寒い冬を迎えた後も、バイク好きオーナーの手によって日常的に乗られていたというカワサキ・Z800。
走行距離28,625kmとまずまず乗り込まれており、軽い白煙吹きや軽い異音の症状がありましたが、エンジン状態はこなれて乗りやすい状態となっておりました。
以下、今回拝見させていただいたカワサキ・Z800の車両詳細となります。
足回り
走行距離15,000kmを迎えた際、一度FフォークのO/Hを実施したとの事で、フロント周りの状態はなかなか良好。
ベアリング・シール類もしっかり全交換されており、オーナー様の手入れのよさが伺えました。
コシの違いが非常によく現れており、フロント周りに関しては極上とまではいきませんがこの走行距離のZ800としては良い状態だと言えます。
その一方、リア周りに関してはケア前に売却を決意することになったため、メンテ歴はチェーン清掃とルブ塗りのみとのこと。
タイヤの片減りといった症状も出ていたため、この面で査定の評価を下げてしまいました。

外装
遠目に見る分には2013年の年式相応のZ800…;といった感じでしたが、近くで詳細をチェックしていくと磨きキズ・サビもちらほらあり。
全体的にはまずまず綺麗な部類に入るのですが、傷んでいる箇所と綺麗な箇所との差が意外に大きく、リアサス周りなど手が入れづらい箇所にはそれなりの疲弊感が見え隠れしております。
大きく目立つキズ等はないものの、気になったのはフロントフェンダーに発生していた亀裂で、オーナー様のお言葉によると立ちゴケを起こしかけ、ご自身のクルマのバンパーにぶつけた際のキズとのこと。
店頭で販売する際には、クラックのあるフロントフェンダーは要交換となる可能性が高く、その分だけ、外装の買取価値を下げる結果となってしまいました。

エンジン周り
エンジン外観はクランクケース下部に大きく削れている箇所あり、クランクケース横にも転倒傷有。
パssと見た目は綺麗に見えますが、良く見ると全体的な使用感は隠しきれず、エキパイの排気焼けなど随所にそれなりの使用感が出ておりました。
査定の際に特に気になったのはエンジン左下のクラッチカバー部で、軽微なものながら白い擦過傷が走っており、ブラック仕上げエンジンのZ800の車体でかなり目立っておりました。
キズ自体は浅く性能面での問題はありませんが、これがエンジン評価を下げることに。
性能面ではアイドリング~加速時に腰上から軽い異音が発生、アクセル開放時に軽い白煙を吹く症状もあり、それでも実働面では特に気になるほどでもなくエンジンの吹け具合・アイドリングは実働車としては先ず先ず。 総合的に判断させて頂いた結果、年式並みの評価となりました。

フレーム回り
フレームに関しては特にダメージ等もなく、年式相応のコンディションを保っておりました。
エンジンマウント部・タンクとの接合部といったサビが隠れやすい箇所も綺麗なもので、立ちゴケ・事故によるダメージもなし。
シフトぺダルに立ちごけ傷こそありますが
立ちごけ等でハンドル回りの衝撃を代弁するるハンドルストッパーに軽い凹みはありますが曲り等はなし。頑丈なZ800のフレームの各接合部にも皺などは寄っていません。大きな衝撃が骨格に及んだことはなかったと推測できます。
エンジンを挟む形で存在するサブフレームも健常そのもので、この点に関しては良好だと判定することができました。

電装/保安部品
イグニッションをONにし、保安部品と電装系の詳細確認をさせて頂きましたが、こちらに関しても作動状況に問題はなし。
玉切れ・ウインカーステー部に発生しやすい亀裂等もなく、2013年モデルとしては良好な部類に入ります。
また、社外ウインカー等への変更がなかったことも評価対象。経年以上の傷みはなしということでこちらも年式並みの査定とさせて頂きました。

その他
やれが出やすいシート・グリップ・スイッチ周りの状態も悪くなく、取り立てて目に付く他の欠点はなし。
逆に目を惹くほどの状態の良さや綺麗な状態でもありません。
ヨシムラ製マフラー、Puig製ワイドスクリーンといったライトなカスタムパーツが装着されており、どちらも定番&人気ブランドということで若干のプラス査定に繋がりました。
その一方、純正マフラー欠品ということで若干マイナスとなってしまったことが残念と言えば残念です。

事故車としての総合評価と買取価格
以上が今回のカワサキ・Z800の査定チェックポイントですが、全体的には年式以上に傷みや使用感が目立つ箇所もあり、また傷んでいない箇所とのギャップ差が大きかったことで念入りに拝見させて頂きました。
Puig製ワイドスクリーン・ヨシムラ製マフラーといった人気パーツがポジティブな査定材料に。
その一方で、異音や白煙吹きのあるエンジン機能、手が届きにくい部位のサビ・腐食、フロントフェンダーに走った亀裂やクランクケースの削れ傷、外装各所の小傷や軽いヤレ色褪せ、など使用感や損傷についてはネガティブな査定評価に。 総合的には、年式が新しいので良好車であることは間違いありませんが、大切にされていた事が伝わるような車両状態ではなく、正に普段使いされて走り込まれたZ800。
高年式で状態の良い車両が多いZ800の中ではともすれば相対的には年式並み以下ともいえる状態。
普段使いされていた年式並みのZ800としては相場に照らしてもかなり頑張らさせて頂き利益が取れる限界ギリギリの査定価格43万円にて買い取りさせて頂きました。
お客様のご感想と買取後記
「 自分でも気づいていない箇所が傷んでいたようですが、この価格なら文句なしです。お願いします」とオーナー様にご承諾頂け、無事ご成約に至ったカワサキ・Z800。
カスタムはオリジナルの外観を損ねないようライトに留め、マフラーに関しても悩みに悩み抜いて購入したものの、置き場所もなく処分してしまった純正マフラーの欠品をお嘆きになっておりました。
直線ではなく幅もあり意外と置き場所に困るのがマフラー。保管場所があるのであれば純正マフラーは保管しておくのがベターです。
カスタム車は内容によって査定価格に与える影響はプラス・マイナス両面ございます。ですがノーマル戻しできる状態でのカスタムは確実に査定の評価を高めます。
ノーマル戻しに出来る状態でパリッと決まったカスタム車は高価な社外品の価値とトータルのカスタム内容が評価されて極上ノーマル車の2倍近い金額で取引されることも珍しくはありません。
カスタムされる場合、純正品のキープは必須。売却する際に買取価値を高めてくれます。
Z800の査定相場の比較
Z800を売りたい方必見!状態に応じた査定相場がわかる。業者間市場の取引データを基に、走行距離別と査定評価点別の買取相場をご案内いたします。
- ▼Z800の評価点の目安
- 評価点6 かなり状態の良い車両
- 評価点5 年式並みかそれ以上に状態の良い車両
- 評価点4 年式並みか若干の難あり
評価点別のZ800の査定相場の比較 |
評価点/ 落札価格帯 |
評価点 6 |
評価点 5 |
評価点 4 |
70万円台 |
1台 |
0台 |
0台 |
60万円台 |
3台 |
2台 |
2台 |
50万円台 |
3台 |
13台 |
2台 |
40万円台 |
0台 |
4台 |
4台 |
30万円台 |
0台 |
0台 |
1台 |
総落札台数 |
7台 |
19台 |
9台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)

最高取引価格は評価点6の71.0万円で、ノーマルパーツの欠品と2013年モデルという年式で評価を落としましたが、カスタムの完成度の高さで入札に次ぐ入札で高額取引となりました。
その一方、走行距離1,475kmで評価点7をつけたフルノーマル車両は62.2万円と安定した取引価格となり、Z800という車種の安定感・手堅さを見せ付ける形に。
また、ノーマルパーツの欠品が目立った評価点2のフルカスタム車が55.0万円と、それなりの高額で取引されており、カスタムの内容次第では純正パーツの欠品を補える好例となっております。
逆に最低価格をつけたのは、昨年暮れの関西で開催された際の評価点4の39.2万円でしたが、 これは歳末時期の出品で入札参加者が少なかったことに加え、走行距離が4万km近い2013年モデル(最初期モデル)であったことが災いした結果と言えます。
それでも平均取引価格から極端な差ではなく、40万円付近での落札となっている点にZ800の安定ぶりが見て取れます。
査定現場での買取価格は業者市場での落札価格から買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)で数万円引いた額となります。
評点5の車体では50万円付近が買取価格の基点に。評点6の車体では60万円付近。評点4の車体では40万円付近が買取価格の基点となり、それぞれ状態に応じて買取価格が上下するイメージに合致すれば適正な査定価格と言えるでしょう。
続いて走行距離別の査定相場を見てみましょう
走行距離別のZ800の買取相場の比較 |
走行距離/ 落札価格帯 |
~0.5万km |
~1万km |
~2万km |
2万km以上 |
70万円台 |
1台 |
0台 |
0台 |
0台 |
60万円台 |
5台 |
1台 |
1台 |
0台 |
50万円台 |
2台 |
12台 |
2台 |
3台 |
40万円台 |
1台 |
1台 |
3台 |
2台 |
30万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
総落札台数 |
9台 |
14台 |
6台 |
6台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
2013年が初期モデルのZ800は低走行距離車両が中心で、走行距離が1万kmを超えている車両は全部で12台と少な目。12台の中からカスタム車の2台を引いたノーマルに近い走行1万km超の10台は39.2~57.6万円のレンジで 取引されていて、平均落札額は47.7万円となっています。
走行距離が1万kmを超えてくると買取額としては40万円台前半が起点となることが読み取れます。
今回買取りしたZ800もは走行距離が多く、さらに劣化や外傷もやや目立った状態でした。上記の相場環境に照らしても43万円の買取額が赤字覚悟のぎりぎりの査定額であることがご理解して頂けると思います。
パッションではいつでも利益が取れる限界ギリギリの査定価格でお客様のご期待にお応えしております。Z800をお売りになる際は当社にお声掛け下さい!ご期待にお応えいたします。
Z800豆知識
先代モデル・Z750の排気量を806ccにまで拡大し、最上位モデル・Z1000のスタイリング継承でより戦闘的にモデルチェンジされたカワサキ・Z800。
ミドルクラスの扱いやすさとZ1000のイメージを反映させた精悍さで、海外生産車ながら高い人気を維持し続けています。
2013年にデビューし、Z1000のコンセプトである"SUGOMI(凄み)"に通じるローフォルムと精悍さがトレードマークで、最高出力113psとオーバー750ccクラスとしては扱いやすいパワー特性となっております。
また、点灯時に"Z"の字が浮かび上がるテールランプ、Zシリーズ初採用となるハザードランプスイッチといった装備も追加され、現行Zシリーズの中でも親しみやすく乗りやすいモデルだと言えます。
Z800【2013~2016年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 83台
- 平均価格: 114,470円
- 最高価格: 260,000円
- 最低価格: 54,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 35台
- 平均価格: 75,778円
- 最高価格: 112,000円
- 最低価格: 31,000円
相場情報:2017年12月20日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。