MC22型の最終モデルであるワインレッドのCBR250RR。
「事故車を売りたい」と売却のご相談を頂き、一的な保管場所となっていたバイク店に出張査定にお伺いさせて頂きました。
「左折しようと減速した乗用車に全然気付かず、ブレーキも掛けずに時速50キロくらいで追突しました」とオーナー様から事故の様子をご説明頂きました。
御挨拶を交わしながらざっと事故車を拝見させて頂いたところ、 センターカウルやフロントフェンダーなど外装パーツが大きく割れている他、フロントフォークに自走が不可能な程の大きな歪みがあることから、再利用可能なパーツ価値での買取査定となりそうな予感を受けました。
以下、今回査定させていただいた事故車のCBR250RR MC22型の車両詳細となります。
足回り
腰高のミニバンタイプの乗用車に追突してしまった、とのことで、フロントフォークは内側へと大きく曲がっておりました。
バンパーとの接触面積がかなり大きかった様子で、フロントフェンダーの砕け方などが事故時の衝撃を物語っております。
前後ホイール・ブレーキ周りはパーツとして再利用可能でしたが、タイヤは前後ともに見事な坊主状態。
雨の日にこのタイヤ状態では危険極まりなく、要タイヤ交換判定のパーツとして評価させて頂くことに。
買取価値として計上できるパーツとなると、リアサスペンションに前後のホイールといったところでしょうか。
外装
レーサーレプリカの印象を決定づけ、CB250RRの象徴でもあるR両サイドのセンターカウルは砕け散って欠品。
アッパーカウル・アンダーカウルともに無残な砕け散り方をしており、ステー部にはわずかにミラーとスクリーンだけが残っている程度でした。
フロントフェンダーは接合再生が難しいほど複雑な割れ方をしており、車体後方にも路面との接触キズあり。
それ以外にも経年による細かいキズが多く、外装カウルに関しては買取価値としては殆ど計上できる内容が無く厳しい評価となりました。
ガソリンタンクはカーボン製タンクパッドで保護されてはいたものの、左側には凹んだ箇所があったのは残念です。再利用できる外装パーツは写真で見る印象ほど多くはありません。
エンジン周り
フロント大破時に配線類を巻き込んでしまっており、電源が点かず、セルが回らないためエンジンの状態は確認することは出来ませんでした。
エンジン外観もクランクケースに走った白く目立つガリ傷、腰下のオイル漏れ痕、ヘッド部のサビ・腐食の進行もあり、エンジン単体で再販するとしても難がある状態だと言えます。
傷や腐食の目立つラジエター、錆びの激しいエキパイ、腐食の目立つキャブレターなどエンジン回にも劣化や損傷が目に付きました。
電装系が回復すれば、始動するエンジンと思われますが、エンジン外観と周辺の状態から判断してエンジン自体も年式並みよりやや低評価に留まりました。
フレーム回り
パッと見はそれほど傷んでいないように見えますが、フロントフォークと連結しているフレーム部分をチェックしてみると、事故時の衝撃でステム部もわずかに変形し、ネック部分に皺寄りが確認できました。
部品としての価値を完全に消失しているフロントフォークとは異なり、再利用可能ではありますが、衝撃を吸収した痕跡が残っているため、その分パーツ価値は損なわれています。
CBR2500RRのMC22型であることを証明しているフレームの価値が損なわれていることは、今回の買取で1つの大きなインパクトとなりました。
フレームの剛性が損なわれていなければ、修理して実働化させるレストアベース車両としての買取が見込めたのですが、フレームのダメージが認められたことでパーツ価値での買取となる公算が高まりました。
それでも再利用可能なパーツではありますので、中古パーツとしてのお値段をつけさせて頂きました。
電装/保安部品
前述の通り配線類の断線が疑われ、スイッチ類が全く点灯せずメーター類はすべて不点灯・不作動。
アッパーカウル大破により、CBRシリーズのトレードマークである2灯式ヘッドライトはボロリとむき出し状態。
ウインカーも宙ぶらりんという状態では、どう贔屓目に見ても低評価をつけざるを得ませんでした。
買取価値のあるパーツとして計上できたのは錆び錆びのエキパイの先に取り付けられた社外サイレンサーに留まりました。
その他/カスタムなど
車両状態はほぼノーマルのままでしたが、ベガスポーツ製の社外マフラーを装着した状態、純正マフラー欠品とのこと。
生産終了からそれなりの月日が経過しているため、こうした純正マフラーの欠品はさほど珍しくはありません。
事故によるダメージがフロントと左側に集中していたことにより、この社外マフラーが車両状態に比べると綺麗な状態であったため中古パーツとして価値を計上できました。
事故車としての総合評価と買取価格
以上が今回のMC22型・CBR250RRの査定チェックポイントですが、カウル類の大破とフロントフォークの変形というマイナスポイントは、非常に大きく買取価値を損ねていました。
外装カウルはレーサーレプリカの特徴を決定づける最重要なパーツであり、フロントフォークは骨格の一部で操舵性を司る基幹部品です。この2つが全損扱いとなると10万円以上の査定金額は望みにくくなります。
更に痛かったのが、フロントフォークと連動しているステム部分の変形とネック部分に皺寄りです。フレームの剛性を損ねていたことは車両全体ではなく部品単位での評価を余儀なくされ査定結果に大きく影響いたしました。
フレームの剛性が失われたことがなぜそれほど査定結果に影響を与えたのか?その理由はフレームに衝撃の残った車両の再販価値は低く、修理コストが再販価格を上回る可能性が高まったことにあります。
始動しないエンジンも電装系の回復で実働化すると思われましたが、エンジン外観と周辺の状態から判断して評価はやや厳しいものに。
その一方、前後ホイール・社外マフラーといったパーツ単位で値段をつけられる箇所がそれなりにあり、ガソリンタンクも軽いリペア作業で再利用できそうなことから、 状態に難のあるフレームや、状態が確認できないエンジン回りなどとあわせてパーツ価値を積み上げて5万円の査定価格での買取となりました。
お客様のご感想と買取後記
「保管先で一応修理費用も聞いたんですが、どこに頼んだって新車を買った方が安い!という返答だったので・・・明日からは保管料も発生するんで今日中に売却出来て助かりました。」 と苦笑いされながら、弊社パッションの買取金額にご納得頂けたオーナー様。
事故現場から保険会社のロードサービスを利用して一時保管していたバイク店の敷地から動かしての査定となったのですが、48時間を経過すると以降は1日単位で保管料が発生するということが上記の発言に繋がったようです。
「今回の買取金額は次の愛車を買うための積立金に回す」とのことで、微力ながらお力になれて幸いでした。
パッションでは事故現場、保管先のバイク店・レッカー業者・警察署などなどどこへでも直ぐに査定にお伺い出来ます。
お気軽にどんなことでもお申し付けくださいませ。
【MC22型】CBR250RR 査定相場を徹底検証
2016年に発売された
MC51型の買取事例と相場情報は別ページでご確認いただけますので、
1990年~2000年まで生産販売されていたMC22型の『状態別』の相場情報をご案内差し上げます。
尚、MC22型は1990年モデル(MC22-100~)・1992年モデル(MC22-105~)・1994年モデル(MC22-110~)の3モデルがありますが、『年式モデル別』の相場は次回、MC22型実働車の買取事例であらためてご紹介させて頂きます。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|MC22型のCBR250RR
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み・やや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
MC22型 CBR250RR|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
40万円以上 |
0台 |
2台 |
0台 |
0台 |
30万円台 |
0台 |
14台 |
2台 |
0台 |
20万円台 |
1台 |
39台 |
8台 |
3台 |
10万円台 |
0台 |
19台 |
29台 |
25台 |
10万円未満 |
0台 |
0台 |
0台 |
17台 |
総落札台数 |
1台 |
75台 |
39台 |
45台 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車は10.4~47万円の取引レンジ
評価点3~5の実働車は過去12か月間で114台の取引がありました。
最高値の47万円で取引されたのは、走行3,180kmでかなり状態の良い車両。最安値の10.4万円で取引されたのは走行5.5万kmで両サイドのセンターカウルが欠品している他転倒傷が目立った車両。
平均の取引額は、22.4万円となっています。
外装カウルが無いと大幅に査定額は下がる
因みに今回買取りした車両と同様に、両サイドのセンターカウルが欠品となっている実働車の取引額を見てみると、10.4万円と12.4万円と18万円で3台が取引されています。
サンプル数は少ないですが、大きなセンターカウルの価値を如実に物語っています。
評価点別の査定額
評価点別の相場を見ていくと、評価点5の車両はサンプル数が少ないので省略して、評価点4の車両は10~30万円台の取引が多く特に20万円台に取引が集中しています。
評価点3の車両は10万円台に取引が集中しています。
上記の取引額から、査定現場での査定額を導くには、買取業者の儲けと経費として数万円(宣伝費などでコスト構造が割高な会社は5万円以上も)を差引く必要があります。
(業者は買取した車両を上記市場で売却する為、市場での売却想定額より安く買取しないと赤字になってしまうためです)
ですので、評価点3の車両の現場での買取額は10万円程度が基本に。評価点4の車両は20万円程度が基本なりそこから状態に応じて上下することが相場から読み取れます。
事故車や不動車の相場
実働状態にない、事故車や不動車を意味する評価点1の車両についてみていきましょう。
評価点1の車両は、3.4~27.5万円のレンジで過去12か月間に45台が取引されています。
内訳を見ていくと、
12万円以上で落札されている車両は全て不動車。実働化後の価値からエンジンを実働化させるコストが割り引かれた金額で取引されています。
10万円以下から外装の欠品などで一見して事故車と分かる車両の取引があり、9.1万円で外装は完備ながらセンターカウルの割れがあり、フロントフォークが歪んでいる事故車が取引されています。
フロントフォークが歪んでいると買取額の上限は8万円程度となることが業者間相場から読み取れます。
7.8万円以下からは、部品取りの価値として取引されている事故車が見受けられ、パーツ取りの車両となると上限でも6万円程度の買取額となることが読み取れます。
最低額の3.4万円で取引された車両は、写真で見比べると今回買取した事故車と瓜2つの状態でした。
手前みそながら、フォーク損壊・フレーム損傷・カウル全て欠品扱いの事故車の買取額として今回の事例が適正価格以上の買取額であることがお分かり頂けるかと存じます。
バイクパッションはお客様の立場でいつでも誠実に適正価格以上での買取。どんなことでもお気軽にご相談くださいませ。
CBR250RR 【MC22型|1990~94年式】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 114台
- 平均価格: 224,158円
- 最高価格: 470,000円
- 最低価格: 104,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 45台
- 平均価格: 118,911円
- 最高価格: 275,000円
- 最低価格: 34,000円
相場情報:2018年1月10日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。