フルノーマルのままで大切に乗られ、2007年モデルとしては色褪せ等の劣化が少ないCBR600RR PC40型でしたが、 事故によってフロントフォークが捩れている他、外装類は大破、断線トラブルでエンジンは始動しない等、買取価値を下げる損傷が多数見受けられました。
「当初はパーツをヤフオクでバラ売りするつもりだったんだけど、、簡単に取り外せる外装パーツは殆どが価値がないし、部品を取り外そうにも予想を遥かに超えて大変だった」と売却の経緯を教えてくださいました。
オーナー様のご期待にお応えさせて頂くべく、バラ売りする手間暇以上に、ご納得して頂ける査定金額で買取りさせて頂きました。
足回り
ご相談を頂いた際のお電話では、軽トラックに突っ込んでしまったということでしたが、直接の接触がなかったタイヤ回りは比較的綺麗な状態でした。
衝撃を受けたアッパーカウル周辺の損傷が激しく、見た目には大きな歪みはないフロントフォークでしたが、ステム付近で捩れがありスピードを出して走行することは不能な状態。
車体の骨格の一端を担うフロントフォークの致命的な損傷は、買取価値の大きく損ねました。
その他ハンドルに曲りが有る他は、事故による目立つ損傷はありませんでした。
事故によるダメージはありませんが走行距離5万キロ超で交換されていないタイヤは無視できないほど消耗度が大きく、残念ながらこちらは全交換判定。
外装
アッパーカウル・センターカウル・リアフェンダーは大破して欠品。
テールカウルは遠目にも目立つ大きな転倒傷が走り、アンダーカウルは大きな割れあり、フロントフェンダーにも事故による傷が刻まれており、外装カウルはほぼ全ての部位が損傷していました。
中でも大破して欠品扱いのセンターカウル・アッパーカウル・アンダーカウルは、レーサーレプリカであるCBR600RRの見た目を大きく損ね、査定評価において大きなマイナスとなりました。
欠品となっているカウルに付随して、ステーやビス・ボルトなど取り付け金具も欠品となっています。
エンジン周り
断線でデジタルメーターが表示されず実走行距離は不明ながら車検証記載距離は半年前の時点で5万キロを超えていたエンジンですが、配線類の断線により、残念ながらエンジンは始動せず状態を確認することができませんでした。
車両全体のダメージ程度と、事故による外傷が見当たらないエンジン回りから推測し、電装系の修理で始動できる見込みはかなり高いと言えます。 それだけに不動エンジンであることで大きなマイナスとはならず軽い減額で済みました。
ただし、走行距離が5万キロを超えている点は車両の販売価値を下げますので、始動が確認できなかった点と合わせてネガティブな評価に。
フレーム回り
フロントフォークが捩れていることから最大の懸念事項となっていたメインフレームの状態ですが、剛性を損なうようなダメージは確認できず、一番気になっていたネック部分や接合部に皺よりもなく、 充分に再利用可能な剛性を保持している状態を確認できました。
この時点で後述しています相場情報にもありますが、レストアベース車として10万円以上の査定額は確定し、20万円以上が視野に入りました。
細かいところではエンジン右下部のサブフレームや車体左側のシートレールにも塗装剥離やキズが散見され、ある程度のケアは必要な状態だと言えます。
フレーム回りの総評としては年式並みと言えますが、事故による影響を考慮した結果、若干厳しめの評価に。
電装/保安部品
アッパーカウルの損壊に伴い、配線類の大半が断線状態となっていました。電装系は入念な回復作業が必要となり、その分買取価値を下げていました。
保安部品は、ヘッドライト・ウィンカー3つ・ブーレーキランプが消失。
排気部品は、エキパイにサビや焼けが目立ちましたが、先ず先ず年式相応。
全体的には欠品や損傷が多く見受けられた電装保安部品の査定評価は低調な内容となりました。
その他
車両状態的には完全なフルノーマル車ですが、事故によるパーツの欠陥が非常に多かったCBR600RR PC40型。
再利用可能なパーツも含めると、欠品扱いとなったのはフロントフォーク、センターカウル、アッパーカウル、アンダーーカウル、リアフェンダー、へヘッドライト、ブレーキランプ、ウィンカーなど多岐に及びました。
事故車としての総合評価と買取価格
以上が今回のホンダ・CBR600RR PC40型 事故車の査定チェックポイントですが、以下にポジティブとなった大きな要素とネガティブとなった大きな要素を纏めました。
- ▼ネガティブ要素
- 大破して欠品の多い外装
- フロントフォークの捩れ
- 走行5万キロを超えていて始動しないエンジン
- 断線が多く要修繕の電装系
- 低年式の2007年モデル
- ▼ポジティブ要素
- フレームが使える
- 安価に始動する可能性が高いエンジン
- 事故車でも高い相場が形成されているPC40
下段で詳細していますが、PC40型の事故車はフロントフォーク歪みの半損車両の場合、その査定額は20~30万円程度となっています。
10万円程度の幅があるのは年式と、フロントフォーク以外の破損状況に拠ります。
今回査定させて頂きましたCBR600RRは2007年モデルということがネガティブに作用したほか、走行5万キロを超えて始動が確認できなかったエンジン、ほぼ全損の外装、電装系の断線などが影響して20万円の買取査定額となりました。
仮にですが、走行処理が1万キロ程度で良好な状態が確認できるエンジンであれば25万円程度まで査定価格は伸びていました。
お客様のご感想と買取後記
「ネットオークションでバラ売りしてもそこまで行かないかもしれませんね。その前に自分で分解できないことを忘れていますが。」というお返事を頂き、買取のご成約となりました。
ヤフオクをはじめとする個人売買のいいところは、買い手と売り手の同意があればどのようなものでも売り買いができる点が挙げられますが、ノークレーム・ノーリターンという前置きありでもトラブルが起きやすいのがバイクやバイクパーツという商品。
廃車や名義変更に伴うトラブル、質問や回答、配送の手配、納品後のクレーム対応などなく、お客様はただ売るだけ!パッションでは相場の適正価格以上での買取でお客様のご期待にお応えしております。
CBR600RRの実働車を売りたい方必見の相場情報は上記の事例ページからご確認して頂けます。 このページでは、事故車や不動車に特化した相場情報をご案内差し上げます。
事故車・不動車|年式別の買取相場
- ▼フレーム番号と年式|PC40型CBR600RR
- PC40-10 2007年~
- PC40-11 2008年~
- PC40-12 2009年~
- PC40-13 2010年~
- PC40-14 2011年~
- PC40-15 2012年~
- PC40-16 2013年~(国内最終)
- JH2PC40 海外仕様(逆輸入車)
CBR600RR 事故車 不動車|年式別の査定相場 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
PC40-10 |
32.1万円 |
39.9万円 |
8台 |
PC40-11 |
33.4万円 |
35.3万円 |
3台 |
PC40-12 |
30.2万円 |
37万円 |
4台 |
PC40-13 |
27.5万円 |
29.1万円 |
2台 |
PC40-14 |
26.9万円 |
32.4万円 |
3台 |
PC40-15 |
41万円 |
41万円 |
1台 |
PC40-16 |
49.1万円 |
71.9万円 |
9台 |
JH2PC40 海外仕様 |
38.1万円 |
60.8万円 |
11台 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(ABS装備モデルとABSなしモデルの合計の数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
最終型を除いて年式よりも状態が優先
買取業者の査定価格の指標となっている業者間市場の取引データを見ると、PC40型CBR600RRの事故車や不動車は過去1年間に41台が取引されています。
上記は、年式モデル別の取引額を比較した表ですが、2013年以降の最終型を除くと年式による価格の違いは殆どないことが分かります。
最高価格は71.9万円、最低価格は19.8万円と実に取引価格で50万円以上の開きがあります。
なぜ同じ型式でこれほど大きな価格差が生まれるのか?それは簡単な修理で実働化できる不動車や、全損の事故車が混在していることが最大の理由です。
50万円以上もの価格差があると、状態に応じた買取査定価格の把握も大味になってしまいます。
より具体的に事故車や不動車の相場情報を把握して頂けるように各取引車両の簡単な状態を記した表が下記になります。
※全41台を列記するのは大変なので、期間を6カ月間に短縮した全14台のデータとなっています。
PC40型 事故車 不動車の取引データの詳細
PC40型 事故車 不動車の取引データ |
落札額 |
モデル |
状態 |
56.4万円 |
2013年 |
不動車 |
51.2万円 |
2013年 |
事故車 フロント大破 |
45.7万円 |
2013年 |
事故車 外装大破 |
44.9万円 |
海外2014 |
事故車 外装に転倒傷 |
44.7万円 |
2013年 |
事故車 フロント大破 |
37万円 |
2009年 |
事故車/後部離脱 シートレール折れ分離 |
36.2万円 |
2013年 |
事故車/フォーク歪み カウル破損少々 |
32万円 |
2008年 |
事故車/フォーク歪み 外装は綺麗 |
30.3万円 |
2013年 |
事故車/フォーク歪み 外装やメーター大破 |
29.1万円 |
海外2008 |
事故車/フォーク歪み カウル破損少々 |
26.8万円 |
2007年 |
事故車/フォーク歪み カウル破損少々 |
26.8万円 |
2007年 |
事故車/フォーク歪み カウル破損少々 |
26.6万円 |
2007年 |
事故車/フォーク歪み 外装は綺麗 |
19.8万円 |
2011年 |
半損事故車/欠品多 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去6ヶ月間遡った数字)
(ABS装備モデルとABSなしモデルの合計の数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
同じ状態であれば高年式=高額査定
過去6ヶ月間で取引された全13台のPC40型CBR600RRの状態を個別にチェックしてみると、集計データからは見えてこない発見がありました。
26.6万円~36.2万円で落札されている車両の状態はかなり似通っています。外装の破損状況に差はありますが大枠ではフロントフォーク歪みの事故車。中でも損傷状況は一番酷いのは30.3万円で落札された2013年モデル。
上記のことから損傷状況が同じであれば最大で5万円程度、高年式車両が高い価格で取引されていることが相場からわかります。
フロントフォークが歪んでいるCBR600RR事故車の取引額は26.6~36.2万円となっていますので、そこから業者の儲けと運送費用や出品手数料などの経費を差し引いた買取業者の査定額を逆算すると、20~30万円程度の相場となっています。
全損事故車については、サンプルが19.8万円で取引された半損事故車の1台のみとなっています。再利用見込みのパーツはフレームにタンクやエンジン、足回りのパーツとなっています。
全損事故車となると現場での査定額で10~20万円程度で再利用可能なパーツによって更に下がる可能性もあります。
不動車は全13台中、56.4万円で落札された1台のみとなっていて、エンジンの状態以外は綺麗な2013年モデルのCBR600RRでした。取引額の目安は実働車の取引額からエンジン修理コストを差引いた額となります。
簡単な修理で実働化できるようであればそのコストは1万円程度ですし、重度なオイル漏れやエンジン焼き付きとなると修理する範囲によっては10万円以上かかる場合もあります。
実働車の買取相場を参考に修復コストを差引くことで適正な査定額が見えてきます。
どんなことでもお気軽にお問合せ頂けましたら幸いです。
CBR600RR(PC40型/ABS装備モデルを含まない2007~13年式)
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 123台
- 平均価格: 561,553円
- 最高価格: 918,000円
- 最低価格: 300,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 39台
- 平均価格: 359,795円
- 最高価格: 608,000円
- 最低価格: 198,000円
相場情報:2018年1月16日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。
CBR600RR豆知識
2003年、CBR600F4iの後継モデルとして世に送り出されたホンダ・CBR600RR。
登場以来4代を数え、「RR」の名が示す通り、往年のレーサーレプリカ的なコンセプトで開発されたレーシーな仕様となっております。
2007年に行われたモデルチェンジに際し、型番がPC37からPC40へ変わり、国産モデルは2013年のマイナーチェンジが最終モデルとなり2016年に生産終了。
非常に軽量な車体と2009年以降の馬力規制撤廃後のモデルが現在でも高い人気を維持しております。
US仕様をはじめとした海外仕様モデルは生産が続いています。