交通事故で大破した1400GTRは2013年式のC型です。 保管現場となっていたレッカー業者で査定させていただきました事例です。
一見して凄まじい衝撃によって大破したことが分かる事故車でしたが、オーナー様は奇跡的に軽傷で、オーナー様にお立会い頂いての査定となりました。
先ずは足回りから査定していきましょう。
足回り
事故の影響でハンドルは大きく折れ曲がり、フロントフォークも大きく歪曲して、前輪の操作性を失っています。
前輪を作用させることができず2輪で転がすことが不能な状態なため、車両重量が300kgを超える車体の押し引きには、前輪に台車をかませて操作性を確保したうえで2人がかりの労力が必要です。
足回りの評価で主力選手となるフロントフォークは上述の通り壊滅しています。
前輪のディスクブレークは折れ曲がり、フロントホイールは変形しています。前足については査定で評価できる内容が皆無に等しい厳しい内容となりました。
比較的綺麗に残っているリア足については、スイングアーム、リアホイールには事故による軽めの損傷があります。リアショックについては再利用可能ですがパーツ価値としては多くの買取価値が見込めない状態となっていました。
エンジン/電装系
続いてエンジン回りを査定していきます。
残念ながら、電装系のケーブルやソケット類が複数断線しているためエンジンの始動は叶いませんでした。
事故でぶつかったフロントからの衝撃を吸収して大きく歪曲しているラジエーターにエキパイはその背後に控えるエンジン本体にも外傷を及ぼしています。
エンジン機能自体は生きていると思われますが、外相も大きく査定の評価点としては再利用可能なエンジンポテンシャル程度の評価に留まりました。
外装/保安部品
写真でもご覧いただける通り、フロント周りは壊滅しています。最も価値の高い両センターカウルについても半損状態なので買取価値としては殆ど計上できません。
ただし、22Lの大容量タンク、タンク1400GTRのロゴが入った両サイドカバー、リアのパニアケース、滑落している両サイドのパニアケースには軽い損傷が見受けられますが十分な買取価値があります。
保安部品については、査定の対象となったのは損傷の見られるマフラー程度でしょうか。メーターは損傷していて、元来の価値が低いランプ類は壊滅していて価値は開場できませんでした。
フレーム
ここまで多くの損傷が確認できた1400GTR。既にここまでの段階で修理するよりも新車を買ったほうが高そうな全損車両の様相を呈していますが、 この車両の買取価値を最も左右するフレームの状態はどうでしょうか?
目視では大きな歪みは感じされませんでしたが、フレーム接合部に皺が寄っていれば剛性が失われている証拠となりますので、買取価値を大きく失います。
幸いなことにモノコックフレームには目視触診でも衝撃を吸収した痕跡はありませんでした。
総合評価と買取価格
以上が、今回査定させていただきました2013年式の1400GTR事故車の査定内容です。
概要を改めて纏まますと、買取価値のあった主だった部位は、メインフレーム+エンジン+外装部品や保安部品などに留まりました。
前輪の操舵性を消失しているため、車体の回収には前輪に台車をかまして二人係での回収が必要となる状態でした。
以下の相場情報で詳しくご紹介しておりますが、相場的には5万円程度となる状態でしたが、弊社販売店でのパーツ需要もあり、パーツ価値を余すことなく計上した結果9万円の査定価格で買取させていただきました。
お客様のご感想と買取後記
「田舎道の追い越しで操作を失って反対の崖に突っ込みました。自分は気付いた瞬間に車体から降りたのでほぼ無傷でしたが・・・・」と事故の様子を教えてくださったオーナー様。
「保険もJAFも入っていなかったので。。スマホで調べてレッカー業者に引き揚げてもらいました」
「レッカー業者に処分してもらえないか打診しましたが、不可の返答で。明日から保管料が発生するということで、来てもらいました。」
「まさか買取額が9万円とはって感じです。これなら事故現場でパッションさんにお願いしていれば。。。ボロボロでエンジン掛からないGTRを見た瞬間、買取とか頭になくて、とりあえずレッカー業者だったから。。」 とのお言葉を頂戴いたしました。
JAFや任意保険のロードサービスはいざという時のために必須です。
ただし、引き取り先の提携業者からどう動かすかという点は一考が必要です。
ロードサービスによっては、距離制限は付くもののもう一か所任意の場所に運んでくれるサービスもあります。
動かせない車両となり、保管費用が発生する状態を作らないようにすることは大事なことです。
ここまで、査定事例についてご紹介させていただきました。
以下からは1400GTRの相場情報についてご案内差し上げます。
モデルチェンジの変遷|GTR1400
2008年に発売された1400GTRは、2010年と2015年に型式変更を伴うモデルチェンジが実施され、惜しまれつつ2016年に生産終了となりました。
モデルチェンジを境にして買取相場が変化するのが一般的傾向ですが、1400GTRはどうでしょうか?
買取相場を検証する前に、まずは型式変更の変遷を見てみましょう。
モデルチェンジの変遷|GTR1400 |
年式 |
フレ番 |
仕様変更 |
2008年 |
ZGT40A |
初代 |
2010年 |
ZGT40C |
先端機能を付加 |
2015年 |
ZGT40E |
デザインのマイナーチェンジ |
初代のA型・2代目のC型・3代目のE型とモデルチェンジによって型式が変化してきた1400GTR。
モデルチェンジによって買取相場に差異はあるのか?
型式別の買取相場をご案内差し上げます。
『 A型 vs C型 vs E型 』高く売れるのは?
1400GTR|型式別の取引相場 |
型式/ 落札価格帯 |
A型 2008年~ |
C型 2010年~ |
E型 2015年~ |
平均取引額 |
43.5万円 |
64.5万円 |
- |
最高取引額 |
65.0万円 |
95.0万円 |
- |
取引台数 |
20台 |
7台 |
0台 |
90万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
80万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
70万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
60万円台 |
4台 |
0台 |
0台 |
50万円台 |
2台 |
3台 |
0台 |
40万円台 |
5台 |
0台 |
0台 |
30万円台 |
8台 |
1台 |
0台 |
20万円台 |
1台 |
0台 |
0台 |
(2018年月6時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
残念ながら2015年モデル以降のE型は取引がなくデータが取得できませんでした。
2008年~のA型と、2010年~のC型の比較になるのですが、平均取引額で比較すると二代目C型のほうが20万円以上も高くなっています。
状態が良ければ70~90万円付近まで取引額が伸びるC型に対して、初代A型は60万円程度が上限取引額となっています。
上記の取引額は、買取相場の前提指標となっている業者間市場での取引額ですので、結論として1400GTRの買取相場は型式によって大きく異なることが分かります。
コンコース14 vs 1400GTR 高く売れるのはどっち?
2008年に海外向けと国内向けに発売された1400GTRは、仕向け地によって名称が異なります。
仕向け地によってはコンコース14の名称で発売されていているのですが、コンコース14は逆輸入車として国内でも流通しています。
コンコース14とGTR1400の見分け方は簡単です。
お持ちのGTR1400のシートカウルにCONCOURS14のエンブレムが入っていませんでしょうか?
シートカウルのエンブレムが1400GTRか?CONCOURS14か?で判定できます。
また車台番号もCONCOURS14はZGN、1400GTRはZGTと違いがあります。その他は仕向け地によってローカライゼーションされている点を除けば同一車種です。
さて、コンコース14 vs 1400GTR。高く売れるのはどっちなのでしょうか?
先ほど、1400GTRの買取相場は型式によって大きく異なるとご案内させていただきましたので、型式別にコンコース14と1400GTRの買取相場を比較してみましょう。
1400GTR|型式別の取引相場 |
|
1400GTR |
コンコース14 |
|
A型 2008年~ |
C型 2010年~ |
A型 2008年~ |
C型 2010年~ |
平均取引額 |
43.5万円 |
64.5万円 |
46.7万円 |
91.7万円 |
最高取引額 |
65.0万円 |
95.0万円 |
65.2万円 |
98.4万円 |
取引台数 |
20台 |
7台 |
6台 |
2台 |
90万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
1台 |
80万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
1台 |
70万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
60万円台 |
4台 |
0台 |
1台 |
0台 |
50万円台 |
2台 |
3台 |
0台 |
0台 |
40万円台 |
5台 |
0台 |
4台 |
0台 |
30万円台 |
8台 |
1台 |
1台 |
0台 |
20万円台 |
1台 |
0台 |
0台 |
0台 |
(2018年月6時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字) 逆車として流通しているため、1400GTRに比べて取引数が少ないCONCOURS14ですが、直近1年間で8台の取引がありA型が6台、C型が2台と特にC型は傾向地としては弱いですが 平均取引額で比較してみると、1400GTRに遜色ないというよりも、若干高値で取引されていることが分かります。
母数が少なく傾向地は弱い点は割り引かなくてはいけませんが、結論としては気持ちCONCOURS14の方が高い買取相場となっていると言えます。
C型(2010~2014年) 1400GTRの買取相場
今回買取事例としてご紹介させていただきましたのは、2013年モデルC型の1400GTRです。
ここでは2010~2014年モデルであるC型の1400GTRに絞って、より詳しい買取相場をご案内差し上げます。
- ▼状態を表す評価点の目安|1400GTR
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み・やや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点1 事故車や不動車
中古1400GTR|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格 |
評価点 |
年式 |
走行距離 |
95.0万円 |
4.8点 |
2011年 |
0.5万km |
85.0万円 |
4.6点 |
2011年 |
1.0万km |
70.6万円 |
4.3点 |
2010年 |
1.6万km |
59.4万円 |
4.5点 |
2010年 |
1.7万km |
55.6万円 |
4.5点 |
2010年 |
5.2万km |
50.6万円 |
4.3点 |
2010年 |
3.5万km |
35.8万円 |
4.5点 |
2011年 |
8.5万km |
26.1万円 |
1点 |
2010年 |
事故車 |
19.8万円 |
1点 |
2012年 |
事故車 |
5.5万円 |
1点 |
2010年 |
事故車 |
(2018年6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車の買取相場
直近1年間で、C型(2010~2014年モデル)の実働車は7台が取引されました。
上記表の上位7台が相当します。
査定において最も重視される総合評価点に先ず注目すると、4.3~4.8点と殆ど差異のないことが分かります。
続いて年式を見ますが、2010~2011年モデルで同じ型式の1年違いということで特筆事項はありません。
最後に走行距離を見ると、最小は0.5万km、最多は8.5万kmと大きな乖離があります。また取引金額と走行距離が凡そ連動(低走行=高額取引/多走行=定額取引)していることが見て取れます。
以上、査定において重要な3要素を総括すると、状態を示す評価点に差異が殆どなかったために、走行距離によって取引額に差異が発生したと見ることができます。
結論としては、
サンプル数が8台と少ないですが、30~90万円台で取引されたC型 1400GTRは概ね評価点は類似。しかしながら走行距離が取引額の明暗を分ける結果となっています。
評価点が4点台の良好車は、走行距離に応じて30~90万円台での取引。
評価点が5点台の極上車となれば、100万円以上の取引額も狙えます。逆に評価点が3点台の難あり車両になると多走行車では20万円台以下の取引になることも予想できます。
以上が、C型 1400GTRの取引相場です。
ただし1点注意が必要で、
査定現場での取引額は、業者間市場での取引額から買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差し引いた額となります。
買取業者の儲けと経費の合計として、大型バイクの場合は4万円程度が適正でお客様にとって競争力のある価格となります。
市場で想定される取引額から4万円程度を差し引いた額であれば、非常に競争力にある査定額といえます。
事故車の買取相場
直近1年間で、C型(2010~2014年モデル)の事故車は3台が取引されました。
上記表の下位3台が相当します。
各個体の状態ですが、
最上位の26.1万円で落札された個体は、パニアケースが滑落しエキパイが歪曲しています。サブフレームに歪曲がありそうです。
19.8万円で落札された個体は、外装には大きな損傷は見当たりませんが、フロントフォークが大きく歪んでいます。
最下位の5.5万円で落札された個体は、一見して事故車と識別できる状態で、両パニアケースは滑落、フロントは潰れアッパーカウルから電装系にメーター類やハンドルまで破損し、フロントフォークが大きく歪んでいます。 潰れ具合からはメインフレームも損傷を受けていると推察できます。
サンプル数は少ないですが、凡そ損傷状況と取引額が連動していることが読み取れます。
業者間市場の取引額から、買取容赦の儲けと経費の合計額の4万円程度を差し引いた買取相場は下記のようになるでしょう。
- ▼事故車の買取相場|1400GTR C型
- フォーク歪み:他の部位の損傷状況に応じて数万円~10万円台
- 全損事故車:残存部品の価値で数千円~
1400GTR+CONCOURS14
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 35台
- 平均価格: 510,629円
- 最高価格: 984,000円
- 最低価格: 290,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 3台
- 平均価格: 171,333円
- 最高価格: 261,000円
- 最低価格: 55,000円
相場情報:2018年6月15日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。