ある日突然に電源が点かなくなってから乗らなくなってしまい、その後の屋外放置によって非常に傷みが目立つ状態になってしまったKTM・990スーパーモトR (990 SM R)。
査定の際もブースターを繋いで確認しました、電源は点かない状態。デジタル表示のため走行距離は不明でしたが、5年前の車検証に記載されている距離は何と約9.8万km。実走行は10万km超。
野晒しで放置されていたため特に外装の傷み具合はひどく、販売当時の艶やかな色合いが失われてしまっている点が残念な車両状態でした。
以下、今回拝見させていただいたKTM・990スーパーモトRの車両詳細となります。
足回り
タイヤの残り山が2分程度になるまで走り込まれており、足回りの疲労感はかなりのものとなっておりました。
ブラック仕上げのフロントはそこまで目立ちませんが、Fフォーク・リアサス共にそれなりの点サビが発生しており、減衰も少々ヘタり気味。
ディスクローターのサビ・キズもそこそこ発生しており、再商品化にあたっては、タイヤやブレーキパッドの交換の他、全体的なケアが必要と判定させて頂きました。
990スパーモトRの足回りの査定評価は少々厳しめに。

外装
車体各所に発生したやれを隠すため、ウインドスクリーンやタンク・外装各所に多数のデカール(ステッカー)あり。
こちらがかなり固着しており、上手に剥したとしても、色褪せや日焼しているステッカー周囲と剥した境目の色褪せの差がクッキリ際立ってしまいます。
固着している個人的趣味色の強い多数のでカールは、外装全体の疲労感と合わせて買取での減額ポイントとなってしまいました。
ここまで外装の風化や使用感が強いと、オールペンによる再塗装も再販化にあたっては選択肢の1つとなる状態。外装については綺麗に魅せるためには大がかりな全体的なケアが必要だと言えます。

エンジン周り
オーナー様の記憶では4年ほど放置、とのことで、バッテリーが完全に上がってセルは回らず、ブースターを繋いでみましたが電源は点かない状況。
「今日はたまたまだろう、えっ今日も。いつか修理しようと思いつつ。重い車体を押していくのも面倒で4年経っちゃいました」と仰るオーナー様。
エンジン外観もきつめのサビ・腐食が発生しており、キャブレターの取付ボルトやナットは錆びで固着して取り外しに苦労しそうな錆び具合。
電源が付かないのでデジタルメーターの走行距離は確認できませんでしたが、5年前の車検証に記載されいる距離は何と約9.8万キロ。
実走行距離は「10万kmは超えてますね。中古での購入なので自分で乗ったのは8万キロ程度ですが」とはオーナー様。
走行10万キロを超えているエンジンはやはり走行が少ないエンジンと比べると価値は低となります。
990スパーモトRのエンジンはガソリガタの来ている再生見込みありの不動という査定評価に。

フレーム回り
走行中の大きな事故・転倒歴なしということもあり、フレームへの大きなダメージは確認できませんでした。
「ただし国内のあらゆるところを走ってきたので、立ちごけや転回時にコカした回数は数えきれません」とはオーナー様
細かい点サビやキズはあったものの、KTM車特有のオレンジの色合いもそれほど失われてはおらず、程度状態はまずまずだと言えます。
エンジンマウント部のボルト腐食といった点が若干気になったものの、書類月フレームとして使用に関しては問題ない状態。評価的には10万走破したフレームとしては走行と年式並みといえます

電装/保安部品
4年ほど前も、ある日突然、キーを回しても電源が付かなくなったそうです。
視認できる範囲で配線を辿ってみましたが、配線は初代のオーナーによってかなり加工されています。電装系を一通り検めてみる必要がありそうです。
左後方ウインカーステーが経年劣化によって折れる直前、ミラースタンドも錆びで脆くなっているなど、所々に要交換判定のパーツがあります。
配線加工のある電装系に関しては不具合の箇所を特定することから始める必要があり電装系の査定評価は低いものとなりました。

その他
人気ブランドの社外スクリーン、KTMのオプションパーツである「BarkBuster(バークバスター)」製ナックルガードも装着されており、こちらは買取のプラス査定となりました。

総合評価と買取価格
以上が今回のKTM・990スーパーモトRの査定チェックポイントですが、長期放置によるサビ・腐食を始め、かなりの使用感が前面に出ておりました。
特にマイナス査定として響いたのは
- 走行距離が10万キロを超えている点
- 電源が点かない電装系の修復
- 不動エンジン
- 外装全体のヤレや色褪せ
- 外装に固着している多数のステッカー
- 固着しているナットやボルト類
走行距離が10万kmを超えている中古車は国内では珍しく価格を下げない売れません。それだけ買取価格も下がってしまいます。
とはいえ高年式の高排気量の・990スーパーモトR。走行10万キロでも充分実働に耐えます。
今回買取した990スーパーモトRが仮に実動状態であった場合、買取金額は間違いなく4~8万円程度上がっただけに残念です。
また4年間野ざらしで放置したことによる外装や車両全体のヤレや劣化、劣化を際立たせる固着したステッカー類がなければ30~35万円程度まで買取額は上がっていたでしょう。
お客様のご感想と買取後記
「やっぱりバイクも生き物ですからね。私の不精で申し訳ない限りですが、このお値段なら納得です」とご快諾頂け、BMW・R90と合わせて買取となったKTM・990スーパーモトR。
「当時は両サイドにパニやケース付けて重装備でね。沖縄を除いて走破していない都道府県はない」と仰るオーナー様。
実動当時は日本全国でツーリングを楽しまれていたそうで、査定終了後に暖かいコーヒーを頂戴してツーリング時の思い出を聞かせて頂きました。
引き上げ前に愛車との最後の2ショットを撮影後、次のオーナー様への橋渡しを務めさせて頂くお約束をして引き取らせて頂きました。
「8万キロを一緒に走ってくれたんだよな」と感慨深げなオーナー様の言葉が響きました。
弊社バイクパッションは、そうしたライダーの方々が愛車に込めた「思い」の橋渡し役として日々精進させて頂いております。
KTM990スパーモトR買取相場の比較
990スパーモトRのご売却を考えている方に、適正な査定相場を把握して頂けるように、KTM990スパーモトRの買取相場をご紹介いたします。
また姉妹車種である990スパーモト/990スパーモトRとの買取相場の比較もご紹介いたします。
- ▼評価点の目安|990スパーモトR
- 評価点6 極上車
- 評価点5 綺麗で状態の良い車両
- 評価点4 年式並み若しくは若干の難有り
- 評価点1 事故車や不動車
- ▼取引データ|990スパーモトR
- 落札価格 80.2円 評価点 6 走行距離 0.1万km
- 落札価格 56.2円 評価点 5 走行距離 1.5万km
- 落札価格 44.4円 評価点 4 走行距離 1.5万km
- 落札価格 39.2円 評価点 4 走行距離 3.9万km
- 落札価格 33.6円 評価点 4 走行距離 8.4万km
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去12か月間間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
直近1年間で、取引台数5台と少ないものの990スパーモトRは、絵に描いたように『低走行=高価格』『状態良好=高価格』の図式が当てはまる取引データとなっています。
走行距離1,400キロの極上車が80万円で取引される一方、評価点4点の車両は30~40万円で取引されています。
業者間の取引価格から買取業者の儲けと諸経費(出品手数料や)を引いた査定現場での買取価格は、
評価点4で走行距離が多ければ20万円台後半~30万円台前半、評価点4で走行距離が少なめであれば30万円台半ば~40万円台前半り、 評価点5であれば40万円台後半~60万円台、極上車であれば80万円が狙える相場となっています。
- ▼990 SM シリーズ車種
- 990スパーモト フレーム番号VBKVS940
- 990スパーモトT フレーム番号VBKVS940 新車価格170.1万円
- 990スパーモトR フレーム番号VBKVS940 新車価格178.5万円
990 SMの上位モデルである990 SM Tはオンロードの性向が強く、990 SM Rはヂュアルパーパス性向が強く新車価格では最上位に位置します。
そんな990 SMの業者間市場での取引データを比較してみます。
実働車|年式モデル別のKTM990スパーモトRの買取相場の比較 |
モデル/ 落札価格帯 |
990 SM |
990 SM T |
990 SM R |
平均落札額 |
34.4万円 |
45.9万円 |
50.7万円 |
80万円台 |
0台 |
0台 |
1台 |
70万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
60万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
50万円台 |
0台 |
0台 |
1台 |
40万円台 |
1台 |
1台 |
2台 |
30万円台 |
0台 |
2台 |
1台 |
20万円台 |
2台 |
0台 |
0台 |
総落札台数 |
3台 |
4台 |
5台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去12か月間間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
この姉妹車たちも流通台数は少数ですが、純正パーツ有りで走行距離1万km未満の最高落札価格車両70.0万円を筆頭に、比較的評価に見合った金額で取引されております。
990スーパーモトに関しては、10年落ちの低年式車両が25.6万円という低評価に終わってしまったこともあり、平均取引価格を34.4万円まで落としてしまいました。
ベールモデルの990スパーモトは取引価格が1段低く買取価格で、評価点4の車両は20万~30円台、評価点5の車両で40万円台が基点となることが読み取れます。
990スパーモトTは990スパーモトRと似ていますが、新車価格が若干低い分、中古市場でも若干低く推移しています。
海外メーカー製バイクの場合、カワサキ・Z1やZ2のような旧車のような高騰化が期待しづらいため、売り時でお悩み中のオーナー様は、まずは弊社パッションの無料出張査定をお試しください。
KTM990スパーモトR豆知識
KTMが誇る看板モデル・990デュークと同一のエンジンを搭載し、ブレンボ製キャリパーとWP製サスペンションという高性能装備が際立つKTM・990スーパーモト。
大排気量エンジンによる優れた加速性能に加え、意外に軽々と操れる手頃な操縦感、高速巡航性能の高さで世界中のモタードフリークに愛されました。
現在ではフラグシップの座を1290デュークへと譲り渡しましたが、リッタークラスの中でもオールマイティさが際立ち、世界各国で活躍しております。
世界的なトレンドとなりつつあるVツインエンジンを採用し、それをオンロード志向のモタードマシンへ搭載したKTM・990スーパーモトR。
同社の看板モデルであった990DUKE(デューク)と共通のLC08型エンジンを搭載したこと、マルケジーニ製ホイールといった豪華装備を採用し、 海外メーカー製バイクの中でも維持費の安さでマニアックな人気を誇っております。
KTM990スパーモトR
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 5台
- 平均価格: 507,200円
- 最高価格: 802,000円
- 最低価格: 336,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 0台
- 平均価格: No Data
- 最高価格: No Data
- 最低価格: No Data
相場情報:2017年12月27日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。