FXSBブレイクアウト買取査定事例｜2015年モデルの定番カスタム車

50機種以上が発売されたツインカム96（1584cc）エンジンを搭載したハーレーの中で、最もリセールバリュー（売却時の価値）が高い機種となっているFXSBブレイクアウト（2022年現在）。
まずは直近5年間で買取相場がどう動いたのかを見てみましょう。

TwinCam96 FXSB 買取相場の変動
	平均落札額	最高額	台数
2018年	159万円	182万円	18台
2019年	158万円	181万円	24台
2020年	158万円	170万円	28台
2021年	195万円	250万円	30台
2022年	197万円	267万円	36台

買取相場の上昇幅は平均以下

2019年以前は業者間での平均取引額が160万円弱で推移していたFXSBですが2021年には200万円近くとなり対3年前比で3割弱の上昇を記録していますが。 実はコロナ禍以降に新車供給が細ったことを受けて中古バイク全体の相場が5割近く上昇していますので、ブレイクアウトの相場上昇率は平均以下となっています。
しかしながら、2019年以前から相場が高かったため、上述の通りTwinCam96搭載機種の中ではダントツに平均相場が高い機種の座を維持しています。ちなみに第2位に位置するマシンはFXDBC ストリートボブ スペシャルで平均取引額は130万円台となっています。

高年式モデルが高く売れるXSB

デビューとなった2013年モデルのメーカー希望小売価格は213万円～（以下いずれも税抜）、翌14年モデルではABSが搭載され216万円～に、そしてTwinCam96搭載機としては最終となった15年モデルではブレーキ回りのマイナーチェンジを受けながらも 価格は据え置かれましたが。イヤーモデルによって買取相場は異なるのでしょうか？

【年式別】TwinCam96 FXSB 買取相場比較
	平均落札額	最高額	台数
13年モデル	200万円	219万円	7台
14年モデル	202万円	247万円	17台
15年モデル	206万円	267万円	12台

2013～15年モデルと3期ラインナップされていたTwinCam96搭載のFXSBブレイクアウトですが、14と15年モデルで足回りにアップデートが入っていることもあって高年式モデルの方が相場が高くなっています。
高年式モデルの方が相場が高いブレイクアウト。買い取りさせて頂いた2015年モデルに焦点を当ててみましょう。

【状態別】2015年モデルFXSB 買取相場
	平均落札額	最高額	最低額	台数
5点 良好	209万円	221万円	194万円	3台
4点 軽い難や使用感	205万円	267万円	160万円	9台
1点 事故 不動車	62万円	62万円	62万円	1台

平均落札額に着目すると評価点が高いほど落札額が高い順当な結果となっていますが、最高落札額は評価点の低い4点の個体が記録しており、評価点4に着目すると同じ評価点ながら落札金額には100万円を超える幅が存在しています。 なぜでしょう？
その理由は3つあります。
第1に走行距離。事実、205万円以上で落札された個体は走行距離が数千キロ未満の個体で占められています。
第2に微妙な状態差。評価点はエンジンやフレームなど6つの部位の評価点で構成されていますが、総合評価点は小数点以下が四捨五入されるため例えば4点の個体には3.5～4.4点が含まれることが理由です。
そして第3がカスタム内容。

スタイルを変えるカスタムが高額査定に

例えば最高落札額267万円を付けた個体は、純正品の欠品によって評価点を下げましたが、素の状態は良好であったことに加えてカスタム内容が評価されて落札額が跳ねています。
カスタム比率が非常に高いFXSBブレイクアウト。直帰1年間で36台の取引が記録されている13～15年モデルFXSBですが、フルノーマルの個体は僅か2台に留まっています。
9割以上の個体はエアクリ・マフラー・ハンドル・グリップ・シフトペグといった部位に社外品が入っています。そのためこのあたりは差別化要因とならず査定額の大きな伸びは期待できません。

大きく買取額が伸びるカスタム傾向は、キラーカスタムなどの超ショートフェンダーや、CVOブレイクアウトのタービン・ホイール、フロント24インチ化、そしてリアタイヤ26cm化などで、純正品があればベストです。

傾向を纏めると下記のようになります

• ▼落札額の傾向
• 最上位240万円以上は、
  走行距離が数千キロ未満と浅い・状態良好・スタイル変更を伴うカスタム車。
• 間が空いて次点となる200～210万円台は、
  走行距離が数千キロ未満と浅い・状態良好・社外品多数のカスタム車
• 180～190万円台は、
  走行距離が1万キロ前後で・比較的状態の良い・ライトカスタム車
• 160～170万円台は、
  走行距離が1万キロ超で・比較的状態の良い・ライトカスタムまたはノーマル車

以上の買取相場を踏まえて、社外品多数のカスタムが施された2015年モデルFXSBの査定内容と買取額についてご紹介させて頂きます。 （尚、上記の業者間市場における落札額は、買取業者の転売額＝販売業者の仕入れ額に相当するため、実際の買取額は95～98％相当となります）

カスタム内容によって買取額のプラス査定が見込めるFXSBブレイクアウトですが、カスタム比率が高い理由としては、 CVOとスタンダードモデルが2013年にダブルデビューを飾った点も見逃せません。先ずスタンダードモデルが発売され、後年に上位カスタムであるCVOが登場するのがセオリーであったハーレーの歴史をひも解いても異例の展開でした。
それ故かスタンダードモデルは既に大胆なロー＆ロングの尖がったスタイルを誇示しており、カスタム意欲を大いに刺激するグレードとなっています。
ソフテイルでは2011年にカタログ落ちとなったFXCWC ロッカーC以来の24cmワイドタイヤを履いていることから、足回りの社外品はロッカーCとブレイクアウトのみ規格が異なるという特徴もありますが、オーナー様のFXSBブレイクアウトも 多数の社外品を装着したカスタムが施されています。

主な社外品やカスタム内容を列記いたしますと、
【グラフィック】
デカール・ステッカー

【オプション装着】
チンスポイイラー、ビキニカウル、サドルバッグ、フォークバッグ、エンジンガード、シーシーバー

【社外品】
ダービーカバー（Willie G Skull ）、タイマーカバー、ドラッグバーハンドル、ミラー、フットペグ、シフトペグ、ホーンカバー、フルエキ（Vance/BigRadius）、 エアクリーナー、ステムやクランプの取付ボルト、フロントウィンカー、プラグコード、リアのアクスルシャフトカバー

先ずオプション的な付加価値品であるパーツについては基本プラス査定に貢献します。
ブレイクアウトのカスタムとしてはオリジナル度が高いチンスポイイラーとビキニカウルを装着したカスタムは、16年モデルで登場したCVOプロストリートブレイクアウトを踏襲するルックスです。 カスタムビルダー制作のパーツで、且つプロによるペイントが施されていれば買取価値を大きく向上させてのですが、残念ながら安価な中華製パーツを自家塗装しているためプラス査定は限定的に。
フォークバッグ、サドルバッグも同様に安価な品物であり、バックレストとエンジンガードに関しても中古の末端流通価格が1万円強の品物ですので、オプション品のプラス査定は些少に留まってしまいました。

比較的値の張る社外品としてはドラッグバーハンドル、フルエキ（Vance/BigRadius）、エアクリーナーが挙げられ、ブレイクアウトカスタムの定番アイテムです。
ドラッグバーとVanceマフラーはロー＆ロングの車体にマッチしており再販時に好まれ易いカスタムです。また小型ウィンカーでスッキリ見せているハンドル周りも細かいポイントですがプラス査定に。
惜しむらくは、純正品の保管が無かった点。特に車検切れが近いことから再販時には純正マフラーが必須となるところ、弊社販売店に車検用マフラーのストックがございますが、再販時には車検対応の純正マフラーセットがやはり好まれるのも事実。 しかしながらド定番の社外品で纏めたライトカスタムは王道であり、しっかりとプラス査定に繋がりました。

メーカーペイントのシルバーの車体にリムテープやステッカーにカッティングシートや自動車用のウィンドウモール等で自作したデザインが貼付されていますが、こちらは仕事の粗さが目に付く他オーナー様の拘りが強く出ていますので再販に向けては 全て剥がしたほうが良いとの判断に。残念ながら買取価値のプラスにはつながりませんでした。

2015年モデルの最上位カラーであるシルバーフレークのカラーリングを纏ったオーナー様のブレイクアウト
外装の色艶は良好で、綺麗に保管されている個体が多いブレイクアウトとしては平均的な輝きを維持しています。

タンク・フェンダー・サイドカバーなど手の入りやすい箇所は綺麗ですが、フォークの内側であったり、チェーンカバーやスプロケットなど手の入りにくい細かい箇所にはサビが見られます。
また良く手が振れるハンドル周りになどにも小傷が散見されます。このあたりが隙の無い極上車と比べると細かく買取価値を落とすポイントとなってしまいましたが、細かい錆びは弊社整備工場で充分にリカバー可能です。
パッと見て綺麗であることは間違いなく、4点混じりではありますが見た目の総合評価は良好判定となる5点をお付けすることが出来ました。

ツインカム96Bエンジンを搭載した本機FXSBブレイクアウト。
振動を抑えるバランサーがエンジンに組み込まれている代わりに、リジッドマウントでフレームシルエットの美しさを保持しているのは、リアタイヤからの衝撃吸収性よりも見た目の美しさを貫くソフテイルの拘りであり特有の組み合わせです。
エンジン始動で機能をチェックする前に先ずは目で見える箇所から査定していきます。
パッと見てエンジン回りは綺麗です。こちらも手の入りにくいヘッドカバー上部やシリンダーブロックの空冷フィンの隙間などにサビが出ていますが、クランクケースなど手の入りやすいメッキカバーの箇所は綺麗です。
視認できるポイントの中で最も大きなマイナスとなるのがオイル漏れですが、オーナー様のブレイクアウトからは滲みも含めて確認できませんでした。

続いてスイッチハウジングを操作してエンジンを始動させます。
Vanceの良いサウンドを響かせて一発始動、バッテリー残量も充分なようです。吸気と排気を変更しているのでインジェクションのセッティングを出しているかか否かも査定で重要なポイントとなりますが、 RPMは800回転台となっておりセッティングは出ているようです。インジェクションチューニングを記録したUSBデータも保管されており買取価値を高めています。
アイドリングも安定しており、低回転寄りの吹け上りも快調で機能的にも良好です。
細かいサビが散見されたため4点寄りではありますがエンジン評価についても5点判定となりました。
惜しかったのは走行距離が2万キロ近い18,327kmであった点です。カスタムを楽しむ、見た目の美しさを楽しむといったオーナー様が多い他、リアの衝撃が直接伝わってくるため道路のハンプなどで予期せずアクセルが開けられ （低回転寄りの強いトルクで）鬼加速するのが怖い、見た目は小さいけどフォアコンで街乗りが少しキツイといったオーナー様もおられて相対的に低走行距離の個体が多いブレイクアウトとしては多い走行距離です。

査定させて頂いたオーナー様の2015年モデルFXSBブレイクアウト。総合判定は4.6点となった走行距離1.8万キロのライトカスタム車です。
上段の買取相場で触れました業者間オークションに出品した場合、200万円以上での落札は走行数千キロ未満で状態の良いカスタム車で占められていることから、走行距離が2万キロ近い個体となると180～190万円の落札額が予想されます。

180～190万円は買取業者にとっては転売額（販売業者にとっては仕入れ額）に相当しますので、経費（出品手数料や運送費）と儲けを差し引くと180万円がかなり強気の査定提示額となります。
仮に185万円を提示した場合、赤字覚悟の買取額と言えます。

弊社が提示させて頂きました買取額は相場的には大赤字確定の200万円。
弊社バイクパッションは日本で一番中古ハーレーを売っている系列販売店を有しています。
2022年10月現在では、2013～15年モデルFXSBの店頭車両販売価格は異常高騰しており230～360万円台。販売店の儲けが大きく乗った個体も散見されますが、ここ半年ほど消費者が高騰した車両に手を出さなくなり長期在庫化が顕著になっています。
弊社販売店で230万円の値付けであれば即売が可能な販売環境だと判断し、ご提示致しました買取額です。
市価以上でのハーレー買い取りを求めているオーナー様。ぜひバイクパッションの無料出張査定をお試しください。最上の誠実査定でご期待にお応えし続けております。