CBR650Rの買取査定事例｜相対的に色濃い使用感のある2019年型

ホンダ発・ミドルクラススポーツマシンとして、フラグシップモデルのCBR1000RRイメージを強調したデザインで2019年に新登場したCBR650R。
レースレギュレーションに捉われない排気量を活かし、ルックスこそSSではあるものの、中低速域を重視した頼もしいトルクとパワー、乗りやすさのバランスが取れた守備範囲の広さが光るモデルのひとつです。
絶対的な速さではヤマハ・YZF-R6などの後塵を拝するものの、初心者でも扱いやすく、玄人には技量に応じたレスポンスを発揮できるマシンとして高く評価されており、 大型バイク入門用としても完成度の高いモデルだと言えるでしょう。
歴代CBRが築き上げてきたネームバリューは伊達ではなく、2020年と2021年度の大型バイク部門(401cc～)の販売台数では共通骨格のCB650Rとセットではありますが第4位にランクインしています。 またパーツメーカー各社より多彩なカスタムパーツがリリースされている点も嬉しいポイントとなっております。

21年モデルで仕様変更が入ったCBR650R

新登場2019年モデルのメーカー希望小売価格は96～99万円(税抜)、翌リリースとなった2021年モデルではメーカー希望小売価格は据え置かれたもののフロントフォークの変更・メーターの視認性向上・シートカウルとリアフェンダーの 形状変更を伴うマイナーチェンジが実施されています。
最新21年モデルは中古市場での流通がまだ少ないことも踏まえ、今回買取させて頂いた2019年モデルに焦点を当てて以下に買取相場をご紹介いたします。

状態・距離・カスタム内容で買取額が大きく変化

買取業者の最大の転売先であり、販売業者の最大の仕入れ先として年間に約20万台のバイクが取引される業者間オークションの取引データを見ると。

2019年モデルは直近12ヶ月間で74台の実働車が取引されています。最高額は走行距離1kmの未使用車で94万6000円、最低額は走行距離4万キロ超で使用感強めの個体が45万2000円、 76.8万円が取引の平均額となっています。
発売開始から3年も経過していない高年式の19年モデルながら、取引額に50万円近い差が生じていますが。
状態・走行距離・カスタム内容によって下記の様に取引額の傾向が見えてきます。

• ▼取引額の傾向
• 取引上位となる85万円以上で落札された19年型CBR650Rは、最高額を付けた走行1kmの個体に代表されるように、走行距離数十～数百kmの隙の無い極上車が中心となっています。
  中には5,000kmを超える個体も混ざっていますが、純正品付きで装着されていた高価な社外品が取引額を押し上げたカスタム車両となっています。
• 取引のボリュームゾーンとなっているのは70万円台後半～80万円台後半で、このゾーンには走行数千キロの極上車が多く含まれています。
• 取引下位となる40～60万円台には、走行距離1万キロ超の準極上車や、距離は浅くても使用感や軽い難がある個体が多く含まれています

以上のように発売から3年と経過していない高年式モデルとあって、取引される中古車の大半が極上車となっている19年型CBR650R。
70万円台後半～90万円台前半で取引された個体は、再販に当たって特別な整備やケアが必要ない状態です。
極上車の括りの中でも走行距離や、細かい使用感の有無によっても取引額が変わるだけに、相場上位の極上車は未使用車に近い状態といっても差し支えありません。
逆に60万円台以下の車両については、再販に当たって何らかの補修や整備・修理が必要な状態であり、再販化に向けた整備コストと再販で期待できるプライスカードの値段に準じた取引額となっています。

売り時とカスタムの評価

ジャンル的には(スマートフォンの様に)仕様変更のサイクルが早いSSにあたる性質上、年式落ちに伴って車両の価値が下落していく傾向が強いと言えます。
事実、新登場の翌21年モデルで早々にフロントフォークの刷新を伴う仕様変更が実施されていることからも、なるべく高く売りたいとお考えの方は、基本評価が下がらないうちに早め早めの決断が大切だと言えるでしょう。

バイクとしての基本性能の高さはありますが、同クラス最大のライバルにあたるヤマハ・YZF-R6の戦闘力には一歩譲らざるを得ないこともあり、カリッカリのカスタム車両の比率は少なく、 どちらかと言えばフルノーマル車の方が好まれる傾向にあります。
豊かな中低速トルクを活かしたツアラー的なカスタムに関してはこの限りではなく、本来のスタイリングを損なわないカスタムや利便性・居住性を高めるカスタムは歓迎されやすく、 ノーブランド品でなければ多くの場合はプラス評価の対象となります。

以上の買取相場を踏まえて、使用感がやや強かった2019年型CBR650Rの査定内容と買取額についてご紹介させて頂きます。 （※上記の取引額は、買取業者の転売額＝販売業者の仕入れ額に相当するため、実際の買取額は90～95％掛け相当となります）

2019年モデル固有の赤の1本ラインがカウルに走るマットバリスティックブラックメタリックのCBR650R。
遠目にはまずまず綺麗でしたが、間近で見ると車体各部にサビキズや汚れがあり、2019年型としては色濃い使用感が認められました。

外装と足回りは、軽い難有判定

2019年モデルで走行距離3,300kmは低走行と言えるラインですが、屋外で保管していたため、手の入りにくい細部の各所にサビキズが認められます。
カウル類に関してはさほどキズは目立たないものの、雨天走行後のケアの甘さなどでタンクキャップ周りにもうっすらとサビが浮くなど、再販売にあたってはそれなりのケアを要する状態。
特にリアホイール部に見られる腐食は大きなマイナスとなり、外装・フロント・リア周りに関しては、それぞれ良好未満判定の4点止まり。
電装・保安系に関しては、社外ライトレンズへの換装（純正レンズの紛失による欠品）がマイナス査定に。
純正マフラーも欠品状態でしたが、現車に装着されていたのはモリワキ製クロスショート管。高品質かつ高価なことで知られる人気パーツのひとつです。
エキパイ部にサビキズがあったのが玉にキズですが、こちらが純正パーツ欠品を補って余りある形となり、評価点自体は4点ながらも、実りある査定内容に落ち着きました。

エンジンは良好、フレームは極上判定

エンジンは露出の多さと経年による多少のサビキズこそあったものの、総合的に見ると機関も好調で悪い状態ではありません。
フレームはカウリングで確認しづらい部分が多かったものの、ダウンチューブやフレームネック部といったダメージが生じやすい箇所も特に問題はなく、車体に関しては極上判定の6点、エンジンは良好判定の5点という形でそれぞれ判定がつきました。

2019年型としては走行距離も浅い現車ですが、屋外保管していたことや、雨天走行後のケアの甘さにより、フロント周りはかなりのサビキズが生じておりました。
画像赤丸箇所に見られるとおり、遠目に見る分には綺麗ですが、間近で見るとフォークアウターやブレーキ各部位にも無数のサビキズあり。念入りな研磨やさび落とし（前後各数時間以上の作業）である程度の回復は見込めるものの、発売から3年が経過していない2019年型としては相対的に下位の査定評価に。

こちらは左側から見たフロント部ですが、点々と塗装の剥離が生じていることが確認できます。
それぞれは小さめですが、右側のサビキズと合わせてみるとかなり広範囲に及んでおり、フロント周りに関してはかなり厳しいジャッジとなってしまいました。

続けてリア周りですが、こちらはフロントに比べサビキズはさほど目立たないものの、ご子息が所有する原付バイクのメンテ中に飛び散らせてしまったバッテリー液が原因となり、赤丸箇所に腐食が発生。ご子息は気づいてすぐにウエス類で処置したとのことでしたが、酸性のバッテリー液は入念なケアが必要であるため、時間の経過でご覧の通りまだらな腐食が発生。ベースカラーが黒だけに、この塗装剥げを伴う腐食は目立ち、フロント同様に厳しい内容となってしまいました。

外装部分において、2019年型としては強い使用感が認められるのがシート周り。
ご覧のように表皮の汚れが広範囲に及んでおり、汚れたまま放置した期間の長さで見事に固着しております。また、左後方のカウル部もザラついた擦過傷がついており、こちらもマイナス査定につながってしまいました。

純正マフラーは欠品ですが、現車に装着されているマフラーは高価で人気の高いモリワキ製。クロスショート管は主流ではありませんが、フルエキゾーストで音質・性能は折り紙付きであり、十分評価に値するパーツ。
エキパイ部に進行したサビやキズが見られますが、実売価格15万円以上という観点からするとマイナスは小さめです。
また、同社製バックステップキットも組み込まれており、購入した店舗で丁寧に取り付け加工されていたようで、周辺にもキズ等なし。マフラー同様に純正パーツは欠品とのことですが、マフラーと同じく人気ブランド製であること、セットでアピール材料になることからこちらもプラス査定で評価させて頂きました。

上記のようなプラス項目とマイナス項目が交錯した2019年モデルのCBR650R。
走行距離3300kmという浅さはプラス評価でありモリワキ製マフラーの付加価値もあり、隙の無い極上車（評価点で7点）であれば80万円台後半の買取額が付いていたところ。

エンジンは良好判定の5点、フレームは極上判定の6点が入りましたが、外装と足回りは軽い難有判定の4点の評価に。伴って総合評価も5点寄りの4点に。

相場的には50万円台で買い取りたいところ

上段で触れた買取相場に照らし、業者間オークションに出品した場合、想定される落札額（買取業者の転売額＝販売業者の仕入れ額相当）は60～70万円。
相場的には50万円台後半で買取したいのが本音です。
弊社バイクパッションが提示した査定額は70万円。
「洗車も最初の一回だけで、結構くたびれてるなと自分でも思ってたんで。そこまで高く買ってくれるとは思わなかった」とオーナー様の快諾を頂き買取成約となりました。

相場的には赤字必死となる70万円の買取額の決め手となったのはエンジンコンディションのよさ、フレーム部の状態、そして人気の高いモリワキ製マフラーとバックステップの存在が挙げられます。
自社修理工場で磨いて光るポテンシャルがあり、
モリワキ製マフラーは走りにこだわる中級者以上からの支持率が高く、再販売時のアピールポイントとしては十分な効果が期待できることから、大きなプラス査定とさせて頂きました。

残念だったのは一月前に車検が切れてしまっていたことで、仮に車検が残っていれば現状販売車という扱いにし、再生コストを買取価格に還元することも可能であっただけに惜しいポイントでした。

全額現金で買取させて頂きましたCBR650R。今度は維持費の安いPCXを選択肢に入れつつ、クルマの乗り換え資金に充てるご予定とのことでした。今回はご売却誠にありがとうございました。