全体的に傷みが目立ち、採算を考えると再商品化が困難な状態のホンダ・XLディグリー。
林道で半クラッチを多用し過ぎた結果、3回ほどクラッチ板をツルツルに摩耗させたそうです。3回はJAFに連絡してバイク店に運んで修理したそうですが、遂に4回目の摩耗で直す気力がなくなり、それ以来放置されてしまったそうです。
現在では車両価値も大幅に低下しており、オーナー様も個人売買などの売却を諦めたほどの状態。
何とか部品価値を積み上げて現金で買取させて頂きました。。
以下、今回拝見させていただいたホンダ・XLディグリーの車両詳細となります。
足回り
1992年発売のモデルということもあり、足回りのへたり具合はかなり顕著。
「オフロードや林道、ガレ場などタフな環境でかなり走ってきたし、転倒した回数は数えきれないくらいある」とオーナー様が仰るXLディグリーは、ホイール・ディスクローターをはじめ、フロント下部はかなりのキズ・サビが発生しております。
全体的に使用感はかなり強く、長期放置によってサスもへたっており、パーツとしての価値も低めとなっております。
また、長期放置バイク特有のタイヤのひび割れを起こしており、買取査定ではジャンク品としてのパーツ価値を辛うじて計上できる程度でかなり低めの評価に。

外装
カラーリングは1992年の白/緑と人目を惹く配色のXL Degree、車体に走ったキズ・サビが目立ち、やれもかなり目立つようになっております。
経年によるシートの変色、内材のクッション性も損なわれており小さい破れも。
樹脂製パーツは一部にカビが発生し、納屋内での湿度の高さが車体のダメージを促進させたものと思われます。
外観は悪くないタンクも内部は錆びが蔓延していて、そのままでエンストも元となりとても使用できない状態。
他フォークブーツ・前後フェンダーも飛び石と思われるキズ目立ち、外装パーツは再利用できるものの状態は可程度でパーツ価値もそれなりの評価に。

エンジン周り
クラッチ板が故障してからの長期放置でバッテリーは完全に死んでおり、ガソリン腐りと合わせてエンジン始動は確認できない不動状態。
エンジンの原型は残っていますが、こちらもサビ・キズ・腐食はひどく、再商品化するには要O/Hという評価に。
車両価値が著しく低くなった今日現在、この状態では修復にかかるコストを回収出来す中古エンジンとしてのお値段をつけることはためらわれてしまいました。
サビによる劣化がきついものの純正マフラーが原型を保ったまま装着されているのが唯一の買取評価ポイントといったところ。

フレーム回り
林道ツーリングなどオフロードでかなり酷使してきたそうで、フレームには転倒を示す痕跡がちらほらありました。
頑強な作りのオフロード車であるため、フレーム曲がりといった深刻なダメージは負っていませんでしたが、キズのある箇所がもれなくサビによる茶色で目立つようになり、これが車両全体の使用感を強調する原因ともなっております。

電装/保安部品
バッテリー上がりで電装保安系のチェックはできませんでしたが、ウインカーレンズの割れなどもなく、再利用は一応可能、といった状態。
転倒歴がある割にはウインカーステイなども折れておらず、作動するならば公道を走らせることができる最低レベルの状態は保っております。
とはいえ、動作確認できない状態では正当な評価を下すことは難しく、XLディグリーの車両全体の傷み具合と合わせて判断させていただいた結果、程度の悪い消耗品程度の価値としてかなり低めの評価にとどまりました。

その他
カスタムパーツを装着することも多いオフロードバイクですが、このホンダ・XLディグリーはフルノーマル状態のままでした。
シートの傷み具合など難が目立つ箇所は多いのですが、フルノーマルであればレストア用パーツとしてお値段をつけられる箇所もそれなりにあり。
全体的に使用感は高めではありますが、外装やフレームにマフラーなどパーツとして計算できる価値で査定のお値段を付けさせて頂くことに。
実動車両でも取引価格が安いため、それほど思い切ったお値段は提示できませんでしたが、処分費用を頂戴することもなく、無料での引取りでもなく、何とか現金で買取させて頂きました。

不動車としての総合評価と買取価格
以上が今回のホンダ・XLディグリーの査定チェックポイントですが、走行距離はこの年式のオフ車としてはまずまずの20,000km台ながら、保管状態の悪さでサビ・腐食が進み車両価値を多く下げる要因となってしまいました。
また、転倒による車体各部へのダメージも多数あり、やれが目立つのも大きなマイナスポイントの一つです。
残念ながらXLディグリーの車種自体の価値が低いため、クラッチ板は故障しエンジンも不動とあって、通常であればギリギリ無料引き取りできるかどうかという状態でしたが、何とか再利用可能なパーツ価値を積み上げて 買い取りでの対応とさせていただきました。
お客様のご感想と買取後記
「正直言って最初から処分費用をお支払いするつもりでいたので、値段がついたことに驚きでした。この金額で結構です」という快諾を得て即決でご成約となりました。
かれこれ四半世紀を経たモデルであり、オンロードバイクやネイキッドの旧車などと事なり絶版車の人気が高まり相場も高くなることは殆どなく、後継モデルが登場し型落ちとなるたびに価格が下落する傾向にあります。
ホンダ・XLディグリーもそうしたバイクのうちの一つですが、まだ相場が安定しているうちに、車両が更に朽ちる前にご売却を決意されたことはまことに賢明なご判断だったと言えます。
オーナー様に処分費用のご負担なく、無料引取りでもなく、査定金額をお付けして買取出来たのは、売却のタイミングを逸していなかったことが大きく、お客様としても弊社としても良い結果に繋がりました。
XL Degree 買取相場
水冷DOHCエンジンエンジンのスムーズな回り具合と扱いやすい車体をウリとし、「本物のマルチパーパス」を目指して開発されたホンダ・XLディグリー。
それほど本格的には攻めないというライトユーザーを意識した作りにより、ツーリングマシンとしても優れた資質を持っておりましたが、後のSL230といったライトユーザー向け車種の台頭に伴い生産を終えていきました。
中古バイク市場でもそうした経緯が反映されてか、XLディグリーの車両価値は年々ゆるやかに減少傾向にあります。
そんなXL Degreeはいくらで売れたら適正相場なのか?
状態に応じた評価点別の査定相場と、MD26とMD30の型式別の査定相場をご案内差し上げます。
- ▼評価点の目安|20~30年前の250ccオフロード車
- 評価点5 極上車
- 評価点4 状態が良く綺麗
- 評価点5 年式並み 若干の難有り
- 評価点5 実働車だが劣悪
- 評価点5 事故車や不動車
- ▼XL Degree 型式
- MD26 前期モデル 1991年~
- MD31 後期モデル 1996年~
MD26のXLディグリー|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 2 |
評価点 1 |
15万円以上 |
2台 |
1台 |
0台 |
0台 |
0台 |
10~14万円 |
0台 |
10台 |
8台 |
0台 |
7台 |
5~9万円 |
0台 |
3台 |
9台 |
1台 |
13台 |
~4万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
0台 |
3台 |
総落札台数 |
2台 |
14台 |
17台 |
1台 |
23台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去12か月間間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)

最高落札額は17.4万円で評価点5の極上車、同評価の車両が17.2万円と続きました。
その一方、評価点4の車両は15.6万円が最高で、以下は評価点が高い車両は良い値段が付き、評価点が低くなると落札価格も下がる傾向から、このXLディグリーに関してはノーマル状態で程度がよければよいほど評価されることが読み取れます。
純正パーツ欠品多数という理由で評価点2に留まったカスタム車両は8.0万円止まりで、カスタム車の出品が総じて少なく、XLディグリーは純正パーツのないカスタム車両の評価が定まっていないことも付け加えて記します。
実働車の中心的な落札価格帯は評価点4だと10万円台前半、評価点3だと10万円前後となっています。このことから査定現場で提示される適切な買取価格は評価点4で10万円前後、評価点3で7万円前後を基点に上下するイメージです。
買取した車両を業者間市場で売却して利益を出す買取業者は、想定される落札額から、自社の儲けと諸経費(運送費や出品手数料)を差引いた査定額で買取するためです。
当社は自社販売店を有する買取販売店ですので、買取専業の業者とは異なり、業者間市場での想定売却額を超えた買取額を提示出来ることもことも多々あります。
続けて、今回買取りしたXLディグリーと同じ不動車・事故車を意味する評価点1の車両を見て参りましょう。 今回拝見させて頂いたXLディグリーは残念ながら評価点1の中でも下位に位置する状態でしたが、評価点1の車両ももそれなりの価格で取引されております。
最高価格をつけたのは、エンジン不動状態ながらも外装状態が良かった車両で12.6万円、次点が12.1万円とまずまずの価格で取引されています。
中古バイクというものは、再商品化にあたっての再生コストが大きく影響を及ぼすものですが、XLディグリーはその傾向が非常に強く、外観状態が大きく車両評価を左右する傾向にあります。
このことから、ホンダ・XLディグリーを高値で売るためには、「外観がこれ以上傷まないうちに早めに査定を受ける」ことが重要であることが賢明なようです。
最低落札価格はこの影響がダイレクトに現れ、欠品や塗りムラのある自家塗装の多い災いし2.1万円に留まりました。
モトクロスは頑丈で単気筒で修理工数も少ないため、不動車でもレストアベースとなる素養が高い車種です。
事実4.9万円以上で落札されている車両も外装が自家塗装で価値を下げていますがレストアベース車のように見受けられます。
今回買取したXLディグリーの状態を鑑みるとその買取価格が非常に競争力を持っていることが改めて浮き彫りになります。
また、後期モデルである型番MD31のXLディグリーの参考データも公開させて頂きますので、現オーナー様はこちらも参考にして頂ければ幸いです。
XL Degree 豆知識
マルチパーパスバイクの先駆け的存在として活躍していたホンダ・AX-1のエンジンをベースに、足つき性の良さとセルモーター付きの初心者向けオフロードバイクとして、1991年にデビューしたホンダ・XLディグリー。
低速よりの出力設定が施され、オフロードでの俊敏性と250ccバイクの弱点の一つである低速トルクの細さを改善し、乗りやすく操りやすい軽量ボディで一定の評価を得ました。
低回転域からしっかりとしたトルクがあることで粘りがあり、オフ車の強みであるスリムさを生かしたすり抜けが得意ということもあり、交通渋滞には無類の強さを発揮します。
現在では後継モデルCRFなどが好調なセールスを記録しており、車両価値が年々低下しておりますが、一時代を築いたXLシリーズの一員として基本性能の高さが際立つモデルです。
MD31のXLディグリー|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
20~24万円 |
2台 |
1台 |
0台 |
15~19万円 |
4台 |
5台 |
0台 |
10~14万円 |
1台 |
4台 |
1台 |
5~9万円 |
0台 |
3台 |
0台 |
~4万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
総落札台数 |
7台 |
13台 |
1台 |
MD26型に比べて、MD31型のXL Degreeは平均の取引額で約4万円高くなっています。
取引台数も一定数有傾向値として明らかにMD31型の方が高値で取引されていることが読み取れます。
査定現場で提示される適切な買取価格も評価点4で15万円前後、評価点3で10万円強を基点に上下するイメージです。状態が良ければ20万円台も狙えます。
XLディグリー【1991~1993年モデルのMD26型+1995年式のMD31型】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 54台
- 平均価格: 128,857円
- 最高価格: 238,000円
- 最低価格: 62,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 台
- 平均価格: 86,000円
- 最高価格: 126,000円
- 最低価格: 21,000円
相場情報:2017年12月24日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。