8年間の長期放置ZX-10。 外装もほぼ全滅ですが…;
東京・多摩地区へ隣接する川崎市は、関東でも有数の人口密集地域でもあります。
都心へのアクセスが良好なわりに賃貸物件が安いことで人気があり、暮らしやすいことでも知られています。
浜川崎駅から程近い位置に住んでおられる関下様は若い方向けの1ルームマンションを経営しておられる40代男性。
お父様から譲り受けた土地にマンションを建て、悠々自適の生活を送られている風流人です。
夏真っ盛りの暑い日の査定でしたが、小粋に甚平を着こなした涼しげな姿でお出迎え頂き、冷たいお茶をご馳走になりました。
一息ついた後、マンション敷地内端の倉庫へ案内して頂き、ZX-10を拝見させて頂きます。
拝見させて頂いたZX-10は、9年ほど前まで実動させていたものの、雨の日のスリップ事故でカウル類が大破。
事故後、修理する手間と労力の問題で放置しているうちにすっかり忘れてしまったとの事でした。
かなり年季の入った錆・腐食がそこかしこに見えています。
フロントはカウルの大破で全て除去済みで、ご覧の通りむき出し状態。
電装関係も一部配線が切れてしまっているなど、かなりコンディションは悪い部類です。
倉庫内で蜘蛛の巣があちこちに張られていました。
事故ではあるものの、カウル類のダメージの割にフロントフォーク等への影響はなし。
錆がところどころに浮いてはいますが、オイル漏れなどもなくパーツ利用が可能なレベルとなっています。
走行距離はメーター読みで25,712km。
年式からすれば相応の距離と言えます。
放置年数に応じた汚れ方ですが、パーツとしての再利用は可能なレベルです。
社外品のハンドルが装着されており、こちらも軽度の錆が表面に浮いています。
しかし、ケアすれば十分に再生可能な範囲内なので、純粋にパーツとして査定させて頂くことに。
22リットルの大容量を誇るZX-10のタンクは、現在も意外に需要があります。
こちらは腐食が少なく、十分に利用価値があるレベル。
さすがにエンジンは腐食も激しく、再生にはかなりの労力が必要な状況。
エンジンヘッドは割合綺麗なので、部品取り用としての価値はあります。
マフラーは迫力のあるKERKER製レーシングが装着。
エキゾーストパイプの腐食もかなりのものでしたが、今では稀少なものなのでこちらもプラス査定に。
フロントブレーキが意外に劣化度が少なめで、他車種へのカスタムパーツとして流用が可能そうです。
ブレーキホースも社外品に交換してあるためか、放置期間が長くても効き具合を確認できました。
事故当日は現場に車両を置いたままタクシーで帰宅したそうですが、翌日引取りに行くとシートカウルなどは一部盗難されてしまっていたとの事。
泣きっ面に蜂で、事故に盗難とあっては嫌になるのも無理はありません。
かなりコンディションの悪いZX-10でしたが、パーツとして使用可能な箇所が多かったこともあり、30分の詳細チェックを行わせて頂きました。
それによって関下様所有の1986年式ZX-10の最終査定金額は、74,000円となりました。
弊社による査定ランクは、10段階評価の「1」です。
放置期間が長すぎて処分費覚悟の査定。予想外の査定価格で満足のご成約に!
●長い放置期間であったため、盗難防止用のU字ロックの鍵が見当たらなくなってしまっていた関下様。
査定の間に鍵を探して頂いたのですが、見つけることはできず「さすがにこれだと、処分費用は覚悟ですね。」と苦笑いされておりました。
そこで最終査定価格をお伝えしたところ、「え?行けますか?それじゃお願いします!」と二つ返事で売買成立となりました。
かなり損傷の激しいコンディションのZX-10でしたが、海外では未だ現役のドラッグレーサーとして活躍している車両もあり、パーツ自体に需要があります。
腐食具合は激しいものの、表面部分のみで再生可能なKERKER製マフラーや社外ハンドルキット、フロントフォークは十分に価値あり。
ブレーキシステムもGPZ900Rなどに流用可能で、それなりの査定価格が出せることをご説明させて頂くと、「コイツの再利用の価値があるなら本望です」と喜んで頂けました。
翌日、ディスクグラインダーを携行してU字ロックを切断し、引き取りに。
今度は秋に入ってからモンキーを購入してカスタムしたいと語る関下様の明るい笑顔が、査定スタッフにとって非常なねぎらいとなりました。
ZX-10の相場
ハイスピードツアラーという性格上、かなりハードな走行も経験している車両が多いZX-10。
それだけに程度のよい車両は年々少なくなってきています。
ただし悪い点だけではなく、走行距離3万km越えであっても実動車であればある程度の査定価格がつけられるのは大きなポイントと言えます。
エンジンはかかるけど、さすがにコレは廃車処分かな…;。などとお考えのZX-10オーナー様は、ぜひ一度ご相談ください。
オーナー様の大事に乗られていたカワサキ ZX-10を、どこよりも高く評価させて頂きます。
ZX-10の豆知識
水冷エンジン搭載の国外向けモデルとして開発されたカワサキ ZX-10。
初代ニンジャ・GPZ900R、GPZ100RXに続く第3弾として1987年にお披露目されたモデルで、最高出力137psを誇るハイスピードツアラーです。
そのフォルムはGPZ1000RXと同様のスタイルですが、アルミ製の新設計フレームを採用したことでトータル16kgの軽量化を実現。
乾燥重量222kgと、水冷シリーズ最軽量がZX-10の自慢のひとつとなりました。
1988&89年のわずか2年間のみ販売されたZX-10は、ZZR1100へフルモデルチェンジを果たし、カワサキのハイスピードツアラーとしての役割を次世代へ託します。
最高速度は時速270kmオーバー、0-400m10秒50をマークした圧倒的な加速力でその名を世界中に轟かる事に成功。
全長2,170mm×全幅715mm×全高1,240mmと押し出しのよい車格を持つZX-10は、BMWなどのツアラーと比べても十分な風格があり、その点でも高く評価されていました。
ZZR1100の曲線的なフォルムとは異なり、荒削りなシャープさが残るカウリングですが、その無骨さが男くさくていい!とカワサキファンに愛されてもいます。
ZX-10【1988~1990年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 21台
- 平均価格: 97,429円
- 最高価格: 300,000円
- 最低価格: 50,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 9台
- 平均価格: 62,778円
- 最高価格: 92,000円
- 最低価格: 21,000円
相場情報:2016年8月時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。