今回のホンダ・CB250の査定チェックポイントですが、少なく見積もっても20年以上の放置期間がある上、劣悪な環境下にあったことでサビ・腐食が進行し末期状態を迎えておりました。
しかも、マンション高層部の住人によるものと思われる飲食物の残滓で部分的な劣化箇所も多く、希少な旧車とはいえ、買取での対応は不可能な状態となっておりました。
また、隣のマンションとの隙間が30cm弱しかないことから、車両をこの場で解体し、手作業で分解パーツを運び出していくしか引き上げ方法がないことから、依頼主様に廃車処分費用を頂く形でお請けすることとなりました。
それでもスタッフ2人掛かりで行う作業費用としては格安の16,200円のみで処分させて頂きそれ以上のご負担なしという形で引き上げさせて頂きました。
今回のような難易度の高いケースは非常に稀ですが、熟練のスタッフが査定にお伺いする弊社パッションであれば、こうした分解作業を経て廃車処分させて頂くことも可能となっております。
- ▼高額な処分回収費用が必要となった理由
- 査定員2人係での作業で車両を分解して、30cmの通路幅を部品単位にして運び出す作業費用
- エンジン・フレーム・外装など全てに至るパーツが商品として再利用不可のスクラップ状態
お客様のご感想と、解体しての搬出並びに引取り処分 後記
「亡くなった主人が所有していたバイクなのですが、ほとんど目につくことのないこんな隙間に置かれてしまったため、家が潰れるまでこうしておくしかないのかと諦めかけておりました。 引き受けてくださって本当にありがとうございます」という言葉とともに、作業後の弊社スタッフに温かいお茶を振る舞って頂きました。
依頼主様のご主人は、車・バイクが殊の他好きだったそうで、生前はダルマ(セリカGT)を所有しておられたようです。
このCB250もそうしたコレクションの1台だったようですが、再生の夢叶わず不本意にも劣悪な環境に置かれ、車両の価値を見いだせない状態であったことを残念に思います。
今回は信じられないような事例で、名機である旧車にもかかわらず高額な処分費用を頂かざるを得なかったたのは、引取り回収費用に加えて極小空間での分解と搬出作業の工賃も計上する必要があったためです。
スタッフ2人がかりで鉄屑となったバイクを分解して運びだし回収する費用が16,200円であれば、その費用がどれだけ格安であるかはお分かり頂けると存じます。
せめてもの名機への思いで引取り回収後に再度組立いたしましたが、この状態で買い手が付くか貿易業者を中心に弊社の様々な販路で現在交渉中です。
CB250 査定相場
今回の車両は特異な状況下での分解搬出と、劣化を極めたパーツ価値すらゼロのスクラップ車両として回収処分費用が必要な状態でしたが、 名機であるドリームCB250はエンジンやフレームなど基幹パーツに再生価値があればそれだけで買取対象となる、車種の価値が高い旧車です。
では実働車と、パーツ価値のある車両でそれぞれ」どのような買取金額となるのか?
業者間市場の取引データを基に、CB250の状態別の買取相場をご案内差し上げます。
- ▼CB250の評価点の目安
- 評価点4 状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み
- 評価点2 実働車だが難多い
- 評価点1 事故車や不動車
評価点別のCB250の査定相場の比較 |
評価点/ 落札価格帯 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
30万円台 |
2台 |
1台 |
0台 |
20万円台 |
1台 |
1台 |
0台 |
10万円台 |
1台 |
4台 |
1台 |
~10万円 |
0台 |
0台 |
2台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
12か月内で全10台と少数ですが、生産期間が2年未満と短かったため、実動車を扱う定例オークションではこれが平均的な台数だと言えます。
最高取引価格は評価点4をつけた車両の35.0万円で、こちらは年式相応の経年劣化が見られる車両状態でした。
一方、最低取引価格となったのは評価点3の車両で、こちらはかろうじてエンジンが始動できるといった程度のかなり使用感が出て言えた状態が影響し、11.6万円に留まりました。
生産終了からそれなりの歳月が経過しているため、純正パーツの欠品が目立つ傾向にありますが、公道を走れる最低限の状態であれば、それなりの買取価格が期待できると言えます。
上記は業者間市場での取引価格なので、査定現場で実際に提示される買取価格は、上記から買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費)が差引かれた額となります。 具体的には年式並みの車両であれば、10万円台の買取価格が中心となり、やや状態の良い車両であれば20万円台、極上車であれば30万円台まで査定価格が伸びることが読み取れます。
続けて、不動車・事故車を意味する「評価点1」の車両の取引データを見てまいりましょう。
こちらも生産台数の少なさから取引台数は少な目ですが、出品されれば必ず開始価格より入札が入り、旧車としての注目度の高まり具合が伺えます。
最低取引価格は2017年5月の5.6万円ですが、2017年10月の最高取引価格は17.0万円と大きく跳ね上がり、程度状況の差を考えた上でも今後に期待が持てます。
現時点ではカワサキ・Z1のように、蚤車両が出品されないというほどではありませんが、今後の状況次第では十分値上がりが期待できる車種のひとつと言えます。
評価点1の車両もすべて、完品で難易度の高くない修復で実働車となるレストアベース車です。
最低落札価格5.6万円お車両も錆びは目立ちますが、エンジンやフレーム含め外装も再利用価値があり、パーツ取りというよりは車両を修復して実働車にするレストアベース車です。
レストアベース車でも劣化が目立つと3万円程度の買取価値になる相場環境に照らしでも、今回のスクラップ車両の処分費用がいかに格安であるかお分かり頂けると思います。
サンプルデータの少なさ、生産台数の少なさからもホンダ・CB250は買取業者による見極めが難しい傾向にあります。
弊社パッションでは旧車の買取に非常に強く、自社販売店を含めた販売網を駆使することで、相場を上回るお値段をつけさせて頂くことも可能となっております。
お気軽にご連絡くださいませ。
CB250 豆知識
ホンダ・CB72&CB77のイメージを受け継ぎ、クロムメッキ仕上げの質感の高いパーツを装着して、デビューしたものの、のちの名車となるCB350F・CB400Fourに後を託して1970年に生産を終えたCB250。。
今回の事例ではスクラップ車として処分回収対象となってしまい非常に残念な結果となってしまいましたが、生産終了から50年近い月日を経た今日現在、250ccクラスの旧車として中古相場で値上がりを続けています。
1960年に製造されたCB72スーパースポーツをフルモデルチェンジし、第2世代CBとして68年に登場したのがホンダ・CB250です。
デビューと同時に350ccエンジンを搭載した上位グレードのCB350がリリースされ、のちにドリームCB350Fへ進化していきました。
質感の高いメッキパーツ、CB72の面影を色濃く受け継いだカフェレーサースタイルは、CBシリーズの原点らしい美しさがあり、ヨンフォア仕様カスタムなどが人気を集めております。
生産期間がわずか2年と短かったため、現存する車両数は少数ですが、今後の価格高騰も十分に予想される注目の旧車のひとつです。
ドリームCB250(フレーム型式CB250)
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 10台
- 平均価格: 225,200円
- 最高価格: 350,000円
- 最低価格: 116,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 3台
- 平均価格: 105,333円
- 最高価格: 170,000円
- 最低価格: 56,000円
相場情報:2017年12月21日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。