2014年までは100万円を超える査定額も珍しくなかったスポーツスターXL1200V(セブンティーツー)ですが、2015年から相場は下落の一途を辿り2018年現在の買取上限額は70万円台前半、平均額は50万円台後半に。
査定させていただきましたXL1200Vは2013年モデルの良好車ではありましたが、細かい傷や劣化が散見され極上車未満の評価に。
相場的には50万円台後半~60万円台となる状態でしたが、ハーレー買取台数で日本1位・2位のパッションの底力を発揮して相場平均を大きく上回る65万円の査定価格で買取させていただきました。
査定させていただきましたスポーツスター72(セブンティーツー)は、2013年モデルの新色でメーカー希望小売価格は140万円だったラッキーグリーンフレーク。
査定現場での第一印象は、光沢を保持した外装が綺麗に映ったセブンティーツー。実際に査定していくと細かいところに減点が散見されました。
細かい減点は査定価格にどの程度影響したのか?
以下査定内容の詳細をご紹介させていただきます。
足回り
スポーツスターで唯一のチョッパースタイルとなったスポーツスターXL1200V 72 (セブンティーツー)
象徴的なエイプハンガーのハンドルは、黒塗装の社外品に変更されています。
純正品と同等のシルエットですが黒塗装された社外品は、フォークと同色で一体化していたメッキ塗装の純正チョッパースタイルに比べると一般受けという意味で劣り、若干マイナス査定となってしましました。
かなり低めに設定されたシートに跨り荷重して抜重して前後サスの減衰をチェックしていきますが、コシがあり、オイル漏れの兆候もなく機能的には高い点数が付きました。
ただし、インナーチューブに線傷、リアサスに細かい劣化が目立ち細かい減点となりました。
XL1200Vセブンティーツーのクラシカルな印象を際立たせている、前後タイヤのホワイトリボンの箇所ですが汚れによって変色しています。ここを綺麗に見せるのは再販に当たって重要な要素ですのでここも細かい減点となっています。
ホイールリムやスポーク・ブレーキディスクの傷錆などやや使用感が感じされる足回りの総合的な評価は年式並みといえるでしょう。

エンジン
続いて1201ccのエボリューションエンジンを査定していきましょう。
まずはパッと見た目は綺麗な外観からチェックしていきます。ヘッドからクランクケース下まで隈なく触診しながら見ていきますと、極上車に比べると輝きや色艶がやや失せて、空冷フィンのあたりには細かい錆がやや多く付いています。
ですがオイル漏れの兆候はなくその点は高評価!
続いてセルを押して始動を試み見ると一発始動。何度か始動を試みましたが始動性は良くこちらも高評価。アイドリングも安定し異音や白煙吹きなどの兆候もありません。
加速減速、ギアチェンジと一連の捜査も滑らかで機能的には状態の良いエンジンを確認いたしました。外観がより綺麗であれば極上の評価となっていた点が残念です。

外装
ラッキーグリーンのフレーク塗装が施されたタンクと前後フェンダーは写真以上の質感がありますが、超極上車に比べると輝きと艶が若干落ちているように見えます。
シングルシートはヘタリもほとんどなく綺麗な状態。ブラックのサイドカバーにも減点となるような傷や錆に塗装はげはなく良い質感を保持しています。
残念だったのはタンクに細かい線傷が散見されたこと。とはいえ近づいて識別できる程度なので買取価格への減点も軽微。外装については年式並みと極上の中間といった査定評価になりました。

フレーム回り/電装・保安部品
ここまでの査定で目立った損傷が確認できなかったXL1200V。
念のためにフレームにも修正痕や損傷がないか確認していきます。左右のハンドルの切れ角や、フレームの接合部にも損傷や修正歴は確認できませんでした。
錆びや塗装剥げなど見た目の劣化も少なくフレームの評価は高い点数となりました。
電装保安部品については、マフラーの線傷、ウィンカーレンズの傷などが細かい減点となりましたが、総じて年式並みでまずまずの査定評価となりました。

総合評価と買取価格
以上の査定内容を踏まえて出た総合的な評価点は5.3点の良好車(極上車未満)
走行距離も3千キロ台と低走行なのですが、中古で出回るセブンティーツーでは平均的な距離で大きなアドバンテージには至りません。
2014年までは、100万円を上回る査定金額で買取できたXL1200V 72 (セブンティーツー)ですが。
2015年からの相場下落によって2018年現在の買取上限額は70万円台前半まで下落しています。
下段の相場情報で詳しくご案内差し上げていますが、相場的には50後半~60万円台の買取額となる状態でした。
ハーレー買取台数で日本1以か2位の弊社パッション。
ギリギリまで弊社の儲けを削減して65万円の査定額で買取させていただきました。
(フルノーマルであれば弊社販売店での仕入れ価格として70万円での買取もあり得ただけにその点は残念でした)

以上、買取したセブンティーツーの査定内容をご紹介させていただきました。
以下からは、セブンティーツーを売る際の適正な相場情報について詳しくご案内していきます。
XL1200V 72はいくらで売れるのか?適正相場
スポーツスター初のファクトリーカスタムモデルである48(XL1200X)がデビューした翌2012年、同じくスタムファクトリーモデルとしてリリースされたのが72(XL1200V)。
華々しいセールスを記録し続けているフォーティーエイトに対して、ヒットとまでは行かず2016年モデルをもってラインナップから外れました。
何かと対されることも多いフォーティーエイトとセブンティーツーですが、
2018年現在では、大きく買取相場が下落しているフォーティーエイトですが、2011年から2014年頃までは平均買取額が100万円を超える驚異の相場となっていました。
2011年モデルのメーカー希望小売価格が145万円だったことを考えるとスポーツスター史上で圧倒的に買取率の高い車種として君臨していたと言えます。
対して、90万円台後半が中古車の平均的な税込販売価格となっているセブンティーツーの買取相場はどうでしょうか?
買取業者の査定価格の指標であり、販売業者の仕入れ値であり、つまり日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、以下の切り口でXL1200Vの適切な買取相場をご案内差し上げます。
状態で買取額が分かれるXL1200V 72
- ▼状態を表す評価点の目安|XL1200V 72
- 評価点7 超極上
- 評価点6 極上車
- 評価点5 良好車
- 評価点4 若干の難あり
- 評価点3 難あり
- 評価点1 事故車や不動車
中古XL1200V|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 6~7 |
評価点 5 |
評価点 4 |
75~79万円 |
3台 |
3台 |
0台 |
70~74万円 |
0台 |
4台 |
0台 |
65~69万円 |
0台 |
4台 |
2台 |
60~64万円 |
1台 |
4台 |
0台 |
55~59万円 |
0台 |
1台 |
2台 |
50~54万円 |
0台 |
1台 |
1台 |
45~49万円 |
0台 |
2台 |
4台 |
40~44万円 |
0台 |
0台 |
2台 |
(2018年6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)

状態によって買取額が分かれるXL1200Vセブンティーツー
直近1年間で35台の実働車が取引されたXL1200Vセブンティーツー
取引の最高額は79.6万円、最低額は41.2万円、平均は62.4万円となっています。
評価点別に多い取引金額帯を整理すると下記のようになります。
極上車(評価点6~7)は70万円台後半
良好車(評価点5)は、60~70万円台
難有車(評価点4)は、40~50万円台
例外も散見されますが、傾向としては車両の状態(評価点)と取引金額に関連性があることが分かります。
上記の金額はいずれも、買取相場の前提となる業者間市場における取引金額です。
査定現場での実際の買取額は、市場での想定取引金額から、買取業者の経費(出品手数料や運送費など)と儲けを差し引いた額となります。
大型バイクの場合は、業者の経費と儲けの合計額として4万円程度差し引いた額が適正金額となります。
業者間市場で想定される取引額から4万円が引かれた査定額であれば、非常に競争力のある買取額だと言えます。
上記の状態別の取引相場から、4万円を引いて逆算した正味の買取相場は下記となります。
- ▼状態別の買取相場|XL1200Vセブンティーツー
- 極上車:70万円台前半
- 良好車:50万円台後半~60万円台
- 難有車:30万円台後半~40万円台
上記がセブンティーツーの状態別の買取額のボリュームゾーンです。 極上車は取引台数が少なく傾向地が弱い点、良好車と難あり車両については金額の幅が広くXL1200Vのオーナー様にとっては相場が絞りづらい点を補足するために、以下では年式別の買取相場についてご案内差し上げます。
年式モデル別の買取相場
発売初年の2012年モデルはカタログに記載のなかったセブンティーツー。
中間期モデルとしてソフテイル FLSとスポーツスター72の2台だけが2012年の2月に発売されたため2012年モデルのカタログには載っていません。
(多重塗装で手間のかかるフレーク塗装によって希望小売価格が上昇するのはハーレーの小売価格の常道ですが)2012年モデルのセブンティーツーはフレーク塗装も同一価格で販売されていました(2013年モデルからはキャンディ/フレークが2~3万円高くなっていますが)。
2013年モデルでは6つのカラーバリエーションを展開し、2014年モデル以降も5つのカラーバリエーションを保持し旺盛な販売だ期待されました。
(売れ行きの影響なのか?)2015年モデルではカタログ上の扱いが縮小され、2016年モデルが最終となったセブンティーツー。実は新色やグラフィック変更に仕様変更があり毎年希望小売価格は上がていました。
年式モデルと新車価格・仕様変更|XL1200Vセブンティーツー |
年式 |
新車価格 |
仕様変更 |
2012年 |
136万円 |
|
2013年 |
137万円~ |
新色追加 |
2014年 |
142万円~ |
メーター表示拡張 カラー変更 |
2015年 |
142万円~ |
カラー変更 |
2016年 |
150万円~ |
前後サス変更 ABS装備 |
(新車価格はメーカー希望小売価格。1,000円単位は切捨)
2016年の仕様変更は、スポーツスター(Sportster)共通の仕様変更でXL1200Vセブンティーツーは前後サスペンションの変更、ブレーキのABS化、シート形状の変更が実施されましたが、 その他の年式では目立つ仕様変更はなくカラーリング追加や変更によって数万円程度、希望小売価格が値上がりしています。
本当はカラーリング別の買取相場を比較したかったのですが、全部で10以上のカラーバリエーションがあり、全32台の取引台数に対して多すぎて傾向としては弱いと判断したため、以下に年始k別の買取相場を比較してみました。
年式別の中古取引相場|XL1200V実働車 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
2012年 |
67.1万円 |
77.4万円 |
3台 |
2013年 |
60.0万円 |
79.6万円 |
19台 |
2014年 |
62.1万円 |
77.6万円 |
10台 |
2015年 |
72.6万円 |
76.0万円 |
2台 |
2016年 |
77.8万円 |
77.8万円 |
1台 |
(2018年6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
仕様変更のあった2016年モデルが高い?
10を超えるカラーバリエーション別では傾向値が出ないと推測しましたが、選択肢が半分以下の年式モデル別でも傾向を取得するのは難しい結果となってしまいました。
6つのカラーバリエーションを引っ提げてカタログに登場した2013年モデルの販売数が圧倒的に多く、カタログの扱いが小さくなった2015年モデルからは台数が極端に減少しています。
フォーティーエイト(XL1200X)の買取相場もそうですが、スポーツスター全般で仕様変更があった2016年モデルを境に相場は変化しています。2016年モデル以降は堅調で、2015年モデル以前がグッと安くなっています。
セブンティーツー(XL1200V)も例にもれず、2016年モデルは1段高い買取相場であることは想像に難くありません。
続いて走行距離別の買取相場をご案内差し上げます。
走行距離別の買取相場
XL1200Vセブンティーツー|走行距離別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
~0.5万km |
~1万km |
~2万km |
2万km超 |
75~79万円 |
6台 |
0台 |
0台 |
0台 |
70~74万円 |
3台 |
1台 |
1台 |
0台 |
65~69万円 |
4台 |
2台 |
0台 |
0台 |
60~64万円 |
2台 |
0台 |
3台 |
0台 |
55~59万円 |
1台 |
1台 |
1台 |
0台 |
50~54万円 |
1台 |
0台 |
1台 |
0台 |
45~49万円 |
1台 |
1台 |
1台 |
3台 |
40~44万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
2台 |
(2018年6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
チョッパースタイルで、荷重時シート高が極低のセブンティーツー。 乗り味・ロングドライブの適正が実は、中古市場に出回っている個体の走行距離から推察できます。
高年式車両という点を差し引いても低走行車両の割合は、同クラスのスポーツスターと比べても多いと言えるでしょう。
全35台の取引台数のうち、4割に当たる16台は走行距離0.5万キロ未満。1万キロ未満の車両は23台と全体の6割強を占めます。
走行距離が0.5万キロを切っている個体でもセブンティーツーの場合は、査定価格の大きなイニシアティブとはならないことが見えてきます。
とはいってもやはり低走行=高額査定の傾向はあります。
上記の相場表から、4万円程度を差し引いた実際の買取相場を整理すると下記のようになります。
- ▼走行距離別の買取相場|XL1200V
- ~0.5万km:50後半~70万円台
- ~2万km:40後半~60万円台
- 2万km超:30後半~40万円台前半
下落基調にあるセブンティーツーの売り時は?
上記は2013年から2018年まで各年の6月時点で、セブンティーツー(XL1200V)の直近1年間の平均取引額の推移のグラフです。 最高取引額と、最低取引額も付加したのが下記表です。
セブンティーツー|買取相場の推移 |
相場の推移 |
平均取引額 |
最高額 |
最低額 |
取引台数 |
2013年 |
109万円 |
115万円 |
103万円 |
6台 |
2014年 |
106万円 |
115万円 |
90万円 |
20台 |
2015年 |
86万円 |
100万円 |
68万円 |
20台 |
2016年 |
80万円 |
96万円 |
67万円 |
28台 |
2017年 |
71万円 |
110万円 |
44万円 |
39台 |
2018年 |
62万円 |
79万円 |
41万円 |
35台 |
(2013年~2018年の各年の6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
ファクトリーカスタムモデルの威光か2014年までは、当初のフォーティーエイトと同様に買取額ベースの平均でも100万円以上で取引されていたXL1200V。
カタログでの扱いが小さくなった2015年から相場が急降下し、生産終了後は相場の下落がより顕著になっています。
ここ4年ほどは毎年10万円程度、軽金取引額の下落が続いています。
生産終了している1200ccクラスのスポーツスターの相場動向から、40万円程度で平均取引額は下げ止まりすると思われますが、そこまでは今後も下落していくことが予想されます。
セブンティーツーのご売却をご検討中のオーナー様にとっては、価値がより下がる前に早期の売却が正解と思われます。
XL1200Vセブンティーツー【2012~2016年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 35台
- 平均価格: 624,743円
- 最高価格: 796,000円
- 最低価格: 412,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 0台
- 平均価格: No Data
- 最高価格: No Data
- 最低価格: No Data
相場情報:2018年6月5日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。