査定させて頂いたZ1000は欧州仕様の2014年モデル、ABSは装備されていないベーシックモデルです。
新車でご購入されてから3年弱のワンオーナー車、走行距離は4千キ強と浅く、高額査定を予感させます。
いったいいくらの買取額となるのか?
早速査定していきましょう。
エンジン
先ずは最重要パーツの1つであるエンジンから査定していきましょう。
見た目からチェックしていきますと、幸先悪くクランクケースカバーに削れた転倒傷が付いています。
また、ラジエーターは細かい錆びがやや多めに浮いています。
クランクケースカバーの傷の範囲は狭いのですが、車両全体が綺麗なだけに悪目立ちしてしまうので、買取後は目立たない様に補修ケアをするか、弊社販売店にストックパーツがあればカバーを交換することにあるでしょう。
続いて空冷4スト4気筒エンジンの機能を査定するために、セルスターターをプッシュ。小気味よいセル音を奏でて一発始動、始動性は良好です。
アイドリングも安定していて良好です。アクセルを開けてガスを送ると素早いレスポンスで回転が上がっていきます。アクセルを締めても滑らかに回転が落ちていきます。
異音やもたつきなく、走行距離が4千キロ台と浅い上に、丁寧に走行されていた事をうかがわせる良好なエンジン状態でした。
1速から6足までシフトチェンジも抜けや引っ掛かりもなく滑らかで問題ありません。
機能的には6点の評価でしたが、カバーの削れ傷が影響して5点の評価となりました。
とは言っても新品でも数万円で購入できるクランクケースカバーの小さ目の削れ傷よって減額された買取額は1万円強でしょうか。
足回り
前後サスペンションの機能を確認するためにハンドルに体重をかけて沈めて、荷重を抜いて戻り具合を見ますがヘタリは全く感じれれず正常な機能を保持しています。
221kgの車体重量ながら、取り回しでは重さをほとんど感じさせません。KZ1300乗りの査定員からすると同じリッターバイクとは到底思えない取り回しの軽さ。
重いバイクになる程、万が一でも倒してはいけないと、細心の注意を払っての押し引きになるのですが、その面では、査定がしやすくありがたいです。
機能的には良好の足回り、走行は浅くタイヤの山も残っていて交換御必要は無さそうです。
タイヤの側面も削れや溶けがないことから、レース場や峠で車体を深く倒しての攻める走りなどはされておらず、街乗りが中心であったことが窺えます。
エンジン機能でも確認できましたが丁寧に乗られていた事は車体に蓄積されるダメージも少なく査定ではプラスとなります。
細かいところで査定の評価を下げたのは、
前後ホイールやブレーキキャリパー・シングルディスク・スイングアームなどに散見された小傷や小錆び。
立ちごけで削れているバーエンドとブレーキレバーの先端などです。。
フレーム回り
続いて、エンジンと最重要パーツの双璧を成すフレームを査定していきます。
エンジンカバーに転倒を示す削れ傷があり、バーエンドにも転倒を示す削れ傷がありましたが、その損傷はどの程度だったのか?
先ずは、ハンドル回りで発生した衝撃のバロメーターとなるハンドルストッパーをチェックします。左右とも変形や曲りは無く、大きな衝撃を吸収した痕跡はありませんでした。
続いてフレームの接合部をチェックしていきますが皺寄りや修正跡など衝撃を受けた痕跡は確認できませんでした。
剛性の高いフレームには、錆びや傷も殆ど見られず、周辺部のペダルやステップの劣化も少なめで高い買取価値を保持していることが確認できました。
外装
エンジンとバーエンドにコケ傷がありましたが、タンク・センターカウル・アンダーカウル・シートカウル・前後フェンダーといった外装には目立つ傷は確認できませんでした。
乗り降りの際など日常の使用に伴って付いてしまうような細かい線キズがタンクやセンターカウルなど各所に付いていますが、傷の目立たなさに連動して査定の減額も目立たない範囲で済んでいます。
Zのロゴが入ったセンターカウル以外は、マットブラック仕上げとなっているのですが、新車当初よりも若干色褪せ・艶を喪失しているようで、見た目の評価はは極上車未満となっています。
電装保安部品
ノーマルの電装系については動作にも問題なくバッテリーも充分に機能しています。一連の保安部品も正常に動作します。
細かく減点となったのは、
エキパイの付け根の錆びと焼け、サイレンサー接合部の錆びや焼け、ウィンカーレンズやミラーカバーの擦り傷などです。
電装・保安部品の査定評価は年式並みとなりました。
総合評価と買取価格
ワンオーナーで走行距離4千キロ超の2014年モデル。
タイヤの状態やエンジン機能からは丁寧に乗られていたことが窺えました。
査定で減額となったのは、クランクケースカバーやバーエンドなどの削れ傷、外装の軽い色褪せ、金属やメッキパーツの軽い錆び、各所の小傷などです。
どれも大きく減額となるような内容ではありませんが、全体的な状態としては極上車未満の良好車と言えます。
2018年現在では、2014年のフルモデルチェンジが最新で、2014年モデルの型式は現行型です。
下段で詳細をご案内していますが、
現行型Z1000(2014~2018年モデル)の買取相場は、極上車が70後半~80万円台、良好車のボリュームゾーンが70万円台となっています。
相場的には70万円台前半の査定額が精一杯となるところですが、不可逆的な要素であるエンジン機能とフレーム状態が良かった点を高く評価して、 弊社販売店の仕入れ価格で提示させて頂いた査定金額は78万円。
業界の構造として、販売業者の仕入れ価格は、買取業者の買取価格より1割程高くなっています。
販売店の仕入れ価格での査定額が、買取相場的には赤字覚悟の額になるのはそのためです。
お客様のご感想と買取後記
「文句ないよ。持ってって。」と金額にご満足頂いて買取の成約となりました。
3年前に新車をご購入された際の本体価格が100万円程度の新車をご購入されたそうで、「100万で買ったバイクを3年楽しんだ後に、ほぼ80万円で売れるんなら、気分悪くないでしょ。今度は旧車を買って財テクしようかって勢いだね。」
とはオーナー様のお言葉。買取相場的には、70万円台前半~半ばが精一杯の査定額でしたが、販売店仕入れで80万円まで査定額が伸びた車両です。 同車種の在庫がないタイミングと、基本機能のポテンシャルの高さが販売店仕入に繋がりました。
後日談ですが、
削れ傷のあるパーツはストックパーツと交換し、買取後の整備と修復でより綺麗になったZ1000。競争価格で店頭に陳列したところ1週間と経たずに新しい良いオーナー様にご契約して頂くこととなりました。
Z1000 査定相場の比較
1978年に生産終了となった空冷のZ1000と同じ名称で、2003年に発売された水冷のZ1000。
2017年に国内仕様車が発売されるまでは、海外生産の逆輸入車として流通していたため、販売期間に比べてその流通数はそれ程多くはありません。
最新モデルのメーカー希望小売価格は、2018年モデルの国内仕様車が115万円。同じく2018年式の上位バージョンであるZ1000 R Edtionが140万円となっています。
店頭での実勢価格として、2018年モデルの新車は98万円から売られています。
2018年現在では、中古車が年式に応じて50万円台~90万円台の価格で販売されている水冷Z1000ですが、いったいいくらで売れるのでしょうか?
日本の中古バイクの(買取と販売の)相場を決定している業者間オークション市場のデータを使用して、買取相場をご案内差し上げます。
2003~現行2018年モデルまで、ロングセラーの空冷Z100は年式によって、買取相場が異なりますので、先ずは年式別(型式別)の買取相場をご案内差し上げます。
年式モデル別の買取相場
2018年現在で、2007年、2010年、2014年にフルモデルチェンジが実施され、現行のモデルが4代目に当たるZ1000。
年式別のフレーム番号は下記のようになります。
それでは型式別の買取相場を見てみましょう。
▼年式モデルとフレーム番号の変遷|Z1000
- ▼空冷 Z1000
- 1976年 フレーム番号KZT00A
- ▼水冷 Z1000
- 2003年 フレーム番号ZRT00A
- 2007年 フレーム番号ZRT00B
- 2010年 フレーム番号ZRT00D/ZRCD
- 2014年 フレーム番号ZRT00F
- 2017年 フレーム番号ZXT00W(国内仕様)
- ▼水冷 Z1000 Rエディション
- 2017年 フレーム番号ZRT00J
年式別の取引相場|歴代の水冷Z1000 実働車 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高落札額 |
取引台数 |
2003年~ |
25.2万円 |
39.8万円 |
45台 |
2007年~ |
35.9万円 |
46万円 |
57台 |
2010年~ |
49万円 |
67.4万円 |
48台 |
2014年~ |
77.2万円 |
101万円 |
65台 |
2017年~ (国内仕様) |
92.8万円 |
99.4万円 |
5台 |
R Edition |
107.6万円 |
114.2万円 |
2台 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(ABSモデルやSpecial Editionを含めた数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
※上記年式とフレーム番号は推測が含まれています
(正確ではありません)
上記表でご覧いただける通り、年式が高くなるほど取引額が高くなることが綺麗に出ています。
2009年以前のA型とB型のZ1000は、平均取引額が20万円台と30万円でパッとしませんが、2007年からのD型になると約50万円が平均取引価格となり、 現行モデルである、海外仕様車(2014年~)、国内仕様車(2017年~)は、新車価格に比べても非常に率の良い価格で取引されています。
上記は、販売と買取の相場の前提指標ですので、査定現場での買取額を知るには、買取業者の儲けと経費(出品手数料や経費など)を差引く必要があります。
買取業者の儲けと経費の合計は、大型車の場合は4万円程度が、お客様にとって競争力のある適正価格といえます。
(大型バイクの配送料金が50km圏内で安くて1万円程度であることを考えると1つの目安になると思われます)
買取業者の儲けと経費を差引いた正味の買取相場は以下のようになります。
▼正味の買取相場|歴代の水冷Z1000 |
年式 |
平均買取額 |
買取上限 |
2003年~ |
20万円台前半 |
40万円付近 |
2007年~ |
30万円台前半 |
40万円台 |
2010年~ |
40万円台半ば |
60万円台 |
2014年~ |
70万円台半ば |
100万円弱 |
2017年~ (国内仕様) |
90万円弱 |
100万円弱 |
現行型Z1000の買取相場
最新のフルモデルチェンジとなっている2014年以降の海外仕様車、2017年から販売が開始された国内仕様車が現行型のZ1000となっています。 今回買取りさせて頂きました、2014年モデルのZ1000も現行型に当たります。
以下では、現行型のZ1000にフォーカスして、さらに状態別の買取相場をご紹介いたします。
- ▼状態を表す評価点の目安|現行型Z1000
- 評価点7 新車に近い
- 評価点6 かなり状態が良く綺麗
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 若干の難あり
- 評価点1 事故車や不動車
現行型Z1000|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 7以上 |
評価点 6 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 1 |
100万円台 |
0台 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
90万円台 |
1台 |
4台 |
2台 |
0台 |
0台 |
80万円台 |
4台 |
3台 |
16台 |
0台 |
0台 |
70万円台 |
0台 |
1台 |
18台 |
6台 |
0台 |
60万円台 |
0台 |
0台 |
3台 |
10台 |
6台 |
50万円台 |
0台 |
0台 |
1台 |
0台 |
2台 |
40万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
30万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(ABSモデルやSpecial Editionを含めた数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車の買取額は70万円台がボリュームゾーン
過去1年間で、現行型のZ1000は70台の実働車が取引されています。
最高額は101万円を付けた個体で、2016年モデルのオレンジ色の欧州仕様で走行距離は1.5万キロ、評価点は5点のノーマル車です。
状態的には、86万円で落札された、2015年モデルの欧州仕様で走行741km、評価点8のノーマル車の個体に、明らかに劣っているのですが、取引額的には一般的な状態の個体が最高額で取引されています。
市場データですので、需給に応じて、時に理解困難な(赤字前提)価格で取引されることがありますが、上記はまさにその典型といえます。
全体的な傾向としては、 上段でも触れましたが、2017年以降の国内仕様車が高額で取引されています。
取引数は5台と少ないものの、86.4~99.4万円のレンジで取引されていて、4台は90万円台で取引されています。全ての車両の評価点は6以上で、走行距離も0.5万キロ未満と、高年式に沿った極上車といえる状態です。
ただし、86.4万円で取引された個体と、99.4万円で取引された個体に有意な差は無く、2018年モデルの新車が98万円台から売られている新車の実勢価格を考えると、極上車でも走行距離が千キロを超えていれば 80万円台の取引価格になってくると思われます。
海外仕様車も同様に、上述した86万円で落札された新車に近い個体が、買取業者にとっては上限のベンチマークになってくると思われます。
その理由はやはり、86万円以上で落札されている車両が、需給によって相場以上で取引されていると思えてしまうためです。
実際、評価点7以上の車両は80万円台での取引が最も多く、やはり買取業者にとっての取引額の上限は80万円台がベンチマークになってくると思われます。
2014~2016年モデルとしては平均的な評価点となる、5点の車両は70万円台~80万円台に取引が集中しています。
若干の難がある評価点4の車両については60万円台がボリュームゾーンとなっており、全体的には評価点に準じた取引額となっていることが上記表から読み取れます。
年式モデル別の買取相場で前述したように、 市場での取引額から査定現場での買取額を知るには、買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送料など)の合計として(大型車の場合)4万円程度を差引くと求められます。
市場での取引額から4万円程度を差引いた査定現場での買取額は下記のようになります。
- ▼現行型のZ1000|平均的な買取相場
- 極上車 70後半~80万円台
- 良好車 60後半~70万円台
- 年式並未満 50~60万円台
事故車でもレストアベース車は20万円台~50万円台の買取相場
事故車や不動車など実働状態にない車両を表す評価点1のZ1000に着目すると、過去1年で10台が、32~65.4万円のレンジで取引されています。 内訳は、10台の全てが事故車となっています。
最低額の32万円で取引された事故車は、写真からは骨格の歪みは判りませんが、エンジンが割れ、フレーム目目立つ傷がある他、マフラーやハンドルも損傷しています。
一方、最高額の65.4万円で取引された事故車は、実働車に準じる価格であり、写真からは損傷個所が判別できませんでした。
60万円で落札された事故車はフロントホイールが変形していますが、落札額から推察(フォーク交換費用を逆算)するとフォークに歪みは無さそうです。
59.6万円で落札された事故車は、クランクケースカバー割れが確認できます。
40万円で落札されて事故車は右側センターカウルに大きな傷があり、左マフラーが離脱しています。
以上、個別に損傷状況を見てきましたが、一目見て分かるような事故車はありませんでした。
どの車両もフレームへの損傷は無さそうでパーツ交換などで再販が見込めるレストアベース車のように見受けられます。
したがいまして、レストアベース車となれば、事故車でも20万円台後半から50万円台の査定価格が見込める買取相場となっています。
Z1000 / ABS (2003~現行モデル)
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 22台
- 平均価格: 507,912円
- 最高価格: 1,142,000円
- 最低価格: 152,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 37台
- 平均価格: 314,757円
- 最高価格: 654,000円
- 最低価格: 47,000円
相場情報:2018年2月19日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。