廃車処分のご依頼を頂いたのは、写真でもご覧いただける通り、錆びと腐食を極めたFZ400R。
一見してスクラップとわかる状態で、FZ400Rの相場的に買取は無理と判断できました。
あとは、無料で引取りできるのか?どれくらい安い処分費用で回収できるのか?
細かく見ていきましょう。
タンクの亀裂/始動しないエンジン
タンクから垂れているのは錆びの液なのか? 手に取って臭いを嗅いでみると、粘性があり腐ったガソリン独特に臭いが。 転倒によるものかのか?錆びで脆くなったのか?亀裂の入っているガソリンタンクから揮発して粘性が高くなったヘドロ状のガソリンが垂れています。
タンクのキーシリンダーはイタズラされて壊されています。鍵が回りません。
ガソリンタンクは商業的に価値が見いだせず処分対象品扱い。
腐食を極めたエンジン回り、腐ったガソリンが固着しかかっているキャブレターも腐食を極めています。取付ボルトやネジ類も錆びで固着箇所多数。
クランクケースにはガリ傷もあり、エンジン底部までびっしりと腐食で覆われています。
亀裂の入ったタンクは欠品扱い、エンジン単体でもこの状態だと車種の相場的に商業的な価値は見いだせません。
極めた錆び腐食や風化
ハンドルの錆び
もやは鉄の強度はありません。部品としての価値もなくまさに処分対象品。
腐食で真っ白になっているのはブレーキフルードタンク
錆びで当初はスプロケと固着していたチェーン。腐食を極めているリアホイール。腐食を丁寧に研磨して落とせば多少の価値はありますが、研磨費用は回収できず処分品扱い。
点錆びのあるフロントフォークからは大量のオイル漏れもあり前輪のブレーキキャリパーやディスクローターにまでオイル漏れ痕があり、 荷重してフロントフォークを縮めてみるとスカスカで本来の機能を失っています。機能的には要オーバーホールですが、オーバーホールコストが再生後の価値を上回るため価値を計上できません。
ダウンチューブやメインフレームと骨格の錆びも激しく、本来は白いフレームですが茶色で覆われています。同様にラジエーターカバも錆び一色。
車種の相場的に、この状態だと価値は見出せません。廃車証紛失という事で、再登録不能の商業価値のないフレームではあるのですが、たとえ廃車証があったとしても評価に殆ど差はありませんでした。
センターカウルは両サイド欠品していますが、残ってい折るシートカウルは色褪せが激しくカウルずれや細かい傷が多数あります。
引取り後の販路と処分回収費用
上記には出てこなかったマフラーやブレーキキャリパーなども損傷や劣化が多く、パーツ単位としても価値を計上するのは難しい状態でした。
パーツ価値としては、計上できるものもありました、例えばウィンカーレンズなどです。しかし流通価値のないエンジンやフレームなどの処分費用を賄うには至りませんでした。
どうやって処分費用を格安で纏めるか。引き取り後の販路と販売価格から逆算する必要があります。 下段でFZ400Rの相場をご紹介していますが、相場的には国内のルートでは値段が付かず流通しません。
弊社販売店での部品取りでもほとんど価値が計上できません。
あとは海外貿易で大口のお得意様価格で1,000円付くか付かないかといったところでしょう。
転売価格が1,000円未満となると、運送実費に気持ち儲けを載せさせて頂いて、1万円以上の処分費用は発生してしまいます。
ウィンカーレンズやフロントフェンダーなど、そのまま利用できそうなパーツを弊社販売店で買取し、その後、貿易業者に1,000円程度で売れれば数千円の価値にはなります。
運送実費や儲けを多少考慮させて頂き、8,400円の処分改修費用でご提案させて頂きました。
お客様のご感想と処分回収後記
「最後に動かしたのはいつだったか?」と帰省先のご実家で長らく置かれていたFZ400Rの査定に御立会いくださいましたオーナー様。
「何なら直しちゃおっかな~くらいに思ってたんだけど。処分しろと言われ続けててさ、遂に20年ぶりくらいに対面したら驚くボロさで。その金額で持って行ってくれるなら助かるねえ。」 と処分費用にご快諾頂き回収させて頂きました。
FZ400Rの買取相場
中古車の本体価格のボリュームゾーンが30万円台となっているFZ400R。売るとしたらいったいどれくらいの値段が付くのか?
実働車の場合。1つの目安として店頭小売価格の1/3が買取相場となっています。
販売業者は、業者間市場を通じて仕入れた価格の約2倍の値付けをして販売します。
仕入れ値は即ち、買取業者の売却額でもありますので、そこから買取業者の経費や儲けを差引いた買取額は店頭販売価格の3分の1程度になるというのがその理屈です。
30万円台前半が平均的な販売価格とすると、実働車の平均的な買取相場は10万円程度となるでしょう。
本当にそうなのでしょうか?
日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場のデータを使用して、FZ400Rの状態別の買取相場をご紹介いたします。
- ▼状態を表す評価点の目安|FZ400R
- 評価点5 極上車
- 評価点4 状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み・若干の難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
FZ400R|市場での取引データ |
取引価格 |
評価点 |
状態 |
12万円 |
3点 |
エンジン不調 外装綺麗 |
9.2万円 |
3点 |
外装綺麗 傷やや多い |
8万円 |
1点 |
不動車 足回りに劣化目立つ |
3.6万円 |
1点 |
不動車 足回りに劣化 |
3.4万円 |
1点 |
不動車 錆びや色褪せ目立つ |
1.6万円 |
1点 |
エンジン故障 外装綺麗 |
1万円 |
1点 |
不動車 外装綺麗 メータやハンドル・シートル欠品 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
過去1年間に、実働車は2台の取引しかかなかったFZ400R。
年式並みの車両が2台、9万円と12万円で取引されていています。年式並みの車両だと10万円程度の取引価格になるとみてよいでしょう。
状態の良い車両となると10万円台後半~20万円台まで上昇する余地もあるでしょう。
評価点1の事故車や不動車に目を転じると、過去1年間に5台が、1万円~9.2万円のレンジで取引されています。
5台の内、4台は1万円台~3万円台のレンジで取引されています。
取引されている車両はどれも修理やレストアで実働化して商業的に再販できるポテンシャルがあります。
今回引取り処分させて頂いたFZ400Rとの差異もそこにあります。
数万円で修理して、10万円付近で売れる状態に回復する余地がある車両の取引となっています。
最低額を付けた1万円お車両でも、見た目は綺麗で、メーター・ハンドル・シート・ヘッドライト・ウィンカーなどを取り付ければ再販できる状態です。
上記を踏まえてまとめると、
年式並みのFZ400Rの取引は10万円前後。不動車の場合は車両のポテンシャルや実働化コストに応じて1~8万円(ボリュームゾーンは1~3万円台)程度の取引相場となっています。
上記は、業者間市場での取引価格ですので、買取相場は、買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)で数万円程度を差引いた額となります。
つまり、年式並みのSF400Rの買取相場は7~10万円程度。不動車の平均的な買取相場は数千~1万円台程度です。
因みに下記の写真は1.6万円で取引されていたFZ400Rの不動車です。
今回、処分費用を頂戴して回収させて頂いたFZ400Rと比べるとまさに雲泥の差。
同じ不動車でも1.6万円で取引されている上記写真の車両が格別に綺麗で実働化への道筋も近いことは一目瞭然です。
どう頑張っても修理費用が再販価格を超えてしまう、商業的なレストア不能車として処分費用での査定金額となりましたが、 それでも相場を見ると、今回の処分費用がいかに格安の料金であるかがご理解いただけるかと存じます。
パッションはいつでも相場以上の金額でお客様のご期待にお応えいたします。あらゆる販路を駆使しても無料引取りがかなわず、やむを得ず処分費用が掛かる場合でもその費用は相場と比べて格安であることを保証しています。
FZ400R(フレーム型式MC40)
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近3ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 2台
- 平均価格: 106,000円
- 最高価格: 120,000円
- 最低価格: 92,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 5台
- 平均価格: 35,200円
- 最高価格: 80,000円
- 最低価格: 10,000円
相場情報:2018年2月10日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。