買取のご依頼を頂いたのは2008年モデルのFLSTSBクロスボーンズ。
査定現場に到着しての第一印象は綺麗な車体。太陽光に映えてキラキラしていました。
ハイライトとしてはボバースタイルにカスタムされた幅広ハンドルや、細かいところでの劣化や錆などが査定価格に影響したのか?
詳しくご紹介させていただきます。
足回り
まずは足回りから査定していきましょう。
FLSTSBクロスボーンズの外観上の特徴である、前16インチ、リア17インチ200mmのファットタイヤはともに低走行とあって劣化が少なく、洗いと艶出しで更に映えそうな良い状態。
錆が浮きやすい前後のスポークホイールやホイールリム、そしてブレーキディスクやブレーキキャリパーにも目立った劣化は出ていません。良い保管状況であったことが伝わってきます。
続いて、ソフテイルファミリーでは高めのシートに跨って、前後サスペンションの伸縮を見てみます。
クロスボーンズの特徴であるエイプハンガーハンドルからボバースタイル志向の幅広ハンドルに変更されているため、ノーマルのFLSTFBよりもポジショニングは取りやすくなっています。
さて前後の沈み込みですが、クロスボーンズ最大の特徴であるスプリングフォークは堅く、荷重抜重しても新色を手応えとして感じられませんが、オイル漏れもなく機能は良好であることが確認できました。
買取価値を損ねるような目立った減点もなく足回りの査定評価は高い点数をつけることができました。
エンジン
ツインカム96Bエンジンの外観から見ていきます。空冷フィンにやや劣化があり当時の黒い輝きが失われています。
クランクケースやジェネレーターカバーにも若干色褪せがあり水垢や軽い腐食が見られます。
見た目の印象としては軽い使用感を感じさせる状態で、見た目で若干ですが買取価値を損なっていました。
続いて機能面を査定するべく、エンジンをスタートさせると、気持ち良いサウンドと振動を奏でて一発始動。始動性は良くアイドリングも安定しています。
もたつき・異音・白煙吹き・オイル漏れといった機能的な不調はなく、ギアを含めて状態の良いエンジン機能を確認することができました。
それもそのはずで、走行距離は2千キロ台。見た目の劣化でマイナスが入りましたが、より重要な機能面の評価が高く総合的にも高い評価をお付けすることができました。
外装/保安部品
レトロでクラシックな印象を醸しているFLSTSBクロスボーンズ。
弊社販売店に販売店時されていたFLSTSBを見に来たお客様が共通して仰っていたのは「独特の見た目に惹かれた」とデザイン面が高く評価されていました。
それだけに外観の印象を決める外装パーツも査定で重要な要素を占めます。
最も肝心な色褪せや艶の劣化など目に見える様な使用感は外装全体からは感じられません。全体的な印象は高い買取価値を保持しています。
不可逆的な劣化を刻むシートにしても、高い質感を保持しています。
ただし、近寄ってみると細かい傷が、タンクや前後フェンダー・サイドカバーなどに見受けられます。簡単なケアでより目立たなくすることができる表層の傷のため減点も限られていました。
以上を総合的に評価して、外装についても高い評価点をお付けすることができました。
保安部品については、価値的にメーターとマフラーが2大部品となりますが、残念ながらマフラーについてはメッキパーツの輝きを覆い隠すように水垢や軽い腐食が全体的に目立ちます。
再販に当たっては入念に研磨が必要な状態ですが十分にリカバー可能な状態で大きくマイナス査定となることはありませんでした。
その他、ホーンやライト類については特筆するような評価はありませんでした。
フレーム回り
ここまでの査定で、ポジティブな内容が続いているように目立つ外傷もなく、走行距離も若いことからフレーム回りの状態も良いと推察できますが、隠れた損傷がないとも限らないので通常通り査定していきます。
社外品に変えられたハンドルですが、穿った見方をすれば転倒で曲がったハンドルを交換した可能性も排除できません。ハンドルストッパーを確認しますが、曲がりやへこみもなく衝撃がなかったことを示しています。
前後ホイールを直線に並べて車体の歪みを見ますが、サブフレームにも捻じれなどはありません。左右のハンドルの切れ角、ダウンチューブに擦った跡もなく、メインフレームの接合部も綺麗です。
念のために確認いたしましたがフレームは高い剛性を保持し、気になるような塗装の剥離や錆などもなく高い査定評価点をお付けするに十分な状態でした。
細かいところですが、ペダルやステップスタンドといったフレーム接合部品とその周辺に使用感が滲んでおり、そのあたりが軽く買取価値を損ねていましたが、 メインの機能は良好で総合的には高い評価点となりました。
カスタム関係
パッセンジャーシートとスプリングフォーク前面のデコレーションパーツが付属品。
赤いグリップ、ボバースタイルのハンドルが社外品に交換されています。
付属品については単純にプラス査定となりました。
ハンドルと赤いグリップについては、嗜好品の要素が強く、純正のFLSTSBのスタイリングを弊社販売店への来店動機に挙げるお客様が多かったことからも、FLSTSBは純正スタイルであることが大変重要です。
このままのスタイルだとマイナス査定に作用するカスタム内容でしたが、純正品をお持ちとのこと。
ノーマル戻しが可能な状態ということで査定の損失を防ぐことができました
総合評価と買取価格
以上が査定内容ですが、目立ったマイナス査定のない状態の良いFLSTSBクロスボーンズでした。
細かいところで劣化が散見され極上車とまでの評価には至りませんでしたが、2008年モデルということを考えると状態は優れていた1台です。
走行距離も若く、基幹機能の状態が良かった点も査定価格を押し上げる要因となりました。
下段の相場情報で詳しくご案内しておりますが、2018年現在ではクロスボーンズの買取上限額は110万円弱。
買取販売店の強みで上限いっぱいに少し色をお付けさせていただいて、上限超えの110万円の査定価格で買取させていただきました。
お客様のご感想と買取後記
「高いハンドルは取り回しもきつくて何度かバランスを失って危うい場面もありました。それ以上に小柄だと結構ライディングポジションが厳しくて」と社外ハンドルに変更された理由を教えてくださったオーナー様。
「本当はもっとライディングポジション重視のハンドルにすればよかったんだけど。やっぱりそこはね。」
「グリップはいらないけど、ハンドルは保有しておきたいので、それって出来ます?」とご相談を頂きました。
既に査定価格を提示した後でしたが、ハンドル脱着については買取後の基本整備の一環のついでに行えるので、着払い返送の条件で査定価格への変更なしで了承させていただきました。
LSTSBクロスボーンズはいくらで売れるのか?適正相場
2008年にリリースされ2011年モデルをもってカタログ落ちしたFLSTSBクロスボーンズ。
ツインカム96エンジンからスタートし、その後もツインカム103や110やミルウォーキーエイトを搭載して存続することなく生産終了となった車種です。
近年ではニューモデルごとに値上がりしていく事が通例となっているハーレーですが、当時のソフトテイルは値下げも行われていてFLSTSBも同様に販売中に大きな値上げはありませんでした。
221万円(2008年モデル)、221.9万円(2009年モデル)、221万円(2010年モデル)、219.8万円(2011年モデル)と殆ど値段が動かなかったメーカー希望小売価格の変遷からも分かるように、 期中に目立った仕様変更はなく、年式モデルによる違いはカラーバリエーション変更に留まっているようです。
2018年現在では、中古車の平均販売価格は約140万円となっているFLSTSBクロスボーンズですが、売却の際はいくらで売れるのでしょうか?
買取業者の査定価格の指標であり、販売業者の仕入れ値であり、つまり日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、 以下の切り口でFLSTSBの適切な買取相場をご案内差し上げます。
下落の一途にある買取相場
【過去5年間】の相場の推移 |
相場の変遷 |
平均取引額 |
最高額 |
最高額 |
取引台数 |
2014年 |
146万円 |
160万円 |
130万円 |
8台 |
2015年 |
136万円 |
160万円 |
119万円 |
12台 |
2016年 |
130万円 |
148万円 |
106万円 |
17台 |
2017年 |
101万円 |
128万円 |
50万円 |
19台 |
2018年 |
97万円 |
114万円 |
80万円 |
22台 |
(2014年~2018年まで、各年の6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
メーカー希望小売価格約221万円で販売されていたFLSTSBクロスボーンズ。上記表が指し示す通り相場は下落の一途をたどっています。
この傾向はもはやハーレー全体の傾向として状態化しているのですが、2010年頃のツインカム96ハーレーとしては、FLSTSBは未だ高い値段で取引されている車種です。
排気量の大型化、新車価格の高騰化も常態化しているハーレーにあって、生産終了となったモデルの中古相場が高騰する兆しはなくFLSTSBは今後も緩やかに相場が下落していくと考えられます。
ご売却を検討しているオーナー様がいらっしゃいましたら、最高の売却タイミングは今です!
相場には季節変動があり夏場にピークを迎えます。ただし年々の相場下落は季節変動を上回る勢いで下落しています。
最も高い買取査定価格が付くのは今でしょう!
クロスボーンズを高く売りたいのであればタイミングを逃さず今売るのが正解です。
では?今売るとしたらいったい幾らなのか?
2018年6月時点でのクロスボーンズの買取相場を以下にご紹介いたします。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|FLSTSB
- 評価点6 極上車
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み・やや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
FLSTSB|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 1 |
110万円台 |
1台 |
2台 |
0台 |
100万円台 |
0台 |
6台 |
0台 |
90万円台 |
0台 |
9台 |
0台 |
80万円台 |
0台 |
4台 |
0台 |
70万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
60万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
50万円台 |
0台 |
0台 |
1台 |
(2018年6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
買取上限額は110万円程度
直近1年間では22台の実働車が取引されているFLSTSB。
取引の最高額は114万円、最低は80.2万円、平均は97.6万円となっています。 上記表は評価点と取引額の関係性を示した表ですが、全22台のうち、評価点4の車両が21台、評価点5の車両が1台となっていては、評価点別の傾向が取れません。
2018年現在では、評価点で5点が付く状態の良い綺麗なFLSTSBであれば、市場で110万円台前半で取引される可能性が高いと判断できます。
市場で110万円台前半で取引される車両。幾らで買取すれば買取業者は儲けを出すことができるでしょう。
出品手数料や運送費などの直接経費の他、人件費などの間接経費を考慮すると110万円で収支トントン。少しの儲けを出そうと思えば110万円未満となります。
大型バイクの場合は、市場での取引額から4万円程度を差し引いた額が適正で競争力にある買取額といえます。
従いまして、2018年現在ではFLSTSBの買取上限額は110万円程度となっています。
ただし評価点6の超極上車であれば、相場以上の金額が付き120万円以上も狙える余地があります。
評価点4の個体については、走行距離によって取引額に傾向があるようなので、追って走行距離は別の相場をご案内いたします。
希少カラーの査定額が少し高い?
取引された全22台のうち、15台は黒、その他はマットブラック2台、銀2台、青1台、紺1台、黄1台となっています。
サンプル数が少ないため傾向としては弱い点は予めお断りしておきますが、希少車種は総じて比較的上位の価格帯で取引されています。
人気色が高くなる傾向が一般的ですが、FLSTSBの場合は、希少車種によって相場が下がることはなくむしろ気持ち査定額を挙げられる要素になっているかもしれません。
事故車でも50万円の査定額は堅い
走りの性能よりも、外観で魅せる要素の強いクロスボーンズですが、派手な事故車が1台取引されています。
自慢のスプリンガーフォーク、更にエイプハンガーのハンドルが大きく捻じれ、フォーク・フェンダー・ライト・ハンドルは価値を喪失している事故車が58万円で取引されています。
取引金額的には、フレームは生きていると思われますが、フロントフォーク歪み程度の事故車であれば、50万円台からの査定額は堅いと言えるでしょう。
FLSTSB|走行距離別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
~0.5万km |
~1万km |
~2万km |
2万km超 |
110万円台 |
1台 |
1台 |
1台 |
0台 |
100万円台 |
2台 |
1台 |
3台 |
0台 |
90万円台 |
0台 |
2台 |
2台 |
5台 |
80万円台 |
0台 |
0台 |
1台 |
3台 |
(2018年6月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
上記は走行距離と取引金額の関係性を示した表です。
多走行の車両ほど会での取引が目立ち、低走行の車両ほど上位での取引が目立つ傾向が読み取れます。
ルックスを重視したデザインから、取り回しや走行姿勢やブレーキ性能などに一部不評もあるクロスボーンズ。
低走行で魅せる車両として保管されていた状態の良い個体と、普段使いで取り回しされていた個体で取引額が分かれていると見ることもできますが、 クロスボーンズにおいては走行距離が若ければ高額査定となる傾向が、ハーレーの中でも強いことは確かです。
因みに全22台が取引されたクロスボーンズの中でで最も状態が良かった個体は、2010年モデルですべての要素で5点が付いた純極上車です。
走行距離も5千キロと若く、2008~2011年モデルのFLSTSBとしては非常に上質な個体です。その意味でもやはり2018年時点では相場的には買取上限額は110万円付近といえるでしょう。
FLSTSB
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 12台
- 平均価格: 976,727円
- 最高価格: 1,140,000円
- 最低価格: 802,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 1台
- 平均価格: 580,000円
- 最高価格: 580,000円
- 最低価格: 580,000円
相場情報:2018年6月18日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。