走行距離9万キロ超えと聞いてはいましたが、査定現場に到着しての第一印象は事前の予想よりも綺麗に映ったモトグッツィ・カリフォルニアストーン。
実際に各部を検分して間近で見ると走行距離と経年相応のサビ・キズが見られ、ご購入から20年近い歳月を感じさせる状態でした。
記載されていた定期的なオイル交換などが記録されているメンテナンスノートからも新車ご購入時からオーナー様による定期的なメンテナンスが分かり、呼応するように走行9万キロ超えのエンジンも良い状態を保っていました。
以下、今回買取させていただいたモトグッツィ・カリフォルニアストーンの車両詳細となります。
足回り
2001年購入のモデルながら、定期的なサビ落しでフロント周りはなかなかに綺麗な状態。
点サビが目立ちやすいフロントフォーク・スポークホイールも丁寧にケアされ、状態としてはかなり良好な部類に入ります。
その一方、リアショックの手が入れらづらいスプリング部分などには腐食が発生しており、マウント部分にもかなりのヘタリ感が見られるなど、目に付きにくい部分では劣化や疲労感が散見されました。
加重時の前後サスペンションの伸縮性は良くも悪くも年式相応といったところ。
ハンドル回りは、立ちゴケによるハンドル曲りやレバーの削れ傷、スイッチなどの樹脂類の色褪せや劣化、ブレーキフルードタンクの塗装はげ等損傷や劣化が目立ちました。
これらの点を総合的に評価した結果、足回りの買取価値は年式並みより若干上、といった形に落ち着きました。
外装
カリフォルニアシリーズの特徴である丸みの利いたタンクは凹みや削れもなく、年式を考えるとまずまずの状態だと言えます。
ただし、立ちゴケ数回・ガレージ内での自転車等との接触によるキズが数カ所あり、細かい減点となりました。
その他、前後フェンダーやサイドカバーといった箇所にも細かい擦り傷や塗装の剥離が見られますが、傷隠しやプロの艶出しで更に綺麗になるポテンシャルは保持しています。
見た目は皺もなく綺麗に見えるシートですが、走行距離9万キロの分だけ荷重のあったシートですのでクッション性は低下しており、買取後のメンテナンスではアンコ盛りも視野に入りそうです
エンジン周り
メンテナンスノートに記録されている定期的なオイル交換やメンテナンスによって、 走行距離9万kmオーバーの割にはエンジンの始動性は悪くなく、気温の下がった査定当日でもセルで一発始動OK。
アイドリングと加速に関してはやや不安定な兆候もありましたが、目立つ白煙吹きや異音・オイル漏れなど買取価値を大きく下げる不具合はなく、多走行車両ながら平均並み以上の査定評価点を付けることが出来ました。
見た目の状態につきましては、キャブレターの年季の入った汚れ、空冷エンジンのフィン周辺の腐食、クランクケースの塗装剥離など、再販化の上では念入りな磨きを含めたケアが必要だと言えます。
また、右側ヘッド部には自転車との接触でできた細長い擦過傷があり、エンジン外観の評価を気持ち下げてしまったのが惜しまれます。
フレーム回り
メインフレームには剛性を損なうような衝撃痕や接合部へのシワ寄りなどのダメージを物語る痕跡は見られませんでした。
シートレールやダウンチューブをチェックしてみると、エンジン右下のダウンチューブには、そこまで深くはないものの、路面に擦ったと思われる削れ傷があり周囲に目立つ錆びが発生しています。
シートレールは軽い歪み、スイングアーム付近には溶接部の軽い歪みがあり、前輪と後輪を一食線上に並べてみるとズレが確認できます。走行距離が9万キロを超えていますので仕方ない現象とも言えます。
「数回立ちごけしている」とお話されていたオーナー様のお言葉を裏付けるように、ハンドルストッパーの曲りもありハンドルでバイクの自重を吸収したことを物語っています。
以上、ダウンチューブ、シートレール、ハンドルストッパーの傷痕に触れましたが、どれも目に付きにくい個所であり大勢に影響を与えるような内容でもなく、査定での減点も大勢に影響を与えず軽微となっています。
フレームの査定評価は、外観は綺麗で剛性は保持されていますが、走行9万キロを物語る劣化もあり年式並みといえるでしょう。
電装/保安部品
丁寧にメンテナンスされて現役で走られている車両ですので、保安部品の動作は全て問題なし。
錆びや変色と言った劣化の兆候が出やすいエキパイに軽い焼けや変色が見られますがが、マフラーと合わせて20年近く前の部品としてはとても綺麗です。
細かいところでは、ミラーカバー、ウィンカーレンズ、メーターカバー、テールランプカバーなどに細かい傷がやや多く、メーター周りの変色など疲労を感じさせる点も散見されましたが、細かいところですので減点も少しです。
ウインカー・テールランプな等、注目されることの少ない部品も純正のままで、部品の入手が困難なレア車の査定の上ではよりプラスに働きました。
その他
完全にフルノーマルの車両であり、深刻なダメージや劣化や不具合がなかったカリフォルニアストーンでしたが、買取査定の上で最大のネックとなったのはやはり走行距離。
メーター読みで95,300kmという走行距離は、このタイプの大型バイクとしても多走行の部類に入ります。
購入する立場としては9万キロ超えの車両は敬遠したくなるのもですし、
独特の横置きV型エンジンという仕様上、再販化の上では入念な点検とメンテナンスを求められることもあり、買取査定評価の上で最大のマイナスポイントとなってしまいました。
総合評価と買取価格
ポイントは走行9万キロをどう評価するか。 というのも今回査定させて頂いたカリフォルニアストーンは、オイル漏れや異音や白煙吹きなど買取価値を大きく損ねるエンジンの不具合はなく、多走行による足回りの過大なズレなどもないからです。
幸いなことに、買取業者の値付けの前提となっている業者間市場の取引データに類似の取引履歴があり、それが参考になりました。
落札データの少ないカリフォルニアストーンですが、昨年末に走行距離7.6万キロで状態が近似する個体が16万円で落札されています。
これを1つの手がかりとして、過去18か月で取引された3台のデータを検分して、業者間市場での想定売却値は15万円付近と見当をつけました。
そこから、出品手数料や運送費等の経費と、自社の儲けを差引いた12万円程度が査定価格となるところでしたが、 弊社販売店の仕入れ担当に、車両の写真を送信して、販売店での仕入れを打診したところ16万円なら仕入れるとの確認が取れたため、138,000円の査定価格でお役様に打診する事ができました。
販売店は業者間市場を通じて仕入れる場合、落札金額は15万円ですが、消費税8%と落札手数料が上乗せされるため仕入れコストは16.5万円となります。そのため16万円だと販売店にとっても若干安く仕入れる事ができるのです。
お客様のご感想と買取後記
「100万円以上で中古車が売られているんですが・・・やっぱり買取価格はそんなもんですか。」と苦笑いされつつも他のどの買取業者よりも高値であったということで、買取のご成約を頂きました。
事実、店頭では100万円以上で売られている車両もあるモトグッチ カリフォルニアストーンですが、販売店の仕入れ値は先述の通り15万円強です。
100万円で店頭販売しているバイク屋さんでも『15万円強で仕入れる事ができる相場の車種を20万円や30万円で買う事はありません』。
15万円で仕入れる事ができる車両を100万円で売るという事はそれだけ回転が悪く在庫期間が長いということの裏返しでもあります。
弊社販売店ではおそらく車両価格は50万円を切ると思いますが、部品の入手困難なレア車を保障を付けて販売する場合には入念なメンテナンスと在庫期間を見積もる必要があり仕入れ価格に比べると割高になる傾向は否めません。
モトグッチ カリフォルニアストーンの査定相場
1972年の初代カリフォルニア登場以来、40年以上もの長い歴史を持つモトグッツィ・カリフォルニア。
このカリフォルニアストーンはその長い歴史の中で生み出されてきたモデルのひとつで、アメリカでは白バイとしての採用例があるなど、それなりに知られたクルーザーです。
しかし、外車でアメリカンタイプの大型バイクという設計上、本家本元のハーレーほどのヒットは飛ばせず、日本市場ではマイナー車種に属するモデルとなっております。
年間を通じて多数のバイクが取引される業者間取引(オークション)の場でも出品事例は少なく、過去2年間ではわずか3台のみの出品があるだけでした。
以下、買取業者の値付けの前提となっている業者間市場の取引データを引用して、モトグッチ カリフォルニアストーンの買取相場をご案内差し上げます。
カリフォルニアストーン の取引データ |
落札額 |
評価点 |
走行距離 |
年式 (登録年度) |
17万円 |
4 |
5.3万km |
2002 |
16万円 |
4 |
7.7万km |
2001 |
15万円 |
4 |
4.8万km |
2003 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去2年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
状態が良ければで査定価格で20万円以上も
過去2年間で3台の取引しかないことが希少な車種であることを物語っています。
3台全てが走行距離4万キロ以上であり、長距離でも疲れず普段乗りもしたくなる乗り心地の良いマシンであることを物語っているようです。
取引価格も15~17万円と非常にコンパクトな幅に収まっています。1台1台見ていくと、
16万円で落札されている車両は目立った不具合や劣化・外傷はなく、走行距離を除くと敬遠される大きな要素はありません。
15万円で落札されている車両は、5速での異音が大きく吹け上り不良、腰下オイル漏れ大という点が敬遠される要素となっています。
17万円で落札されている車両は、大きく敬遠される不具合はありませんが、外装全体の色褪せや、タンク凹み、メーター異常などが気になります。
上記のことから、走行距離も浅く、状態が良ければ査定価格で20万円以上に伸びる余地がある相場であることも読み取れます
カリフォルニア シリーズの 査定相場
母数を増やして傾向を探るために、モトグッチ カリフォルニアシリーズの査定相場を比較して見ましょう。
- ▼モトグッチ カリフォルニアシリーズ
- カリフォルニアストーン(1100cc) 2001年~
- カリフォルニア1400
- カリフォルニアEV(1100cc) 2001年~
※過去2年間で市場で取引のあった車種のみ掲載
カリフォルニアシリーズの査定相場を比 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
California ストーン |
16.0万円 |
17.0万円 |
3台 |
California 1400 |
74.8万円 |
84.4万円 |
2台 |
California EV |
41.2万円 |
41.2万円 |
1台 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去2年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
状態がかなり良ければ査定価格40万円以上も
カリフォルニア1400は2015年式のツーリングが2台ともある程度の高値で取引されています。
カリフォルニアストーンと年式も形状も近似している派生モデルのカリフォルニアEVが41.2万円で取引されています。この車両は2003年登録、走行距離3.4万キロでかなり綺麗で状態の良い車両。
販売店での店頭価格はカリフォルニアストーンとカリフォルニアEVは近似しています。したがってカリフォルニアストーンも状態によっては査定価格で40万円以上も狙える余地があるとみてよいでしょう。
モトグッチカリフォルニアシリーズの査定はお気軽に当社にお声掛け下さいませ。お客様のご期待にお応えさせて頂きます。
モトグッチ カリフォルニアストーン
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近24ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 3台
- 平均価格: 160,000円
- 最高価格: 170,000円
- 最低価格: 150,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 0台
- 平均価格: No Data
- 最高価格: No Data
- 最低価格: No Data
相場情報:2018年1月11日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。