頂戴したお電話から想像していました超極上車とはやや趣を異にしていましたが、約5,000kmの走行距離と同じように平均並みの状態であった2014年モデルのソフテイルスリム。
以下、今回買取させていただいたハーレー・FLSソフテイルスリムの査定内容詳細となります。
足回り
査定現場に到着するとブラシや研磨剤などがソフテイルスリムの脇に置いてあり、「いやぁ~超極上車と言ったものの。錆び取りしていました。少しは査定額が高くなるかなぁと(笑)」と笑って教えてくださったオーナー様。 査定開始直前までオーナー様によって研磨剤によるサビ落としが行われており、磨きキズ・磨き残しのサビはあったものの状態的には走行距離相応。
Fフォークの減衰もしっかりしており、この点に関しては事前説明と同程度のものでした。
その一方、前後スポークホイールは全体的に薄茶色のサビが多数発生し、スポークのみならずディスクローターなどへも侵食。
リア回りも同様の状態であり、手の届きにくい奥側には腐食が見えたため、引き上げ後のリペア作業を要するという評価で軽いマイナスが入りました。(プロによるスポーク磨きは前後輪でそれぞれ数時間かけて行う事も)
ステム・ブリッジといった部分への侵食は比較的控えめで、全体的な総評としては平均並みです。
外装
社外製メッキファンネルなどが装着され、カスタムハーレーの定番スタイルに則ったハーレーFLSソフテイルスリムでしたが、全体的に軽微なサビがちらほらアリ。
リアフェンダー・シャフトガードといった部位には細かいキズがつき、粗目のコンパウンドのものと思わしき磨きキズも。
ガソリンタンクは事前説明と同程度に綺麗でしたが、よく見るとタンクリムなどにも磨きキズが見られ、当初のお電話での仮見積もりよりも査定評価は低めとなってしまいました。
エンジン周り
耐熱処理が施されたブラック仕上げのフィンには、全体にうっすらとしたサビが目立つ状態。
変色度合いは薄茶色止まりですが、メッキパーツ&ブラック仕上げが多いビッグツインエンジンだけに、このサビはかなり目立ちます。
また、ファンネルとの接合部にもかなり進行したサビがあり、エンジン下部には細かい擦りキズあり。
マフラーは純正のものからスラッシュカットへ変更されておりますが、排気焼けといった大きなマイナス点はなく、純正マフラーありということもあって単純にプラス評価の対象に。
始動性に関しては申し分がなく、ビッグツインならではの力強良い鼓動感が確認できました。
オーナー様の談では、外観上のメンテナンスはともかく、2,000kmごとに消耗品交換を行ってきたとのことで、軽いオイル漏れが腰下に見られますが、機能的な減点はほぼなく状態は極めて良好。
ただし、エンジンフィンの錆びや擦り傷のリペアなどは1日がかりの根気のいる作業となりそうで、その分買取価値を軽く損ねていました。
フレーム回り
かがみこんで腹下を覗き込むと若干の水垢あり。
こちらもうっすらとサビが出始めており、引き上げ後のリペア作業は必要という判断に。
とは言え、フレーム全体としてはまずまず状態を維持しておられ、細かいキズ・サビ・やれを除けば年式相応といった具合でしょうか。
また、フットペダルとフレームとの接合部といった見落としやすい箇所も腐食が始まっており、これらの細かいサビ・腐食が評価を下げるポイントとなっております。
エンジンガード装着車で転倒によるダメージが見られなかったことにより、エンジンガード込みで年式並み若しくは若干上だという形で落ち着きました。
電装/保安部品
ご使用頻度をお伺いしたところ、週末ライダーとして月に2~3回、冬場でも長く乗らない期間は無かったそうで保安部品の動作チェックはどこも異常なく全てOK。
ただし、ヘッドライトが交換されていること、ノーマルのライトが欠品状態であることから評価は気持ち程度ですが若干下がってしまいました。
これが単純な大径ヘッドライトであればノーマルパーツ相応という見方もできますが、かなり好みがわかりやすい多灯式タイプであるため、それほど高めに評価することができませんでした。
一般的にハーレーのバイクはカスタムされることが多い傾向にありますが、カスタム内容によっては買取査定金額にかなりの影響を及ぼすこともあり、できるだけノーマルパーツがあることが理想だと言えます。
その他/カスタムなど
その他、車体右側にはミニサイズのサドルバッグが装着されており、こちらは比較的綺麗でした。
こうしたサドルバッグ類はハーレーの定番アイテムの一つで、使用感がなければ単純にプラス材料となります。
ヘッドライト交換により、電装系も合わせて換装したとのことでしたが、ライトはともかくノーマルの回線は保持されており、こうした点を加味した上での判定をさせて頂くことになりました。
また社外エアクリーナーに付きましても、より広範囲に一般向けする純正品が欠品となっており、その点で気持ち程度の若干ですが減点査定となりました。
総合評価と買取価格
以上が今回のハーレー・FLSソフテイルスリムの査定チェックポイントです。
『キズ・錆び1つもない超極上車』と事前に頂戴していましたご説明とは若干違った現状であったため、お電話での仮見積もり金額を白紙に戻しての買取査定とさせていただきました。
その旨、オーナー様にご説明差し上げてご了承を頂いてから
実車に触れて一つ一つの部品を丁寧にチェックした結果、年式並みのソフテイルスリム状態という評価になりました。
下段で詳細していますが、2012~2015年のツインカム96エンジンのソフテイルスリムは、年式並みの状態だと。その買取相場は70~110万円台と幅広くその価格差を理解するのが困難なのが現状です。
それでも、ハーレー買取台数で日本1・2位を争う当社の実績と目利き力を駆使して、通常の買取店では博打の提示額となる94万円の査定価格で買取させて頂きました。
お客様のご感想と買取後記
「どうしても高く買い取りして欲しかったんで。でも提示金額は僕の希望額を超えています」査定額に色よいご返答を頂戴する事ができました。
サビの発生箇所は多めながら、仔細をチェックしていくと程度状況はそこまで深刻なものではなく、一つ一つを丁寧に見た結果、 当初のお電話でのお見積もり金額には及びませんが相場的には非常に競争力のあるパッションならではの情熱的な金額がご提示できました。
実はこちらのオーナー様、「ハーレーの購入店で下取りの見積もりを取ってたんだけどそれより10万円高い金額」であることをオーナー様から教えて頂きました。
車両の状態のキャッチボールでちょっとした食い違いがあり、申し訳ない気持ちになりましたが、最後にはお客様の笑顔でお取引を締めくくることができて何よりホッといたしました。
ソフテイルスリム 査定相場の比較
1,580ccのツインカム96Bエンジンを搭載し、図太いトルクとやや細身のボディながら、ハーレーらしい野趣が感じられたハーレー・FLSソフテイルスリム。
こちらもその他のハーレー車同様、中古バイク市場での価格は安定傾向にありましたが、1,689ccツインカム103エンジン搭載モデルの台頭と同時に、その相場価格が下がりつつあります。
では具体的に、買取業者の値付け指標となっている、業者間取引市場の落札データを見てみましょう。
状態別の買取相場
▼状態を表す評価点の目安|ソフテイルスリム
- ▼状態を表す評価点の目安|ソフテイルスリム
- 評価点6 とても状態が良く綺麗
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並みか若干の難あり
- 評価点3 難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
FLS(2012~2015)|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 6 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 1 |
130万円台 |
1台 |
0台 |
0台 |
0台 |
120万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
110万円台 |
1台 |
2台 |
0台 |
0台 |
100万円台 |
1台 |
7台 |
2台 |
0台 |
90万円台 |
0台 |
1台 |
1台 |
0台 |
80万円台 |
0台 |
1台 |
2台 |
0台 |
70万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
60万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
0台 |
50万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
2台 |
総落札台数 |
3台 |
13台 |
5台 |
2台 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
同じ状態でも30万円の価格差が発生
過去1年間で21台の実働車の取引があったFLS(2012~2015年のツインカム96)。
最高落札額は走行266キロの極上車がつけた139万円。対して最低額の75.8万円で落札されたのは走行距離9,666キロで綺麗で状態の良い車両。
実に価格差は60万円以上ありますが、60万円もの価格差が開くほど状態に差はないのが実情です。
例えば、102万円で落札された車両と、75.8万円で落札された車両は、ほぼ同じ走行距離であり同じ評価点です。
車両の状態は同一なのに30万円近い価格差が存在するという事は、買取業者の値付けを難しいものにしていると同時に、その時々の需給によって相場が変わり、確固とした相場が崩れつつあることを物語っていています。
中間の88万円当たりが妥当なのか?102万円が妥当?それとも75.8万円?ヒントとなるのが時系列の傾向です。
ソフテイルスリムに限らず、ここ5年近くハーレー全体の相場は下落傾向にあり、かつてのハーレー=超高額査定のイメージは崩れつつあります。
下落幅としては車種にもよりますがここ5年で総じて10~20%以上というのが一般的です。相場の下落は中古ハーレーの店頭価格にも反映されていて、国産大型車と比べても入手しやすい手頃な価格になっている車種も多く見受けられます。
下落基調にあることに加え、上位モデルのFLS(2016~2017年のツインカム103)、FLSS(ツインカム110のソフテイルスリムS)に押されて、今後も下落していくことが予想されます。
買取相場の回復要素が見当たらない現状では、ソフテイルスリムを売るのであれば今が売り時とも言えます。
さて、状態による取引価格にある程度の比例関係はあるものの、同じような状態でも大きな価格差が見られるFLS(2012~2015年のツインカム96)。
状態による取引価格に傾向はないのか?より詳しく、個別の取引データを以下の紹介します。
FLS(2012~2015)買取相場の詳細
過去1年間の取引台数全23台を並べると縦に長くなり見づらいので、半年間に絞った17台の取引データを記したのが下記表になります。
年式別の査定相場|ソフテイルスリム実働車 |
落札価格 |
評価点 |
走行距離 |
年式 |
139万円 |
6.5点 |
0.03万km |
2014 |
119万円 |
5.3点 |
0.0万km |
2014 |
116万円 |
6.7点 |
0.5万km |
2012 |
111万円 |
4.5点 |
0.2万km |
2014 |
110万円 |
4.8点 |
0.7万km |
2014 |
108万円 |
4.7点 |
0.5万km |
2014 |
107万円 |
5.5点 |
0.3万km |
2015 |
103万円 |
4.5点 |
1.8万km |
2013 |
103万円 |
4.7点 |
1万km |
2013 |
100万円 |
4.3点 |
1.4万km |
2013 |
100万円 |
5.3点 |
1.5万km |
2013 |
93万円 |
4.7点 |
0.03万km |
2015 |
89万円 |
4.7点 |
0.6万km |
2013 |
82万円 |
4点 |
2.2万km |
2012 |
76万円 |
4.7点 |
1万km |
2012 |
60万円 |
1点 |
1.4万km |
2014 |
53万円 |
1点 |
不明 |
2013 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去6ヶ月間遡った数字)
日本1・2位のハーレー買取台数を誇る当社だから細かい目利き力
評価点6以上の車両は110万円以上で2台取引されていて、1つの傾向値として認識できますが、評価点4点台の車両は75.8~110.7万円まで10台取引されていますが、同じような走行距離・年式・カラーリングで大きな個体差が無いのが実情です。
例えば93万円で落札されているFLSは、走行距離296キロで評価点は4.7。目に付きにくい裏側や細かいところに小錆びが浮いていますが、その他は目立った減点はなく状態が良く綺麗な車体です。にもかかわらず93万円での落札となっています。
そうなると、業者間市場に出品して利益を確定させる買取業者としては、運送費や書類調整や出品手数料などの経費を差し引くと90万円の査定価格で買取して何とか利益が見込めるラインです。
走行数百キロの綺麗で状態の良い車両で、思い切って出せそうな金額が90万円となってしまいます。
評価点4点台で、走行距離が数千キロだと、業者間市場での想定取引額は75~110万円の間で読めないため、博打の要素を排除して確実に利益を出すには70万円程度で買取したいのが本音です。
ハーレーの買取台数で日本で1・2位を争う屈指の買取販売店であること。買取している台数の多さとその実績から、他社ではできない細かな目利き力で、お客様の立場により沿った思い切った査定価格で買取いたしております。
また併設の販売店でも多数のハーレーを販売しています。販売店での仕入れ需要があれば1段高い価格でハーレーの買取を実現いたしております。
FLSソフテイルスリム【2012~2015年モデルのTwinCam 96】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 83台
- 平均価格: 114,470円
- 最高価格: 260,000円
- 最低価格: 54,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 36台
- 平均価格: 75,778円
- 最高価格: 112,000円
- 最低価格: 31,000円
相場情報:2018年2月22日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。