査定させていただきました車両はXSR900の60th アニバーサリーモデルです。 2016年式としては劣化や傷が目立ち、低走行距離の車両が圧倒的に多いXSR900としては多走行である点も査定ではマイナスに作用しました。
オートバイの査定は、カスタムによる加点を除くと、新車を10点満点とした減点方式となります。
今回、買取させていただきましたXSR900は、ノーマル車両でしたので、減点方式での査定となりました。
以下、マイナスとなった主なポイントを中心に査定内容の詳細をご紹介差し上げます。
転倒傷や擦り傷
車体の右側に転倒傷があります。
最も買取価値を損ねていたのは、クランクケースのガリ傷。
一目見て、転倒歴があることが分かりますので、極上車両が多い中で転倒歴を示すエンジン回りのガリ傷は再販価格と連動して買取価格の減少に繋がります。<
右ミラーの削れ傷。こちらは社内にストックのある汎用品に変更することもできますし、パーツ自体の価格も比較的廉価であるため、軽めではありますがマイナス査定の要因となりました。
インターカラー(ライトレディッシュイエローソリッド/黒のブロック)で60周年記念モデルの特徴を有するタンクですが擦り傷が目立ちます。
給油口付近に細かい擦り傷が多数あり、剥離が困難な大き目の傷汚れも目立ちます。
シート寄りのタンク部分には長めの線傷が目立ち、タンク底部には凹み傷も見受けられます。どちらも研磨での修復が難しい状態です。
車体に跨った際に、どうしても目に入ってしまうタンクの傷ですので、こちらも減額せざるを得ない再販価値と直結して買取価格を下げる要因となりました。
2016年モデルとしては目立った劣化
新車感の全くないシートの劣化が多くを物語っていますが、風化による濃い目の使用感が漂っています。
中古バイクの購入を検討する方にとって、外装の見た目は、車体を左右する重要な要素です。
外装の風化や色褪せなどは、不可逆的な劣化であり、進行すると元に戻すことはできません。
従いまして不可逆的な外装の劣化は査定価格にやや強めに影響します。
対して、ボルトの劣化などは、販売店に多数ストックのある汎用品への取り換えが可能なので、弊社では殆どマイナス査定とはなりません。
相対的に多走行の走行距離
発売開始から2年しか経過していないXSR900。
中古市場に出回る車体は、走行0kmの販売店流れの新車を含めて、その圧倒的多数は走行数千キロ未満の極上車です。
下段の相場情報で詳しくご案内していますが、走行距離が1万キロを超えるXSR900は、 そのような中で走行1万キロを超える車両は10%未満。走行距離が1万キロを超える車両はことごとく下位の価格で取引される傾向にあり、相対的な多走行車として、査定価格が伸び悩んだ要因となりました。
エンジン自体の機能は問題なく良好ではありましたが、ラジエーターの細かい凹みやさびなど、中古市場で取引されるXSR900の中では相対的に見た目も下位に甘んじる状態となっていました。
プラス査定となった60周年限定モデル
下段で詳細ご案内していますが、60th Anniversaryモデルには2018年現在では付加価値があります。その額は凡そ5万円。
ネガティブな内容が続き、読み進めて頂いている方々には不快な内容が続きましたが、ここでリカバーです。
踏まえて買取買取額は幾らになるのでしょうか?
総合評価と買取価格
走行距離が1万キロを超えているXSR900の買取相場は上限価格が60万円台半ば。
そこに転倒傷と不可逆的な劣化が重なり、相場的には50万円台半ばが何とか利益を出せる買取価格となりそうです。
そこに60th Anniversaryのプレミアムを載せてお客様にご提示した査定価格は62万円。
相場的には利益確保ギリギリのラインで買取させて頂きました。
お客様のご感想と買取後記
「一回コケてからメンテナンスしなくなって。結構放ったらかしだったから。」
「友達に紹介されて査定をお願いしたんだけど、まさかそんな査定価格になるとは思わなかった。友達に食事でも驕ってあげようかな。」
とは売却してくださったオーナー様のお言葉。
弊社販売店にXSR900の在庫があったために、今回は残念ながら、店頭仕入れでの買取価格はかないませんでした。
仮に販売店仕入れでの買取であれば66万円程度まで査定価格が伸ばすことができました。
販売店仕入れが出来るかは、店頭在庫との兼ね合いがあり運の要素もあるのですが、
たとえ店頭仕入れが叶わなくても、状態やモデル別の価値を余的確に見極めて、お客様に寄り添った適正以上の査定価格でご期待にお応えできるように常に心がけています。
XSR900はいくらで売れるのか?適正相場
2016年にメーカー希望小売価格104.2万円で売り出されたXSR900(60周年記念モデルは107.4万円)。
2017年と2018年モデルもカラーリング変更はありましたが、新車価格は据え置きとなっています。
2018年現在では、新車の実勢価格は83万円台(税込)から購入可能となっているXSR900ですが、売却の際はいったいいくらで売れるのでしょうか?
買取業者の査定価格の指標であり、販売業者の仕入れ値であり、つまり日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、XSR900の適切な買取相場をご案内差し上げます。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|XSR900
- 評価点8以上 新車同様
- 評価点7 超極上
- 評価点6 とても綺麗で良好
- 評価点5 綺麗で良好
- 評価点4 若干の難あり
- 評価点1 事故車や不動車
中古XSR900|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 8以上 |
評価点 7 |
評価点 6 |
評価点 5 |
評価点 4 |
90~94万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
2台 |
0台 |
85~89万円 |
0台 |
1台 |
1台 |
1台 |
0台 |
80~84万円 |
0台 |
4台 |
2台 |
5台 |
0台 |
75~79万円 |
3台 |
6台 |
7台 |
1台 |
0台 |
70~74万円 |
5台 |
2台 |
13台 |
5台 |
0台 |
65~69万円 |
0台 |
0台 |
7台 |
6台 |
0台 |
60~64万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
5台 |
1台 |
55~59万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
1台 |
50~54万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
0台 |
(2018年5月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
新車の買取相場が70万円程度の現実
直近1年間で、80台のXSR900が中古相場を決定する業者間市場において取引されています。
2016年発売の大型バイクとあって全80台中、実に97%に相当する78台は評価点5以上の綺麗で状態の良い個体で占められています。
平均の取引額は、73.6万円と新車価格に対して7割強を維持しています。この数字は発売から2年を経過している車両としては大変高い数字です。
販売後数年で新車価格に対して市場での取引根が半値以下となる車種が多い中で、XSR900は現時点においては資産価値が高く、高い買取査定価格が付く車種といえます。
上記表は、車両の状態を表す評価点と、市場での取引価格、の関係を示しています。
XSR900のご売却を考えているオーナー様にとっては喜ばしくないポイントなのですが、最高評価点である8点以上(新車同様)の車両に着目すると、70万円台で8台取引されています。
買取査定のプロである買取業者の視点では、査定上限額の指標として重要なポイントになります。
71.4万円で取引される2018年モデルの新車
下段の走行距離別の取引相場表でご案内していますが、走行0kmの未使用・未登録の新車が70万円台前半で2台、70万円台後半で2台取引されていて、2018年モデルの新車は71.4万円で取引されています。
話が前後いたしますが、上述いたしましたように、販売店の店頭では2016年と2017年モデルの新車が83万円台(税込)から売られています。
業者間市場では、2016年と2017年モデルの新車が70万円台前半~後半(税抜)の値段で取引されています。
仮に、販売業者が2017年モデルの新車を75万円で落札(仕入れ)したとすると、消費税8%が上乗せされるので実際の仕入れ額は81万円です。81万円で仕入れた車両を83万円で販売すると雑費や運送費で儲けは出ません。
上記のように考えると、業者間市場での新車の取引金額は70万円台前半が市場価格(販売業者が何とか利益を出せる競争価格)であることが分かります。
業者間市場で70万円台前半で取引されるということは、査定現場での買取実勢価格は70万円弱が適正でお客様にとって競争力のある価格となります。
その理由は、買取業者経費(運送費や出品手数料など)と儲けを差し引くと、70万円弱が何とか確実に儲けを出せる競争価格になるためです。
ちょっと待った。新車が70万円台で取引されているのは分かった。
では何故?80万円台や90万円台で取引されているXSR900があるのか?
ごもっともな疑問です。
その答えは一般的には2つございます。
- ▼未登録・未使用の新車より高値が付く車両の理由
- 1)カスタム車両。
高価な社外品が評価されてプラスアルファの査定価格が付くケースです。
- 2)需給バランス。
新車が品薄であり中古車も品薄で、出品されたXSR900に対して多数の買い手が応札して取引価格が跳ね上がるケースです。発売間もない車種のご祝儀相場です。
- そして、XSR900ならではの理由が1つあるのか?
3)60th Annversary。
ライトレディッシュイエローソリッドとして販売価格が若干高かった限定車にプレミアムがあるのか?。
ネオ・レトロ、カフェレーサーと形容されるようにある程度メーカーカスタム化されたXSR900は現在のところカスタム車の割合は非常少なく、高値で取引される車両の大きな要因となっていません。
多くの理由は2)の需給バランスによって発生していると思われるのですが、
3)の要因や新色が追加された2018年モデルの影響もあるかもしれません。
走行距離別の買取相場を挟んで、更にその下段で、60th Annversaryと年式モデル別の買取相場について検証してみます。
走行距離別の買取相場
XSR900|走行距離別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
0km |
~0.1万km |
~1万km |
1万km超 |
90~94万円 |
0台 |
1台 |
1台 |
0台 |
85~89万円 |
0台 |
2台 |
1台 |
0台 |
80~84万円 |
0台 |
3台 |
8台 |
0台 |
75~79万円 |
2台 |
4台 |
11台 |
0台 |
70~74万円 |
2台 |
4台 |
19台 |
0台 |
65~69万円 |
0台 |
1台 |
10台 |
2台 |
60~64万円 |
0台 |
0台 |
3台 |
3台 |
55~59万円 |
0台 |
0台 |
1台 |
1台 |
50~54万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
年式モデル別の買取相場
発売開始の2016年モデルと同時に、60thアニバーサリーモデルが販売されたXSR900
2017年モデルは新色としてブラックが加わり、
2018年モデルにはレッドが新色として加わっています。
仕様変更はなくメーカー希望の小売価格にも変化はないのですが、2018年モデルから型式がRN56Jに変更されています。
- ▼年式モデルの変遷|XSR900
- 2016年 フレーム番号RN46J-000~
- 60th anniversary インターカラー(黄色)
- 2017年 フレーム番号RN46J-002~
- 2018年 フレーム番号RN56J-000~
※上記年式とフレーム番号は推測です(正確ではありません)
XSR900|60th Anniversaryの取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
2016~ 2017年 RN40J |
60周年 限定モデル (2016年) |
2018年 RN56J |
総取引台数 |
49台 |
23台 |
8台 |
平均取引額 |
71.4万円 |
76.8万円 |
77.5万円台 |
90~94万円 |
1台 |
0台 |
1台 |
85~89万円 |
3台 |
0台 |
0台 |
80~84万円 |
4台 |
7台 |
0台 |
75~79万円 |
3台 |
10台 |
4台 |
70~74万円 |
18台 |
4台 |
3台 |
65~69万円 |
12台 |
1台 |
0台 |
60~64万円 |
5台 |
1台 |
0台 |
55~59万円 |
2台 |
0台 |
0台 |
50~54万円 |
1台 |
0台 |
0台 |
(2018年5月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
60th Anniversaryの買取上限は70万円台前半
平均取引額に着目すると、60thアニバーサリーモデルは、同年式のベーシックモデルに比べると平均で5万円ほど高く取引されていることが分かります。
結論から言うと、2018年時点においては60thアニバーサリーモデルは、市場で5万円ほど高く取引されていて、買取価格でも5万円ほど高く買取できる余裕があると言えそうです。
60thアニバーサリーモデルのXSR900に関しても、超極上車は70万円台後半に取引が多く、80万円台以上で落札されている車両は新車のご祝儀相場ともいえる需給バランスによって高値で取引された車両が並んでいます。
60th Anniversaryモデルに限っても、市場で取引される最高値は70万円台後半というのが買取業者の読みになりますので、査定現場での買取実勢価格の上限は70万円台前半といえます。
2018年モデルに関しましては、77.5万円と60thアニバーサリーモデルより若干高い平均取引額となっていますが、
取引台数が8台とサンプル数が少なく、全8台のうち走行0kmの未使用車が3台含まれているなど、傾向値としては弱い点を考慮する必要がありそうです。
重ねてになりますが、2018年モデルで走行0kmの新車が71.8万円で落札されている点からも、型式変更(RN40JからRN56J)に伴うような相場差はなく、買取査定価格においても2018年モデルのRN56JはRN40Jに相当するといえます。
事故車や不動車の買取相場
最後にXSR900の事故車や不動車など実働状態にない車両の買取相場をご紹介差し上げます。
直近1年間では非実働状態のXSR900が3台取引されています。
内訳を見ると、54.6と40万円でフロントフォーク曲がりの事故車。15.4万円でフロントが潰れてフレームも損傷している様に見える事故車が取引されています。
車両の価値が高いXSR900はフロントフォーク曲がり程度であればレストアによって十分に再商品化が可能で、査定現場での買取価格は30万円台からが期待できそうです。
一方、フレームにゆがみがある場合や、レストアコストが再販価値を上回る商業的な全損車両は、残存パーツの価値に応じた査定価格となります。査定価格の目安としては再利用可能パーツの価値に応じて数万円~20万円台となりそうです。
XSR900買取相場のまとめ
以上、『状態別』、『走行距離別』、『年式モデル別』、『事故車・不動車』の視点で買取相場をご案内させていただきました。
買取査定のプロである買取業者の視点からご案内しておりますので、XSR900を高く売りたいオーナー様にとっては納得しがたい部分もあったかと存じます。
特に、発売間もない車種のご祝儀相場(需給バランスによって価格が跳ねる)によって、相場的には60万円台後半で取引される車両が、跳ねて80万円台で取引されている状況によって80万円で売れるだろうと思われるのも致し方ないと思われます。
新車同然でも買取上限額は70万円程度
弊社は買取だけでなく、年間に2,000台の中古バイクを売る販売店も併設しています。販売店の視点で申し上げますと、83万円台が新車の競争価格となっている現状を考えると、 個体差の少ない新車を回転よく販売するためには競争価格で販売する必要がございます。
83万円で新車を売ろうと思えば、業者間市場での落札価格は73万円未満が必須となります。73万円で仕入れると消費税8%に落札手数料がかかり実質的な仕入れ値は80万円程度にあるためです。
さらに雑費や運送費などを加えると儲けは殆どなく、売れ残れば在庫費が計上されるうえに時間の経過とともに値下げが必須となるでしょう。
そう考えると、最新モデルの新車であっても業者間市場で応札できる金額は70万円台前半が限界となります。
やはり販売店の視点で考えても70万円台前半が市場での取引価格となり、そここら儲けと経費を差し引く必要のある買取業者の査定額は70万円弱とならざるを得ない現状が見えてきます。
ただし、以下の2点の場合はより高い金額で仕入れることが可能です。
1)お客様からご予約をいただいている場合。
確実に売れる値段から逆算して仕入れ価格を決定できるので仕入れ価格の多少の上積みは可能です。
2)直接仕入れる場合
業者間市場を通さず直接仕入れる場合。消費税と落札手数料込みの実質仕入金額の80万円まで出して買取することが可能です。
弊社販売店仕入れでの買取となる場合、(通常の買取業者は大赤字必至となる)市場価格の10%増しまで査定価格をアップさせて買取できる余力が発生します。
60th Anniversaryの買取相場は5万円程度プラス
XSR900の買取相場に精通していない場合は「最新モデルの新車でも70万円少しで取引されているので、どんな車両でも60万円台後半までが上限」と画一的な視点に陥りがちですが、 年式やカラーリングでも細かく相場を分析して読む弊社パッションでは、カラーリングに応じたその時々の相場でより高額な査定でお客様のご期待にお答えすることができます。
XSR900の査定はパッションにお任せください。
XSR900
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 80台
- 平均価格: 736,100円
- 最高価格: 928,000円
- 最低価格: 548,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 3台
- 平均価格: 366,667円
- 最高価格: 546,000円
- 最低価格: 154,000円
相場情報:2018年5月12日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。