「高校時代に小型二輪免許を取得して買ったバイクでしたが、いつの間にか乗らなくなってほったらかしにしていました」と語る筧様のウルフ125は、まるで火山灰でも浴びたかの様な黒いススだらけの車両状態。
傷み具合はかなり激しく、鉄屑として処分回収費用が発生しそうな車両状態でしたが、なんとかパーツ価値を積み上げて、お気持ち程度のお値段ではあありますが現金で買取させて頂いたWOLF125です。
以下、今回のスズキ・ウルフ125の車両詳細となります。
足回り
まずは足回りのチェックを…、と思いハンドルを握ろうとしたところ、グリップ部にはうっすらと緑のカビが浮かんだ状態。
それを払い落として状態確認させていただきましたが、浮き沈みのストローク幅は小さく、再生が困難な状態となっておりました。
フロントフォーク全体に無数のサビ・キズ、一部のオイル漏れとリアサスペンションが合わない再利用パーツとしても価値を計上できず買取評価は最低ランクとなってしまいました。
外装
長期にわたる放置期間により、外装全体が灰色に染まりきった状態。錆びで固着しているボルトやナットから錆びが液垂れして外装各所に付着しています。
スモッグ警報が発せられる都心部であればともかく、小田原という土地でこれほどの汚れ具合になるとは想像できないほどの汚染状態でした。
その結果色褪せも進行していた上、放置期間中にガソリン泥棒の被害に遭ってしまわれ、タンクの給油口はぽっかり空いた状態。
内部を覗くと厚さ2mm程度の塵灰が堆積し大掛かりな洗浄を要する状態にありました。
車体全体に重度のサビが多数発生しており、商品化は極めて困難ということで買取価値は計上できませんでした。
エンジン周り
「少なく見積もってもエンジンが故障してからここ20年ほどは乗った覚えがないです」とのお言葉通り、バッテリー上がりはもちろんエンジンの始動性は確認できず。
エンジン外部の隙間には所々に苔が群生しており、各種ボルトは錆びボロボロになっているうえに固着しておりボルトを外すこと自体に骨が折れそうな状態。
こちらも修復後のパーツ価値を修復コストが上回りそうなため残念ながらパーツ価値として計上すことはできませんでした。
フレーム回り
エンジン・外観同様、フレームも全体的に腐食とやれがひどく、全体的にサビ発生。
軽量を誇るアルミフレームも本来の金属感が大きく損なわれ、サビの液だれで美観を損ねておりました。
また、エンジンを支えるボルトの数箇所には亀裂が見つかり危険な状態。
脆くなっているうえに固着しているボルトを外してボルト類は新品交換、フレーム全体の大がかりな錆び腐食落としを実行すれば、判断が難しいところではありましたが、 ギリギリでレストア用フレームとしてお値段をつけさせて頂くことに。
電装/保安部品
完全にバッテリーが死んでいるため、電装・保安系に関しては残念ながら最低評価に。
せめてイグニッションON時のランプ類だけでも確認しておきたかったところですが、ブースターを繋いでも一切の電装部品は作動しませんでした。
各種配線類を丁寧にチェックし、再利用できる見込みがあるか否かを慎重に見極め査定させて頂きました。
結果としては配線各部の保護が劣化し、内部にまで腐食が進んでいたことから断念。
電装系や消耗品の保安部品は買取対象にはななず処分対象ともいえる状態ですが、要修復ですがマフラーだけは買取価値を計上できました。
その他
車両状態はフルノーマルのままで、社外カスタムパーツの装着はなし。
売当時の原型自体は留めているものの、頑固に張り付いたステッカーやシートの破れ・固着してしまったチェーンなど、難あり箇所は非常に多く、自社整備での商品化は困難という総合評価となってしまいました。
総合評価と買取価格
以上が今回のスズキ・ウルフ125の査定チェックポイントです。見た目の印象がかなり劣悪でこれだけ傷んだ状態ですと評価が難しく、他社で要求された廃車処分費用も5,000円程度であれば決して法外な査定額とは言えないでしょう。
状態の良い実働車でも数万円で取引される価値の低い車種とは異なり、WOLF125は状態が良い実働車は業者間市場では8万円程度で取引され店頭では10~20万円台の車両価格で販売されています。
流石に保証を付けられる実働車に回復するコストは10万円では効きませんし。実働車にするだけでも8万円では足りませんので、レストア不可能な車両状態ではあります。
あとは、多少の修復コストを見積もっても買取出来るパーツ価値を計上できるかが腕の見せ所となります。結果、要修理やメンテナンス前提ですがフレームとマフラーにパーツ価値を計上する事ができました。
結果として査定金額2,000円にて買取させて頂きました。
お客様の談話と買取後記
「無料引取りでも御の字、それ以上の金額が付くとも到底思えません。それでお願いします」とオーナー様にご納得頂け、当日そのまま車両引き上げとなったスズキ・ウルフ125。
現在では朽ちてしまい車両としては採算ベースではレストア不能の状態ですが、若い頃は毎週のように峠を攻めに走った相棒であったことをお聞かせ頂き、月日の流れの残酷さをしみじみと感じてしまいました。
次の愛車候補はヤマハ・TZR125とのことで、「今度は丁寧に維持管理していきたいです」というお言葉に心から応援のエールをお送りさせて頂きます。
ウルフ125の査定相場
125ccの原付2種バイクでありながら、RG-γ直系の元気なエンジンを搭載し、峠では無類の強さを誇ったスズキ・ウルフ125。
現在はヤマハ・TZR125ほどではないものの、125ccの2ストMT車としてまずまずの価格で取引されております。 お客様のウルフ125はいくれで売れるのかが分かる!業者間市場で流通価格を元に車両の状態別の買取相場をご案内いたします。
- ▼1990年代の125cc車両の評価点の目安
- 評価点5 極上車
- 評価点4 比較的状態が良い
- 評価点3 年式並み若しくは若干の難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
WOLF125の査定相場 |
評価点/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
16~20万円 |
1台 |
0台 |
0台 |
0台 |
11~15万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
0台 |
6~10万円 |
0台 |
2台 |
4台 |
1台 |
~5万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
3台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実動車両の取引台数は全7台と少数ながら、年式的にも旧車の仲間入りとなってしまった関係上、評価点3点でもそこそこの取引価格となっていることが分かります。
最高価格をつけた車両は評価点5のフルノーマル車で、20万円とかなりよい金額で落札されました。
これは300kmそこそこという低走行が幸いしたレアケースではあるものの、実動状態のウルフ125であれば高額買取は十分可能という好例のひとつです。
また、不動車・部品取り車を扱う「蚤の市」でもウルフ125はそれなりの価格で取引されており、売るなら今がチャンスだと言えます。
評価点1の事故車や不動車の取引台数は全4台とこちらも少数ですが、エンジン不動が前提の蚤車両としてはまずまず高く、再生できる見込みが高ければ十分買取可能な車種であることが伺えます。
今回の事例はかなり残念な結果となってしまいましたが、ウルフ125の処分でお困りのオーナー様は、傷みが進行する前にぜひ弊社パッションの出張査定をお試しください。
どの買取業者よりも好条件を提示し、あなたのウルフ125を最大限に評価させて頂きます。
ウルフ125豆知識
1980から90年代にかけてのレーサーレプリカブーム末期のモデルだけあり、125ccクラスでは過剰なほどの瞬発力を誇ったスズキ・ウルフ125。
当時のライバルはヤマハ・TZR125らの名が挙げられ、峠やシグナルダッシュなどの場で原付2種クラス最強の座を争い続けていました。
125ccクラスでは車格もよい部類に入り、その運動性能の高さで通勤通学に用いられることも。現在では年々玉数も減少し、実動車両は意外な高値がつくことも。
125ccの原付2種クラスながら、8,000回転からドカンと生み出される爆発的な加速力を持ち、「攻める走り」が楽しめることでカルトな人気を博したのが、1991年に発売されたスズキ・ウルフ125です。
同クラスのRG125γのフルモデルチェンジと同時にデビューし、輸出仕様車がRG125Uウルフの名称で販売されたこともあり、今でも東南アジア地域で走り回っている姿が見られるモデルです。
125cc最速の評価を持つRG125γネイキッドバージョンとなるスズキ・ウルフ125。
1980年代のレーサーレプリカブーム末期に登場したこともあり、2ストロークエンジンの持つ怒涛の加速力が大きな武器となっております。
現在の「ストリートファイター」の原型的なモデルで、強めの前傾姿勢を強いられるスパルタンな味付けのバイクでした。
当時の有力ライバルであったヤマハ・TZR125らと比べ、現在の中古バイク市場ではさほど取引価格が振るわない状況が続いておりますが、不動車両でも比較的値段がつきやすいモデルだと言えます。
今回の買取査定では残念な結果となってしまいましたが、ある程度状態がよければまだまだ高額買取は十分に狙え、実動・不動を問わずお問い合わせ頂く価値があるバイクだと言えます。
ウルフ125
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 4台
- 平均価格: 403,500円
- 最高価格: 456,000円
- 最低価格: 352,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 2台
- 平均価格: 280,250円
- 最高価格: 264,500円
- 最低価格: 249,000円
相場情報:2017年12月18日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。