今回売却査定のご依頼を頂戴して買取した959パニガーレは2016年モデル・スターホワイトシルクの事故車。 「峠を攻めてて、ハイサイド、スリップして転倒・・・」とはオーナー様のお言葉。 サーキットで150馬力の性能をフルに発揮するスーパースポーツである959パニガーレ。事故の衝撃は凄まじく、 パっと見の損傷は少なく見えますが、L型ツインエンジンがフレームの役割も兼ねるモノコックフレームが歪んでいます。 見た目の損傷とは裏腹に基幹部品であるフレームが歪んでいるために全損扱いの事故車となった959パニガーレ。 フレーム歪みは買取査定価格にどのような影響を与えたのか?
修理見積200万円の全損事故車
写真を見てもお分かりいただけるように車体をぐるっと見回しても目に見える大きな損傷は少ない959パニガーレ。
査定現場で最初に目についたのは、アンダーカウルの割れ。

赤に塗装されたリアキャストホイールのガリ傷

ステー曲がりによるセンターカウルのズレ

そしてセパレートタイプの金属のハンドルバーがポキッと折れています。切断されて断面からもその衝撃の強さが伝わってきます。
これだけであれば修理費用としては、クラッチ領域を含めた折れた先のハンドル部分とアンダーカウルの交換、さらにキャストホイールの補修(見栄えによっては要交換)、曲がっているステーの交換が必要になります。
純正の部品代が10万円弱、ホイールが交換になると更に10万円。修理と組付け工賃が数万円と20万円強の修理費用をかければ殆ど転倒による損傷を修正することが出来ます。
2019年5月現在で、959パニガーレ実働車の平均買取相場となっている86万円から20万円程度差し引いた、66万円程度の査定額での買取となったでしょう。
ただし、最も買取価値を損ねていたのがモノコックフレームの損傷。
モノコックフレームのネック部分に大きなクラックが入っていて、ベアリングも損壊しているためハンドルを左右に切るたびにカクカクとなってハンドルが切れず、思わぬ方向にハンドルが向いてしまうため自走は不可能な状態。
ステムも歪みフロントフォークも歪んでいます。

モノコックフレームが歪んで車体上部が捻じれている959パニガーレ事故車。

写真では分かりにくいですが、後ろから見ると車体上部のモノコックフレームのラインと、車体下部のタイヤのラインが重なっていないことが分かります。
再販に当たっては自走が不可の他、安全面においても到底使用に耐えるレベルには無くモノコックフレームは交換必須判定。
モノコックフレームにはエアクリーナーやスロットル系や燃料経路も内蔵されていてL型ツインエンジンと強度の面で一体型の構成となっているため、フレーム交換に要する手間も工賃も多大となります。
モノコックフレームの部品代は80~90万円。外装をはじめ電装系やエンジン機関など関連パーツの取り外しと組付け工賃が60~70万円。
フレーム交換の総額修理費用は約150万円。
外装の修理費用20万円に、フレームの交換費用150万円。更にステム・フロントフォークの交換費用の30万円を含めると事故による総額修理費用は200万円強との見積もりになります。
2019年5月現在で、959パニガーレ実働車の平均買取相場となっている86万円となっていますので、完全にコスト割れでこの時点で事故車を修正しての再販用途の道はなくなり、残存パーツでの査定価値となりました。
余談ですが、全ての純正パーツを単体で購入しバイク屋さんで組み立てる値段の総額は、国産車の場合は新車が3台変える金額に。イタリア車の場合は5台変える金額に概ねなると言われています。

L型ツインエンジンの価値と買取価格
サーキット走行での使用性向が強いドゥカティのスーパースポーツ。
サーキットで酷使されたマシンはエンジン焼き付きなどでパーツの流通価値が高い傾向にあります。
また、リッタークラスのDUCATIスーパースポーツのエンジンは1人乗り用のカスタム・ジェットスキーで流用されるケースなどの用途もあり中古エンジンの需要が強い傾向にあります。
ただし、注意したい点は、現行モデルに限ってパーツの需要が高い傾向が顕著な点です。
スーパースポーツをサーキットで使用する方々の中心は裕福なユーザーが多く、新モデルが出るたびに買い替えしていく傾向が強いです。
最新モデルにスーパーバイク世界選手権(WSB)レース使用車の最先端技術が反映されるスーパースポーツの性質上、人気が最新モデルに集中するのは致し方のないところ。
旧型の型落ち感が他のタイプのオートバイよりも顕著に感じられる点が影響してか、 カタログ落ちして現行モデルで無くなったとたんに、旧型となったドゥカティのスーパースポーツの買取相場は急下降していく傾向にあります。連動してパーツ価値の需要も少なくなり相場が下落していくパターンとなります。
その傾向は型落ちとなった過去のスーパースポーツの低調な中古販売価格が雄弁に物語っていることは、スーパースポーツのオーナー様には周知のとおりです。
2019年時点では959パニガーレの最終が2018年モデルとなっていますが、2020年モデルの噂もありカタログ落ちはされていません。2019年時点ではパーツ取りの価値が高いタイミングといえます。
ただし今後、WSBで惨敗するようなことがあれば、ドゥカティのお家芸であるスーパースポーツの排気量変更が突如敢行される可能性も否定できません。
さて、肝心のパーツ査定の中心となる959パニガーレのスーパークアドロ L型2気筒 4バルブ デスモドロミック 水冷エンジンですが、電源は付くものの始動が確認できません。
念のため持参したブースターを繋げて始動を試みましたが始動は各インできない状態です。
フレームスライダーが事故の衝撃を吸収してエンジン本体には外傷は見られませんでしたので、実働状態にあることは間違いなさそうですが、事故とは関係のないところでエンジンベースからやや多めのオイル漏れ場確認できます。
「サーキットでも結構使用していた」とはオーナー様のお言葉。
事故以来乗っていないということで、高年式の959パニガーレにあってはやや走行距離が多い13,683km。タイヤの側面には激しく攻めていたことを伺わせる車体を倒して攻めていた痕が刻まれています。
サーキットで酷使された上にオイル漏れがあり、959パニガーレとしてはやや走行距離が多い点がマイナスとなり、エンジンの査定価値もそれなりとの判定に。
主だった再利用可能なパーツは、使用感が強いエンジン、オーリンズ製のリアサスペンション、タンクや損傷の無い外装パーツなど。
上段で触れましたが2019年時点では実働車(そのまま使用できる完成車)の平均買取相場が約86万円となっている859パニガーレ。 車体から取り外しての手間を考慮しつつ見積もったパーツの総合価値として、38万円の査定額で買取させて頂きました。
修理総額約200万円の部品取りの全損事故車ながら実働車の平均買取額の4割強の査定額で買取できるのも、ドゥカティの買取台数で日本1・2位を争う弊社パッションならでは!
相場の変動を見ながら、余すところなくドゥカティの部品価値をお見積りすることが出来る実力が査定額に繋がりました。
ドカティの買取査定は、買取販売店の弊社パッションにお任せください!
下段では859パニガーレの買取相場について詳しくご案内差し上げます。
お客様のご感想と買取後記
「修理も考えたんだけど写メ見てもらったら新車を買ったほうが安いくらいの見積だったんで、いっそのこと新しいパニガーレV4に乗り換えしようかと思って」とはオーナー様のお言葉。
弊社販売店でも極上のV4が入ったタイミングでご連絡を差し上げることに。
買い替えのご成約となった場合には下取り査定適応で車体価格から3万円割引させて頂くことをご約束させて頂きました。
959パニガーレの買取相場の詳細
パニガーレの名を冠したスーパースポーツとして初登場したのが2012年モデルの1199パニガーレ。その後多様な排気量のパニガーレシリーズがリリースされ、2016年にデビューした959パニガーレ。
2016年モデルの新車価格は203万円。2017年モデル、2018年モデルとリリースされ仕様に変更がないものの新車価格は205.9万円、207.5万円と値上げが敢行されました。
2018年モデルでは、ワークス仕様車を生産するコルセ(CORSE)が手掛けるメーカーカスタム車で、ワークス・カラーリングに前後オーリンズ製サス、オーリンズ製ステアリングダンパー、 アクラポヴィッチ製マフラーを装備した上位グレードとなる959パニガーレ・コルセが263.9万円でリリースされています。
新車価格が200万円強の959パニガーレ(2016~2018年モデル)は、2019年時点では幾らで売れるのか? 買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引データを使用して、959パニガーレの買取相場をご案内差し上げます。
業者間オークション市場での取引額とは、買取業者の転売額であり、また販売業者の仕入れ値です。つまり国内の中古バイクの相場は市場の取引額がベースとなっています。
※上位グレードの959 Panigale CORSEの買取相場は新車価格に準じて買取相場も高くなるのですが、959パニガーレコルセの取引相場データがないため、959パニガーレコルセの買取相場については割愛させて頂きます。
中古959パニガーレ|取引相場 |
落札価格 |
年式 |
走行 |
状態 |
105.8万円 |
2016 |
0.3万km |
極上車 |
101万円 |
2016 |
0.3万km |
準極上車 |
92.8万円 |
2016 |
0.4万km |
良好車 |
90.4万円 |
2017 |
0.4万km |
良好車 |
85.6万円 |
2016 |
0.4万km |
良好車 |
80.6万円 |
2016 |
0.7万km |
エンジン異音 若干の使用感 |
77.4万円 |
2017 |
0.8万km |
転倒車 全体に小傷多い |
59.7万円 |
2018 |
不明 |
事故車 フロントフォーク折れ |
49.1万円 |
2016 |
0.6万km |
事故車 フォーク歪み、フロント損壊 外装全損 |
(2019年5月時点で、買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(上位グレードの959パニガーレ・コルセは含まない数字数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
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実働車の平均買取額は80万円台後半
上記表は、買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引データで、取引額を左右する年式・状態・走行距離と取引額の関係を示しています。
959パニガーレの実働車は直近1年間で7台の取引があり、最高額は105.8万円、最低額は77.4万円、平均は90.5万円となっています。
先ず走行距離から見ていくといずれの車両も高年式モデルに相応しく0.4~0.8万キロと低走行距離の個体で占められていて取引額との相関性は見られません。
次いで年式を見ていくと2016~2017年モデルで占められています。そもそも2016~2018年モデルまで仕様に変更はないことから959パニガーレは2019年時点では年式モデルによって買取相場が変動しないと見れるでしょう。
最後に状態を見ていくと、取引額と関連性が深いことが見て取れます。
極上車が105.8万円で取引されているのに対して、外装の小傷が散見される転倒車が77.4万円で取引され、中間ゾーンの80~90万円台では年式並みの良好車がラインナップしています。
このことから2019年時点では、959パニガーレの実働車は買取業者のの転売先である業者間オークション市場では状態に応じて70~100万円台で取引されることが分かります。
状態が良ければ100万円以上の取引額となり、難が見受けられると70万円台での取引額になると読むことが出来ます。
上記はいずれも買取業者が買取したバイクを売却する転売金額である点には注意が必要です。
査定現場での実際の買取額は、転売金額から買取業者の利益と経費(出品手数料や運送費)を差し引いた額となります。
リッタークラスの大型バイクの場合は業者の儲けと経費の合計額として4万円程度差し引いた額が競争力のある適正買取額と言えます。
959パニガーレの売却wご検討されているオーナー様は、お手持ちのパニガーレの走行距離と状態を鑑みて70万円台~100万円以上の取引ボリュームゾーンでどのあたりの金額で取引されそうか推定できると存じます。
そこから4万円程度差し引いた額が正味の査定額となれば適正額での売却と読むことが出来ます。
なお、弊社バイクパッションでは、年間2000台のバイクを販売する買取販売店ですので、業者間オークション市場以外にも販路を保有しています。
買取した車両の直接店頭販売、そしてドゥカティ専門の中古販売店とも提携して買取したドゥカティを卸しています。
なぜ?自社直販や提携販売店に卸すと、業者間市場に流すより高く売れるのか?
そのカラクリは消費税と落札手数料にあります。業者間市場の取引額は買取業者の転売額と申し上げましたが、それは販売業者の仕入れ額でもあります。
ただし販売業者の正味の仕入れ額には消費税と落札手数料が上乗せされるため、市場での取引額+10%となります。
つまり消費税と落札手数料の10%分だけ、自社販売店での仕入れ価格や提携販売業者への卸価格の方が10%近く高く売れるのです。
ドゥカティの買取に非常に強い弊社バイクパッションでは、買取したドゥカティの転売先が自社販売店や提携販売店となるケースも多く、市場価格よりも10%近く高い金額で買取できる可能性がどこよりも高いと自負しています。
そのことがドゥカティ買取台数で日本で1・2位を争う力の秘訣となっています。
事故車は損壊状況に応じた査定額に
実働状態にない事故車の959パニガーレは直近1年間で2台の取引がありました。
59.7万円で落札されている個体は、フロントフォークが折れていますが、その他は損傷がなくステム+フォーク交換で実働化が見込めそうな取引金額となっています。
49.1万円で落札されている個体は、一見して分かる事故車で外装が派手に損壊している他、フロントが潰れフォークが歪んでいます。修理費用を考えると部品取りとなりますが、モノコックフレームとエンジンが生きている点が 評価された取引金額となっています。
2019年時点ではパーツ取りでも高額査定が見込める959パニガーレ。
買取査定はパーツ価値を見逃さない弊社パッションにお任せください。

最新の買取相場をチェック!
上記の相場情報は2019年5月時点の情報です。
MotoGPやWSB(スーパーバイク世界選手権)で培った最新テクノロジーが最新モデルに反映されるDUCATIのスーパースポーツシリーズ。
その性格上、短期間で乗り換えを繰り返すコアユーザーへの最新モデルへの求心力は高く、カタログ落ちとなったスーパースポーツの買取相場が急下落する傾向の強いドカティのスーパースポーツ。
2019年時点では現行モデルと値崩れを起こしていない959パニガーレですが、ご売却をご検討中のオーナー様は、最新の相場動向が気になるところでしょう。
最新の相場情報は、10秒で査定額が出る
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959パニガーレ
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 7台
- 平均価格: 905,143円
- 最高価格: 1,058,000円
- 最低価格: 774,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 2台
- 平均価格: 544,000円
- 最高価格: 597,000円
- 最低価格: 491,000円
相場情報:2019年5月20日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。