「5台ほど動かないバイクを処分したいので、廃車手続き込みで無料で引き取って欲しいのですが、来てもらえますか?」と複数台の引き取り回収に関するご相談をいただきました。
その中に含まれていたのが事故車となって以降、10年以上放置されていたホンダ・ジュリオでした。
外装の状態が重要な要素を占める車種にあって、事故によって外装類に限らず歪みや割れ欠けが多く、10年放置されていた傷みが全体に漂い、エンジンは不動と商業的には再生困難の車両状態。
単体での引取りであれば処分費用を頂戴しての回収となる状態でしたが、5台同時引き取りということで運搬にかかる1台当たりのコストが安くなる分を査定価格に還元して、なんとか無料で引き取り回収とさせていただいた事例です。
もちろん、全ての車両の廃車手続きも業務の一環として無料で代行いたしています。
状態が劣悪な不動車でも外装の状態が良ければ、処分ではなく買取できる可能性大。外装状態が良好なジュリオは下落前の今が売り時です!ページ下段ではジュリオの状態別の買取相場もご案内しています。
覚えている限りでも事故から10年は経過しており、見るも無残な姿になっていたという今回のホンダ・ジュリオ。
お電話で伺っていたよりも傷み具合は激しく、パーツ単位での価値を見出すことも困難を極める状態でしたが、このような状態のジュリオはどういった査定評価となるのでしょうか?
以下、今回拝見させていただいたホンダ・ジュリオの車両詳細となります。
足回り
ボトムリンクとユニットスイングという今では採用されなくなってしまった旧構造を取り入れたジュリオは、その特殊な設計で「レトロ風スタイルスクーター」というコンセプトで作られた50ccスクーターです。
事故によりこの独特なフロントサスもダメージを受けており、長期放置によって後輪は固着、修復するには非常に厳しいものがありました。
事故後の放置期間が長く、前後サスともに重度のサビ、ホイールのサビ・腐食・キズ・タイヤ・ブレーキといった劣化状況から評価点をつけることはできませんでした。 リアサスへの荷重チェック時も衝撃吸収性が感じられず、足回りの評価は最低レベルの処分品に留まっております。
外装
富士重工・ラビットを意識したフロントカバーは、事故によって左下部が砕け散り、かろうじて大きな破片がテープで貼り付けられているといった状態。
事故によるものと思われる箇所は車両全体にあり、目立つ部分だけでもステップボード・ネジ穴部分まで破損したカバー接合部、 10年以上の放置期間で強度劣化まで起こしてしまった後部外装など、こちらについても痛々しいほどのスクラップ状態でした。
シートの破れこそありませんでしたが、本来白であったシート表皮はうっすらとネズミ色に変色。
ホンダ・ジュリオというバイクの車両価値から判断するとパーツとしての価値を見出すことも難しく、原型をかろうじて保っているといった程度の査定評価に。
焦点は買取ではなく、処分費用を頂戴せずに無料での引取り回収ができるかどうかに。
エンジン周り
10年以上もの長期放置により、タンク内のガソリンは完璧に腐敗。
当然、セル・キックでの始動チェックを試みましたが完全に不動。キャブやクランクケースまで及ぶ大量のオイル漏れや腐食も目立ち外観上の傷みも相当なものとなっておりました。
キックペダル踏み込み時に圧縮感は残っていましたが、この現状では価値を見出すことは難しく、その他チェックポイントと同様に、処分費用が掛かるか無料で引取り回収出来るかどうかの評価ラインとなりました。
フレーム回り
長期放置によるサビの腐食は凄まじく、フロントカバーなどの隙間から見えるフレームは、無数のサビが発生しておりました。
アンダーボーン型フレームプラスメッキカバー付きボトムリンクサスという特殊な構造のため、足回りも含めた上で再生にかかるコストは非常に高いと判断。<
この状態ではさすがに買取可能という判定はつけられず、処分品としての引上げという最低評価となりました。
電装/保安部品
長期放置による完全なバッテリー上がり、経年によるケーブル類表面の劣化に伴うサビ、フロントカバーから飛び出してしまった断線したヘッドライトなど、動作確認ができるものは皆無。
仮に再商品化するとしても全交換が必要なレベルであり、その他箇所と同様に商業的には価値が見いだせない引取り対象の処分パーツの評価に。
その他
車両状態はノーマルのままでしたが、車体全体に貼られたステッカー、長期放置によって発生したと思われる水垢による変色、色ツヤが全くなくなるほど劣化したタイヤなど、無数の難点を抱えた状態。
再生にかかるコストと車両価値とのバランス差は非常に大きく、総合的な評価は最低クラスのものに。
無料引取りとなった事故車のJULIOの総合評価
以上が今回のホンダ・ジュリオの査定チェックポイントですが、10年以上の長期放置及び事故による車体ダメージの酷さ、 非常にキツいサビ・腐食・色あせ、全滅状態にある電装系などの欠点が目立ち、買取可能なパーツを見出すことはできませんでした。
本来であればそれなりの処分費用をいただかざるを得ないというのが正直な評価内容でしたが、複数台の引き取り依頼ということで1台当たりにかかる輸送コストが安く済みますのでその分を査定価格に還元いたしまして、 廃車処分費用は頂戴せずになんとか費用無料で引き取り回収させて頂きました。
お客様の談話と無料引取り回収後記
「バイク乗りとしてはお恥ずかしい限りなのですが、無料で引き取ってもらえるだけでも感謝です」と、オーナー様ご自身が認められるほど酷い状態のホンダ・ジュリオ。
その他の引き取り車両の査定により、処分費用と買取価格を相殺する形での結果となりましたが、手狭になった自宅敷地内整理のお手伝いができて何よりでした。
「親父の代からチリも積もれば山となるという具合でスクラップ車両が溜まってしまっていたのですが、こんなにボロボロのバイクでも一つ一つ丁寧に査定してくれるとは正直思っていませんでした」とはオーナー様からのお言葉。
弊社パッションではどれほどボロボロのバイクであったとしても、一つ一つのバイクと誠実に向き合い、適切な買取査定評価をさせていただくことをモットーとしております。
今回は残念な結果となってしまいましたが、実動状態のジュリオであれば買取できる可能性は十分にあります。
他社査定では、処分費用を請求されてしまったような車両であったとしても、最後まで諦めず弊社までご相談いただければ幸いです。
ジュリオの買取相場
今となっては街中で見かける機会がめっきりと減ってしまったホンダ・ジュリオですが、中古バイク市場では少ないながらもそこそこの流通数があり、程度のよい車両はそれなりの価格で取引されております。
- ▼ジュリオ(20~30年前の原付)の評価点の目安
- 評価点5 極上車
- 評価点4 状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み、若干の難あり
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 年事故車や不動車
評価点別のジュリオの査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 4以上 |
評価点 3 |
評価点 2 |
評価点 1 |
6万円以上 |
3台 |
0台 |
0台 |
0台 |
5万円台 |
4台 |
1台 |
0台 |
0台 |
4万円台 |
6台 |
1台 |
0台 |
2台 |
3万円台 |
5台 |
2台 |
1台 |
12台 |
2万円台 |
15台 |
15台 |
1台 |
37台 |
1万円台 |
3台 |
0台 |
1台 |
31台 |
~1万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
10台 |
総落札台数 |
36台 |
19台 |
3台 |
93台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去1ヶ月間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
評価点2~4点の実働車では、最高取引価格は評価点4の車体の9.2万円でした。
次点は評価点3の車両が6.0万円となっていますが、意外なことに走行距離0kmでエンジンの評価点が7点(新車に近い)で総合評価で5点が付いている極上車が4.8万円で取引されています。
かなりり状態の良い実働車でも4万円台の落札価格となる、買取査定価格で4万円を付けると赤字の公算もあり買取業者としては4万円以上の査定価格は付けにくい指標となっています。
その一方、今回のデータの中では最低評価点をつけた評価点2の車両が3.6万円で取引されている点は興味深く、外装状態の良さが際立ったことで高値となりました。
走行0kmの極上車も外装は無傷でしたが若干の色褪せが価格に影響したという見方もできます。
最低落札価格が評価点4の1.0万円であった車体は外装の評価点が3点だったことから考えると、ホンダ・ジュリオは実動状況以上に外装が重要視されているという見方が出来ます。
今回無料で引取りしたジュリオと同じ評価点1(事故車や不動車)の取引データに目を転じると、
30年前のスクーターという事で実働車より多くの台数が取引されています。
最高価格は外装の程度状態が評価された車両が4.4万円の価格をつけました。
その一方、最低価格はわずか0.1万円と非常に低く、まさしく外観状態が明暗を分けることとなってしまいました。
女性にも好まれるデザインから性能よりも見た目の綺麗さが価格に影響を与える要素が大きいようです。
実動状態ではないものの、見た目は意外に綺麗かも…。処分費用ではなく買取価格の付く可能性があります
現在、そういった状態のホンダ・ジュリオをご所有されておられるオーナー様は、年々相場価格が下がり続けているジュリオを売るなら今がチャンスです。
例えどのような状態のバイクであったとしても、一台一台と誠実に向き合って評価する弊社パッションであれば、他社では真似の出来ない査定評価基準により、 あなたのジュリオをどこよりも高く買い取りできる可能性がございます。
ホンダ ジュリオ豆知識
1998年から2002年にかけて製造販売され、かつてのラビットS301を彷彿とさせるスタイリングでデビューしたホンダ・ジュリオ。
コンセプトとしては1996年に発売されたジョーカーに通じるレトロ感があり、一部マニアに人気を博した。
2ストロークエンジン搭載モデルながら、自動車排出ガス規制適応のため、マフラーに三元触媒を内蔵。
穏やかなパワー特性と肉厚で座り心地の良いシートにより、女性ユーザーからも高く評価されました。
現在では2ストスクーターの中でも珍車としてマニアを中心に取引され、実動状態の車両であれば、それなりの価格で取引されております。
ジュリオ(GK78A)
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 58台
- 平均価格: 31,741円
- 最高価格: 92,000円
- 最低価格: 10,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 93台
- 平均価格: 20,613円
- 最高価格: 40,000円
- 最低価格: 1,000円
相場情報:2017年12月23日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。