ヤフオクで1万5千円で落札されたNZ250だそうですが、必要な部品が取り外された状態で商業的な価値を完全に失った残骸と化していました。 希少車として低値で取引される車種的な価値。 そして一目見た車両状態からお値段をお付けすることは難しいく処分費用を頂戴しての回収になると推測できました。
さっそく、査定内容の詳細をご案内させていただきます。
外装
「もともとは薄い水色だったんだけど。主に外装が欲しかったんで」とはオーナー様のお言葉。
現在は外装パーツが全て欠品しているため知る術があえいませんでしたが、元来はスポーツバイクのメーカー塗装としては非常にユニークな水色/白のカラーバリエーションだったそうです。
水色のタンク・サイドカバー・シートカウル・前後フェンダー・前後フェンダー、そして白いシートと外装類は全て欠品となっているため評価する項目がありません。
ユニークな配色だけに外装類が完品で評価ができたのですが、残念ながら外装の価値は皆無となっていました。
エンジン
電装系が無く、キャブレターも欠品しているためエンジンが始動しないことは一目瞭然の状態です。
専用設計された油冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒エンジンは高回転まで回り当時の単気筒250ccとしては本格的な仕様だったのですが、
車種的な価値が高くないため、実働状態のエンジンですら積み下ろしの工賃を考えると部品単体としては商業的な価値は限定されるのが実情です。
キャブレターにジェネレーターカバーにギアも欠品している不動エンジンとなると趣味として修理することは良いと思いますが、 商業的には価値のないエンジンとなりますので処分回収の対象となってしまします。
足回り
スポーツバイクとしてのエンジン性能との対比が面白い17インチのスポークホイールを履いた前後の足回り。
固着気味ですが残っているリアのドラムブレーキに対して、フロントのフロントのディスクブレーキ一式がなくなっています。
抜けているフロントフォークは要オイル交換の状態。リアのサスペンションは現状での使用可能ですが、錆が強く劣化は進んでいます。
希少車での高額で取引されている旧車であれば、このような状態でも十分に価値があり査定価格をお付けできるのですが。
いわゆる珍車として実働車でも知れた取引金額となっているNZ250ですと、パーツにばらしてもこの状態だと商業的な価値は二束三文といえます。
フレーム
「部品取り用途だったので、書類なしの安いものを選んで落札しました」とはオーナー様のお言葉。
まずは取引できる車両なのか?盗難照会して盗難車ではないことを確認する必要があります。
フレーム番号を弊社販売店に伝えてその場で照会。盗難車ではないとのこと。一安心ではありますが、この時点で残念ながら無料での引き取りは叶わず、有償での処分回収は確定してしまいました。
書類がなく、書類の再発行も不明な状態のフレームは、国内では再販価値のない鉄くずと化してしまいます。
またNZ250であることを証明する書類がないということで車両の価値は、一気に下がってしまいました。
電装・保安部品
配線類は点火系の配線が垂れ下がっていますが、バッテリーとメインハーネスは欠品。パーツ自体がなく価値を計測できない状態。
保安部品は、メーター・ヘッドライト・テールライト・前後左右のウィンカー・ミラーが欠品。
唯一残っていたのは、転倒傷の目立つノーマルマフラー。車種的な価値から逆算しても二束三文のパーツに留まりました。
総合評価と処分回収費用
以上が各部位の査定内容ですが、
価値の面で致命的だったのは再発行不能な状態で書類がなかったこと。
パーツ単位で再利用できそうなのは、使用感の色濃い、前後ホイール・リアサス・マフラー。
書類付きのフレームが加われば無料引き取りに近くなる余地もありましたが、実働車でも数万円の買取額に留まるNZ250にあって数点の劣パーツだけでは、処分対応とならざるを得ません。
個人的な趣味で分解して売買して余った鉄屑パーツは保管しておく手もあると思いますが、商業的には採算が取れません。
今回のオーナー様が最終処分されるのもご同様の理由だと思われます。
最も効率的な転売先としては現状渡しでの海外貿易。1,000円程度の値段での転売になると思われます。
諸経費実費に多少の儲けを上乗せさせていただきまして6000円の処分回収費用を頂戴して引き上げさせて頂くこととなりました。
お客様のご感想と処分回収後記
「6000円なら処分お願するよ。持ってって。」と処分費用にご快諾頂いて、その場で引き上げさせて頂く事となりました。
「2年前に1万5千円で落札した車両だからね。必要なものから念のためのストック用まで価値がありそうなパーツは一通り取り外したから、価値がないのは俺が一番よく知ってます。」とはオーナー様のお言葉。
「そろそろ買い替えや手放そうと考えているバイクも何台かあるから、そのときは買取でまた頼むよ」とお声がけいただきました。
次回は処分費用ではなく、高額の買取価格でご期待にお応えさせていただきます!
NZ250はいくらで売れるのか?適正相場
今回は残骸パーツの塊ということで有償での回収となったNZ250ですが、仮に完品の実働車であった場合はいくらで売れるのでしょうか? 買取業者の査定価格の指標であり、販売業者の仕入れ値であり、つまり日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、NZ250/NZ250Sの適切な買取相場をご案内差し上げます。
以下の表は直近1年間に取引されたNZ250とNZ250Sの全車両の概要です。
NZ250と共通の車体にハーフカウルを装着したバリエーションモデルのNZ250Sもカウントしています。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|NZ250
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み・やや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
NZ250|評価点別の中古取引相場 |
落札価格 |
評価点 |
走行距離 |
色/状態 |
7.0万円 |
3.5点 |
1.7万km |
赤/年式並 |
6.8万円 |
3.5点 |
2.6万km |
水色/年式並 |
4.8万円 |
3.5点 |
5.2万km |
赤/年式並 |
1.1万円 |
点 |
万km |
不動車 |
0.3万円 |
点 |
万km |
不動車 |
(2018年6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
直近1年間で、NZ250とNZ250Sを合わせて5台の取引しか確認できませんでした。
1986年モデルとして1500台弱程度生産されたNZ250ですが、2018年現在では中古での取引が殆どなくまさに希少車といえるでしょう。
ただし取引価される金額には希少性は盛り込まれておらず、価値的には珍車の部類に入るといえるでしょう。
上記は取引された5台のNZ250とNZ250Sの状態です。
取引された実働車の3台は、劣化が目立つものの1986年式の車両としては年式並みといえる状態でいずれも評価点では3.5点となっています。
実働車の取引金額は、4.8~7.0万円となっています。
取引金額が下位の2台は不動車となっていますが、1.1万円と0.3万円で取引されています。
1.1万円の車両は年季の入った劣化がありますがキャブ洗浄やバッテリー交換でエンジンは始動しそうです。
0.3万円で取引された個体はさらに劣化が激しく、完品ではありますが部品取り用途に近い状態といえます。
以上が、直近1年間で取引されたNZ250とNZ250Sのデータです。
データとしては少なく傾向としては弱いのですが、実働車は4.8~7.0万円で取引され、不動車は1万円程度で取引されています。
上記は、市場での取引額であって、査定現場での買取額ではありません。
市場での取引額は、販売業者の仕入れ値であり、買取業者の売却値ですので、査定現場での買取額は市場での取引額より安くなります。
どれくらい安くなるかというと?
価値の低い250ccクラスの車両では、買取業者の経費(出品手数料や運送費など)と儲けとして、市場の取引額から1.5万円程度差し引いた額となります。
その結果、実際の買取額は実働車でも数万円。不動車となると完品の状態であってもお値段がつけられない車種であることがお判りいただけると存じます。
上記の相場から、今回のスクラップ車両の処分費用が格安であることがお判りいただけるかと存じます。
NZ250/NZ250S
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近24ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 3台
- 平均価格: 62,000円
- 最高価格: 70,000円
- 最低価格: ,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近24ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 2台
- 平均価格: 7,000円
- 最高価格: 11,000円
- 最低価格: 3,000円
相場情報:2018年6月10日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。