買取させて頂きましたのは、2017年モデルのFLSSソフテイルスリムS。
査定に呼んでいただきましたのは今回がハーレー4回目のご売却となるお客様で、埼玉県にある知る人ぞ知る有名な高級輸入車のディーラー様です。
査定現場となった高級外車がズラッと並ぶショールームで一目見たFLSS ソフテイルスリムSは「非常に綺麗」の一言。
ただし実際に査定させて頂くと車体左側に転倒傷が・・・はたして転倒傷は査定額にどのような影響を与えたのか?走行距離31kmの超極上車の査定内容をご紹介させて頂きます。<
劣化の殆どない見た目は極上車
ベースカラーのビビッドブラックよりも約4万円高い253万円というメーカー希望小売価格が設定されたオリーブゴールドデニムのFLSSソフテイルスリムS。
オーナー様は新車でご購入された後、数回乗っただけでディーラーさんにお預けされていたそうで空調が完備されたショールームで保管されていたため車体にはほとんど劣化が見られません。
唯一錆が目立ったのはリアのスプロケの目立たない箇所。 その他、ホイールリムやスポーク、エンジンなどの細かい部分に細かい錆びや腐食が浮き、マフラーには水垢や細かい傷が付着していましたが、 買取後に1日がかりの丁寧な研磨やコーティングを施すことよって新車に近い輝きを取り戻せる高いポテンシャルを保持していました。
中古ハーレーの購入希望者にとって重要である見た目の美しさは非常に高い買取価値を維持していたFLSSソフテイルスリムSです。

車体左側の立ちごけ傷が大幅なマイナス査定に
見た目の綺麗さは極上判定となったFLSSソフテイルスリムSですが、全体の査定の中で最大の減点となったのが車体左側各所に刻まれた立ちごけ傷。
車両重量321kgの車体にフュエルタンクに約19リットルのガソリンが入っていると、総重量は約340kg。立ちごけであってもその衝撃は自重によってとても大きなものとなります。
その衝撃を物語るように、星形のプリントが施されたタンクにテニスボール大の凹みが入っています。
その他、立ちごけによる損傷はジェネレーターカバーの削れ、ミラースタンドとミラーの削れ、クラッチレバー先端の削れです。
ミラーやクラッチレバーは安価にパーツ交換できますが、タンクやジェネレーターカバーは比較的高価な部品となります。
査定価格に与える影響ですが、修理費用と再販時に想定する車両状態に連動します。
車体が綺麗な新古車なだけにタンクが凹んでいる状態では高い再販価格は見込めないでしょう。
販売する際の状態としては走行距離も31kmと若いだけに完璧に直してほぼ新車として売り出したほうが売れやすいでしょう。
そこで全ての要交換パーツをハレーの純正パーツに変えた場合の費用ですが、タンクは軽く20万円以上、ジェネレーターカバーは4万円程度、クラッチレバーは1万円程度、ミラーは2~3万円程度と総額で約30万円超となってしまいます。
これだけの金額を販売価格に転嫁するのはなかなか難しい側面があります。
特別な塗装が施されていないジェネレーターカバー、ミラー、クラッチレバーは安価なリプロパーツを再利用することが出来ますが、 ハーレー独自のオリジナル塗装が施された外装パーツはリプロパーツの存在はおろか、国内唯一のハレー指定工場以外では再現することすら出来ません。
更にハーレー特有の専門的な話をすると、
純正パーツはブランド維持(コピー対策)の一環として非常に高額な設定となっておりまた厳重に管理されています。
また、塗装は国内ではハーレー直営の1つの工場にしか塗料がなく、国内一か所の指定工場以外ではメーカー塗装を再現することは不可能となっています。
2017年モデルのFLSSソフテイルスリムSの場合、指定工場で塗装した場合の塗装費用は15万円程度掛かります。また納期も1カ月程度を見込む必要があります。
ハーレーの凹んでいるタンクを修復しようとした場合、
5年落ち以上の一般的な中古車といえる状態であればパテ埋めした後にカスタムペイントを施して、カスタム車として再販する手もあります。
しかしながら発売年時の若い新古車となるとノーマルが高くれるため、カスタム塗装では値を下げてしまいます。
上記のような修理費用を踏まえると、テニスボール大の凹みであるタンクに関して、中古ハーレー販売店では20万円以上の修理費用が前提となることを瞬時に見抜きます。
ジェネレーターカバー、クラッチレバー、ミラーはリプロパーツを使用するにしても総額で25万円程度の修理費用は必須となることが分かります。
凹んでるタンクにも多少の価値はありますが、修理が前提となるためその流通価値は1~2万円程度まで減額されてしまいます。
よって、新古車状態のFLSSソフテイルスリムSの立ちごけによる損傷のマイナス査定額は約25万円と見積もることが出来ます。

走行31kmながらエンジンベースに目立つオイル滲みが
走行距離31kmと殆ど走行の無いツインカム110ci(1800cc)エンジンですが、ディーラーさんに1年間預けていたということでバッテリーが上がっていました。
持参したブースターを繋ぐことで無事にエンジンの始動を確認できました。僅かな走行距離から推測できたことですが機能的には何ら不調なく、外見も極上に近い綺麗さを保持していたエンジン。
しかし左側のエンジンベースから目立つ量のオイルに滲みが。。走行31kmでオイルにじみが発生することは考えづらくエアクリーナーからのオイル漏れかと思われましたがその兆候はありません。
メーカー保証期間の3年間で補償対象となる初期不良の様相。ハーレーのディーラー経由で2~3カ月で無償修理されますが、オーナー様はお急ぎでのご売却のご意向とのこと。
いつまたオイルにじみが発生するかわからない状態では保証を付けての再販は難しいオイル滲みの量です。
保証を付けての再販を前提とした場合、場所がエンジンベースであるだけにマフラーなどを取り外してエンジンを開けてのパッキン交換となるため工賃だけで10万円強の修理となります。
オイル滲み自体は走行自体には影響しませんが再販を前提とした新古車の状態だけに修理は必須といえるでしょう。その分マイナス査定となりました。
2017年ご購入ということで保証期間は2020年まで。オーナー様が変わられた場合は3~4万円の手数料を支払って保証期間を引き継ぐことができますが、新しオーナー様が保証期間内に修理を出せるかは微妙なタイミング。
ということもありやはり大き目の減点となってしましました。<

新古車の値下がり傾向が続くハーレー!総合評価と査定額
実はハーレーの買取相場は下落の一途をたどっています。
2010年頃から下げ初めて、2019年現在まで下落の一途をたどっているハーレーの買取相場。
その影響は、新古車の取引価格により顕著に現れています。
ハーレー業界の裏話ですが、
2010年半ば以降、特に新車がだぶついて売れにくくなっています。
その理由として挙げられるのは2点ありまして、
1つは2000年頃からのハーレーブームで国内の直営ディーラーが拡大の一途をたどり供給が増えたこと、そしてもう1つが高騰する新車価格です。
ハーレーブームの時には納車まで6か月待ちといったことはザラでしたが、現在では即納車といった状況が普通となっています。
それだけ店舗在庫がだぶついているということの裏返しなのですが。
詳細は申し上げられませんが、ディーラーが在庫となって売れ残っている新車を走らせて中古車として業者間オークション市場に出品して売却しているケースも散見されます。
そうなると、中古市場ではほぼ新車の新古車が、新車価格の2~3割引きで取引されている事例が多く見られるようになっています。
ハーレーご購入者も、少し走っているけど新車より断然安い新古車を選ばれるケースが圧倒的に増えてきています。
そのような業界の特殊事情があり、特に年式の新しい新古車ほど新モデルが投入されるごとに早いサイクルで値崩れしていく傾向に拍車がかかっています。
そのことは2016~2017年モデルのFLSSソフテイルスリムS(ツインカム110ci)についても無縁ではありません。
下記の相場情報で詳述しておりますが、
生産終了から2年が経過している2019年時点では、買取業者の転売先でありハーレー販売業者の仕入れ先となっている業者間オークション市場での平均取引額は163万円となっています。
取引されているFLSSは軒並み走行距離の若い極上車で占められ、その取引金額は130~170万円台となっています。走行距離31kmの新古車といえども瑕疵がないと仮定した想定取引額は185万円程度と推定されます。
そこから転倒による損傷を追った要交換パーツの修理代である25万円と、エンジンオイル滲みの修理代10万円で総計35万円の修理費用を差し引くと転売金額は150万円程度と想定されます。
更にパーツ交換工賃や、業者間市場への支払う出品手数料、買取した車両の運送費、そして買取業者の儲けを差し引くと140万円程度の査定価格と判断できます。
上記が良心的な買取業者の一般的な査定額となります。
ハーレーの買取負台数で日本で1・2位を争う弊社パッションでは、買取したハーレーの販路は多岐にわたります。
先ず自社販売店、次いで提携しているハーレー専門の中古販売業者、そして業者間オークション市場です。
自社販売店と、提携しているハーレー専門の中古販売業者は、弊社パッションならではの強みといえるでしょう。
通常の買取業者は150万円の転売額から経費と儲けを差し引いた査定額を提示する必要がありますが、
弊社パッションでは多くの場合、150万円+消費税+落札手数料=約165万円の仕入れ値をベースに査定価格を弾きだすことが出来ます。
その結果、一般的な買取業者の査定額が140万円程度となる相場環境において、157.5万円の査定額で買取させて頂きました。
お客様の談話と買取後記
「今回は店舗移転で東京の方に行くことになって、お客さんに預けているハーレーどうしますか?ってお聞きしたら売却するということだったんで」と売却の経緯を教えてくださったご依頼主様。
先に述べましたように、今回のお客様は高級輸入車販売で有名な某ディーラー様です。
最初にお取引いただいたのは3年前で年式の古いトライクのハーレーで全損事故車でした。
全損事故車のハーレーもディーラー様のお客様がお預けしていた車両でディーラー様がご依頼を受けて買取先を探されていたのですが、 値段をつける業者が一向に現れず、当社にご連絡を頂いて10万円で買取させて以来のお付き合いとなっています。
以来ハーレーの売却案件があるたびにお呼び頂きまして今回で4回目のご売却を頂きました。
「いやぁパッションさんの査定額は毎度期待を上回るね!」とはお売り頂いたディーラー様のお言葉。
ご商売は車の超高級外車の販売ということで、オートバイの取引価値にも熟知されています。そのようなお客様から毎回高い評価を頂戴出来るのも、弊社の独自の販路があってのことこそ。
ハーレーの買取は弊社パッションにお任せくださいませ。
FLSSソフテイルスリムSの買取相場の推移
ボバースタイルのレトロなデザインを纏ったFLSソフテイルスリムにツインカム110ci(1800cc)のエンジンを搭載したSシリーズの第一弾としてローライダーSと同時期にリリースされたFLSSソフテイルスリムS。
生産販売期間は僅か2016~2017年モデルの2年間で、2016年モデルの新車価格はベースカラーのブラックが245万円、上位カラーのオリーブが248万円。2017年モデルはそれぞれ248万円、253万円でした。
発売から3年、生産終了から2年が経過した2019年現在までどのような買取相場を形成してきたのでしょうか?
買取業者の転売先であり、販売業者の仕入れ値である、業者間オークション市場の取引データを使用して、FLSSソフテイルスリムSの買取相場をご案内差し上げます。
相場の推移【2017⇒2019年】FLSS |
年式 |
平均取引額 |
最高額 |
最低額 |
取引台数 |
2017年 |
162.4万円 |
183.2万円 |
150.2万円 |
4台 |
2018年 |
160.4万円 |
178.6万円 |
137.8万円 |
5台 |
2019年 |
161.5万円 |
175.8万円 |
137.2万円 |
7台 |
(2017~2019年の各5月時点で、買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
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ハーレーの多くの車種が対前年比で10%程度平均相場の下落が続いている中にあってFLSSソフテイルスリムSは2017年から2019年まで平均取引額が横ばいで推移している稀有な例といえます。
このことはハーレーのSシリーズが3車種で終了したこと(2019年時点)、より高価なソフテイルスリムの後継機種がリリースされていないことが、要因として想定できます。
ただし、過去3年間で最高取引額は183.2万円(新古車)であることを考えると、取引額の上限は180万円強と読めそうです。
今後は、FLSSソフテイルスリムSのマシン自体の経年劣化が進んでいく点を考えると緩やかに相場が下落していくことが予想できます。
更に高価な後継機種がリリースされたタイミングでは大きな相場下落も予想されます。
安定した相場環境からは、売り急ぐ必要はないと言えますが、売却を考えているオーナー様にとっては早めの売却が高額査定に繋がると言えるでしょう。
尚、上記の取引額はいずれも、買取業者の転売金額である業者間市場での取引金額です。
出張買取現場での査定額は、買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)が差し引かれた金額となる点に注意が必要です。
大型ハーレーの場合には、買取業者の儲けと経費の合計は4~5万円が競争的な適正価格といえます。
業者間市場で想定される取引金額から4~5万円程度差し引かれた金額が正味の査定額となります。
ただし、弊社パッションでは自社販売店の出の直販、提携のハーレー専門販売業者への強固な販売ルートを構築しているため、仕入れ価格(業者間オークション市場の取引額+消費税+落札手数料)をベースとした 買取額をご提示できるケースが多々ございます。
それが日本で1・2位を争うハーレー買取台数の秘訣でもあります!
年式別・カラー別の買取相場
2016年モデル発売のFLSSソフテイルスリムSはベーシックカラーと上位カラーで新車設定価格が異なった他、最終の2017年モデルではそれぞれ値上げだ断行されました。
はたして?年式モデルとカラーリングで買取相場は異なるのでしょうか?
買取業者の転売先であり、販売業者の仕入れ値である、業者間オークション市場の取引データを使用して、FLSSソフテイルスリムSの買取相場をご案内差し上げます。
相場の比較【年式モデル】FLSS |
年式 |
平均取引額 |
最高額 |
取引台数 |
2017年モデル |
161.0万円 |
175.8万円 |
5台 |
2018年モデル |
162.8万円 |
169.4万円 |
2台 |
相場の比較【カラー】FLSS |
年式 |
平均取引額 |
最高額 |
取引台数 |
オリーブ |
162.4万円 |
175.8万円 |
6台 |
ブラック |
156.2万円 |
156.2万円 |
1台 |
(2017~2019年の各5月時点で、買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
最新の相場情報は、10秒で査定額が出る
個人情報不要の自動査定でチェックして頂けます。
直近1年間で7台と取引台数が少ないため、カラーリング・年式モデルで比較するとサンプル数が少なく傾向としては弱いためコメントは差し控えますが、 一般的な傾向として上位カラーが、新車価格の高い高年式モデルの方が、相場が高いのが一般的であり、特にその傾向は高年式モデルで顕著なため、FLSSソフテイルスリムSも若干ですが、高年式が高く上位カラーのオリーブの方が 高く売れるでしょう。
FLSSソフテイルスリムS【2016~2017年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 7台
- 平均価格: 1,615,714円
- 最高価格: 1,758,000円
- 最低価格: 1,372,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 0台
- 平均価格: No Data
- 最高価格: No Data
- 最低価格: No Data
相場情報:2019年5月15日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。