買取させて頂きましたのは2002年モデルのYZF-R1
1998年の発売開始以来、2004年までは2年ごとにフルモデルチェンジが実施されていたYZF-R1にあって、2回目に実施されたフルモデルチェンジ・モデルでに3代目に位置します。
2002年のフリモデルチェンジでは最高出力が2馬力向上して152馬力となったほか、フューエルインジェクション化・スイングアームやエンジン位置の変更が実施されました。
買取時点である2013年時点では、2009年に実施された5回目のフルモデルチェンジによって現行モデルは6代目となっています。
発売から11年が経過し、仕様的にも3世代前のモデルと、仕様変更のサイクルが早いがために、型落ち感が強い3代目(2002~2003年モデル)YZF-R1。
型落ちに伴って、買取相場も下落傾向にありますが、査定させて頂いたR1は年式を考慮すると良好な状態を維持していた1台です。
はたしてどのような査定額となったのか?相場情報も交えて査定内容のトピックスをご紹介させて頂きます。
エンジン周り
水冷DOHC5バルブ水冷並列4気筒で最大152馬力をたたき出す2002年モデルのR1エンジンから査定していきましょう。
始動性とアイドリング状態は良好でしたが、腰上から若干の異音、ヘッドカバーからオイル漏れ少、ラジエーターペイントの剥げとフィン凹みなど細かい減点があり極上には届かないものの良好を示す5点の査定評価となりました。
ハンドル/足回り
2002年のYZF-R1のフルモデルチェンジで大きく変化したのがコーナリング性能。コーナリング性能を左右する前後サスペンションから足周りを査定していきましょう。
2002年モデルからφ43mmへと大径化された倒立式フロントフォークにはインナーチューブに磨き傷こそあるもののオイル漏れや目立つ錆などは浮いていません。減衰もコシがありヘタリは感じられません。
手の届きにくい位置に収まっているパネレートが変更されたリアショックにはやや色濃い汚れや錆が付着していますが、オーナーホールを必要とするようなオイル漏れなどはありません。
2002年モデルで左右非対称となったスイングアームには細かい傷がやや多く散見されますが、大きく減点となるような劣化や傷はありません。
錆びの出やすいチェーン・ブレーキキャリパー・ブレーキディスクなどは10年以上前のモデルとしては綺麗で高い買取価値を維持していました。
対してステムやハンドル周りには傷や錆・塗装はげなど10年以上前の車両並みの劣化が見られました。足回りの総合的な査定評価点は5点マイナスとなりました。
電装保安部品
目立つ原点はありませんでしたが、メインキーが曲がっているため挿入しづらい、ミラーウィンカーカバーなどに小傷、チタン素材となったマフラー・エキパイの変色と錆びなどが細かい減点に。
外装/フレーム
フレーム・エンジンが買取価値の2大パーツであるとすれば、スーパースポーツの場合、見た目の印象を左右する外装パーツが次点に重要な査定項目となります。
アッパー・センター・アンダー・テールカウル・タンク・フロントフェンダーに目立たない傷が付いていますが、10年乗られていた車両であれば致し方ないと言える小傷。
目立った傷もなく外装は艶を保持していて10年前のYZF-R1としては高い買取価値を有していました。
2002年のモデルチェンジで、ねじれ剛性が30%高められたツインスパーのアルミ製デルタボックスフレーム。ここまでの査定で転倒を示すような大きな損傷は見当たりませんでしたが、フレームにも修正や衝撃を吸収した痕跡はありませんでした。
前後足回りのねじれなどもなく、塗装はげや傷なども少なく高い買取価値を維持していました。
カスタム箇所
スクリーン社外品、ETC装着。ETCは買取後に弊社整備工場で取り外ししてお客様にご郵送差し上げましたためプラス査定には寄与いたしませんでした。
総合評価と買取額
モデルチェンジが度々実施されるYZF-R1。新モデルが発売されるたびに過去モデルは中古市場での流通相場が下落する傾向にあります。
高年式=高額査定、低年式=相場が下落傾向という図式が成立する典型的なロングセラーの現行車種でもあります。
買取させて頂きましたR1は2013年時点では、3世代前の仕様である3代目(2002~2003年モデル) 買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引データでは、3代目(2002~2003年モデル)の平均落札相場は418,000円、最高落札価格は586,000円となっています
上記は買取業者の転売金額であるため、業者の経費(出品手数料や運送費)と儲けを差し引いた正味の買取相場は、平均が38万円程度、上限が55万円程度となります。
10年前のモデルとしては極上の評価には届かなかったものの状態が良く綺麗であったことから、平均相場を大きく上回り買取相場の上限に近い50万円お査定額で買取させて頂きました。
【2019年2月追記】の買取相場情報
上記内容は2013年11月時点時点の買取事例です。
2013年11月時点の相場情報に基づいて算出された査定金額です。
買取時点では3世代前の仕様であった3代目(2002~2003年モデル)ですが、2019年時点では2015年に実施された過去最大級のフルモデルチェンジによって4世代前の仕様となっています。
上述いたしましたが、ライバルのスーパースポーツと鎬を削る仕様変更で2002年のフルモデルチェンジでは、 FI(フュエルインジェクショん)化、ねじれ剛性が30%高められたツインスパーのアルミ製デルタボックスフレーム、φ43mmへと大径化された倒立式フロントフォーク、左右非対称のデザインとなったスイングアーム、 ライディングポジションの変更、ブレーキキャリパーの刷新、エンジン位置の変更など当時の最新技術の粋が集められた変更が実施されました。
しかしながら、
熾烈な世界のモータースポーツ競争に伍す2015年のフルモデルチェンジでは新車価格が一気に65万円ほど値上がりして237.6万円となっていることからもわかるようにもはや別次元の仕様に進化しているYZF-R1。
フルモデルチェンジの前後で買取相場が大きく変動しているYZF-R1
(参考記事:
【初代~7代目】年式モデル別の買取相場を徹底比較!)
はたして3代目(2002~2003年モデル)R1の買取相場はどのように変動してきたのでしょうか?
買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引データを使用して、3代目(2002~2003年モデル)R1の買取相場の変遷をご案内差し上げます。
業者間オークション市場での取引額とは、買取業者の転売額であり、また販売業者の仕入れ値です。つまり国内の中古バイクの相場は市場の取引額がベースとなっています。
【2013年 ⇒ 2019年】3代目YZF-R1の取引相場 |
【相場の変遷】 |
平均落札額 |
最高額 |
最低額 |
取引台数 |
2013年 |
41.8万円 |
58.6万円 |
26.0万円 |
35台 |
2015年 |
40.5万円 |
58.8万円 |
28.0万円 |
27台 |
2017年 |
32.4万円 |
49.8万円 |
18.2万円 |
38台 |
2019年 |
29.3万円 |
61.4万円 |
19.0万円 |
33台 |
【事故車・不動車】5代目YZF-R1 |
2015年 |
16.9万円 |
26.4万円 |
7.1万円 |
11台 |
2017年 |
14.0万円 |
23.3万円 |
6.6万円 |
10台 |
2019年 |
14.4万円 |
17.4万円 |
10.6万円 |
6台 |
(2013~2017年は各11月時点から、2019年は2月時点から1年間。買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
2015年以降の相場下落が顕著
上記は、買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引金額の推移をまとめた表です。
3代目(2002~2003年モデル)YZF-R1に区切って相場情報の推移を比較しています
3代目R1実働車の平均取引額の推移を見ると、2013年が41.8万円、2015年が40.5万円、2017年が32.4万円、2019年が29.3万円となっています。
2013年から2015年にかけては、その期間の最新のフルモデルチェンジが2009年であり久しく実施されていなかったことから相場はほとんど動いていません。
対して全面変更ともいえる65万円の値上げとともに実施された2015年モデルのフルモデルチェンジを挟んで、相場が大きく下落していることが分かります。
買取業者の転売金額である市場での取引額から、業者の経費(出品手数料や運送費)と儲けを差し引いた正味の査定額ベースでお話しすると、 2015年までは30万円台後半が平均的な査定額であったのに対して2017年以降は20万円台後半まで10万円ほど買取相場が下落しています。
最高額に目を転じると、2019年は61.4万円で過去6年間で最も高いように見えますが、61.4万円で取引された個体はフルカスタム車で高価な社外品の価値という下駄を履いた金額となっています。
第2位に金額である40.6万円が3代目YZF-R1自体の最高取引額と見ると、上限買取額である上値も下落していることが読み取れます。
初代(1998~1999年モデル)のYZF-R1の平均査定額は20万円程度まで下落しています。
(参考記事:
【初代~7代目】年式モデル別の買取相場を徹底比較!)
3代目R1も新型仕様の投入や時間の経過と共に、初代の水準まで相場が下落していくことが予想されます。
相場が特に下落傾向にある3代目~5代目(2002~2008年モデル)のYZF-R1のご売却をご検討中のオーナー様にとっては、早いタイミングでの売却が査定額の近道といえるでしょう。
YZF-R1(JYARN)
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近3ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 81台
- 平均価格: 612,568円
- 最高価格: 1,182,000円
- 最低価格: 270,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 45台
- 平均価格: 383,533円
- 最高価格: 750,000円
- 最低価格: 63,000円
相場情報:2013年11月7日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。