125ccクラスの元祖・通勤快速として多くのユーザーを獲得してきたスズキ・アドレスV100。
今回拝見させて頂いた車両も以前は通勤用にご使用されていたそうで、「メーターは1周している」とオーナー様が明かしてくれた累計走行距離はなんと12万kmにも及ぶ過走行車でした。
好みの分かれるピンク紫に自家塗装が行われていたものの、下地処理の荒さや埃や汚れを吸着し凸凹しているうえに塗装ムラが目立ち外装を無価値化しています。 鍵が無くなってからしばらく放置sだれていた事もあり全体的に荒廃し、劣化が激しい状態にありました。
以下、今回有償で処分回収させて頂いたスズキ・アドレスV100の車両詳細となります。
足回り
さすがに12万km超えの過走行車だけはあり、飛び石の積み重ねなのかフロントフォークの内側に外側と比べると明らかに多くの擦り傷や塗装ハゲが見られ、機能的にも大きな劣化の症状を呈していました。
ハンドルロックされたまま鍵が無い状態の為、ハンドルをまっすぐにすることは出来ませんでしたが、ハンドルロックの状態でもハンドル角とホイールの位置がズレていることから、どうやら派手な転倒によってねじれが発生している様です。
前後タイヤともに消耗が激しく、残り山は二分も残っていない状態。
その他ブレーキパッドの消耗・後部サスのサビも激しく、かろうじて再利用できそうなのは見た目よりも意外にサビがキツくない前後ホイールのみ。
足回りに関しては、車種自体の価値の下落が激しいアドレスV100にあっては部品的な価値も皆無に近く処分対象品としての評価に甘んじました。
外装
現オーナー様によれば「転倒歴はなし」とのことでしたが、個人売買で5千円にてご購入されたとのことでした。
「購入時のメーター表示は99,800kmで1周寸前。それに派手なピンク紫に改造されているから安かったんだと思う」とオーナー様が仰る塗装は、 素人が市販品のスプレーで塗装したようで埃や汚れを吸着してデコボコしているうえに色も均一ではなく塗りムラが目立ち、近くで見ると一見して下手な塗装であることが見て取れます。
以前のオーナーがかなりラフに乗られていたのか、フロントカバー・ステップボードには経年によって歪みが発生しています。各所のズレや隙間が、過走行や転倒などを悲しげに物語っておりました。
転倒傷が目立つステップボード、近くで見ると一見して価値のないことが伝わる素人塗装のカウル類、穴の開いている張替え済みのシート、ノコギリで雑に切断されたリアフェンダー。
外装類に関しては価値が皆無で、無料での引取りも難しく処分対象としての費用見積もりとなってしまいました。
エンジン周り
キー紛失のため、当然ながらエンジン始動は確認できずじまい。
頑丈さに定評があるアドレスV100のエンジンですが、走行距離12万km超えとなると、放置による荒んだ様子と合わせてくたびれ感が滲んでおります。
すでに4ストロークエンジン搭載の後継モデル・アドレスV125も生産を終了している環境にあって、さらに前のモデルであるアドレスV100で走行12万キロを走って状態を確認できないエンジンにお値段をつけることは難しいと言わざるを得ませんでした。
修理自体は可能ですが、実需の殆どないV100のエンジンは商業的にはレストア価値は無く、こちらも処分前提のジャンク品としての査定価値となりました。
フレーム回り
車体の大部分が外装カバーに覆われているため、フレーム周りの正確なチェックはできませんでしたが、フロント部のねじれ状況等から推測すると、大きな衝撃が吸収された転倒車又は事故車であることが疑われます。
実動車でも難があると買取対象から外れて無料引き取り又は有償処分対象となってしまうほど相場の下がっているアドレスV100。事故車である可能性が疑われるフレームとなると買い取りでの対応は困難だと言えます。
メインスタンドの付け根などは、すでにサビによって折れそうなほど腐食が進んでいることからも、再商品化に当たっての商業的価値は無くこちらもジャンク品として処分対象パーツの評価に甘んじました。<
電装/保安部品
キー紛失でイグニッションがONにできないため、電装・保安部品ともに評価点は最低レベルに留まりました。
電装系の保安部品は、汚れが固着し曇っているメーターパネル、欠損しているヘッドライトやテール部のくすみなど処分対象のジャンク品扱いに。
排気系の保安部品は、エキパイは腐食が進んでボロボロの状態。マフラー自体もカーボン詰まりを起こしている様子で、試しに手で叩いてみるとわずかな隙間しか残っていない様子。 こちらも処分パーツとしての評価に甘んじました。
その他/カスタムなど
ほぼノーマルの状態ではありますが、先述の通り、素人塗装で外装は無価値化。ノコギリで雑に切断した痕が残るリアフェンダーなど、改造による査定への影響はマイナスとなりました。
その他、経年によってすっぽ抜けようとしているハンドルグリップ、塗装下の擦過傷がわかるほど激しい色ムラ等、非常に難の多い車両状態。
シートの所々にてんとう虫サイズの穴が空いているのも良いものではなく、再利用できそうな箇所をいくつ見つけられるか…という具合でした。
有償での処分回収となったアドレスV100不動車の総合評価
以上が今回のスズキ・アドレスV100の査定チェックポイントですが、全体的に疲労感が濃厚に出ており、上述の通り各パーツ単位でも外装・商業的に価値を見出すことは困難な状態でした。 ▼処分回収費用が必要となった理由を上げさせて頂くと
- 車種自体の市場価値が極端に下がっている
- ハンドルロックの状態で鍵紛失しているため、動かせない
- 派手な転倒や事故歴が疑われる外傷
- 素人塗装で外装が無価値化
- 12万キロを超えている過走行
国内では後継モデルのアドレス110やアドレスV125G/Sなどの後継モデルの圧倒的な量の流通によって駆逐されるように相場が下落したアドレスV100。
それでも数年前までは、貿易用途で無料引取りや買取対応が可能だったのですが、東南アジアでも優れた100~125ccの現地モデルのオートバイが中古市場にも流通するようになり、海外でも型落ち感が否めなくなったV100は急速に行き場を失ってしまいました。
その様な環境下にあって、上記のような難をたくさん抱えるジャンク車のアドレスV100とあっては、無料での引取り回収も難しく、有償での処分回収となりました。
今回引き取りさせて頂いたV100を国内の業者間市場で売却した場合、予想される取引値は1,000円が見込まれます。
1,000円で売れますが、出品手数料などの直接経費や運送費や人件費などの間接コストを考えると1万円程度の処分費用を頂戴しないと赤字となってしまいます。
今回、破格の4千円の費用で回収できたのは、鍵を直して実働車として1万円程度で貿易で流通させるルートを見込んだ当社の修復力と販売網が影響しています。
鍵なし車両の修復・回復の競争力
当社では毎月数十台の鍵なし車両を買取(引き取り)いたしております。
1台で頼むと、出張費で最低2,000円~、鍵作成(鍵開け)費用で最低でも8,000~、合計で最低でも1万円以上掛かってしまう鍵作成・鍵開け費用。
当社では年間契約で月1回の訪問で数十台を纏めて鍵作成を依頼している為、1台当たりの鍵作成単価は驚くほど安く済みます。
そのことが鍵なし車両をより高く買い取り(よりやすく引取り回収)できる理由となっています。<
自社工房の整備力
毎月100台近い不動車を買取(引き取り)している当社では、買取車両や販売車両を販売店の整備工房で毎月 数百台を整備しています。
不動車の回復もおてのもの1発のキャブ洗浄で回復できれば1時間かからず実働化させる事ができます。
そのことが不動車や故障車をより高く買い取り(よりやすく引取り回収)できる理由となっています。
お客様のご感想と、鍵無ハンドルロック車両の引取り処分 後記
「個人売買で5千円で買った車両だからね。もともと。買った時もすでにガタがきてたけど、ハンドルロックした状態で鍵なくして。最初は鍵業者に相談したら1万2千円掛かるっていうからさすがに遠慮しました。そこまでしてのる状態じゃないしね。」
「もちろん売れるとは思っていませんでした。電話で他の業者に効いたらやはり1万円掛かるって言われて。それで友達に聞いたらバイクパッションがいいってことで。4千円なら安いでしょ。廃車手続きもやってくれるんでしょ。持ってってください。」
とはお客様のお言葉。
鍵無でパーツ価値もないボロボロのアドレスV100を引取りさせて頂き、廃車手続きを完了し、廃車証のコピーをお客様にご郵送して引き上げ業務が完了となりました。
ADDRESS V100 の査定相場の比較
1991年から2005年にかけて生産され、非常に元気なエンジンと小回りの効く軽量ボディにより、多くのユーザーを獲得したスズキ・アドレスV100。
その後は4ストロークエンジン搭載のアドレスV110・V125にモデルチェンジしましたが、その後継モデルであるアドレスV125/V125G/V125Sも生産を終え、現在ではほとんど値段がつけられない状況となっております。
以下、直近3ヶ月内におけるスズキ・アドレスV100の取引分布図となります。
- ▼状態を表す評価点の目安|ADDRESS V100
- 評価点4 状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み または若干の難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
アドレスV100|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 2 |
評価点 1 |
3万円台 |
3台 |
0台 |
0台 |
2台 |
2万円台 |
4台 |
5台 |
0台 |
4台 |
1万円台 |
8台 |
13台 |
1台 |
60台 |
1万未満 |
4台 |
17台 |
1台 |
55台 |
総落札台数 |
19台 |
35台 |
2台 |
121台 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去24か月間間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
最高落札価格となったのは走行距離1万km未満の評価点4をつけた車両で、フルノーマル&外観良好という点が好材料となり3.6万円にて成約となりました。
その一方、昨年暮れに評価点3をつけた車両がわずか0.2万円と低評価に終わり、その他2台が0.2万円に留まっております。
実動車両であっても平均取引価格は1.4万円と低く、平均並み以下のアドレスV100となると多くの場合は廃車処分費用(出品手数料や廃車コストなどの直接経費+運送費用や人件費などの間接経費)で売却金額が相殺になってしまうことも。
現場での査定価格は数千円程度が中心となり、状態に応じて上下する査定相場であることが読み取れます。
状態が良ければ数万円の査定価格が見込めます。アッパーに目を向けて過去6ヶ月まで期間を拡張すると走行2kmの極上車が希少価値もあり13.8万円で取引されています。
続けて事故車や不動車を意味する評価点1の車両の取引相場を見てまいりましょう。
奇しくも最高落札価格は同じ3.6万円となっておりますが、平均取引価格は1万円にまで下落しています。
1万円以上で落札されている車両は軽いメンテナンスで実働化する純実働車であり外装も綺麗なポテンシャルの高い不動車が中心です。
今回の車両のように難が多い車両やパーツ取りなどの車両になると1,000円~数千円のレンジに取引が集中しています。
事故車ではほぼ全てが、不動車の場合は車両のポテンシャルによって廃車処分費用を頂く形となってしまうアドレスV100ですが、自社店舗での再生販売も行っている弊社パッションであれば、 貿易ルートや修理用のスペアパーツとしてもお値段をつけられる可能性があります。
状態次第でははそれなりのお値段をつけさせて頂ける可能性もありますので、アドレスV100の処分にお困りのオーナー様は、お気軽に弊社パッションまでご相談ください。
アドレスV100 豆知識
1991年の発売から2005年に生産を終了するまで、累計販売台数21万台という記録を樹立し、日本国内における2種スクーターを人気ジャンルに押し上げた偉大な功績を持つ。
アドレスV100(フレーム型式MC40
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近3ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 56台
- 平均価格: 14,351円
- 最高価格: 36,000円
- 最低価格: 2,000
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近3ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 121台
- 平均価格: 10,388円
- 最高価格: 36,000円
- 最低価格: 1,000円
相場情報:2018年1月4日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。