査定させて頂いたのは発売最初期1998年モデルのバルカン1500クラシックツアラーのキャブ車。
その車両重量は349kg(乾燥重量331kg)。ガソリンやオイルを満載するとトータルで370kgを超える超重量級マシン。
見た目の迫力に見合った買取額となるのでしょうか?早速査定していきましょう。
外装
査定現場に到着して目にしたバルカン1500クラシックツアラーの第一印象は「やはりデカイ」でした。
まずは車体の見た目の印象を左右する外装から見てまいりましょう。
カラーリングはグリーンを基調に黒と黄色のラインが入っています。遠目からは艶があり綺麗に見えます。
タンクやカウル類を細かく見聞していきます。
大きく目立つ傷はないものの近くで見ると使用感を感じさせる細かい傷が多数見られました。タンクやフロントフェンダーにやや多く、特に両サイドボックスとリアフェンダーには多く細かい傷が付いています。
買取後には傷を目立たなくするケアが必要でしょう。傷を目立たなくすることで見た目の印象はぐっと上がります。
細かい傷が少し買取価値を下げていましたが、リカバーが難しい色褪せや劣化は少なく、外装全体の査定は先ず先ず年式並み以上の評価となりました。
足回り
前輪の方から見ていくと、ホイール・ディスクローター・キャリパーに錆びが浮いています。アウターチューブ・インナーチューブには目立つ点錆びや腐食が浮いています。
後輪も同様にホイール・ディスクローター・キャリパーにやや強めの錆びが付着し、リアショックにも強めの錆びが付着しています。
ハンドル回りは、ハンドルやステムに細かい傷や腐食が多く付いています。特にグリップ内側のスイッチカバー・ミラースタンド・レバーなどの傷や腐食は激しいものがあります。
上記の錆びや腐食が目に付いたのは、手が入りにくく入り組んだ形状のパーツが多いため、錆び除去の作業に時間を要します。傷や腐食が強くリカバー困難なお箇所もあり、その分査定で減額となりました。
前後サスペンションの機能をチェックするべくハンドルやシートに荷重・抜重して動作チェックを行いますが、何せ総重量350kg超の車体。
重心は低いのですが、ハンドル位置が高いため、お尻と腰でシートやタンクを支えてのバランスがとりずらく、取り回しには細心の注意が必要です。
KZ1300乗りの査定員をして、プレッシャーを感じさせる車両の押し引きとなりました。
錆びや腐食の目立った前後のサスペンションですが、オイル漏れもなく、減衰にもコシが感じられます。
足回りはやや劣化が目立ち、その分買取価値を損ねていましたが、ある程度のリカバーも可能で、総合的な評価は年式並みとなりました。
エンジン
水冷4ストロークV型2気筒1470ccのエンジンは、全体的に軽い錆びが付着し、ヘッド部分には軽いオイル漏れ痕が残確認できます。
周辺では、ラジエーターにやや強い錆びが浮いている他、取付ボルトにもやや強い錆びが付着しているため軽い減点となりましたが、年式を考えると見た目の評価は年式並みと言えるでしょう。
肝心の機能を査定するべく、セルスターターをポチっと、一発で始動する始動性の良さを確認。
スラッシュカットの社外マフラーを装着していますが、排気音はほぼノーマル音で控えめ、アイドリングも安定し白煙吹きもありません。
オーナー様に許可を頂いて走行テスト。大きなステップボードに足を乗せ、高い位置のアクセルを回すと、広い車体がゆったりと滑り出します。乗り味はクルーザーでもあり車にも近いバルカン1500クラシックツアラー。
クラッチも軽くギアチェンジに違和感もなく低回転~高回転まで、もたつきや異音なくエンジンは回りました。エンジンの機能的な状態は良く査定の評価点も比較的高い点数となりました。
フレーム
車体には目立つ外傷のなかったバルカン1500クラシックツアラー。
バーエンドやエンジンガードにも目立つ傷はなく、ハンドルストッパーも見てみましたが曲り等なく、車体には大きな衝撃を受けた痕跡は確認できませんでした。
「超低速で、クラッチミスでエンスト時などは結構踏ん張りが要求されるけど、軽く柔らかく着地するように倒したことが数回あるくらい」とはオーナー様のお言葉。
重い重量で立ちごけを予め想定しているかのように標準装備されているエンジンガード。バルカン1500クラシックツアラーでは転倒によるエンジンガードやサイドボックスに傷が多い車種が多い特徴があります。
それだけに、足つきがいいとはいえ、これだけ重く押し引きの難しい車体を長い間乗り回しされて目立った外傷がないのは凄いです。
フレームにも皺寄りや目立つ外傷はなく、高い剛性を保持しています。
細かいところでマイナス査定となったのは、エンジンガード取付ボルトの錆びなどかなり細かい部分で、逆に言えばそれだけフレーム回りの状態は良く綺麗で高い買取価値を保持していました。
電装系・保安部品
電装系・ハーネス類は加工がなくノーマル状態。保安部品も全て正しく動作します。
ただし見た目では、保安部品の劣化がやや目立ちました。ヘッドライトカバー・ウィンカーレンズ・ステー・メーターカップなどのメッキ部品に腐食や傷が目立ちます。
社外品のマフラーには水垢や腐食が目立ち、エキパイ部分では錆びがやや強く発生しています。
いずれのメッキパーツも錆び腐食を除去しても拭えない使用感が漂っている為、その点で若干買取価値を下げる査定内容となりました。
カスタムなど
スラッシュカットのマフラーと、アルミ製のグリップに社外品が使用されています。いずれのパーツも純正品の保管はなくノーマル戻しに出来ない状態ですが、 ノーマルテイストを残したクルーザー車の王道のカスタム傾向であるため、ほんの気持ちですがプラス査定とさせて頂きました。
総合評価と買取価格
一部にやや強烈な劣化がありましたが、総じてマイナス査定となったのは、錆びや腐食に小傷といったある程度リカバー可能な減点に留まりました。
エンジンの機能は良好、フレーム状態の良さもキラリと光り、エンジンとフレームという最も価値の高い2大要素で高い評価が付いたバルカン1500クラシックツアラー。
商業的には不可逆的な要素が強いエンジンとフレーム機能で高い点数が付き、マイナスとなったのはリカバー可能な内容が中心。
地力は非常に高く、磨いて光る要素を持ったバルカン1500クラシックツアラー。
相場的には、出せても20万円半ばとなるところですが、買取後のケアによって昇華する価値を織り込んで出させて頂いた査定金額は30万円。
お客様のご感想と買取後記
「同じカワサキのリッター乗りが言う金額だから、それでいこう」と提示金額にOKのご回答を下さったオーナー様。
実は、査定員がKZ1300乗りで、購入する際に、6気筒のワルキューレとCBX1000とで迷ったことなどをお話したところ、オーナー様に気に入って頂けまして、オーナー様から色々と面白いお話を教えてもらいました。
「ワルキューレもいいけど、値段も下がってるって言うしさ、お宅でハーレーでも見に行くよ」とは別れ際にオーナー様が掛けてくださったお言葉。
弊社販売店での再会を心待ちにしております。いつも通り最大限の御持て成しさせて頂くよう販売店スタッフにも申し伝えております。
ご売却誠にありがとうございました。
バルカン1500クラシックツアラー 査定相場の比較
1998年に国内でも発売されたバルカン1500クラシックツアラー。当時のメーカー希望小売価格は、Fi初年の2000年モデル(L1)が139万円、国内最終型となった2003年モデル(L4)は145万円でした。
2018年現在では、中古車の平均価格が約58万円となっているバルカン1500クラシックツアラーはいったいいくらで売れるのでしょうか?
日本の中古車の相場(買取も販売も)を決定している業者間オークション市場のデータを使用して買取相場をご案内いたします。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|バルカン1500クラシックツアラー
- 評価点5 とても状態が良く綺麗
- 評価点4 比較的状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並みもしくは若干の難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
バルカン1500クラシックツアラー|評価点別の相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
40~44万円 |
1台 |
0台 |
0台 |
0台 |
35~39万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
0台 |
30~34万円 |
0台 |
2台 |
0台 |
0台 |
25~29万円 |
1台 |
12台 |
0台 |
台 |
20~24万円 |
0台 |
3台 |
1台 |
0台 |
15~19万円 |
0台 |
1台 |
1台 |
2台 |
10~14万円 |
0台 |
0台 |
1台 |
2台 |
5~9万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車の平均的な買取相場は20万円台前半
直近1年間に23台の取引があったバルカン1500クラシックツアラー。
最高額は44万円、最低額は23万円、26.1万円が平均取引額となっています。
評価点5の車両は2台で、最高額の44万円で取引された車両は、走行距離5,364kmでかなり綺麗な車両、もう一台は26.8万円で取引された車両で走行距離は3万km超の綺麗な車体となっています。
価格に17万円もの開きがあるのは、走行距離が大きく異なり、状態も少し異なることが影響しています。
ただしどちらも綺麗で状態の良い車両ですので、評価点で5点が付いいた車両でも20万円台後半~の取引額となる相場になっています。
評価点4の車両は、全体の78%に相当する18台で、18万円~34.6万円のレンジで取引されています。
また18台の内、15台は20万円台での取引となっています。全体で見ても全23台の内、74%に相当する17台は20万円台での取引となっています。
このことは7割強のバルカン1500クラシックツアラーは20万円台で取引されるということを物語っています。
業者間市場で12.2万円~44万円で取引されているバルカン1500クラシックツアラー。査定現場での買取金額はどうなのでしょうか?
業者間市場で取引される金額から、大型バイクの場合は4万円程差し引いた額が競争力のある買取額になります。
4万円とは、買取業者の経費(運送費や出品手数料など)と儲けの合計で、4万円程度であればお客様にとって競争力にある適正金額と言えます。
したがって、市場での取引額から逆算した買取相場は、状態が良ければ40万円台まで、状態が悪ければ10万円未満も、そして平均であるボリュームゾーンは20万円台前半となっています。
事故車や不動車の買取相場は数万円~10万円台半ば
評価点1(事故車や不動車)のバルカン1500クラシックツアラーは、直近1年間で5台の取引があり、最低額は6.5万円、最高額は19.6万円、13.2万円が平均取引額となっています。
上記で落札されている車両は、写真からは損傷個所を特定できない事故車と、実働化コストがそれ程高そうではない不動車となっています。
11万円で取引されたのはフロントフォークが折れている事故車、6.5万円で落札された車両は長らく放置されていたような劣化がかなり目立つ不動車となっています。
事故車や不動車は、実働化コスト(パーツ取りの価値)に応じて数万円~10万円台前半の買取相場と言えます。
キャブレターとFiの買取相場
国内仕様車は1998~2004年モデルが存在するバルカン1500クラシックツアラー
年式モデルとの変遷を纏めてみました。
バルカン1500クラシックツアラー国内仕様の年式モデルと型式 |
年式 |
モデル |
フレ番 |
1998年 |
キャブ/G1 |
VNT50G-00 |
1999年 |
キャブ/G2 |
VNT50G-01 |
2000年 |
Fi/L1 |
VNT50G-02 |
2001年 |
Fi/L2 |
|
2002年 |
Fi/L3 |
VNT50G-03 |
2003年 |
Fi/L4 |
|
2004年 |
Fi/L5 |
VNT50G-04 |
(フレーム番号は目安で正確ではありません。海外仕様車は含んでいません)
2000年にFi(フューエルインジェクション)仕様となったバルカン1500クラシックツアラー。
モデルコードの型式変更を伴うモデルチェンジ(燃料噴射装置の変更など)によって買取相場は異なるのでしょうか?
以下にキャブレター車と、Fi車の相場を比較して見ました。
キャブ VS Fiの相場|バルカン1500クラシックツアラー実働車 |
状態/ 落札価格帯 |
キャブ車 |
Fi車 |
平均落札額 |
26.1万円 |
25.9円 |
40~44万円 |
1台 |
0台 |
35~39万円 |
0台 |
0台 |
30~34万円 |
1台 |
1台 |
25~29万円 |
10台 |
3台 |
20~24万円 |
3台 |
1台 |
15~19万円 |
1台 |
1台 |
10~14万円 |
1台 |
0台 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
古いFiは購入者から嫌気されることもありますが、バルカン1500クラシックツアラーではキャブ車とFi車で相場に差はないことが分かります。
キャブ車でもFi車でも買取相場に差は出ないということが分かります。
年式モデル別の買取相場
乾燥重量で300kgを優に超えてくる国内仕様としては最重量ツアラーのバルカン1500シリーズ。
中でもバルカン1500クラシックツアラーFIは、ワルキューレツアラーと並んで国産バイクで第2位の重量となる359kg。
(因みに最も重いマシンは歴代のゴールドウィング(GL1500/GL1800)シリーズがで占められています。最重量はSC68型のGL1800で417kgとなっています)
さて、重量級マシンのバルカン1500シリーズの中で最も高額で売れる車両はどれでしょうか?
以下にモデルの変遷と、相場情報を纏めて高く売れる車種ランキングとして表にみました。
- ▼年式モデルの変遷と新車価格|バルカン1500シリーズ
- 1987~1999年 VN-15/VULCAN88(海外仕様)
- 1996~1999年 バルカン1500
- 1996~2006年 バルカン1500クラシック
- 1998~2001年 バルカン1500クラシックツアラー
- 1999~2000年 バルカン1500ドリフター
- 2000~2006年 バルカン1500クラシックFI
- 2000~2004年 バルカン1500クラシックツアラーFI
- 1999~2005年 バルカン1500ドリフターFI
- 2002~2003年 バルカン1500ミーンストリーク
(国内仕様は製造期間中で初期~中期に限られた車種が多く、国内仕様と海外仕様をが混在した年表)
バルカン1500シリーズで高く売れる車種ランキング |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
ミーンス トリーク |
28.1万円 |
35万円 |
7台 |
クラシック ツアラー |
26.1万円 |
44万円 |
23台 |
ドリフター |
20.8万円 |
28.2万円 |
4台 |
クラシック |
17.6万円 |
30.2万円 |
28台 |
バルカン1500 |
11.3万円 |
15.4万円 |
12台 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
買取相場の前提指標である業者間市場の平均取引額で比較すると、バルカン1500シリーズで最も高く売れる車種は、バルカン1500ミーンストリーク。
次いで、バルカン1500クラシックツアラー ⇒ バルカン1500ドリフター ⇒ バルカン1500クラシック ⇒ バルカン1500の順となっています。
概ね発売年次が新しい車種ほど高く売れる傾向となっています。
発売当時は概ね百数十万円で販売されていたバルカン1500シリーズ。2018年時点では中古車は40~50万円台の平均価格で販売されています。
販売と買取の相場を決定している業者間オークション市場では10~20万円台での取引が多く、買取価格は10万円台前半~20万円台前半がヴォリュームゾーンで状態が良ければ40万円まで伸びる相場となっています。
バルカン1500シリーズの査定お任せ下さい。
相場を開示した誠実査定。そして買取販売店の強みを活かした相場以上の買取額でお客様のご期待にお応えしています!
バルカン1500クラシックツアラー
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 23台
- 平均価格: 261,043円
- 最高価格: 440,000円
- 最低価格: 122,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 5台
- 平均価格: 132,200円
- 最高価格: 196,000円
- 最低価格: 65,000円
相場情報:2018年2月16日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。