エンジンのトラブルによって修理しようと思っているうちに、5年程 屋外に放置されていたアプリリア・RS50
野晒しで放置されていたために、外装の傷みや色褪せが目立ち、販売当時の艶やかさは完全に失われ、再塗装をしない限り回復は困難な劣化となっています。
広範囲に渡るカウルの擦り傷やフロントフォークの削れなど転倒傷も目立ち、稀少な50cc2ストスポーツながら車両状態の悪さで不動車としては相場並みの査定価格での買取となりました。
以下、今回買取させていただいた2004年モデルTSJ型のRS50の査定内容詳細となります。
足回り
アウターチューブの車軸付近に大きく削れている転倒傷がありましたが、パッと見ではフォークの曲がりはなし。
車体を押し引きし、前後のタイヤを一直線上に並べてチェックてみると走行に大きな支障を与えるほどではありませんがフォークねじれが発生しており、減衰圧も弱々しくなっている状態で買取価値を大きく損ねていました。
ブレーキ類は後輪が固着気味で、キャリパーやディスクローターのサビなども含め、整備には手間とコストを要する状態となっておりました。
それでもブレンボ製ディスクブレーキは価値があり、状態は悪くとも中古パーツとしてお値段をつけさせていただくことに。
リアショックはチェーン付近にまで及ぶオイル漏れ痕があり評価が厳しい状態、スプロケやチェーンは錆び錆び、ハンドルバーエンドは転倒で削れており、 放置による機能劣化や転倒による外傷によって、足回りの査定評価はネガティブな内容となりました。
外装
欠品扱いとなる程の破損こそありませんが、センターカウルの20センチ四方の擦り傷、アッパーカウルの10センチ四方の擦り傷、アンダーカウルの割れや広範囲の擦り傷と、 外装には遠目にも非常に目立つ転倒傷が多数あり、レーサーレプリカとしてRS50の象徴である外装の買取価値を大きく損ねていました。
野晒しで放置されていたことによる塗装の劣化も目立ち、往年の輝きは完全に失われ、剥されたステッカー痕が目立ち色褪せした外装はRS50の見た目の印象を大きく損ねています。
シートは退色し表面がパリパリとなっていて、カウルの色褪せと同様に放置による車両の傷み具合のバロメーターとなっています。
再商品化するには大掛かりなリペア作業並びにオールペンを要するレベルで、RS50の相場から考えるとコスト割れに近い状態であり、外装類についての評価はかなり厳しいものとなりました。
エンジン周り
査定現場では、キャブレターで粉を吹いて固まっているガソリンが詰まり、エンジンの始動は確認できない状態でした。
フルカウル車両であるため、エンジン確認には少々時間を要することになってしまいましたが、サビ・腐食が目立ちかなり難のある状態。
腰下の大量のオイル漏れ痕は、始動化以外に入念なメンテナンス若しくは修理が必要なエンジン状態であることを物語っています。
オーナー様によればノッキングがひどくなってエンジンがかからなくなってしまったそうで、その後は長期放置で寝かせたまま現在に至る…;とのこと。
オーナ様のお話によると、焼き付きや抱き付きも疑われるため買取査定のエンジン評価としては最低レベルに近い評価に留まりました。
フレーム回り
外装類やフロントフォークのダメージ状況などからフレームの詳細チェックしていきます。
外装に関しては、ハンドルを強打した際の衝撃を吸収したハンドストッパーが大きく曲がり、ハンドルストッパーの役目を果たせない状態となっていましたが、 メインフレームには剛性を損なうような深刻なダメージは確認できませんでした。
劣化に関しては見えない部分に強めのサビ・腐食が発生していますが、状態的には年式相応といったところ。これでRS50の買取価値が確定し安心いたしました。
電装/保安部品
バッテリーが完全に上がりきってしまっているため、イグニッションをONにしてもスイッチ類の状態は確認できず。
ぐるりと一回りチェックしてみたこところ、左後方ウィンカーがポッキリと折れており、断線しかかったケーブルが見える状態。
その他配線類も小さな破れと底から覗くサビの進行度合いを総合的に判断しやや厳しめの評価に。
エキパイは錆びで覆われ、社外サイレンサーは傷凹みが目立ち、こちらもやや厳しい評価に。
その他/カスタムなど
メーカー不明の社外チャンバーが装着されていますが、純正品は欠品。
チャンバー以外はノーマルのRS50ですが、左ミラーの欠品、個人的なステッカーの剥離痕は色褪せ度合いの違いによって再塗装しないとリカバーは困難な状態となっています。
不動車としての総合評価と買取価格
下段の買取相場で詳述していますが、外装に目立った損傷のないRS50不動車の買取相場は数千円~3.5万円程度。
今回のRS50がやや低めの買取額に留まった主な理由は以下になります。
- 焼き付きまたは抱き付きが疑われるエンジン。大量のオイル漏れ痕あり
- 派手な転倒傷:フォークの軽い捩れと削れ、カウルの広範囲の擦り傷
- 見た目の劣化:色褪せや退色が激しい
外装に目立った損傷のない不動車の買取相場が数千円~3.5万円程度のRS50にあって、エンジンの焼き付きが疑われ、派手な転倒傷があり、見た目の劣化も激しい不動車となると、 相場的にはお値段をお付けするのが難しい面もあるのですが、最終のTSJ型という点も考慮して少ない金額ですがお値段を言付けて買取させて頂きました。
お客様のご感想と買取後記
「1万円(送料別)の即決価格でヤフオクに出しても半年間、買い手が見つからなかったので、発送や書類などの手間暇考えたら大助かりです」とはオーナー様のお言葉。
実動状態であればそれなりのお値段をつけさせていただくことができる輸入車だけに、トラブルで乗れなくなって以降の長期放置で商品価値を大きく損ねてしまったことが残念だと言えます。
直そうと手元においているつもりが、長期放置になり、車両価値を大きく損ねることは非常に良く見受けられます。
故障やトラブルで乗れなくなった際は、直ぐに修理する行動を起こさないと、乗らないことが常態化して放置に繋がってしまいます。
症状をネットで調べて修理費用を見積もるというのも1手です。修理費用が高額であれば売るという選択肢も合理的な選択となります。車両価値を守るためにも早め早めの行動をお奨めいたします。
日本の出力上限規格からはかけ離れたハイスペックにより、90年代の50ccスポーツバイクとしては最強レベルの走行性能を与えられたアプリリア・RS50は、 今では稀少な2ストエンジン搭載車ということもあり、現行の国産50ccに比べる地一段高い買取額が期待できる相場となっています。
しかながらし、環境規制によるモデルチェンジで大幅なパワーダウンを強いられて以降、特性が失われたことも一因となって買取相場も下落しつつあるのが現状です。
買取業者の値付けの指標となっている業者間市場の取引データを引用して、RS50の査定相場をご案内差し上げます。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|RS50
- 評価点5 かなり状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み以上やや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
RS50|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
15~19万円 |
2台 |
0台 |
0台 |
0台 |
10~14万円 |
0台 |
3台 |
0台 |
台 |
5~9万円 |
0台 |
4台 |
3台 |
1台 |
0~4万円 |
0台 |
1台 |
2台 |
20台 |
総落札台数 |
2台 |
8台 |
5台 |
20台 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車は状態と買取額が比例
最高落札価格は、RS50としては極上車を意味する評価点5をつけた車両で、19.4万円にて落札となりました。
こちらの車両は走行距離も272kmと非常に浅く、フルノーマル状態での極上車であったことが価格の大きな決め手となっております。
年式並み以上の評価である評価点4の車両は、4.8~12万円のレンジで取引されていますが、4.8万円で取引された車両は5万キロ近い走行距離が嫌気されたため、走行距離が若ければ7.2~12万円のレンジとなっています。
年式並み未満の評価である評価点3の車両は、4~7.2万円のレンジで取引されています。
以上のことから、車両の評価点と取引額は比例していることが見て取れます。
上記は買取業者が出品して車両を売却する業者間市場での取引額ですので、お客様のRS50が売れる額は、買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差引いた額となります。
査定現場での具体的な査定額としては、評価点5であれば10万円台で20万円付近まで伸びる余地があります。評価点4であれば5~10程度となり、評価点3のRS50は2~5万円程度の相場となっています。 近年のNSR250Rに代表されるように、2ストエンジン搭載モデルは軒並み相場が高騰傾向にあるものの、50ccバイクは元々の販売価格が安価であることも影響してか、2ストによる値上がりプレミアムは付いていないのが現状です。
不動車は買取対応!事故車は買取出来ないことも
実働状態にない、事故車や不動車を表す評価点1の車両に着目すると、過去1年間で20台の取引があり、最高額は5.2万円、平均額は2.9万円、最低額は7千円で取引されています。
最低額の7千円で取引された車両は、外装が大破した事故車でエンジンも不動。時点の8千円で落札されて車両は外装に目立つ擦る傷がありフロントフォークが曲がっている事故車。
2万円未満で取引されている車両は事故車や転倒車が中心となってります。
上記のことから、損傷の目立つ事故車は、値段をつけて買取するとコスト倒れで赤字になる可能性もあり、買取となる可能性と無料での引取りになる可能性は半分程度となります。
フレーム歪みなどの全損事故車となると、無料での引取りも難しく処分費用を頂戴しての回収となりそうです。
対して2万円以上で取引されている車両は外装の目立った損傷のない不動車が中心となっています。2~5万円のレンジで取引されていますが、見た目の状態の良し悪しと取引額がある程度連動し、 実働化後の再販価値の高そうな車両ほど高値で取引されています。非常に綺麗でも安値で取引されているRS50の不動車はエンジン焼き付きなど実働化コストが高い車両となっています。
外装に目立った損傷のないRS50不動車の査定現場での買取額は数千円~3.5万円程度と言えるでしょう。
年式モデル別の買取相場
1993年の発売から2006年の最終モデルまで多数のモデルチェンジが実施されたRS50。10数年の間にフレーム番号の変更を伴うモデルチェンジが4回もあるのは50ccとしては多いと言えます。
モデルチェンジごとに加速性能や最高速が落とされていきましたが、
中でも排ガスや騒音規制対応による大幅なスペックダウンが実施された2002年のモデルチェンジは、速い50ccとしての評価を失った意味で1つのトピックといえます。
2012年には次世代モデルのRS4 50がリリースされています。
パワーダウンによって買取相場は下落したのか?新型のRS4 50は買取相場が高いのか?以下にモデル別の査定相場をご案内しています。
※上記年式とフレーム番号は推測です(正確ではありません)
- ▼RS50
- 1993年~ フレーム番号MMA
- 1999年~ フレーム番号PGE
- 2002年~ フレーム番号SE
- 2004年~ フレーム番号TSJ
- ▼RS4 50
- 2012年~ フレーム番号VXJ
モデル別の査定相場|RS50実働車 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
1993年~ MMA |
4.5万円 |
5万円 |
2台 |
1999年~ PGE |
7.6万円 |
10万円 |
3台 |
2002年~ SE |
7.5万円 |
11万円 |
5台 |
2004年~ TSJ |
12.1万円 |
17万円 |
3台 |
2012年~ VXJ |
18.8万円 |
32.6万円 |
10台 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
高スペック=高額相場でなはく、高年式=高額相場
RS50を売ろうと考えているRS50オーナー様には驚きの結果かもしれませんが、『最高速=高額相場』ではなく、『高年式=高額相場』の結果となっています。
RS50は速さというスペック面よりも、レーサースタイルとしての見た目の美しさや機能的な状態の良さといった要素が査定額に反映されやすいということが分かります。
RS50の買取相場は上段で詳細していますので、RS4 50の相場について少し触れておくと、平均取引額でRS50よりも約10万円高く取引されています。
最高額の32.6万円で取引された車両は走行1,000キロ未満の極上車。査定額の8万円で取引されて車両はエンジンの調子が悪く転倒傷が目立ちます。
査定現場での買取額は、年式相応の平均的な車両で10万円台半ば。 状態が良ければ30万円程度まで伸びる余地があり、状態が悪いと実働車でも5万円を割り込む余地もあり、50ccとしては状態による価格差の幅が広い相場となっています。
アプリリアRS50
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 15台
- 平均価格: 89,867円
- 最高価格: 194,000円
- 最低価格: 40,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 20台
- 平均価格: 28,800円
- 最高価格: 52,000円
- 最低価格: 7,000円
相場情報:2018年1月19日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。
アプリリアRS50豆知識
イタリアの名門メーカー・アプリリアが生産しているRSシリーズの最小排気量モデルながら、大柄な体格の欧州人を基準に設計したボディを持つRS50。
1993年の誕生以来、ミナレリ・ヤマハ製の水冷単気筒エンジンを搭載しており、日本の原付バイクの規格を大幅に上回るスペック自慢となっております。
日本へは輸入車として販売が行われ、ノーマル状態で最高時速100km/hを軽々と超える驚異的なスペックから、多くのゼロハンライダーたちを虜にしました。