「引越しの最中に鍵を紛失してから乗らなくなり1年くらい置きっ放しに...バイクに乗らない生活に慣れたことと、車体が劣化していくのが惜しくて」と売却の経緯を教えて下さったオーナー様。
登録証を確認させて頂くとフレーム番号から2020年モデルのスーパーカブ110である事、所有者欄からは販売店の所有権も入っておらず直ぐに現金買取できる状態であることが確認できました。2020年モデルは現行の最新モデルとあり相場も非常に高い時期です。査定内容に先立ちまして、先ずは買取相場からご紹介させて頂きます。
上位取引は走行1km以下の未走行車で占められる
ギネス級のロングセラーであるスーパーカブ50の上位排気量として2009年モデルで新登場したスーパーカブ110。
2012年と2018年モデルでモデルチェンジが入り、JA07型(2009~10年モデル)、JA10型(2012年モデル)、JA44型(2018~現行20年モデル)の3つの型式が存在し、買取相場は型式によって異なります。
最新で現行のJA44型には、18年モデル(税抜メーカー希望小売価格25.5万円)、18年発表の60周年記念車(26.5万円)、19年モデルのストリート(26.5万円)、20年モデル(25.5万円)、20年発売の天気の子ver(28.5万円)と、 多様なモデルが発売されています。
買取相場は限定モデルが高くなっているのですが、ここでは2020年モデルに限定した買取相場をご案内いたします。
買取業者の最大の転売先であり、販売業者の最大の仕入れ先として年間に約20万台のバイクが取引される業者間オークションの取引データを見ると。
2020年モデルSuperCub110の実働車は直近1年間で51台が取引されており、最高額は30万円で最低額は16.8万円となっており取引の平均は24.9万円となっています。 トピックとしては下記3点が挙げられます。
1)26.6万円以上で取引された上位10台のうち、6台は「天気のver」限定モデルが占めている
2)23.2万円以上で落札されている上位42台のうち、31台は走行1km以下の未使用車で締められている。
3)走行距離1,000kmを超える車両は16~20万円台で取引されている。
以上の事から未使用車であれば23万円以上での取引が、走行距離数十~数百の極上車であれば20万円台前半、走行距離が1,000キロを超えてくると16~20万円での取引が想定できます。
事故車や動車等の実働状態にない車両にフォーカスすると、2020年モデルは5台と少なく、2018~20年モデルのJA44型で集計すると、直近1年間で24台が取引されています。
最高額は18.2万円、最低額は2.6万円で取引の平均は11.8万円となっています。トピックとしては実働化コストが安い不動車が取引額の上位になり、商業的にレストア不能なパーツ取りの事故車が下位になっております。
以上の買取相場を踏まえて、「走行4,756kmで鍵が無いスーパーカブ110」の査定内容と買取額についてご紹介させて頂きます。 (※上記の取引額は、買取業者の転売額=販売業者の仕入れ額に相当するため、買取相場は8~9掛け相当となります)
【2020年モデル】状態別・取引価格帯
【2020年モデル】状態別・取引価格帯
【JA44型の事故車不動車】取引価格帯
買取業者の最大の転売先であり、販売業者の最大の仕入れ先として年間に約20万台のバイクが取引される業者間オークションの取引データ
鍵なし・多走行も販売店仕入れで高額買取に
スーパーカブ2020年モデル。買取査定に当たってのトピックは3つございます。
1)鍵なしハンドルロックで始動しないエンジンの評価
2)現行最新モデルとしては相対的に使用感は強く走行距離も多い
3)バスケットやサイドバッグのオプションカスタム
1)鍵なしハンドルロックで始動しないエンジン。
エンジン付近からはオイル漏れはなく、キックペダルの踏み下ろしでピストンの動作確認をすると圧縮は感じ取れます。
鍵が無くても確認できる範囲では重大なマイナス査定となるような兆候は見られません。
頑丈さで有名なスーパーカブ、2020年モデルのインジェクションモデルとあって、1年程度放置していてもバッテリー充電または交換でエンジンの始動は見込めます。
エンジン実働後に若干の不調があると想定しても、軽整備で充分に再販に値するエンジン状態であると判断できます。
そうなると問題は実働化コストです。実働化にはバッテリー交換に加えて鍵を複製するコストが最低限発生します。
電子認証機能は無い普通のシリンダー鍵ですので、市価の作製費用は出張費込みで1万円程度~が鍵屋さんの相場です。
(弊社バイクパッションでは、買取した鍵なし車両が10台以上溜まったタイミングで鍵屋さんに纏めて発注していますので、定期的な大量発注によって市価よりも大幅に安く鍵を作成する事が出来ます) 踏まえると、買取額のマイナスは、軽目ののエンジン不調を織り込んでも2万円程度といったところです。
2)相対的に使用感は強く走行距離も多い。
市場で取引される2020年モデルのスーパーカブ110の6割が未使用車であり、9割は走行数百キロ以下の超極上車である現状に照らすと。
1年放置されていたため錆びや使用感が目立ち走行4千キロを超えている本機は、相対的にかなり下位の状態に位置します。
3)オプションカスタム。
フロントバスケット・サイドバッグ・スクリーンが装着されています。オプション品は取り外せばノーマルに戻るため(オプション品の処分に費用が発生しない限り)買取額のプラス対象です。
本機のオプション品はメーカー不明の汎用品であり、かつ錆びやヘタリが見えることから付加価値はお気持ち程度に留まりました。
踏まえますと、 鍵を作成しバッテリーを交換して実働化した際には、買取業者の転売先である業者間市場では16~18万円の取引額になることが想定されます。
従いまして実働化コスト加えてに、市場での転売額から儲けや経費を差し引いた正味の買取額は12万円程度が限界といえます。
弊社バイクパッションでは、自社整備工場にストックバッテリーが多数ある点。鍵作製も市価より大幅に安価に出来る点。
そして単店舗としては日本で一番中古バイクを売っている直営販売店において売れ筋車種である点。
以上の強みを最大限生かして、弊社販売店の仕入れ価格として16万円の査定額をご提示して買取させて頂きました。
【JA44型 2018~現行2020年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 157台
- 平均価格: 224,790円
- 最高価格: 340,000円
- 最低価格: 96,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 24台
- 平均価格: 118,375円
- 最高価格: 182,000円
- 最低価格: 26,000円
相場情報:2021年11月20日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。