「警察署においてある事故車を引き取ってほしい」とのご依頼を頂戴し、査定させて頂いたのは2013年モデルのトライアンフ デイトナ675は、 ハンドルや前輪が車体から分離し、オートバイとしての原型を留めていない全損事故車でした。
再利用可能なパーツの価値もほとんどなく相場的には買取価格をつけるのが難しい状態でしたが、弊社販売店でのパーツ仕入れとして価値を最大限に引き出し3万円の査定価格で買取させていただきました。
以下に査定内容の詳細をご案内しています。
ページ下段では、状態別や年式別にデイトナ675/Rの買取相場がわかる相場表も掲載しています。
損壊を極めた全損事故車のデイトナ675
アウターチューブがポッキリと折れて前輪は離脱しています。
買取価値を見出せるのか?早速査定していきましょう。
足回り
倒立式のフロントフォークを採用しているTriumph Daytona675ですが、
フロントフォークの外側の金属パイプであるアウターチューブが衝撃によって切断されています。
衝撃を吸収して歪曲することが多いフロントチューブですが、折れることは稀です。 更にトップブリッジとアンダーブラケットを繋いでいるステムの支えまでが折れています。ステムのパイプは径が太い肉厚でそうそう折れることはありません。事故の衝撃の凄まじさを物語っています。
ステムが折れたことでメインフレームからステムが抜け落ちて、前輪部分とハンドル部分が車体から離脱しています。
折れたフロントフォークをはじめ離脱したハンドルやホイールは大きく変形していて買取価値がないことは瞬時に判断できました。
足回りで価値を計上できるのは、状態があまり即ないリアホイール、リアサスペンション・スイングアームといったところでしょうか。流通価値も低く査定価格としては気持ち程度になります。
エンジン
ハーネスが切断されていているうえに、キーシリンダーは車体から分離していてエンジンは始動させることができません。
商業的にはコスト割れとなるため、このデイトナ675の状態で始動性を回復させることは出来ないでしょう。買取価値としては部品としての価値になります。
エンジン単体で査定額をを見積もりますが、事故現場でクーラントが漏れ出ていたということでクーラントは空になっています。
またセンターカウルによって壊滅的な損傷は免れていますが、一見してわかる転倒傷が多数刻まれています。
フレームから降ろして、修理やケアが必要な状態であることを考えると部品としての査定額も低い価格にならざるを得ません。
フレーム
ステムが折れるほどの衝撃を受けたデイトナ675の事故車です。
ステムと繋がっているメインフレームの損傷状況が気になります。
フレームが再利用できるかどうかは、車体の査定価格を左右する重要なポイントとなります。
見た目や触った感覚では明らかなフレームの歪みは確認できませんでしたが、溶接による接合部や、ステムを結合するネック部分に衝撃を吸収した痕である皺が寄っています。
明らかな歪みは確認できないものの、メインフレームの剛性は多少なりとも損なわれている状態であり、フレームとしての価値も低い査定額にとどまりました。
電装系・保安部品
始動しないエンジンでも触れましたが、メインハーネスをはじめ電装系は壊滅状態。修理するより新しいものを購入したほうが安い状態です。
保安部品も、メーターをはじめウィンカー・ライト・ミラーと欠損して査定価格を計上することができません。
唯一価値が計上できそうなのはマフラーでしょうか。2013年以前モデルのデイトナ675の3気筒エキパイマフラーは中古の流通価値は1万円程度、取り外しの工賃なども考慮すると買取価値としては多くは見込めません。
外装
カウル類についてもほぼ全損となっています。
タンクはTriumphのペイントが施されている部分を中心に大きく窪み、両サイドカウルやシートカウルには割れが目立ち、中古パーツとしても買取できるような価値は殆どなく 査定価格は気持ち程度しかお付けすることができませんでした。
総合評価と買取価格
一見してわかる全損事故車であったトライアンフ デイトナ675。
完全に修理するとなると新車価格を軽く上回る修理費用が掛かることは想像に難くない状態です。
下段で詳細しています相場情報に照らすと、全損事故車の買取相場はパーツ価値に応じて数千円~7万円程度となっています。
今回査定させていただきました全損事故車のデイトナ675で価値が計上できたパーツは、
・剛性が損なわれているフレーム
・要修理やケアが必要な始動しないエンジン
・1万円程度の市場での流通価値となっているマフラー
・リアホイールやリアショック
といったところです。自立できない車体に台車をかませて車体を引き上げるの回収作業も2人がかりとなること、車体を分解してパーツを取り外す工賃なども考慮すると相場的には値段をつけるのが難しい査定結果となりそうですが 、弊社販売店でのストックパーツそして価値を最大限に引き上げて3万円で買取させていただきました。
お客様のご感想と買取後記
「すぐ持って行ってくれるんなら無料でも。値段が付くならそれで。」とオーナー様のお返事を頂戴しての買取ご成約に。
デイトナ675は壊滅的な状態ですが、不幸中の幸いにもオーナー様は骨折で済んで、事故車両が保管されていた警察署での査定となりました。
「処分先を探していたんだけどバイク乗りの友達が教えてくれて」とパッションにお声がけいただいた経緯を教えてくださったオーナー様。
ローンは完済済みでしたが、車検証の所有者は購入したバイク店のままとなっていて、所有権解除を未実施の状態となっていました。
弊社パッションにて所有権解除のお手続きと廃車手続きを買取業務の一環として無償でサポートさせて頂き、廃車証明書のコピーをお客様にご郵送差し上げて買取終了となります。
Triumph デイトナ675はいくらで売れるのか?適正相場
2006年に世に出たトライアンフ デイトナ675は、2009年と2014年に仕様変更が行われています。 仕様変更に伴い買取相場に影響はあるのか? 買取業者の査定価格の指標であり、販売業者の仕入れ値であり、つまり日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、デイトナ675の適切な買取相場をご案内差し上げます。
年式別の買取相場
年式別の取引相場|デイトナ675 実働車 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
2006年 |
42.4万円 |
50.0万円 |
4台 |
2007年 |
37.8万円 |
63.8万円 |
10台 |
2008年 |
35.5万円 |
57.0万円 |
12台 |
2009年 |
43.6万円 |
62.4万円 |
13台 |
2010年 |
49.5万円 |
72.2万円 |
7台 |
2011年 |
62.8万円 |
69.8万円 |
7台 |
2012年 |
45.4万円 |
51.8万円 |
2台 |
2013年 |
58.0万円 |
58.0万円 |
1台 |
2014年 |
82.0万円 |
89.0万円 |
2台 |
2015年 |
91.3万円 |
93.2万円 |
2台 |
(2018年5月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
取引台数が少ない年式を除外すると、高年式=高額取引となっていることが読み取れます。
2018年現在の現行車は2014年モデルと同じ138.5万円のメーカー希望小売価格で売り出されていることからもわかりますが、デイトナ675は仕様変更があった2014年と2009年を境に買取相場が異なることが分かります。
トライアンフ デイトナ675の買取相場は、年式によって大枠が決まり、次に状態によって最終的な買取額が決定される構造となっています。
上記表によって年式別のデイトナ675の相場の概要は把握していただけたと存じます。
では続いて、今回の買取事例と同じ2013年モデルが含まれる2009~2013年モデル(同じメーカー希望小売価格)の状態別の相場を見てまいりましょう。
因みに上記金額は、中古バイクを取引する業者間市場での取引相場ですので、査定現場での買取相場は、市場での取引価格から業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)として4万円程度差し引いた額となります。
事故車の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|デイトナ675
- 評価点6 極上車
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点1 事故車や不動車
209~2013年式のデイトナ675|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 6 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
70万円台 |
0台 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
60万円台 |
1台 |
4台 |
4台 |
0台 |
0台 |
50万円台 |
0台 |
4台 |
3台 |
0台 |
0台 |
40万円台 |
0台 |
6台 |
7台 |
0台 |
1台 |
30万円台 |
0台 |
1台 |
16台 |
1台 |
0台 |
20万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
2台 |
10万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
0台 |
4台 |
1桁万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
0台 |
2台 |
(2018年5月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
2009~2013年モデルの平均買取額は40万円台半ば
2009~2013年モデルのTriumph デイトナ675は、直近1年間で、業者間市場において30台が取引されました。 最高額は72万円、最低は26万円、平均取引額は50万円となっています。 上記は状態と取引額の関係性を示した表です。 傾向としては、評価点と取引額の関連性は高く、点数が高いほど取引額が高くなる傾向が読み取れます。 上記金額は、中古バイクを取引する業者間市場での取引相場となっていますので、査定現場での買取相場は、市場での取引価格から業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)として4万円程度差し引いた額となります。
したがいまして、状態別の買取相場は下記のようになります。
- ▼状態別の平均買取相場|2009~203年式のデイトナ675
- 極上車は60万円台
- 良好車は40~60万円台前半
- 年式並み車両は30~40万円台
- 難あり車両は20~30万円台前半
2008年以前のデイトナ675
2014年以降のデイトナ675
の状態別の買取相場についてはお気軽にご連絡くださいませ。すぐにお案内することができます。
2009~2013年モデルの事故車は数万円~
事故車や故障車など実働状態にない車両を表す評価点1の取引についてみてみましょう。 2009~2013年モデルの事故車・不動車は、直近1年間で9台が取引されました。 下から状態を見てみると、 最低額の3.8万円で落札された個体は、炎上車で再利用可能なパーツの価値で取引されています。 9.8万円で取引された個体は、外装に傷は一切なく、一見すると損傷個所が不明ですが、フレームが歪んでいるようで、フレーム以外のパーツ価値で取引されています。 10万円で取引された個体は、外装に目立つ割れがあり布団とフォークがゆがんでいる事故車です。フレームとエンジンの価値で取引されています。 10~20万円台で取引された個体はエンジン故障の不動車や、損傷個所が特定できない事故車が、レストア後の価値から修理費用を差し引いた価値で取引されています。 最高額の41.9万円で落札された個体は、金額的に実働者と差異がなく損傷個所は全く不明です。 以上が事故車タフ同社として取引されたデイトナ675の状態です。 フレーム歪みなどコスト的に修理不能な全損車両は10万円未満での取引となり、コスト的に修理可能な車両は10万円以上での取引となっています。 上記の市場取引価格から、買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差し引いた正味の買取額となると、
- ▼事故車や不動車の買取相場|2009~203年式のデイトナ675
- 全損事故車は、パーツ価値に応じて数千~7万円程度
- レストアベース車は、5~25万円程度
2008年以前のデイトナ675
2014年以降のデイトナ675
の状態別の買取相場についてはお気軽にご連絡くださいませ。すぐにお案内することができます。
年式×モデル別の買取相場
2006年にTriumphがSSスーパースポーツとして発売したトライアンフ デイトナ675。
バリエーションモデルは、
特別なカラーリングを施したSEスペシャルエディション
そして足回りにオーリンズやブレンボを装備した上位モデルのデイトナ675が2009年にラインナップに加わります。
2014年のモデルチェンジでABSを標準装備化したABSモデルが登場しています。
モデル別の型式と年式|Daytona675 |
車種名 |
年式 |
フレーム |
新車価格 |
Daytona675 |
2006~13 |
TMD106 |
112万円~ |
Daytona675 SE |
2011年~ |
TMD106 |
万円 |
Daytona675 R |
2011年~ |
TMD116 |
152万円 |
Daytona675 ABS |
2014年~ |
TTA12F |
138万円 |
Daytona675 R ABS |
2014年~ |
TTA14F |
158万円 |
(1000円の単位は切り捨て)
新車価格の推移|Daytona 675 |
モデル 年式 |
Daytona675 |
Daytona675 SE |
Daytona675 R |
2006年 |
112万円 |
- |
- |
2009年 |
126万円 |
- |
- |
2011年 |
126万円 |
131万円 |
152万円 |
2014年 |
138万円 |
- |
158万円 |
メーカー希望小売価格は、特別カラーのSEが高く、更に高価なパーツを纏った上位モデルのデイトナ675Rが高くなっています。
仕様変更による新車価格の推移をみると
トライアンフ デイトナ675は2009年と2014年の仕様変更でそれぞれ価格設定が高くなっていて、デイトナ675Rも2014年の仕様変更で価格は上がっていますが上昇幅は少なくデイトナ675とデイトナ675Rの価格差は縮小しています。
2018年現在もメーカー公式ページでは現行車が2014年モデルと同一の価格で販売されています。
上記の新車価格の推移を踏まえつつ、年式別の買取相場はどうなっているかを見てみましょう。
モデル×年式の取引相場をまとめた下記表をご覧くださいませ。
年式/モデル別の平均取引相場|デイトナ675実働車 |
相場/ 年式モデル |
Daytone675 |
Daytona675 SE |
Daytona675 R |
~2008年 |
37.5万円 |
- |
- |
~2013年 |
50.3万円 |
50.2万円 |
80.9万円 |
2014年~ |
86.6万円 |
- |
56.7万円 |
(2018年5月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
高年式なほど相場が高いことが鮮明になっているDaytona 675 唯一の例外は2014年モデル以降のTriumph Daytona675 Rですが、取引された台数が2台と少ないうえに、2台とも状態が悪い車両であったことが理由となっています。
年式並みの良好な状態の車両であれば、90万円程度平均で取引されることが予想できます。
上記金額は、中古バイクを取引する業者間市場での取引相場となっていますので、査定現場での買取相場は、市場での取引価格から業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)として4万円程度差し引いた額となります。
したがいまして、平均的な買取相場は下記のようになります。
- ▼年式別の平均買取相場|デイトナ675
- デイトナ675(2006~08年)30万円台前半
- デイトナ675(2009~13年)40万円台後半
- デイトナ675(2014年~)80万円台前半
- デイトナ675 SE(2011~13年)40万円台後半
- デイトナ675 R(2011~13年)70万円台後半
- デイトナ675(2014年~)80万円台半ば
上記が査定現場での平均的な買取額となります。
状態が良ければ、平均額より高くなりますし、状態が悪ければ平均額を下回るケースもあります。
状態に応じた査定価格をすぐにご案内できます。デイトナ675の買取査定はパッションにお任せくださいませ。
デイトナ675【ABSモデルを含む2006~2015年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 61台
- 平均価格: 472,557円
- 最高価格: 932,000円
- 最低価格: 204,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 19台
- 平均価格: 194,316円
- 最高価格: 430,000円
- 最低価格: 38,000円
相場情報:2018年5月15日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。