出張査定のご依頼を頂き拝見させて頂いたビモータ・YB7は、長期放置車の不動車ながらオリジナルの原型がそのまま残されており、一見したところ再販できる見込みが高そうな一台でした。
しかし、無数に貼られたステッカー、乗らなくなった理由がエンジンヘッド部分からのクーラント漏れであった点、などが買取価格にネガティブな影響をもたらしました。
以下、今回拝見させていただいたビモータ・YB7の車両詳細となります。
足回り
エンジン周りこそFZR400ですが、車体自体は完全限定生産品であるため、出荷当時のコンディションを把握することすら難しい車種のひとつです。
そのため、FZR400などを多数査定してきたベテラン査定スタッフを向かわせたのですが、長期放置によるものと思われるフロントフォークのコシの弱さが非常に気になりました。
最高出力68psというバイクにしては頼りなく、フォークオイル交換をはじめ要O/Hと判断。
減衰部にサビ・腐食が浮き出ている点も気になり、いろいろな点を加味して検討した結果、フロント足回りはネガティブな査定評価に。
リア足回りは、リアホイールに退色、リアショックにオイル漏れ、スイングアームに錆び腐食などありますが先ず先ず年式並みでニュートラルな査定評価に。

外装
アッパー・センター・サイド・アンダーと外装カウルは完品で揃っています。
パッと見て気になる車体を覆っているビニールシートはオーナー様が暫く乗らないことを決意した際に外装の色褪せを防ぐ目的で被せたものです。
しかしながら所々で外装が剥き出しの箇所、ビニールが剥がれている箇所もあり、綺麗なところと色褪せしているところとのアンバランスさも散見されました。
外傷に関しては、走行距離が4万キロを超えているだけに細かい傷などは所々にありますが、目立つ傷や凹み・カウルズレなどはありませんでした。
しかし、十を超えるレーシングステッカーが固着しており、下手をすれば塗装を傷めかねない難しい状態。
パッと見は綺麗ですが、保管状況によって発生している色褪せの不均衡、添付している多数のステッカーを綺麗に剥がした際に想定される色褪せの境目などがややネガティブな査定評価となりました。

エンジン周り
長期放置によるバッテリー放電に加え、保管前にガソリンが完全に抜かれてエンジン始動確認ができず。
ビニールシートで覆われて長期保管されていたビモータYB7。暫く乗らないことを決意された理由は、「エンジンが温まるとクーラントが漏れてくるようになって・・・」とはオーナー様のお言葉。
症状によっては費用も工数も嵩むことが多くやっかいなのが冷却水漏れ。
エンジンの始動には大きな労力は必要としないことが予想されますが、走行を控えるほどのクーラント漏れがあったという事で不動車としてもエンジン回りはネガティブな評価になってしましました。

フレーム回り
カウル類やバーエンドやブレーキレバー等、転倒傷が発生しやすい部位に目立つ損傷は見当たらなかったことから、フレームについても皺寄りや曲り等、大きな衝撃の兆候を示すサインはないと推測しつつ
仔細をチェックさせて頂いたところ、立ちごけの衝撃を物語るハンドルストッパーを含めて目立つ損傷はは負っておらず、それなりに高い剛性を保持しているアルミニウム合金フレームと判断することができました。
細かいところでは、ステップやスタンド回りの錆び・傷、ダウンチューブの擦り傷、などありますが年式を考えれば目立った傷みや劣化はなく、フレーム回りについてはややポジティブな買取評価となりました。

電装/保安部品
バッテリー上がりで電装系が全く確認できないことから、電装・保安系も車両状態から見込み判断となりました。
保管状態が良かったことにより、バッテリー交換で復活できる可能性は濃厚でしたが、見事に折れてしまった左後方ウインカーが消耗品程度として若干買取の評価を下げることに。 ワンオーナーで配線加工はしていないとい点は好印象。
年式を表現するバロメーターであるメーター回りは年式を考えると綺麗な状態、マフラーに細かい腐食や傷、エキパイに焼けや腐食などありますが保安部品の見た目は比較的良好。
電装系が通っていない点が残念ではありますが、不動車としてはニュートラルからややポジティブなな査定評価に。

その他
レース車両に保安部品を取り付けたようなビモータ・YB7であるため、車両状態は完全なフルノーマル。
中古バイク市場では希少なモデルほど純正品が感じされていることが重要視されるため、フルノーマルであることはそれだけで買取価値が高くなります。

不動車としての総合評価と買取価格
以上が今回のビモータ・YB7の査定チェックポイントです。さすがに30年も前の希少なモデル、ひとつひとつを丁寧にチェックさせて頂きました。
オリジナルの原型を保っていたことは大きなプラス材料ではあったものの、以下がマイナス材料となった不動車でした。
- 乗車を控える理由となったクーラント漏れがあるエンジン機能
- 要フォークオイル交換並びにオーバーホールが必要なフロントフォーク
- 外装のアンバランスな色褪せ度合い、多数のステッカー貼付
エンジンの始動自体は比較的簡易に修復できると見込んでいますが、始動後に懸念されるクーラント漏れを見込んだ不動車の買取価格として、相場に照らすとかなり競争力のある20万円の査定価格で買取させて頂きました。
お客様のご感想と買取後記
「多少はバイクがいじれたので、いつか直そうと思って封印したのですが、気付いたら12年。直して乗る気力自体が萎えてしまって・・」とはビモータ・YB7オーナー様のお言葉。
雨風をしのげる環境でも故障症状のある車両を長期放置しておけば劣化は進んでいきます。希少車ではありますが、現在も価値が高騰するプレミアも付いていないことを勘案すると今後も相場が高騰する気配は無さそうです。
今回は室内での保管でなおかつ、ビニールシートで覆う厳重保管でしたが、覆い方に差があった点が残念ではありました。
それでもビモータ・YB7の価値を大きく損なう前にご売却されたのはご賢明なご判断だったと言えます。
BIMOTA YB7の査定相場の比較
1980年代のバブル末期、全世界でわずか321台のみが受注生産されたビモータ・YB7。
中古バイクを業者間で取引する業者間市場では過去1年間に6台が取引されています。
- 落札価格 43.2万円 評価点 4 走行距離 1.8万km
- 落札価格 38.8万円 評価点 4 走行距離 2.1万km
- 落札価格 34.2万円 評価点 4 走行距離 2.1万km
- 落札価格 31.0万円 評価点 4 走行距離 1.2万km
- 落札価格 30.2万円 評価点 4 走行距離 2.1万km
- 落札価格 29.6万円 評価点 4 走行距離 1.4万km
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去12か月間間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
上記で落札されている車両は全て評価点4の実働車です。評価点4は30年前の車両としては綺麗で状態の良い車両を表す評価点です。
落札された全てが評価点4で、29.6~43.2万円と狭い値幅で取引されています。母数が少ないので傾向値としては弱いのですが、外装の状態がより綺麗であるほど高値で取引される傾向があるようです。
お客様から買取したオートバイを業者間市場で売却して利益を得る買取業者が提示する買取価格は、上記市場での想定落札価格から儲けと諸経費(運送料や出品手数料)を差し引いた額になるので、 評価点4のビモータ・YB7となると、査定現場では20万円台半ば~30万円台半ばが想定されます。
そのような相場環境にあって、12年放置の不動車を20万円で買取ることが出来るのは、当社が直営販売店を有する買取販売店であることも影響しています。
自社で買取して自社で直して自社で売るから、中間マージンは最小限。お客様の買取価格に還元する事ができるのです。
bimota YB7
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 6台
- 平均価格: 345,000円
- 最高価格: 432,000円
- 最低価格: 296,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 0台
- 平均価格: No Data
- 最高価格: No Data
- 最低価格: No Data
相場情報:2017年12月29日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。