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バイクレースの種類と歴史大全|世界と日本の最高峰27大会・マシンの進化と覇権の系譜

MotoGPのプロトタイプマシン、ダカールラリーのオフロードバイク、鈴鹿8耐のスーパーバイクなど、世界を代表する様々なバイクレースの象徴的なシーンをコラージュした総合インデックス画像

モーターサイクルの歴史は、すなわち「レースの歴史」である。19世紀末に内燃機関を積んだ二輪車が誕生して以来、人類は「誰が一番速いのか」を証明するために、考えうるあらゆる環境でレースを行ってきた。
専用のサーキットで極限のスピードを競う「ロードレース」、道なき大自然や人工のジャンプ台を飛び越える「オフロード」、狂気の公道を駆け抜ける「市街地レース」、そして24時間走り続ける「耐久レース」。バイクレースの種類は多岐にわたり、それぞれが独自のレギュレーションとマシン進化の歴史を持っている。
本記事では、これまで当サイトで解説してきた世界と日本の名物レース27大会を集大成として束ね、それぞれのレースがモータースポーツ全体の中で「どのような位置づけ」にあり、どのような「進化の系譜」を辿ってきたのかを徹底的に紐解いていく。

バイクレース全体相関図(開催タイムラインと分布図)

モータースポーツは「オンロード/オフロード」という単純な種類分けだけでなく、その「歴史の長さ」「規模(世界選手権かローカルか)」「形態(スプリントか耐久か)」という複数の要素が絡み合って成立している。ここでは全27大会を「タイムライン」と「分布図」の2つの視点から整理する。

1-1. レース開催期間タイムライン(歴史の長さ)

各レースがいつ誕生し、現在までどのような歴史を持っているかを視覚化したタイムラインである。棒グラフの色はレースの種類環境を表す。

オンロード(サーキット) オフロード(自然地形) 複合・特殊ダート 公道・市街地 E耐久レース(無印=スプリント)
レース名 1900- 1920- 1940- 1960- 1980- 2000-現在
マン島TT 1907〜現在
公道レースの最高峰。一周60kmのマウンテンコース
ボンネビル 1914〜現在
広大な塩湖で行われる世界最高速への挑戦
パイクスピーク 1916〜2019(二輪終了)
標高4300mを目指す「雲に向かうレース」
デイトナ200 1937〜現在
オーバルとインフィールドを駆ける全米最大級の祭典
WGP / MotoGP 1949〜現在
二輪ロードレースの世界最高峰(プロトタイプ)
富士登山レース 1953-56
富士山の登山道を駆け上がる国産メーカー黎明期の死闘
AMA Gナショナル 1954〜現在
ダートトラックを主軸とする米国の伝統的選手権
浅間火山レース 1955-59
浅間高原の未舗装路で行われた「日本初の本格的レース」
モトクロス (MXGP) 1957〜現在
自然地形と人工ジャンプを走破するオフロードの世界最高峰
FIM EWCE 1960〜現在
24時間などを走り抜く耐久ロードレースの世界選手権
MFJ全日本ロード 1962〜現在
鈴鹿サーキット完成と共に産声を上げた国内最高峰
全日本モトクロス 1964〜現在
国内メーカーの威信が激突するオフロード国内最高峰
マカオGP 1967〜現在
超高速市街地コースをガードレールすれすれで疾走
バハ1000E 1967〜現在
メキシコの荒野1600kmを一気に走破するデザートレース
EnduroGPE 1968〜現在
移動区間とタイムアタック区間を併せ持つエンデューロ世界選手権
イモラ200 1972〜現在
「欧州のデイトナ」を目指し誕生した750cc市販車ベースの祭典
Formula 750 1973-79
TZ750など大排気量2stモンスターが暴れ回った世界選手権
AMAスーパーXC 1974〜現在
スタジアム内に特設された超絶難易度のジャンプコース
GNCCE 1975〜現在
全米の広大な森林や泥濘地を3時間駆け抜けるクロスカントリー
AMAスーパーバイク 1976〜現在
Z1など市販車ベースで争われた米国の熱狂的選手権
Formula TT 1977-1990
マン島を救済するために創設された市販車世界選手権
鈴鹿8耐E 1978〜現在
真夏の祭典。日系4メーカーがワークス体制で挑む日本最大級のレース
ダカールラリーE 1979〜現在
砂漠などの道なき道を数千km走破する「世界一過酷なラリー」
鈴鹿4耐E 1980〜現在
SP400クラスなどアマチュアレーサーの甲子園的登竜門
WSBK 1988〜現在
市販スーパースポーツの「世界最速」を決める頂上決戦
Sモト (S1GP) 2002〜現在
オフ車にロードタイヤを履かせターマックとダートを混走
King of the Baggers 2020〜現在
巨大なカウルを備えたクルーザーによる規格外のバトル

1-2. 権威性と種類の分布図(ステータスマップ)

横軸に「コースの種類(オフからオン)」、縦軸に「権威性・ステータス」をとったマッピング図である。バッジの色はタイムラインと同じ種類を表す。

E耐久レース(無印=スプリント) Pプロトタイプ専用(無印=市販車ベース)
権威性 \ 種類 オフロード
(土・自然地形)
複合路面・特殊
(ダート・人工・塩湖等)
オンロード
(専用サーキット・公道)
国際選手権
(世界最高峰)
MXGP ダカールラリーE EnduroGPE スーパーモト S1GP ボンネビル
現行メインストリーム
WGP / MotoGPP WSBK FIM EWCE
過去の規格
Formula 750P Formula TT
ローカル最高峰
(伝統・メジャー)
全日本モトクロス バハ1000E GNCCE AMAスーパークロス AMA Gナショナル
過去(二輪終了)
パイクスピーク
欧米・公道レース
マン島TT マカオGP デイトナ200 イモラ200 AMAスーパーバイク
国内(日本)レース
鈴鹿8耐E MFJ全日本ロード
草レース起源
特殊派生
過去(1950年代)
富士登山レース 浅間火山レース
特殊レギュレーション
King of the Baggers
国内(登竜門・歴史)
1962年日本GP 鈴鹿4耐E

モータースポーツ発展の系譜(進化ツリー)

初期の公道レースから専用サーキット、そしてスタジアムのエンターテインメントへと枝分かれしていくモータースポーツ進化の歴史を示す系譜図

バイクレースは初期の「とにかく道なき道を走る」「市街地の公道を封鎖して走る」という環境依存型のレースから、マシンの進化とともに明確なセグメント(専用コースでの先鋭化)へと枝分かれしていった。その進化の系譜を3つの大きな幹に分類する。

① ロードレースの系統(舗装路の純化と市販車の逆襲)

時代 進化のプロセスと代表的レース
黎明期
(1900〜50年代)
【公道での命がけの狂宴】
専用サーキットが存在しなかった時代。マン島TTをはじめとする公道レースが「世界最速」の証明であった。日本でも未舗装の富士登山レース浅間火山レースが国産メーカーの生き残り戦争の舞台となった。
専用化
(1950〜70年代)
【プロトタイプ至上主義とWGPの誕生】
安全性の観点から専用サーキットへの移行が進み、世界選手権(WGP)が確立。公道モデルとは完全に切り離された「勝つためだけの専用レーサー」が覇権を握り、日本メーカー(ホンダ・ヤマハ等)が世界を席巻した。
市販車の逆襲
(1970〜80年代)
【市販車ベースの模索】
2ストローク専用レーサーが高騰する中、「市販の大型4ストローク車」をベースにしたレースの需要が高まる。デイトナ200AMAスーパーバイクFormula 750、そしてTT-F1規格の誕生により、レースと市販車市場が再び直結し始めた。
現代
(1980年代〜)
【頂点の二極化】
純粋なプロトタイプの頂点である「MotoGP(旧WGP)」と、市販車の頂点である「WSBK(スーパーバイク)」および「鈴鹿8耐(EWC)」の二極化が完成。

② オフロード&ラリーの系統(大自然からスタジアムへ)

時代 進化のプロセスと代表的レース
黎明期
(1910〜60年代)
【過酷な自然との戦い】
初期のオフロードは「信頼性テスト」の意味合いが強く、ISDT(現在のEnduroGPの起源)やボンネビル(塩湖)、パイクスピーク(山岳)など、大自然の地形をそのまま利用したレースが中心であった。
クローズド化
(1960〜80年代)
【モトクロスとデザートラリーの確立】
自然地形の一部を囲った「モトクロス世界選手権(MXGP)」や「全日本モトクロス」がスプリントの頂点として確立。一方で、バハ1000ダカールラリーといった「道なき大地を数千キロ走破する」究極のサバイバルラリーが人気を博した。
エンタメ化
(1970年代〜)
【スタジアムへの移植】
広大な大地が必要なモトクロスを、野球場やアリーナに土を運び込んで人工的に再現した「AMAスーパークロス」が北米で誕生。連続ジャンプなど「見せる(魅せる)」要素に特化し、世界最大の興行へと成長した。同時にGNCCのような長距離クロスカントリーも北米で独自進化を遂げた。

③ アメリカン・ダート&異種格闘技の系統(独自の進化)

時代 進化のプロセスと代表的レース
原点
(1930〜50年代)
【オーバルダートの熱狂】
アメリカでは欧州のサーキット文化とは異なり、競馬場などの土のオーバル(楕円)コースをカウンターを当てながらスライドして曲がる「フラットトラック(AMAグランドナショナル)」や、砂浜を走る初期のデイトナ200がモータースポーツの原点であった。
融合
(1980〜00年代)
【ターマックとダートの融合】
「オフロード車にオンロードタイヤを履かせて、ターマック(舗装路)とダートの複合コースを走る」というアメリカ特有の異種格闘技戦から「スーパーモト(S1GP等)」という新ジャンルが誕生し、欧州を巻き込んで世界選手権にまで発展した。
現代の異端
(2020年代〜)
【ツアラーのレーサー化】
アメリカンモーターサイクルの象徴である「巨大なバガー(クルーザー)」をベースに、カーボンパーツと足回りのハイリフト化を施してサーキットをフルバンクで攻める「King of the Baggers(KotB)」が誕生。物理法則に逆らう現代の異端レースとして熱狂を生んでいる。

年代別・最高峰レースを制したメーカー覇権俯瞰テーブル

1950年代の欧州メーカー支配から日本車黄金期、そして現代に至るまでの世界最高峰レースにおけるメーカー覇権の移り変わりを示す歴史的写真

モータースポーツの勝者は、そのまま市販車市場の覇権を意味する。欧州勢の支配から始まり、日本メーカー(ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキ)がいかにして世界を制覇し、現代において再び欧州勢やアメリカ勢が巻き返しているのか。その覇権の推移を俯瞰する。

カテゴリー 1950〜60年代
(欧州の支配と日本の挑戦)
1970〜80年代
(日本車2ストの無双と耐久)
1990〜00年代
(市販車ベースの黄金期)
2010年代〜現代
(電子制御と欧州の逆襲)
WGP / MotoGP
(プロトタイプ)
MVアグスタ等欧州勢の圧倒的支配に対し、ホンダが多気筒エンジンで、ヤマハが2ストでマン島やWGPに参戦・初制覇。 ヤマハ(YZR)とスズキ(RGB)、ホンダ(NSR)による純国産2ストローク500ccの全面戦争。ケニー・ロバーツ等の活躍。 ホンダ(NSR/RC211V)とヤマハ(YZR/YZR-M1)の2強時代。ミック・ドゥーハンやバレンティーノ・ロッシの無双。 ホンダ(マルケス)の連覇から一転、近年はドゥカティ(デスモセディチ)やアプリリア、KTMら欧州勢が空力と電制で完全に覇権を奪還。
WSBK / 鈴鹿8耐
(市販車ベース)
(レース規格未成立)一部の耐久レース(ボルドール等)でホンダRCB1000が「不沈艦」として欧州を制圧。 AMAでカワサキZ1やホンダCBが死闘。8耐ではホンダやスズキの4スト大排気量ワークス機(TT-F1)が激突。 WSBKにおいてホンダ(RC30/VTR)vs ドゥカティ(916等)のVツインvsV4戦争が勃発。ドゥカティが一時代を築く。 カワサキ(ZX-10R/レイ)がWSBKで絶対王政を敷くが、近年はドゥカティ(パニガーレV4R)とヤマハ(R1)がタイトルを奪取。8耐はホンダの牙城。
オフロード / ラリー
(MX / SX / ダカール)
トライアンフやBSAなど英国車がスクランブラーでオフロードを支配。浅間では国産メーカーが生き残りを賭けて激突。 MXGPでスズキ(RN)ら国産ワークスモトクロッサーが躍進。パリダカ初期はヤマハ(XT500)やBMWが活躍。 AMAスーパークロスでホンダとヤマハが君臨。ラリー界隈ではKTMが圧倒的な強さを発揮しダカールを完全支配。 MXGPでKTMやハスクバーナ等欧州勢が躍進する一方、AMAスーパークロスでは依然として日本メーカーが強力なシェアを維持。

世界と日本の名物レース27大会(マスターリンク集)

マン島TT、鈴鹿8耐、デイトナ200、ダカールラリーなど、本記事で解説する世界と日本の名物レース27大会の熱狂を伝えるシーン

これまで当サイトで執筆してきた、世界の頂点を極めた名物レース27大会の詳細解説記事一覧である。気になるレース名をクリック(タップ)することで、その過酷なレギュレーション、激闘の歴史、そして名車たちのストーリーを深掘りすることができる。

規模/カテゴリ 開催地域 初開催年 レース名称 ジャンル 日本の歴史的文脈(概要)
国際メジャー イギリス 1907年 マン島TTレース ロード(公道) 戦後日本メーカーが「世界一」を証明するための最大の目標。ホンダの出場宣言(1954年)が日本車躍進の原点。
特殊ジャンル アメリカ 1914年 ボンネビル・スピードウィーク 最高速(塩湖) 名車トライアンフ・ボンネビルの由来。ホンダ(スーパーカブ等)やカワサキも度々挑戦し、極限環境でのエンジン性能を証明。
北米ローカル アメリカ 1916年 パイクスピーク・ヒルクライム ヒルクライム 標高4300mまで一気に駆け上がる「雲へ向かうレース」。ホンダ、カワサキ等の大型ネイキッドやアドベンチャーが参戦。
北米ローカル アメリカ 1937年 デイトナ200 ロード(オーバル) アメリカ最大の2輪モータースポーツイベント。ヤマハ(TZ750等)が大活躍し、アメリカにおける日本車のスポーツイメージを決定づけた。
国際メジャー 全世界 1949年 ロードレース世界選手権(WGP / MotoGP) ロード(サーキット) FIMが創設した二輪ロードレースの「世界最高峰」。ホンダ、ヤマハ、スズキの激闘の舞台であり最先端技術の実験場。
国内 日本 1953年 富士登山レース ヒルクライム(未舗装) 戦後日本における「本格的な二輪レースの原点」。乱立する国内メーカーが生き残りをかけて技術を競った。
北米ローカル アメリカ 1954年 AMAグランドナショナル(フラットトラック) ダートトラック オーバルダートをスライドさせながら走る米国の伝統競技。ホンダ(RS750)がハーレーの牙城を崩しFTR223等のデザインルーツに。
国内 日本 1955年 浅間高原レース(浅間火山レース) ダート(公道/専用) 富士登山レースの後継。マン島TTを明確に意識して企画され、ホンダとヤマハの「HY戦争」が激化しWGP制覇へと直結。
国際メジャー 全世界 1957年 モトクロス世界選手権(MXGP) モトクロス 未舗装周回コースで行われるオフロードの世界最高峰。70年代以降、スズキやホンダなどの日本メーカーが参戦し技術をフィードバック。
国際メジャー 全世界 1960/80年 FIM EWC(世界耐久ロードレース選手権) ロード(耐久) ボルドール24時間やル・マン24時間を含む過酷な長距離レース。ホンダの「無敵艦隊」RCB1000などが市販スポーツモデルへと直結。
国内 日本 1962/67年 全日本ロードレース選手権(MFJ) ロード(サーキット) 鈴鹿での第1回日本GPを経て、国内最高峰のシリーズ戦へ。世界を目指す日本人ライダーの登竜門であり、各メーカーの威信をかけた戦場。
国内 日本 1964年 全日本モトクロス選手権 モトクロス 日本国内におけるオフロード競技の最高峰。国内4メーカーが市販モトクロッサー(CR、YZ、RM、KX)の開発・テストを兼ねて激突。
北米ローカル メキシコ等 1967年 バハ1000(Baja 1000) デザートラリー 荒涼とした砂漠を不眠不休で1000マイル走破する過酷なレース。日本勢は大排気量4スト単気筒の開発競争の主戦場となりXT500等を生み出した。
特殊公道 マカオ 1967年 マカオグランプリ ロード(市街地) 狭い市街地を猛スピードで駆け抜けるアジア最大のアジアン・モナコ。日本メーカーのスーパースポーツ(CBRやYZF-R1等)が長年トップを争う。
国際メジャー 全世界 1968年 エンデューロ世界選手権(EnduroGP) エンデューロ 指定されたルートをタイムスケジュール通りに走破し、SSのタイムを競う公道ラリー的競技。ヤマハ(WR)やホンダ(CRF-RX)など保安部品を備えたレーサー。
欧州ローカル イタリア 1972年 イモラ200(Imola 200) ロード(サーキット) ヨーロッパにおけるデイトナ200に相当するビッグレース。ドゥカティ(750SS)の伝説的勝利で知られ、大型ツインスポーツに多大な影響を与えた。
国際メジャー 全世界 1973年 フォーミュラ750世界選手権 ロード(サーキット) 市販車ベース(排気量750cc以下)の大排気量レース。ヤマハTZ750等が無敵の強さを誇り、後のWSBKの歴史的な源流となった。
北米ローカル アメリカ 1974年 AMAスーパークロス スーパークロス スタジアム内に人工セクションを設けた魅せるモトクロス。そのエンタメ性の高さから大人気となり、日本のモトクロッサーの北米セールスを爆発的に牽引。
北米ローカル アメリカ 1975年 GNCC(グランドナショナル・クロスカントリー) クロスカントリー 広大な自然の特設コースを約3時間ノンストップで走り続ける過酷な耐久。ヤマハYZ-FX等クロスカントリー専用機種誕生の契機となった。
北米ローカル アメリカ 1976年 AMAスーパーバイク ロード(サーキット) アメリカ発祥の「市販大型バイク」によるレース。カワサキZ1とホンダCBの伝説的バトルを生み「スーパーバイク」というジャンルを確立した。
国際メジャー 全世界 1977年 フォーミュラTT世界選手権 ロード(サーキット) プロトタイプ消滅に伴い創設された市販車ベースの世界戦。初期の鈴鹿8耐や全日本の最高峰クラスとして大排気量スポーツの開発競争を牽引。
国内 日本 1978年 鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐) ロード(耐久) 真夏のオートバイの祭典。80〜90年代のバイクブームの中心であり、各メーカーがGPライダーを招聘して威信をかけた日本発の世界的祭典。
国際メジャー 全世界 1979年 ダカール・ラリー(パリ・ダカ) ラリーレイド 「世界一過酷」と称される砂漠・荒野を走破する冒険ラリー。ヤマハ(テネレ)やホンダ(アフリカツイン)が活躍しアドベンチャーの始祖となった。
国内 日本 1980年 鈴鹿4時間耐久ロードレース(鈴鹿4耐) ロード(耐久) 鈴鹿8耐の前日に開催される「国内プライベーターの甲子園」。中型(400cc/250cc)レプリカブームの起爆剤となった伝説のレース。
国際メジャー 全世界 1988年 スーパーバイク世界選手権(WSBK) ロード(サーキット) TT-F1に代わる市販車改造マシンの世界最高峰。ホンダRC30やドゥカティ等、メーカーの市販スーパースポーツの直接的な販売促進・技術競争の場。
特殊ジャンル 全世界 2002年 スーパーモト世界選手権(S1GP) スーパーモト オフロード車に小径オンロードタイヤを履かせた異種格闘技。DトラッカーやWR250Xなど「モタード」というストリート系市販車ジャンルを確立した。
特殊ジャンル アメリカ 2020年 King of the Baggers(KotB) ロード(クルーザー) 巨大なサイドパニア(バッグ)を装着した超大型クルーザーによる異色のスプリント。現代の「パフォーマンスバガー」カスタムの流行を牽引する。

モータースポーツが市販車買取市場に与える絶対的な影響力

レースで勝つために作られたホモロゲーションモデルやワークスマシンの技術がフィードバックされた最新のスーパースポーツが、中古バイク買取市場において高いプレミアム価値を持つことを示すイメージ

「二輪レースの歴史」を紐解くことは、各メーカーの最高峰マシンの痕跡を辿る旅でもある。
歴史に名を刻んだレーサーやホモロゲーションモデルは、打ち立てた金字塔の重み、人々を魅了したストーリー性、さらには当代最高峰のメカニズムを体現した希少性から、驚くべき現代価値を有するマシンが少なくない。

その筆頭格としては、DUCATIに初のメジャータイトルをもたらした1972年のImola200のタイトル機 750 Imola Desmoのホモロゲーション兼レプリカ 750SSであろう。もはやバイクという枠を超えた美術品としての資産価値を秘めており、欧米では数十万ドル(26年現在で軽く数千万円超)での取引が相場となっており、フルオリジナルで未使用に近く各構成パーツのシリアルナンバーが初期生産ロットに近いものは1億円に近い価値があるといわれている(日本の業者間取引では26年に実働車が800万円台、24年に不動車が1,500万円台での取引を記録している)。

同じくImola200でDucatiと競ったMV Agustaの750Sも高い。73年型ではプロトタイプ譲りのフルカウルもオプションで展開されており、欧米では10万USD台(約1,500万円以上)での取引が中心だ。尚、欧米の落札額を引き合いに出しているが、これは単純に海の向こうの話ではない。というのも国内の業者間オークションにおける買い手の6割は海外勢で構成されている。そのため海外での落札額は国内の先行指標であり、円安下では強い外貨を持った海外勢が驚くべき入札額で落札している例が後を絶たない。

国内メーカーに目を向ければ、SBK初年に照準を合わせたプロトタイプ譲りのホモロゲーションの買取相場も高い。プロトタイプと区別するためにフレーム型式RCで呼称されるRC30/VFR750Rそして後継のRC45/RVF750。そして本来はワークスマシンに振られてきた開発コードOWを公道モデルで初めて冠したOW01/FZR750Rと後継OW02/YZF-R7が2大系統だ。続くのはGSX-R750の500台限定GSX-R750RKといった、プロトタイプ譲りのストーリー性を持つマシンである。
また国内相場で空冷4発が主導するプレミアム旧車機の代表格にして源流であるCB750FOUR、Z1もヨーロッパ耐久選手権やAMAスーパーバイクで覇権を取ったことが世界的ヒットの契機となっている。同様に空冷3発も500SSの後継機750SSのレーサーH2Rや水冷KR750がDaytona200やformula750で覇権を競った歴史がある点も付け加えておくべきだろう。
人々を魅了したストーリーとして身近なレースでは鈴鹿4耐やTTF-3で主役として君臨したNSR250Rが挙がるだろう。当時の若者の憧れであったマシンは最終1996年モデルの上位グレードSE/SPの未使用に近い個体は業者間で2022年に500万円を超える落札額を記録するに至っている。

またファクトリー系のプロトタイプは基本的に中古市場に出ることが無いのだが、稀にメーカーの直売や世界的オークションなどで市場に出ることがある。唯一無二のプロトタイプはレプリカとは比にならない希少性によって正に歴史的な資産価値で取引される。例えば、KTMは近年、MotoGPを戦い終えた本物のファクトリーマシン「RC16」を、ポル・エスパルガロやダニ・ペドロサの実使用レーシングスーツ等とセットにしてコレクター向けに直売している。その価格は約28万8000ユーロ(日本円で約4,500万円以上)という途方もない設定であったが、即座に完売となった。また、過去にはDUCATIが、市販レプリカ(RR)ではなく、ケーシー・ストーナーやバレンティーノ・ロッシが実際に世界選手権を戦った正真正銘のワークスマシン「デスモセディチGP(GP10 / GP11)」をRMサザビーズのオークションに出品したこともある。こちらは数千万円規模での落札となり、世界中の富裕層コレクターによる激しい争奪戦を呼んだ。

往年のレーサーレプリカから最新のスーパースポーツ、そしてダカールラリーのDNAを引く大排気量アドベンチャーまで。ご自身の愛車のご売却を検討される際は、そのバイクがどのような歴史的ストーリーを秘めどのような中古価値を秘めているか、更に高額車両であればあるほど、その資産価値を正しく査定額に積み上げることのできる専門知識を有している業者か否かの見極めは極めて重要だ。歴史的価値のある車両のご売却は当社バイクパッションのような専門的な買取業者に査定を依頼することが、その資産価値を最大限に引き出す最適な手段である。

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