2000年モデルのRS
「不要なバイクを買取りして欲しい」というご依頼を受けて出張査定にお伺いさせて頂きましたのは神奈川県の綾瀬市のご自宅。
お電話では暫く動かしていないエストレヤとお聞きしていましたが、キャブレター車でフロントがディスクブレーキ、リアはドラムブレーキで1枚シートの特徴はエストレヤRSであることを示していました。
エストレヤシリーズには多数のバリエーションがありますが、エンブレムはestrellaで統一されているためか、買取をご依頼いただくお客様ご自身も車種名をご存知ないケースがございます。
そこで余談ですが、エストレヤシリーズのバリエーションモデルの見分け方をご案内差し上げると以下の様になります。
▼2007年のフルモデルチェンジでFi化される前のキャブレター車には
・フロントディスクブレーキにセパレートシート(前と後ろが分れている)のエストレヤ
・フロントディスクに一枚シートのエストレヤRS
・前後ドラムブレーキでシートがセパレートのエストレヤカスタム
・前後ドラムでシートが一枚のエストレヤRSカスタム
と4種類のバリエーションが存在します。
いずれのバリエーションも差異が少ないことから買取相場は類似しています。
鍵を紛失している場合の買取額への影響
さて本題に戻って、車両を拝見させて頂く前に書類と鍵を確認させて頂きましたところ、車台番号から2000年モデルのエストレヤRSであることを確認。
登録書類は所有権も入っておらず、弊社で無料代行させて頂く廃車手続きに何ら支障はない状態でしたが、鍵は紛失されたとのことでした。
「鍵なくしちゃったけど大丈夫?昨日まではあったんだけど」とはお客様からのご質問。
「当社パッションではいつも世話になっている鍵屋さんがあり、10台程度纏めて鍵の作成お願いすることによって、低コストで作ることができるのでマイナスは普通よりも少なく済みます。」とご回答差し上げました。
鍵を紛失してしまって、手放すお客様は意外と多いのですが、250ccクラスの場合、出張費用とシリンダーからの鍵作成で近場の安い業者さんを探して何とか1万円~ですが弊社では相場の半値程度でリカバー可能です。
カスタム内容はプラス査定に
いよいよ実際にエストレヤRSを査定させて頂くことに。
まず確認したのはカスタムの箇所、
マフラーとウインカーが社外のパーツに変わっています。
マフラーは定番のスーパートラップ、音を変えられる人気のマフラーです。
ご購入時はノーマル車両だったそうでノーマルパーツが保管されていた点はプラス査定に。
カスタムも評価には入れさせて頂きますがプラスでノーマルパーツがあるとさらにお値段が付けやすくなります。
要交換やオーバーホール判定の箇所がマイナス査定に
車両全体の印象としては一見して放置されていた車両特有のくたびれ感が漂っています。細部に目を転じていくと放置期間による劣化やヤレが至る所に見られます。
特に買取額に影響があったのはフロントフォークの状態。
オイルシールは破けてボロボロに、インナーチューブには錆が浮き、オイル漏れが確認できることから、フロントフォークは要オーバーホール判定に。
フロントフォークのオーバーホールには、数千円するオイルシールの交換、場合によっては数万円するインナーチューブの交換、インナーフロント周りを分解する作業工賃として更に1~1.5万円程度が必要となります。
次いで買取額に影響を与えたのは、ブレーキディスクや始動しないエンジンなど。
ブレーキディスクを触ってみると波打っていてだいぶすり減っていました。ブレーキパッドの交換時期を逸してパッドがない状態でブレーキを掛けると鉄で挟むことになるので、ディスクがすぐにダメになってしまいます。
ディスクブレーキの状態からディスクとパッドも要交換判定に。
鍵がないためエンジンの始動を確認することは出来ませんでしたが、4年近く動かしていないということでしたので、 バッテリーは上がっており、キャブレター内部は腐ったガソリンが詰まっていることは想像に難くありません。
エンジンの再始動にはバッテリーやプラグ交換にキャブレターの分解洗浄(1気筒なので8000~1万円前後と比較的安価です)は最低限必要との判定に。
鍵がないためタンク内の確認は取れませんでしたが、幸いガソリンが満タンになっていたので、ガソリンは腐っていると思われますが、錆は出ていないと判断させていただきました。
タンク内面が錆びてしまっていると錆取りや防腐加工は必須、錆びの進行状況によってはタンク交換が必要となる場合もあり買取額が大きく減額されるケースもあります。
その他、タイヤは劣化してホイールから外れて中身が出てきてしまっています。タイヤと中のチューブも要交換判定に。
リアブレーキのワイヤーも錆が激しくこちらも要オーバーホール判定に。
ヘッドライトカバーのリム部分やスポークなどにも頑固な錆が見られますがこの辺り何とか入念な研磨でケアできそうです。
外装についてはタンクに埃を吸着した雨垂れが見られますが、シートや前後フェンダーを含めて色褪せは少なく年式並みの判定に。
外装は大きく買取額を落とした足回りと程の減額には至らず磨いて光るポテンシャルを評価することが出来ました。
以上を踏まえると、キャブレターオーバーホールで実働化するような不動車に比べるとマイナス判定となった要素が多く、不動車としても相場平均をやや下回る33,000円の査定額となりました。
お客様の声
「買取と依頼したものの値段がついたらいいな!くらいに思っていた」とはお客様はのお言葉。
金額提示をした時に、「そんなにつけてくれるの?」と驚いていらっしゃいました。
金額提示してすぐにお願いしますと言ってくださり、ご成約させて頂きました。
当社では自社の整備工場を保有しています。買取した車両や販売車両専用の工場であるため修理単体でのもうけを必要とせず相場よりも安価に修理や修復を可能としています。
そのため事故車や不動車であっても、より競争力のある査定額で買取することが可能です。
不動だからと諦めている方は是非当社にご相談下さい!!即日から対応させて頂きます!!
不動車のエストレヤは劣化が進む前が売り時
エストレヤ系はスペック面では特筆する点はありませんが、独特のスタイルと乗りやすさ!毎年変わるカラーリング!などが魅力のカワサキの250ccを代表する超ロングセラーです。
2003年の受注生産カラーなどに代表されるように、販売台数が非常に少ないカラーもあり、中古で車両を探すと、自分の好みのカラーが意外と少ないことにびっくりされるはずです。
当社販売店(年間2,000台を販売しています)にてエストレヤをご購入される方の特徴として、このオールドスタイルを好んで初めての中型バイクとして選ばれる方やリターンライダーが多いようです。
販売店サイドの視点も絡めて買取相場に言及すると、 毎年カラーリングが変わるので、状態のいいもので、バイク屋さんに大きな手直しをしなくて出せるものは、特に高年式車両では高値で取引されます。
一方で玉数も多いため、パーツ取りとしての需要は低く、売ろうか、乗るのか、迷っているうちに時間が過ぎて、錆がふえたり、色褪せが始まったり、機関系が悪くなってきたりすると、価格が落ちるのが要注意です!
また現行モデルが毎年のようにカラーチェンジを敢行して投入されているため、年式や型式落ちとなったモデルの買取相場も緩やかに下落傾向にあります。 そのためエストレヤ(特に不動車や事故車は)売ろうと考えた時が最高値といえるでしょう。
この記事の執筆監修
バイクパッション査定士
小出 涼介
1992年生まれ
2012年(株)パッション入社して以来一貫して査定士の仕事をしています。
穏やかで物静かですが、バイクを愛する内に秘めた思いは誰にも負けません。
物腰が柔らかくお客様に値切られて赤字での買取になることもしばしば。
そのせいか飲み物やお菓子を差し入れてもらうことも多いんです。
エストレヤRS【1995~2006年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近1ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 67台
- 平均価格: 151,343円
- 最高価格: 300,000円
- 最低価格: 40,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 26台
- 平均価格: 61,538円
- 最高価格: 100,000円
- 最低価格: 20,000円
相場情報:2012年3月時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。