「友人からエンジン焼付いた状態のCBX550Fを格安で購入したんですが」と言葉を繋ぐオーナー様
シートやバッテリーを盗まれて、通りから見えない裏庭に移動したことをすっかり忘れてまして、8年ぶりにご対面したらこの状態で。修理はあきらめました。」と売却の理由を押せてくださいました。
以下、買取させていただいたホンダ・CBX550Fの査定内容の詳細となります。
足回り
経年による傷み具合は凄まじく、前後タイヤともに山なし・ひび割れ状態。
ホイール部のサビ・腐食はそこまで酷くはないものの、フロントフォークは茶色い点サビでまだら模様に変わり果てておりました。
すでにフォークオイル・シール共に劣化しきっており、足回りの基幹部品出るフロントフォークの再生化には全面的なO/Hを要する状態です。
またリアもクッション性が大きく低下しています。前後のブレーキは固着気味で、車両の押し引きに大きな抵抗を生んでいます。 ハンドルやチェーンも錆び錆び。足回りは劣化が目立ち、買取価値としては平均を大きく下回る評価となりました。

外装
外装はオールペンで再塗装されていますが、塗りムラが目立つ雑な塗装が施されたのは前オーナー様の時代で15年程前との事。
転倒傷の他、多く見られる塗装ハゲによって塗装の下地が覗いた状態に。
野晒しに近い状態で放置されていたため本来の色艶はすっかり失われ、年式平均と比べてもかなり疲弊した状態となっております。
また、盗難被害にあってシートとサイドカバーは欠品となっている他。リアフェンダーも自作カットで欠品。
旧車會カスタムの定番であるカチ上げ加工によってテールカウルも歪みが生じております。
状態が良ければ十分高評価に値する旧車會カスタムですが、塗りムラの目立つ荒い塗装によって価値を下げ、塗装ハゲ・傷・色褪せ・カウルずれ・欠品によって更に外装の買取価値を損ねていました。
自家塗装と思われる仕事は仕上げがかなり荒く、所々に下地の赤が覗く状態。手作りによると思われるレタリングも固着して状態を悪化させています。
外装に関しても厳しい査定内容となってしまいました。

エンジン周り
「エンジンが焼き付いていたから安く買えた」と購入された10年前の段階でエンジン焼き付きの状態だったCBX550F。
BEET製のジェネレーターカバーを始め当時物のパーツでドレスアップし、ゴールド加工のエンジンヘッドといった見栄えのよいカスタムながら、買取査定時はサビ・腐食・キズが無数に発生。
エンジンフィンには繭状のものまで発生し、見るも無残な姿だと言えます。
パーツ泥棒によってバッテリーまで盗まれて、現状では始動も確認出来ない状態。
焼き付いているエンジンを降ろして内部の修理、おそらく要部品交換。腐食・サビの状態と合わせると商品化には間違いなく O/Hも必要。
修理単体の見積もりであれば、交換部品によっては軽く10万円を超えてきます。

フレーム回り
フレーム各所で塗装が剥がれていて錆びが目立ちます、テールかち上げによる歪みも発生しており、フレームに関しても入念なサビ落としと再塗装が必要です。
特にエンジン真下の腹下箇所は腐食が酷く、スイングアームとの接合部はざらついた乳白色に変化しています。
特に大きく減点となったのが、腐ってフレームに親指大の穴が開いている点。 カスタムによるフレームの穴開けとは異なり、腐っての穴開きは溶接修理が必要となる以上に、フレーム剛性に疑問符が付きかねず買取価値を大きく下げる理由となりました。

電装/保安部品
80年代の定番であるシビエ製ヘッドライトが装着されていますがリム部分に錆びや凹みが目立ちます。
ウィンカーは純正でしたが右前方はレンズ割れ・後部ウインカーは断線状態となっており、保安部品に関しても平均を下回る評価に。
電装系はバッテリー欠品で作動確認は出来ませんでしたが、配線加工が施されている為、電装系の回復に手間取る可能性もありそうです。

その他/カスタムなど
外装では、右サイドカバー・シート・リアフェンダーは欠品。
左サイドカバーは傷みの激しいノーブランドのものが残った状態。
おそらく当時物のアルフィンカバーだと思われますが、腐食で真っ白な状態では準欠品扱いに。
旧車カスタムの定番であるブリーザーホース等も劣化が激しく、カスタムパーツとして判定できる状態ではなかったことが惜しまれます。
マフラーはおそらくCBX550Fの定番であるRPM管が装着されていたものと思われますが、自家加工で消音材がない部分でカットされた直管状態のため、こちらも欠品に準じる評価に。

不動車としての総合評価と買取価格
▼不動車としても査定価格が伸び悩んだ主な理由としては
- 焼き付き後に10年以上放置されていたエンジンの修復コスト
- 腐って親指大の穴が開いているフレーム剛性への不安
- 塗りムラが目立つ雑な自家塗装が施された外装。現在は剥がれ色褪せている
- 欠品しているシート・フェンダー・カバー
- 直感状態で欠品扱いのマフラー
- 焼き付き後に10年以上放置されていたエンジンの修復コスト
中古価格が新車価格を上回るプレミアム相場を誇り、事故車や不動車でも10万~20万円以上は値が付くCBX550F
査定価格が伸び悩んだの理由は、焼き付いているエンジンの修復コスト、腐食によって穴が開いているメインフレームの剛性への懸念、の2点です。
実働化へ向けた修復コストを、修復後の再販価値から差し引いて、18万円の査定価格で買取させて頂きました。
お客様のご感想と買取後記
「最後まで言うまいと思っていたんですが。」と続いて衝撃の事実を教えてくれたオーナー様。
「これ5万円で買ってるんです。だから13万円儲けちゃいました。税金10年払ってるから実際はもう少し低いけど。登録末梢していおけばよかったな。」
10年放置して朽ちたことによる価値の毀損も大きかったため、もう少しフレームに穴が開く前に売っていればオーナー様の儲けももっと大きかったのですが。
弊社としてももっと傷みの少なかったうちに拝見できなかったことが残念ですが、それでもオーナー様のお力になれて幸いでした。
ご友人名後のまま名義変更されていない車検証を元に、弊社が代理人として廃車手続きを無料代行させて頂き、廃車証のコポーをお客様にご郵送差し上げて買取完了となりました。
1982年にアッパーカウルを装着して発売されたCBX550Fインテグラに先駆けて発売されていたCBX550Fは、CBX400Fには及ばないもののプレミアム相場を形成している車種です。
CBXシリーズで2大人気を誇るCBX400FとCBX1000の間に挟まれ、イマイチ地味な存在ではありますが、CBXシリーズでは1000と400に続いて相場の高い車種です。
CBX550Fは状態によってどの程度の値段で売却できるのか?状態別の相場情報が下記になります。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|CBX550Fとインテグラ
- 評価点5 極上車
- 評価点4 年式並みより状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み若しくは若干の難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
CBX550F|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
80万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
70万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
60万円台 |
1台 |
0台 |
0台 |
50万円台 |
5台 |
4台 |
0台 |
40万円台 |
1台 |
8台 |
0台 |
30万円台 |
0台 |
2台 |
0台 |
20万円台 |
0台 |
0台 |
1台 |
総落札台数 |
7台 |
15台 |
1台 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(CBX550F=18台とCBX550Fインテグラ=4台を合わせた数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車の査定価格は40~50万円台が中心
買取業者の値付け指標となっている業者間取引市場のデータでは、過去1年間に22台の実働車の取引がありました。 内訳は、CBX550Fが18台、CBX550Fインテグラが4台、 平均取引額は、CBX550Fが49.6万円、CBX550Fインテグラが50.7万円。 CBX1000はネイキッドタイプかアッパーカウルタイプかで相場に大差がありますが、CBX550Fについてはインテグラのアッパーカウルを取り外した際の類似性が非常に高いため、相場に殆ど差は出ていません。
評価点別の取引額に着目すると評価点4の車両は50万円台での取引が多く、評価点3の車両は40万円台での取引が多くなっています。
上記取引額から買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費等)を差引いて査定現場での買取額を逆算すると、評価点4の車両は540万円台後半~50万円台、評価点3の車両は30万円台後半~40万円台がボリュームゾーンとなることが見えてきます。
60万円以上で取引されている2台の高額車両に着目すると、どちらもカスタムが評価されての取引額となっています。
2台とも中型免許で乗車できる0.39リットルエンジンに載せ替え/改造している他、多数の高価な社外パーツやがプラス評価されての取引額となっていますので、カスタム内容によって上昇余地はありますが、 車種自体のポテンシャルとしては買取上限額は60万円程度といえるでしょう。
事故車の査定価格は10万円台~
事故車や不動車を表す評価点1の車両は過去1年間でCBX550Fが1台のみ取引されています。
取引された1台はフロントフォークが歪んでいる事故車でサイドカバーなども破損している車両です。
不動車の取引はありませんでしたが、ある程度高額で取引される車種の不動車は、修理レストアしてから実働車として出品されるケースが目立つことも理由です。
サンプル数が少ないため傾向値としては弱いですが、フレームが生きていてレストアベースとなる事故車でポテンシャルが高ければ、査定現場での査定価格で20万円台も充分視野に入りそうです。
ただし完成車の実働車でも30万円台前半で取引されている車両もあるので、ポテンシャルが低い事故車となると10万円台が中心に。フレームが再利用できない全損事故車となると10万円未満の可能性もあります。
不動車に関しては査定現場での買取価格で下は10万円台~上は40万円代まで幅広い値付けとなりそう。
修理を終えて実働車となった際に期待できる売却額が30~50万円程度で、状態によって数万円~数十万円かかる修復コストを差引いた額が査定額となります。
CBXシリーズの買取相場
- ▼CBXシリーズ
- CBX125F 1984年~ JC11
- CBX125カスタム 1984年~ JC12
- CBX250RS 1983年~ MC10
- CBX250S 1983年~ MC12
- CBX400F 1981年~ NC07
- CBX400Fインテグラ 1982年~ NC07
- CBX400カスタム 1983年~ NC11
- CBX550F 1981年頃~ PC04
- CBX550Fインテグラ 1982年~ PC04
- CBX650カスタム 1982年~
- CBX750F 1983年~ RC17
- CBX750Fホライゾン 1984年~ RC17
- CBX750Fボルドール 1985年~ RC17
- CBX1000 1978年~ CB1/SC03~06
CBXシリーズの査定相場|実働車 |
相場/ 車種 |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
CBX125F |
5.1万円 |
8.6万円 |
10台 |
CBX125カスタム |
4万円 |
11万円 |
22台 |
CBX250RS |
7万円 |
12.4万円 |
6台 |
CBX250S |
8.2万円 |
12.2万円 |
4台 |
CBX400F |
78.4万円 |
145.8万円 |
34台 |
CBX400F インテグラ |
76.9万円 |
89.8万円 |
4台 |
CBX400 カスタム |
8.2万円 |
8.2万円 |
1台 |
CBX550F |
49.6万円 |
80.2万円 |
18台 |
CBX550F インテグラ |
50.7万円 |
56.6万円 |
4台 |
CBX750F |
12.2万円 |
16万円 |
7台 |
CBX750F ホライゾン |
13.6万円 |
13.6万円 |
1台 |
CBX750F ボルドール |
9.7万円 |
15.2万円 |
10台 |
CBX1000 |
102.1万円 |
150.2万円 |
14台 |
(2018年1月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
高額査定ベスト5は、CBX1000、CBX400F、CBX400Fインテグラ、CBX550Fインテグラ、CBX550Fの順。
上記を除いたCBXは10万円程度での取引されていることから、プレミアム相場を形成しているのはCBX400カスタムを除く、400、550、1000の3つの排気量であることがわかります。
関連する買取事例|CBXシリーズ
CBX550F
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 18台
- 平均価格: 496,111円
- 最高価格: 802,000円
- 最低価格: 314,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 1台
- 平均価格: 200,000円
- 最高価格: 200,000円
- 最低価格: 200,000円
相場情報:2018年1月17日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。