「5年ほど前にヤフオクで現状販売の実働ベース用車両を落札し、数か月放置しているとエンジンかからなくなりました。」
「バッテリーが弱く初爆もなかったので、充電器を購入してバッテリーを充電、タンクを取り外してプラグを新品に交換、 エンジンまでガソリンが通っているかまでは確認したのですが、エンジンはかからないまま」
「バイク屋に頼んで運んでもらうか?自分でもう少し整備しようか?と考えているうちに放置して結局5年。運んでもらっての修理も高くつきそうだし、自分ではもう直せる気はしないが、今ならまだ売れるんじゃないか」 とオーナー様が語るドゥカティ・916ビポストの不動車。
車両状態はフルノーマルながら、保管状況が悪く、一見普通の実働車にも映る見た目とは裏腹に多くの難点を持つ状態にありました。 以下、今回拝見させていただいたドゥカティ・916ビポストの車両詳細となります。
足回り
現オーナー様が所有される前から寝かせていた期間が長かった様子で、フォークの減衰は要交換判定。フロントは点サビ・曇りが散見され、ディスクローターにも影響あり。
走行距離的には浅いものの、保管状況の悪さがダイレクトに響く形となってしまいました。長期放置車両特有のタイヤの劣化も気になり、916ビポストの足回りの評価は厳しめに。

外装
916ビポストは自宅ガレージで保管していたそうですが、つい最近まで近隣で大規模な解体工事があり、そこから飛散したと思われるコンクリートの粉塵にまみれておりました。
その影響からか、コンクリート粉の下から見えた外装は、(写真では艶があって綺麗に見えますが)本来の艶やかさを失っており、マイナスの判定に。 この粉塵による影響はメーターレンズやスクリーン、ホイールにまで影響を及ぼしており、触ってみるとざらりとした無数の細かいキズを負っていました。

エンジン周り
フルカウルによってカバーされていたこともあり、エンジンの外観はそれほどコンクリート粉の影響は受けておらず、外装ほどの傷みではありませんでした。
ただし前オーナー様の管理状態が良くなかったためか、全体的に軽微な青サビ・曇りが発生。 長期放置でバッテリー上がり・ガソリン腐りも併発しており不動車判定となってしまいました。 持参したブースターを念の為に繋いでみましたがエンジンの始動は確認できませんでした。
レストアに当たっては、プラグやバッテリー以外の領域での修繕とフューエルタンク内の錆び除去と防腐加工が最低限必要に。買取価格へ影響するネガティブ要素に。
フレーム回り
保管期間中の立ちゴケと思われる小キズが一部にあったものの、転倒・事故によるものと思われるダメージはなし。
ただし、コンクリート粉の影響でフレーム表面にはざらりとした細かいキズが全体的に発生しており、防塵処理を要する状態と言えます。
電装/保安部品
完全にバッテリーが上がってしまっている上、オーナー様のお話では916ビポストを入手時の説明でウィンカーの玉切れ(左側は玉を変えても点灯しないのでソケットか配線系統に問題?)があると聞いたとのことでした。
当然バッテリーは要交換判定で、電装系に関しては少々の難ありというやや辛口の評価に。
その他
車両全体としてはノーマルの原型を保ったままですが、意外な厄介者・ステッカーが貼られており、これが経年で固着してしまった状態。
こうした剥がすことが難しいステッカーは、時としてマイナスポイントとなってしまいます。
他、チェーン・スプロケットもキツいサビ・腐食が発生しており、前後に軽く押した程度では動かないほどの固まり方をしておりました。
ドゥカティ・916ビポスト 不動車の総合評価と買取価格
以上が今回のドゥカティ・916ビポストの査定チェックポイントですが、少なくとも5年以上、下手をすれば前オーナーあの時から5~6年は走らせていなかった可能性もあり、不動車としても多くのマイナスポイントを抱える状態でした。 バッテリーやプラグの整備で実働する不動車であれば1万円未満の作業工賃で済みますが、修復の難易度の高い不動車はそのぶん査定価格も渋くなってしまいます。
カテゴリーとしては同じ不動車でも修復可能性の難易度に応じて査定価格は大きく異なります。バッテリー充電とプラグ研磨で終るのか?エンジンを開けて部品を交換する必要があるのか?タンクは再使用できるのか?
今回の916ビポストの買取査定は不動車としてもやや渋めとなりました。その背景となったポイントを整理すると。
- 中古での購入時点で不具合の有ったベース車両
- 5年前にバッテリー充電、プラグ交換しても始動しなかったエンジン。現在は腐敗した錆び混じりのガソリンが流れている可能性あり
- 車両全体に発生したコンクリート粉によるキズ
- カウル一部のクラック
- 長期放置による各所のヘタリや色褪せ
- 要修理判定の電装系
その他ホイール・スイングアームに至るまで発生した細かいキズ、長期放置車両特有のタイヤの劣化、車体各所に貼られたステッカーもマイナスポイントとなってしまいました。
マイナスばかり列記してしまい辛口の評価となっていますが、部品取りではなくレストア前提での評価をさせて頂きました。査定金額もこの状態の不動車としては適正価格以上と言っても良い150,000円をご提示させて頂き買取となりました。
お客様の談話|買取査定後記
「イタリア車が好きでヤフオクでお手頃だと思って購入したのですが、そもそも実働ベース車程度だったので、状態もそれなり。私の手に余る状態で挫折してしまいました」と苦笑いされるオーナー様は、その他にもアプリリアRS50を御所有。
そちらと合わせての買取査定のご依頼でしたが、この状態ではさすがに伸び悩んでしまいました。この車両状態の悪さはオーナー様もご理解の上での査定であったため、ご提示させていただいた買取金額は二つ返事でOK 。
「できれば走らせてやれる状態にまで持って行きたかったのですがなかなか難しいものですね。買い取ってもらえて助かりました」という無念そうなオーナー様でしたが、 また時間的な余裕ができれば新しい愛車候補を探していきたいと語られておりました弊社としても微力ながら、お力になることができて幸いでした。
買取させて頂いた916ビポストは自社販売店で展示するか?業者間市場に出品して売却するか?現時点では未定ですが、自社工房で徹底的に修理修繕し、綿密に磨いて磨いて綺麗な車体として販売用車両にレストアしていきます。
916ビポストの買取相場
- ▼1990年代の900ccクラスの車両の評価点
- 評価点4+ 年式並みより綺麗で状態よい
- 評価点4- 年式並み若しくは若干劣る
- 評価点3 多少の難有り
実働車|年式モデル別の916ビポストの買取相場の比較 |
車両状態/ 落札額 |
評価点 |
走行 |
走行 |
53.4万円 |
4+ |
0.2万km |
96年 |
32.0万円 |
4- |
1.8万km |
95年 |
28.4万円 |
4- |
1.8万km |
96年 |
24.4万円 |
3 |
5.2万km |
96年 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去12か月間間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)

もともと状態の良くなかった実働ベース車を購入してから5年程放置していた不動車。 今回のドゥカティ916ビポストが仮にエンジンが始動して走行できる実働車であれば評価点は3点となります。業者間市場での落札額は20万円台前半が想定できます。
20万円台前半の落札額という事は、諸経費と儲け(運送費や出品手数料など)を差引いた買取査定額は20万円弱となります。電装系やタンクを含めたエンジン実働までの費用として3~5万円とすれば割安であることがご理解頂けると存じます。
丁寧でお客様本位の査定が評価されています。極上車や実働車はモチロン、事故車でも不動車でも買取はバイクパッションにお申し付けくださいませ。
916ビポスト豆知識
1994年から1998年にかけ、ドゥカティのフラッグシップモデル・スーパースポーツ(SS)シリーズとは異なる味付けが施された916ビポスト。
デビュー当時はトレリスフレームに片面スイングアーム、USDフォークを採用し「史上最も美しいオートバイ」という評価を世界各国のバイクメディアで獲得しました。
また、レースの部門では非常な活躍を見せており、1994年から96年にかけてスーパーバイク世界選手権3連覇を飾るなど、華々しい成績を上げ、ドゥカティ史上に残る名車のひとつです。
916ビポスト
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 4台
- 平均価格: 345,500円
- 最高価格: 534,000円
- 最低価格: 244,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 0台
- 平均価格: No Data
- 最高価格: No Data
- 最低価格: No Data
相場情報:2017年12月10日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。